「はぁ……はぁ…」
珮狼と名乗る鬼と戦っている僕だけど……ここまで厄介なんて……
「どうした!その程度で煉獄の代りを務まるのか!」
回りにいる血鬼術で作られた狼の口から銃口を向けられていた。何とか接近して倒していくが、その度に珮狼が放る火炎ビンや爆弾を喰らってしまう。
「鬼擬き……再生能力が落ちてきているな」
当たり前だろ……こっちは……完全に回復してないのに…………戦ってるんだ……
「急いで俺を倒さないと……街の人間が食われるぞ!お前の仲間が間に合えばいいけどな!」
挑発のつもりだろうけど…………確かに急がないと間に合わない……それに……ギガビョーゲンの攻撃も激しそうだし……余力を残しておかないと……
『雪の……』
「遅いんだよ」
技を放とうとするが、両腕を狼に咬まれ、更には腹部を銃で撃たれる……
「くっ……」
狼を振りほどくけど…………更に噛みついてきて、僕を飲み込んでいく。
「終わりだな…………そのまま取り込まれていろ」
終わり……僕が……みんな……戦ってるのに…………
意識を失いそうになる……このまま…………
終わるわけにはいかない……
『血鬼術!血癒の雨!』
狼から抜け出し、血鬼術を発動させる。
「鬼にとって……いやビョーゲンズもか……毒になるが……この程度で倒せるとでも?」
「余力を残しておくとか考えていたからダメだったんだ…………これはちょっとしたサポートだ」
全部出し尽くす!僕は鬼の姿から人の姿に戻った。残ってるのはほんのちょっとの再生能力と…………1発分の体力…………みんなの……ために!
「はっ!一気に決めるか!!」
珮狼は持っていた銃や爆弾などを捨て、街中に放った狼を自分の身体に取り込んでいき、巨大な狼へと変わり、一本の刀を構えた。
「いいぞ!今のお前からはあの時と同じ高揚感が甦って来る!!」
首を切り落とす………………渾身の力が必要だ…………
「いざ!純情に勝負!」
珮狼の刃が右肩から切り裂いていく……痛みを感じるな…………狙うのは…………
「首のみ!!」
『雪の呼吸!玖ノ型!奏雪!!』
首目掛けて突きを放つ。突きのみで切り落とすことが出来ないけど…………この勢いで…………
「ぐう……何だ!?突きの勢いで…………まさか……」
このままギガビョーゲンの所までいかせてもらう!!
突きの勢いで……ギガビョーゲンの身体へとぶつかる。多少は仰け反るギガビョーゲンと刀が刺さったままの珮狼
「かはっ!狙いが外れたな……俺の首は……」
「お前の首は…………切り落とす!」
身体中が熱くなり、脈拍も早くなる…………僕はこの勢いで横薙ぎで珮狼の首を切り落とした。
「なっ!?あれは……痣か…………本当に面白い奴だ…………」
珮狼が塵となり、僕はまだ倒れそうになるけど……耐えていた。
「紫乃……」
フォンテーヌの声が聞こえると……みんなボロボロだった。
「まだ……戦える……」
「ですが……」
アースは……いや、フォンテーヌもスパークルも諦めかけていた。と言うか一青は?
「お前も……発現したのか」
一青もボロボロになっているけど……諦めていない。それに杏寿朗さんも伊之助も……
「私は……諦めたくない……先生の……ビョーゲンズのせいで苦しむ人たちの気持ち……分かるから……」
「そんな大切な人の無事を祈るコウタくんの気持ち分かったラビ!」
「ギガビョーゲンがどんなに強くっても……」
「ほっとくわけにはいかないラビ!」
グレースは立ち上がる。まだ諦めてないな。そんなグレースの思いを知り、フォンテーヌもスパークルも立ち上がる
「先生たちだけじゃないわ……地球をビョーゲンズに奪われたら……たくさんの生き物が苦しむって……よく分かった!」
「そうペエ!エレメントさんもみんな苦しむペエ!」
「ふふ、何か先生の言った通りだなって……私たちキャラバラバラだからいいんだって!」
「誰かが挫きかけても、誰かが立ち上がる!そうしたらこうして次々勇気が沸いてくる!」
「アース!私たちまだ頑張れるよ!」
「ラビリンたちヒーリングアニマルと人間のパートナー、それに地球と風から生まれたアース!」
「そして色んなエレメントさんたちから力を預かってるペエ!」
「僕たちも……いる!」
「こんなにたくさんの人がたくさんの力が集まってるんだもの……」
「まだまだいけるよ!」
みんなでアースに手をさしのべる。誰も諦めてない……
「そんな気してこない?」
「…………はい、みんなで手を取り合えば必ず!」
アースも立ち上がる…………さぁ行くぞ!
「紫乃……お前は動けるのか?」
「一人でのんびり待ってるわけにはいかないだろ…………グレースたちの言葉を聞いて…………力がわいてきた!」
「だろうな!」
僕と一青は同時に動きだし、後方から一撃を喰らわす!
「杏寿朗さん!伊之助!」
「うおおおおおおお!!!」
「全員!心を燃やせ!!!」
上から二人の攻撃を喰らわし、更に前からグレースたちが同時にぶつかる
『私たちはお手当てを諦めない!!!』
ギガビョーゲンにぶつかった瞬間、虹色の光が辺りを照らした。そして全てのエレメントボトルが一つになり、新しいエレメントボトルを生み出す。
「新しいエレメントボトル!?」
「今まで集めたエレメントさんたちの力が一つになったラビ!?」
ラテが鳴いた瞬間、プリキュアの武器が集り、弓矢へと変わった。
「ラテ様が僕たちの力を一つにまとめてくれたペエ!」
「流石ラテ様だぜ」
「グレース!行くラビ!」
『ヒーリングアニマルパワー全開!』
グレースたちが神秘的な衣装に変わり、白い翼を生やした。
『アメイジングお手当て!準備OK!』
掛け声とともにヒーリングアニマルが半透明となりその状態で弓の引き金を押し、
「プリキュア・ファイナルヒーリングっど・シャワー!」
4色の螺旋状のビームを放ち、取り込まれた人を助けながらギガビョーケンを浄化するのであった。
戦いも終わり、限界で僕と一青は倒れ込んだ。
「つ、疲れた……」
「こっちもだ……」
互いに疲れ果てていると…………僕らの前に痣が浮かんだ鬼…………上弦の壱が現れた。
「このタイミングでか!?」
みんなボロボロで……戦うのはきついのに……
「一青……鬼神からの言葉だ」
「何だ?」
「お前と下弦は自由にしろ…………我々には気を遣うなだ」
それだけを告げて上弦の壱は姿を消した…………それって…………
「これからは……一緒に戦えってことか?」
「かもな…………………………あ!?」
一青は突然何かを思い出し、ひなたの方を見ると、ひなたも一青の顔を見て顔を赤らめていた。
何があったんだよ………………
「よろしいんですか?」
『茨木……いいのだよ。これで……一青は痣の発現の仕方を知り、雪の呼吸を継いだ者も痣を発現した。全て計画通りだ』
「鬼神様の長年の夢ですか……」
『ここからは……夢を叶えるための準備を始めよう』