ペギタンside
ある日の事、ちゆと一緒に映画を観ていたけど……怖いシーンでつい、ビックリしてしまった
「はー面白かった!……だから見ない方がいいって言ったのに……ペギタン?平気?」
「へ、平気ってペエ!全然怖くなかったペエ!CGがいまいちだったペエ。いきなりババンッと出すのは怖いんじゃなくって、ビックリなだけペエ。それにそれに……」
ふっとちゆが僕の頭を撫で……
「ふふ、可愛い」
か……可愛い……!?僕はショックだった……可愛いって……可愛いって……
ショックのあまり、僕は近くの公園のベンチで落ち込んでいた
「はぁ~いつまで経っても僕は弱虫のままだペエ……可愛いじゃなくって格好いいって言われたいペエ」
紫乃みたいにかっこよく……呼吸とか使って……
『癒しの呼吸!』
って感じで……と想像していたら、女の子が僕を見つめていたことに気がついた
まずい……見られた?ぬいぐるみの振りをして何とか逃れないと……
紫乃side
カナエさんと一緒に買い物をして、その帰り道の事……
「紫乃!?」
ちゆの声が聞こえ、振り向いた瞬間、ちゆが抱きついてきた
「あら?私は邪魔かしら」
「い、いや、その……ちゆ……どうかしたのか?」
「ペギタンが……ペギタンが……」
ペギタンがどうかしたのか?もしかして体調崩したとか?
「いなくなったの!」
いなくなった?
「何処に散歩しにいったんじゃなくって?」
「違うの……いなくなる前まで一緒に映画を見てて……少し離れたらいなくって……探しても見つからないの……私……私……」
泣きじゃくるちゆを僕はなだめつつ、カナエさんにあることを頼んだ
「のどかたちに頼もう」
「そうね。人が多い方がいいわ」
ちゆをこんなに心配かけさせて……ペギタンは一体何処に……
ペギタンside
まさか女の子にお持ち帰りされるなんて……
ぬいぐるみだと思ってもらえたのラッキーだったけど……捨てられたぬいぐるみだと思われたの予想外だった……
どうすればいいのか考えていると、女の子は僕の事を見つめ……
「ジョセフィーヌ?貴方は今日からジョセフィーヌだよ。私はりり、よろしくね」
それから僕は着せ替えやら色々とさせられていた。
このままバレないようにしていたら、お腹がなり……
「えっ?もしかして野生ペンギンさん?それとも迷いペンギンさん?どっちでもいいけど、すごーい、本物のペンギンさんだぁ~」
りりちゃんは僕を持ってクルクル回りだした。ヒーリングアニマルだってばれなかったから良かったけど……これは本当に予想外だった
それから何とか脱出しようとしたけど、部屋の窓の外には……ドーベルマンが三匹いて、怖くって逃げられなかった。
紫乃side
のどかとひなたの二人と合流し、ペギタンを探しているけど見つからない……
のどかは自販機の下を覗いたり、ひなたはメガホンを使って呼んでるけど……
「ちゆ……大丈夫か?」
「……えぇ」
ちゆの顔は暗いままだった。
「たくっ、パートナーに心配かけて、何やってるんだ?ペギタンの奴」
「悪いのは……私……」
ちゆ……
「ただいま戻りました」
するとアスミがラテを連れてやって来た。まさかと思うけど……
「嗅覚探偵ラテ様の登場ラビ!」
嗅覚ならラテと炭治郎じゃないのかと思うけど……炭治郎は今は出掛けてるし…………
「アスミ、何か手がかりはあったのか?」
「はい……それが……」
アスミに案内された場所は公園のベンチだった。ラテの話では匂いがそこで途切れていて、誰かに連れていかれたらしい
「ペギタン……」
「…………今日はもう遅いから帰ろう」
僕がそう告げると、のどかとひなたとアスミの三人は頷き……
「カナエさん、みんなの事送ってあげて」
「えぇ、紫乃くんはちゆちゃんの側にいてあげて」
みんなと別れて、僕はちゆを抱き締めた
「大丈夫……明日また探してみよう」
「でも……もしも何かあったら……」
「ペギタンなら大丈夫。ちゆから勇気を貰ってるから…………何かあっても大丈夫だよ」
「紫乃……」
「と言うか気にしすぎだよ……何があったのか分からないけど……」
「昼間にペギタンと一緒に映画を見てて……怖がってるのに強がってるペギタンに私……可愛いって言ったの……もしかしたらそれでペギタンを傷つけて……外に出たんだと思うの……」
ペギタン……かっこよく思われたいからな。
「大丈夫……必ず見つけるから……」
「紫乃……」
ここまでちゆに心配かけて……本当にどこにいるんだ?と言うか……
「でも少し嫉妬してる」
「えっ?」
「ちゆにここまで心配されるペギタンが羨ましいよ……」
「ふふ、紫乃ったら」
ようやく笑った。やっぱりちゆは笑顔が似合うな
「紫乃がいなくなったら……私きっと……ずっと泣いてると思うの」
「ちゆ……」
「大好きな人がいなくなる……それだけで本当に辛いから……」
「そっか……」
嬉しいことを言ってくれているけど……それでもちゆにそんな思いをさせたくないと思う僕であった。