休憩時間、僕らはすこやかまんじゅうを食べていると、とうじがため息をついていた。
「ね、一緒に食べようよ。めっちゃうまだよ~」
「いいです……」
「とうじくん?」
落ち込んでいるみたいだけど、失敗が続いていたからかな?
「僕……失敗ばかりで……それを全部お姉ちゃんに助けてもらって……同じ姉弟なのにどうしても上手く出来ないんだろう?」
「そんなこと……」
「分かるそれ!すんごい出来る兄姉いるとなんか焦るの……めっちゃ分かる」
そう言うものなのか……僕は一人っ子だから良く分からないけど…………玄弥たちもそんな感じなのかな?
「まぁそういう愚痴とかはよく聞かされていたな……」
一青は覚えがあるのか?そう言えば上弦に兄妹の鬼がいたな……
「でも……あんまり焦らなくてもいいと思うよ」
のどかは笑顔でそう言うのであった。まぁ確かに焦ってもしょうがないよな
休憩が終わり、外の作業をしているとちゆがとうじを叱っているのを見掛けた。
「ミスは仕方ないけど……お客様の前でため息なんて、おもてなしの心を忘れるのだけは見過ごせないわ」
「……はい」
「落ち着くまで少し休んでいなさい」
とうじは頷くけど、やっぱり落ち込んだまま戻っていく。
「とうじ、大丈夫か?」
「紫乃……」
「厳しいことを言ったって思ってるのか?」
「……そんなこと……少しだけあるわ。でも」
ちょっと落ち込むちゆだけど、僕はそっと頭を撫でる。
「ちゆは間違ってないよ。ちょっととうじの事は僕に任せてもらっていいか?」
「紫乃……うん」
ちゆから許可を貰い、ちゆは仕事に戻った。さて……
「ペギタン、いるだろう?」
「紫乃……」
茂みに隠れて様子を見ていたペギタン。僕はそんなペギタンにあることを頼んだ。
「ちょっとアスミにお願いしてきてくれないか?」
「紫乃……分かったペエ」
足湯の所で落ち込んでいるとうじを見つけた僕とアスミの二人。
「とうじ!」
「とうじさん、少しよろしいですか?」
アスミはとうじに撮った写真を見せながら語った。
「皆、それぞれいいところがあります。のどかはとても丁寧で、ひなたは周りを明るくする笑顔があって、紫乃と一青には頑張ろうとする心があります」
「でも僕には何もないや……お姉ちゃんがこんなにも出来るのに……」
「いいえ、とうじさんにも良いところがあります。それは……ちょっと不器用だけどとっても一生懸命で優しいですから」
ペギタンの思いをアスミが代弁してくれていた。ペギタンはとうじをライバル視しているけど、だからこそよく見ている。
とうじがずぶ濡れになったのもお客さんの子犬を守ろうとしたからだと……
「僕が一生懸命で優しい……」
「えぇ、とうじさんのことを見ていた人がそう話していたのです」
「えぇ!?そんな人が!?」
「とうじの事、認めてくれている人がいるだけでも嬉しいだろ」
「紫乃兄さん……」
「自分を他の人と比較する必要はない。頑張っている所を見てくれる人はちゃんといるのですから……」
とうじも元気になってきたかな?
作業に戻ると外から悲鳴が聞こえてきた。まさかと思い、外に出るとギガビョーゲンが暴れていた。
「たくっ!こんなときに出てくるなよ」
「ひなたたちはまだみたいだな」
一青と一緒に先にメガビョーゲンのところに来たけど……
「何で月鬼の姿なんだ?」
「ここだとうっかり見られるかもしれないからな」
あぁなるほどな……
「お前は隠さなくてもいいのか?」
「僕は……」
鬼の姿に変わり、刀を構えた。この姿だと角の方が目に入るから正体がばれることはない。
「これなら安心だ」
「なるほど……確かに……」
「紫乃!」
「いっくん!」
するとフォンテーヌたちも合流してきた。
「お待たせ!」
「ふふ、来たな!プリキュア!」
「グアイワルじゃん」
「進化した俺様のギガビョーゲンの力を見せてやる!」
またギガビョーゲンか……かなり手強いな……
「ヒョッヒョッヒョッ!お前たちの相手はこの私だ」
突然無数の針が僕らに向かって放たれた。僕は血鬼術で防ぐと……
「久しぶりだな!小僧!」
「変態壺か……」
「いや、玉壺は壺変態だろ!」
「変態には変わりないな」
「貴様ら!馬鹿にしておるのか!」
なんと言うか切れやすい奴だな……
「皆はギガビョーゲンを頼む」
「うん」
グレースたちがギガビョーゲンと戦う中、僕らは玉壺と戦う。今回のギガビョーゲンは旅館のお客様のみたいだ。
「余所見をするな!」
『蛸壺地獄!』
壺から放たれる蛸の足。僕と一青が避けつつ、切り落としていく
「なっ!?」
「悪いけど……あの頃よりも強くなってるからな」
「それにお前を一度バラバラにしたこと……忘れたのか?」
「ぬうううう!!」
悔しそうにしている玉壺。すると一匹の子犬がこちらに向かってきた。更にはそれを追うとうじ!?
「くそ!?」
僕とフォンテーヌがとうじを守りに入る。グレースたちに蹴られて倒れたギガビョーゲンが光線を放とうとしたが、それをグレースたちが妨害し、玉壺の蛸の足も一青が切り落としていく。
するとギガビョーゲンが暴れ、グレースたちを吹き飛ばし、その影響で飛んできた木からフォンテーヌがとうじを守りつつ、川へと落ちていった。
「フォンテーヌ!?」
「紫乃!」
「余所見をするな!」
玉壺の鋭い一撃が僕を襲い、僕も川へと落とされた。
何とか着地するとフォンテーヌもとうじも無事みたいだった。
「大丈夫?」
「あ、はい」
「よくワンちゃんを守ったわね。怖かったでしょ?」
「うん……でも大切なお客様だから」
「そう……後は私たちに任せて」
とうじを安全なところへと避難させると、
「行けるか?フォンテーヌ」
「えぇ!」
僕とフォンテーヌは戦いの場に戻り、フォンテーヌは思いの力で強化した氷のエレメントとアースの空気のエレメントの力でギガビョーゲンを吹き飛ばす。
「ヒョッヒョッ!戻ってきたところで真の姿に戻った私に……」
「真の姿に戻りすぎて安っぽいぞ」
「まぁどうせなら最初からその姿でいればいいのにな!」
「貴様ら!」
『血鬼術!陣殺魚鱗!』
自由自在に動き回る玉壺だけど……僕と一青には……
痣を発現させ、身構えた。
『雪の呼吸!捌ノ型!雪花』
『終ノ月!』
玉壺の攻撃を全て弾き、弾かれたところに一青が切り刻んだ。
「なっ!?」
「更に……おまけだ!」
玉壺の頭を掴み、倒れたギガビョーゲンの所へと投げつけた。
「みんな!頼む!」
「うん!」
『ヒーリングっとアロー!』
『アメイジングお手当て!準備OK!』
『プリキュア・ファイナルヒーリングっど・シャワー!』
ギガビョーゲンもろとも玉壺が浄化技に巻き込まれるのであった。
「な……なあああああああ!!!!!!!!」
『ヒーリングッパイ~』
無事にギガビョーゲンの浄化と玉壺が消滅するのであった。
ギガビョーゲンにされたお客さんも無事に戻り、とうじが助けた子犬も元に戻ったお客さんに安心するのであった。
「僕ももっと頑張らないと」
「そうね」
「もしかして僕をずっと見てたのってお姉ちゃん?」
「さぁね」
とうじも自信がついたみたいだな。
「それにしても……鬼が浄化技で消滅するなんてな」
「過去でのどかたちがその事に気がついたみたいなんだ…………もしかしたら鬼の血=穢れみたいなものじゃないのか」
「だとしたらお前は巻き込まれた大変だな」
「まぁ……そうだな」