現実世界で遊戯王!   作:たけぽん

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10. 運命の序曲(前編)

 

先行 ハルカ LP8000 デッキ35枚 手札5枚 エクストラデッキ15枚

後攻 井上  LP8000 デッキ35枚 手札5枚 エクストラデッキ15枚

 

ターン1

 

「俺の先行。スタンバイ、メインフェイズに入る」

 

フェイズ移行を宣言しながら自分の手札を確認する。

……悪くはない。だが、後攻をとった井上の真意がわからない以上、むやみにモンスターを展開するのも考えどころだ。

ここはできる限りの準備をして、相手の行動に対応していくことにしよう。

 

「俺は、俺の場にトークン2体を特殊召喚することで相手フィールドにトーチゴーレムを特殊召喚する」

「初手トーチとはずいぶんいい引きじゃねえか……」

「俺はトークン一体でリンク召喚。リンクリボー。さらにもう一体のトークンを使いリンクスパイダーをリンク召喚」

 

トーチゴーレムからの展開といえばこれが定石。ADS動画なんかでもよく見る光景だ。

 

「そしてリンクリボーとリンクスパイダーでリンク召喚。アカシックマジシャン。効果によりリンク先のモンスター、トーチゴーレムをバウンスする」

 

トーチゴーレムは俺のカードなので、当然俺の手札に戻る。そしてトーチの効果……厳密に言うと効果ではないんだが、それには一ターンに一度の制限がない。

 

「再びトークン2体を特殊召喚し、トーチゴーレムを特殊召喚。そしてトークン2体を素材にセキュリティドラゴンをリンク召喚。効果発動。相互リンク状態の時、相手のモンスターをバウンスする」

 

まあ、俺のモンスターなんだがな。

 

「そしてアカシックマジシャンの効果発動。カード名を一つ宣言し、相互リンクしているセキュリティドラゴンのリンクマーカーの数、すなわち2枚のカードをデッキトップから確認し、宣言したカードがあればそれを手札に加え、残りは墓地に送る。俺が宣言するのは、黒牙の魔術師」

 

デッキトップ2枚を確認する。めくれたカードは、ブラックマジシャンとナイトエンドソーサラー。黒牙の魔術師はなかった。

 

「2枚とも墓地に送る。そして、再びトーチゴーレムを特殊召喚。そして、トークン一体をリリースして、墓地のリンクリボーの効果発動。このモンスターを特殊召喚」

 

ここまで手札誘発は一切なし。とはいえ俺はトーチ一枚で動いているのだから、かの灰流うららも先ほどのアカシックに打てた程度だ。増殖するGならさっさと打っているだろうし、このターン行動を妨害される可能性は低そうだ。

 

「アカシックマジシャン、セキュリティドラゴン、リンクリボー、トーチトークンを素材にリンク召喚。鎖龍蛇スカルデット」

「すげー、あいつトーチ一枚でめっちゃ動くやん」

「いやでも誘発なかったから動けてるだけですしおすし」

 

周囲からそんな声が聞こえる。だが、対峙する井上は一切動揺を見せない。これだけ好き放題展開されているというのにノーリアクションだ。

 

「……スカルデットの効果。モンスター4体を素材にリンク召喚したとき、4枚ドローして、3枚デッキの下に戻す」

 

新たにドローしたカードを確認する。その中にはエフェクトヴェーラーが一枚含まれていた。先ほどまでの手札には誘発が一枚も入っていなかったのでこのカードを引けたのは大きい。

 

「この三枚をデッキボトムへ。そしてスカルデットの効果。手札からモンスター一体を特殊召喚する。俺は幻想の見習い魔導師を特殊召喚」

 

本来ならブラマジをサーチできるのだが、このデッキに入っているブラマジはさっき墓地に送られた一枚のみ。

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンド」

 

ハルカ 手札2枚 フィールド スカルデット(リンク先相手フィールドに守備表示のトーチゴーレム) 幻想の見習い魔導師 伏せカード2枚

 

ターン2

 

「それじゃ、俺のターンだ!ドロー!」

 

さて、このターンの行動で奴が後攻を取った理由がわかるといいんだが。前のターン、俺が打った布石は二つ。一つはスカルデットで手に入れたエフェクトヴェーラー。これで井上のモンスター効果を無効にできる。そしてもう一つは2枚の伏せカードのうちの一枚である超融合。このカードは手札一枚をコストにフィールドで融合できる。場にはさっきスカルデットの展開で相手フィールドに特殊召喚したトーチゴーレムと、俺の場の見習い魔導師。この2体の属性はどちらも闇。つまり超融合でスターヴヴェノム

フュージョンドラゴンを融合召喚できる。さらに言うと、井上が闇属性のモンスターを召喚すればそのモンスターも素材にできる。闇属性モンスターは強力なモンスターが多いので、採用率も高い。奴のデッキに入っている確率も決して低くはないだろう。

 

「俺はトーチゴーレムを攻撃表示に変更し、手札からSRベイゴマックスを通常召喚する」

 

ベイゴマックス。あのカードはフィールドが空なら特殊召喚できるモンスター。どうやらトーチゴーレムを出したことが思わぬラッキーを生んでくれたらしい。

 

「そしてベイゴマの効果!デッキからSRを手札に加えるぜ!」

 

もってくるのは十中八九特殊召喚条件を満たしたタケトンボーグだろうが、ここでヴェーラーを使うかはあやしいところだ。相手がすでにタケトンボーグを持っていたらうち損だし、今後出てくるモンスターへのマストカウンターを決めたい。

ここは温存しよう。

 

「タケトンボーグを手札に加え、そのまま特殊召喚!そして、2体のモンスターでエクシーズ召喚、彼岸の旅人ダンテ!」

 

ダンテか。あいつのモンスター効果は墓地肥やしと打点上昇。だが、墓地肥やしはコストだからヴェーラーでも無効化できない。攻撃表示で出したってことは当たり前だが攻撃する気満々ってわけだ。

 

「ダンテの効果!デッキからカードを3枚墓地へ送り、一枚につき攻撃力を500ポイントアップ!」

 

墓地へ送られたカードは、増援、光の護封霊剣、彼岸の悪鬼ファーファレル……。

ファーファレルか……。

 

「ファーファレルの効果!フィールドのモンスターを一枚除外する。……俺はトーチゴーレムを除外!」

「なんだと……」

 

スカルデットでも見習いでもなくトーチゴーレムを除外だと?

 

「さあ、チェーンはあるか?」

 

ここまで見えたカードから察するに奴のデッキはランク3特化のデッキ。流石にワンキルはないと思うが、ここで超融合を打つべきだろうか。向こうの手札は5枚。召喚権は使っている。だが、手札5枚あってほかに何もないことはないだろう。彼岸モンスターは魔法罠カードがなければ特殊召喚できる効果があるが、闇属性だから超融合で吸える。だが、レベル3モンスターで特殊召喚できるモンスターは山ほどいる。それなら今の段階で破壊されたときに相手のモンスターを一掃できるスターヴヴェノムを出しておいた方が盤面は固められるか?

 

「……チェーンはない」

 

ここでトーチが消えても枚数で俺が損をするわけじゃない。なら、超融合は取っておいていいだろう。

 

「なら、トーチは除外。そして俺は墓地の増援を除外し、マジックストライカーを特殊召喚!さらに緊急テレポートを発動!デッキから幽鬼うさぎを特殊召喚!」

 

これでレベル3のモンスターが2体……。

 

「2体のモンスターでエクシーズ召喚!現れろ!グレンザウルス!」

 

グレンザウルス?たしかあれはエクシーズが実装された当初スターターに収録されたカード。効果発動には戦闘を介する必要があったはず。なぜそのモンスターを採用しているんだ?

 

「さらに、ダンテとグレンザウルスでオーバーレイ。現れろ!FNO.0未来皇ホープ!」

「……!未来皇だと……!」

 

同ランクのエクシーズを素材に出てくる未来皇、だが問題なのはこいつではなく……。

 

「そして未来皇一体でエクシーズ召喚!FNO.0未来龍皇ホープ!」

 

未来龍皇ホープ……。あいつはこちらのモンスター効果を無効にし、そのコントロールを奪うカード。確かに同ランクのモンスターが並ぶデッキなら採用されてもおかしくない。さらに、特殊召喚されたのはさっき除外されたトーチがいたスカルデットのリンク先。

 

「……スカルデットの効果。リンク先に特殊召喚されたモンスターの攻守を300アップする」

「未来龍皇の効果!エクシーズ素材を一つ取り除き、スカルデットの効果発動を無効にしそのコントロールを得る!」

 

スカルデットの効果は強制発動。それを逆手に取られたか。だが、俺にはエフェクトヴェーラーがある。

 

「手札のエフェクトヴェーラーを墓地へ送り、未来龍皇の効果を無効にする……」

「だが、これでスカルデットの効果は有効となり、未来龍皇の攻撃力は永続的に300アップし3300!」

 

あまりおいしくないが、スカルデットをパクられると効果を使われてさらに展開される恐れがある。とはいえこれで攻撃力3300の効果無効&洗脳もちのモンスターを相手にすることになってしまった。結果論だが、スターヴを出しておいた方が良かったかもしれない。

 

「それじゃあバトルフェイズだ!未来龍皇でスカルデットを攻撃!」

「くっ……」

 

ハルカ LP8000→7500

 

「メイン2.俺はカードを2枚セットしターン終了。そしてトーチゴーレムは俺のフィールドに戻る」

 

井上LP8000 手札1枚 フィールド 未来龍皇ホープ(素材2つ) トーチゴーレム 伏せカード2枚

 

ターン3

 

「俺のターン。ドロー」

 

なんてこった。先攻一ターン目の俺の布石である超融合もエフェクトヴェーラーもほぼ意味をなさなかった。そしてこのドローを含めても俺の手札は2枚。場には伏せカードと見習い魔導師だけ。一応超融合でスターヴを出すことは可能だが、それをやっても未来龍皇は越えられない。

とにもかくにも、未来龍皇をどかさないことにはこのデュエルで勝つことはできない。

 

「俺はマジックカード、バウンドリンクを発動。墓地のスカルデットをエクストラデッキに戻し、そのリンクマーカーの数だけドローして、ドローした枚数分デッキの下に戻す」

「なんかあいつやたら手札交換するな」

「手札に上級モンスターしかいないんじゃねーの?」

 

そういうわけではないんだが、このデッキのコンセプト上、デッキにカードを戻すカードは必要不可欠だ。

 

「スカルデットのマーカーは4つ。俺は4枚ドローする……。そしてこの4枚をデッキの下へ送る」

「いいカードは引けたか?」

「見習い魔導師を守備表示に変更。さらにモンスターをセットしてターンエンドだ」

 

1ターン目とは打って変わって短い挙動。だが、現状打てる手はこれだけだ。

 

ハルカLP7500 手札0枚 フィールド 幻想の見習い魔導師(守備表示) 裏側表示モンスター 伏せカード 2枚

 

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