それを踏まえたうえで読んでいただけると幸いです。
ターン2
「俺のターン、ドロー」
引いたカードを確認し手札に加える。
それにしても、軽い気持ちで先攻なんて譲るんじゃなかったな。まさか実質手札消費一枚でクェーサーなんて出てくるとは。構築した竹田も大概だが、それを一瞬で使いこなす真月のデュエルタクティクス、侮れない。
それに、クェーサーのソリッドヴィジョンはかなりの迫力で、それが自分に危害を与えるものでないとわかっていても全身を貫くような威圧感を感じる。
さて、それはそうとクェーサーのいるフィールドをどう崩していくかが問題だ。あのモンスターには一ターンに一度こちらの発動したカードの効果を無効にし破壊する能力がある。
考えなしにカードをプレイすれば、あっという間に負けてしまう。
「……」
「む、武藤君?や、やりすぎちゃったかな……」
まあ、やりすぎではあるが、デュエルってのはそういうものだ。
無論俺もこのままサレンダーなんてつまらないことをするつもりはない。
相手が無効効果で圧をかけてくるならこちらはその強大な力にゆさぶりをかけるのみ。
「手札から、おろかな埋葬を発動。デッキからモンスターを墓地へ送る」
「おろ埋か……」
「さて、どうする?」
相手のデッキが全く分からない状況で、たった一枚の魔法カードを無効にするかどうかはかなり悩ましいはずだ。この発動からこちらのデッキが回り出す可能性もあるし、クェーサーの効果を打たせて本命を通すためのブラフである可能性も十分ある。
俺の手札はあと5枚。召喚権も使っていないこのタイミングでクェーサーを使うかどうか……。
「その効果は通るよ」
「ならば俺は、デッキから不死武士を墓地へ送る」
「不死武士……。なるほど、戦士族デッキか」
「俺はモンスターをセット。カードを3枚伏せてターンエンドだ」
ハルカLP8000 手札1枚 フィールド 裏守備モンスター 伏せカード 3枚
「くっ、判断を間違えちゃったかな……」
「結果論だろうな」
「それもそうだね」
ターン3
「僕のターン、ドロー!」
さて、これで向こうの手札は5枚。場にはクェーサーが健在だ。どう出てくる?
「伏せカードが3枚か、激流葬とかだったら嫌だな……」
どうやらモンスターを展開するかを悩んでいるようだ。真月は俺が伏せカードでクェーサーを処理するつもりだと読んでいるってことか。
「……僕は、手札のSR三つ目のダイスを捨てて、クイックシンクロンを特殊召喚!」
どうやら打つ手が決まったらしい。
「さらに手札から、レベルウォリアーを通常召喚。レベル3のレベルウォリアーにレベル5のクイックシンクロンをチューニング、シンクロ召喚!ジャンクデストロイヤー!」
「ジャンデス……」
「ジャンクデストロイヤーの効果、シンクロ素材とした非チューナーの数まで相手のカードを破壊する!」
さて、破壊されるのは伏せカードか、モンスターか……。
「僕は、真ん中の伏せカードを破壊!」
ジャンクデストロイヤーが地面に拳をたたきつけると、その風圧で俺の伏せカードが粉々に破壊される。
「破壊されたのは、トラップカード運命の発掘。その効果で墓地の運命の発掘の数だけドローできる。よって一枚をドロー」
「うわあ、外れだったか……。ならばクェーサーを攻撃表示にして、バトルフェイズ!クェーサーで裏守備モンスターを攻撃!」
俺のフィールドの裏守備モンスターが表側へと変わり、その正体が明らかになる。
「セットモンスターは異次元の女戦士。その効果でクェーサードラゴンを除外する」
「そうはいかないよ、クェーサードラゴンの効果発動!女戦士の効果は無効!」
女戦士は苦しそうな悲鳴を上げて破壊される。
「クェーサードラゴンは、シンクロ素材とした非チューナーの数だけ攻撃できる。よって武藤君にダイレクトアタック!」
「……発動するカードはない」
「天地創造撃・ザ・クリエーションバースト!」
クェーサーが放つ虹色のエネルギーはが俺に直撃する。
「ぐっ……!」
痛みこそないが、その迫力に思わずうめき声が出てしまう。
ハルカLP8000→4000
「トラップ発動、ダメージコンデンサー!手札一枚をコストに、受けたダメージ以下の攻撃力のモンスターを特殊召喚する!俺はD・HEROディスクガイを特殊召喚!」
出現するのはCDのような装飾品を身に付けた戦士。長らく禁止カードになっていたこいつも、エラッタによって今では使うことができる。
「でも、ダメージコンデンサーで出したディスクガイは攻撃表示だよ!僕はジャンクデストロイヤーで攻撃!」
ハルカ LP4000→1700
「よし。僕はカードを一枚伏せて、ターンエンド!」
タケル LP8000 手札1枚 フィールド シューティングクェーサードラゴン ジャンクデストロイヤー 伏せカード 1枚
ターン4
「俺のターン、ドロー」
これで手札は2枚。ライフ的にもフィールド的にも圧倒的に不利だが、何とかひっくり返すしかない。
「スタンバイフェイズ。墓地の不死武士の効果を発動。自分の墓地が戦士族モンスターのみの場合、墓地のこのモンスターを特殊召喚できる」
「チェーンはないよ」
俺のフィールドに、禿げた落ち武者が現れる。不死というだけあってその体はボロボロで、視線もあらぬ方向に向いている。
「メインフェイズ、リバースカードオープン!リビングデッドの呼び声。墓地からディスクガイを特殊召喚」
「ディスクガイを蘇生か……」
「この特殊召喚が通れば俺はカードを2枚引けるが……、クェーサーで無効にするか?」
「……いいや、通すよ」
真月がチェーンしなかったことで俺の場にディスクガイが蘇る。
「ディスクガイの効果で、2枚ドロー。……さらに死者蘇生で終末の騎士を特殊召喚する」
「ダメージコンデンサーのコストにしたカードだね」
「特殊召喚成功時、効果発動。デッキから闇属性のE・HEROシャドーミストを墓地へ送る」
この効果にもクェーサーが動くそぶりはない。
「シャドーミストの効果でデッキからD・HEROディアボリックガイを手札に加える。そして、不死武士とディスクガイを素材にリンク召喚!聖騎士の追想イゾルデ!」
この前はこいつにひどい目にあわされたが、味方ならきっちり役に立ってもらおう。
「イゾルデの効果発動、デッキから戦士族モンスターを手札に加える。俺が加えるのは……」
「そうはいかないよ、クェーサーの効果!イゾルデの効果を無効にし、破壊する!」
クェーサーが放つ鋭い光がイゾルデの体を貫通し、破壊する。
どうやらこちらが戦士族統一デッキだと分かっていた真月はイゾルデの効果発動のタイミングを狙っていたらしい。
「くっ、だがまだだ!手札抹殺を発動!互いに手札を全て捨て、捨てた枚数ドローする!」
ハルカが捨てたカード ディアボリックガイ 沈黙の剣 錬装融合
タケルが捨てたカード サウラヴィス
「「カード、ドロー!」」
「そして俺は、墓地の錬装融合をデッキに戻しカードを一枚ドロー!」
これで手札は4枚。
「手札から、復讐の女剣士ローズを召喚!」
「チューナーモンスター……。場にはレベル4の終末の騎士がいるってことは」
「レベル4の終末の騎士に、レベル4のローズをチューニング!シンクロ召喚、ギガンテックファイター!」
「ギガンテックか……」
「ギガンテックの攻撃力は、互いの墓地の戦士族モンスターの数×100ポイントアップ。墓地の戦士族は11体!」
ギガンテックファイター 攻撃力 2800→3900
「それでもまだクェーサーには届いてないよ!」
「墓地の、沈黙の剣の効果発動。このカードを除外し、デッキから沈黙の剣士サイレントソードマンを手札に加える」
「……!さっき抹殺で墓地に送ったカードか……」
「墓地のディアボリックガイを除外し効果発動。デッキから同名モンスターを特殊召喚。そして、ディアボリックガイをリリース!現れろ、沈黙の剣士サイレントソードマン!」
以前と同じく、空中から剣が地面に突き刺さり、その手前に現れたソードマンが剣を引き抜く。
「お待たせしました、マスター。……かなりの劣勢ですね」
「まあな。その分お前にはしっかり働いてもらうぜ」
「御意」
「この感じ……、彼が君の精霊だね!武藤君!」
真月が目を輝かせる。
「お初にお目にかかります、タケル殿」
ソードマンが丁寧にお辞儀する。
「凄い、ちゃんと喋れるんだ……!」
「……デュエルを続けるぞ」
「あ、うん。ごめんごめん!えっと、サイレントソードマンは魔法無効効果と、ターン毎のパワーアップ、そして破壊されたときに別のサイレントソードマンになる効果があったよね」
「ああ、その通りだ」
「でも、現段階ではその攻撃力は1000ポイント。それじゃあクェーサーは……」
「バトル!ギガンテックファイターでジャンクデストロイヤーを攻撃!」
その宣言と同時に、ギガンテックファイターとジャンクデストロイヤーの両者は大きくジャンプし、互いの拳を何度もぶつけ合う。
だが、攻撃力で劣っているデストロイヤーは次第に勢いがなくなり、小さなスキができる。
その瞬間にギガンテックのボディブローが炸裂し、デストロイヤーは破壊される。
「ぐああ!」
タケルLP8000→6700
「まだだ、サイレントソードマンでシューティングクェーサードラゴンに攻撃!」
「そんな馬鹿な!クェーサーの方が攻撃力は遥かに上だよ!?」
「それはどうかな……。速攻魔法発動!九十九スラッシュ!」
「そのカードは……!」
「自分のモンスターが相手モンスターより攻撃力が低いとき、その攻撃力は互いのライフポイントの差分アップする!」
俺と真月のライフの差は5000。その数値が加算され、サイレントソードマンの攻撃力は6000にまで跳ね上がった。
「攻撃力、6000だって!?」
「行け!沈黙の剣!」
「はああああ!」
大きな掛け声とともにソードマンが跳躍し、クェーサーに向かって剣を振り上げる。
その刀身はカード効果で上がった攻撃力に比例するかのように巨大化し、真っ赤に燃え上がる。
「くらえ!我が剣の力!」
振り降ろされた剣はクェーサーを真っ二つに両断し、クェーサーは爆発四散する。
「クェーサー!ぐっ……!」
タケルLP6700→4700
「まさか真正面から突破してくるなんて……。でもこの瞬間、クェーサーの最後の効果を発動!エクストラデッキからシューティングスタードラゴンを特殊召喚!」
クェーサーが残した星屑が一か所に集まり、それは新たなドラゴンへと姿を変えた。
「やっぱり入ってんのかよ……。俺はターンエンドだ!」
ハルカLP1700 手札2枚 フィールド サイレントソードマン ギガンテックファイター 伏せカード なし
ターン5
「僕のターン、ドロー!……すごいね武藤君。君のデュエルは、僕の想像の全て上を行く」
「お前こそ凄いよ。初めて使うデッキをそこまで使いこなす適応力、そして状況をすぐに飲み込める理解力。もしお前の記憶が戻ったらどれだけのデュエリストになるのか、興味深い」
「このデュエル負けないよ、武藤君……いや、ハルカ!」
「来い、タケル!スタンバイフェイズに、ソードマンの攻撃力は500ポイントアップ!」
サイレントソードマン 攻撃力1000→1500
「僕はシューティングスタードラゴンの効果発動!デッキからカードを5枚めくり、その中のチューナーの数だけ攻撃できる!」
タケルはカードをめくり、こちらへ開示する。めくれたカードは調律、スチームシンクロン、くず鉄のかかし、ジャンクシンクロン、ニトロシンクロン。
「チューナーは3枚、よって3回の攻撃が可能!いくよ、まずはサイレントソードマンを攻撃!」
シューティングスターの攻撃力は3300、対するソードマンは1500。このままでは俺は1800のダメージを受け敗北する。
「ダメージ計算時、手札のD・HEROダイナマイトガイを捨て、効果発動!この戦闘によるダメージは0になり、互いに1000ポイントのダメージを受ける!」
ハルカLP1700→700
タケルLP4700→3700
「ぐっ……!でもサイレントソードマンは破壊!」
「マスター!」
散り際のソードマンの視線に、俺は頷く。
「サイレントソードマの効果で、レベル7を特殊召喚!守備表示!」
再びソードマンがフィールドに戻る。
「2回目のバトル!サイレントソードマンレベル7を攻撃!」
「ご武運を……!」
「ああ、任せろ」
ソードマンは今度こそ消え去ってしまう。だが、これでギガンテックファイターの攻撃力は4300になった。
「三回目のバトル!ギガンテックファイターを攻撃!」
「攻撃力はこちらの方が上だが……」
「当然、自爆特攻なんかじゃないよ!リバースカードオープン!ブレイクスルースキル!対象はギガンテックファイターだ!」
そのカードをここまで温存しているとは……。
「ギガンテックファイターの効果は無効となり、その攻撃力は元の2800に戻る!くらえ!スターダストミラージュ!」
突っ込んできたシューティングスターに体を貫かれ、ギガンテックファイターは破壊される。
「っ……!」
ハルカLP700→200
「ギガンテックファイターの効果!戦闘で破壊され墓地へ送られたとき、墓地の戦士族モンスターを復活させる!よってギガンテックファイター生還!」
「僕はカードを一枚伏せてターンエンド!」
タケルLP3700 手札1枚 フィールド シューティングスタードラゴン 伏せカード 1枚
ターン6
「俺のターン、ドロー!」
さて、状況を整理しよう。俺の手札は今引いた一枚のみ。場には攻撃力4300のギガンテックファイター。こいつの攻撃を通せればシューティングスターは倒せる。だが、シューティングスターには自身を除外して攻撃を無効にする効果がある。蘇生制限を満たしていないから除外から帰還はできないが、それでも攻撃が通らないのは明白だ。
そしてあの伏せカードも気になる。もしあれがシューティングスターを守るカードなら、次のターン墓地のブレイクスルースキルと合わせて俺のライフを削り切ることも可能だ。
ならば、このターンは守備に回るのが無難だろう。
「メインフェイズ、ギガンテックファイターを守備表示にし、カードを一枚セット。ターンエンドだ」
実に短い挙動だが、これしかできることは無い
ハルカ LP500 手札 1枚 フィールド ギガンテックファイター《守備表示》 伏せカード 1枚
ターン7
「僕のターン、ドロー!」
タケルのターンだが、俺の場のギガンテックファイターは壁モンスターとしては不死身に近い。連続攻撃効果を持つシューティングスターでも突破は難しいだろう。
「リバースカード発動!異次元グランド!」
「な、なに!?」
「異次元グランドは、発動ターンに墓地に行くすべてのモンスターをゲームから除外する!」
ギガンテックファイターの蘇生効果は戦闘で墓地へ行かないと発動できない。つまり、今攻撃されれば俺の場はがら空きになる。
「シューティングスターの効果!デッキから5枚めくる!」
今からめくるカードの中にチューナーが2枚以上あれば、このデュエルは俺の負けとなる。
だが、俺の伏せカードは今発動できるものではないので、黙って見ていることしかできない。
「はあっ!」
めくられたカードは、くず鉄のシグナル、集いし願い、緊急同調、調律、ジャンクシンクロン。チューナーは1枚。
「……。シューティングスターでギガンテックファイターを攻撃!スターダストミラージュ!」
再びの突進にギガンテックは体を貫かれ、今度は異次元へと消えてしまう。
だが、チューナーが一枚しかめくれなかったため、シューティングスターは一回しか攻撃ができない。つまりこのターンこれ以上のバトルはない。
「まさか、ここで運命にそっぽ向かれちゃうとはね」
「まあ、それもデュエルの醍醐味だろ」
「はは、そうかもね。僕はカードを一枚伏せてターンエンド!」
タケルLP3700 手札1枚 フィールド シューティングスタードラゴン 伏せカード 1枚
ターン8
「俺のターン!……ドロー!スタンバイフェイズに不死武士が復活!」
「さあ、この状況をどうするんだい、ハルカ!」
「デッキの一番上のカードを墓地へ送り、アームズホール発動。デッキから装備魔法カードを一枚手札に加える。俺は巨大化を手札に」
「なるほど、装備カードで攻撃力を上げるつもりか……。なら、リバースカードオープン!キャッチコピー!君のサーチに連動して、僕もデッキからカードを手札に加える。そのカードは、カオスソルジャー開闢の使者!」
開闢の使者……。これはターンを返したら確実に負けるな。
「俺は墓地の魔法カード、シャッフルリボーンを除外して効果発動!不死武士をデッキに戻してカードを一枚ドローする!」
「なるほど、アームズホールのコストで墓地に行ったのか……。でも、この状況で壁モンスターを手放して、一か八かのドローに賭けるつもりかい?」
「賭けなんかじゃない。俺は俺のデッキを信じている!」
デッキの一番上のカードに触れた瞬間、周りの音が俺の意識から遮断される。この感覚、この沈黙こそが俺とデッキとの絆の証だ。
「……ドロー!」
「一体何を……」
「相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、TGストライカーは特殊召喚できる!そしてストライカーをリリースし、沈黙の剣士サイレントソードマンを特殊召喚!」
三度、俺のフィールドに出現するソードマン。こちらへ視線を向ける彼とアイコンタクトを交わし、俺は次の行動に移る。
「俺は装備魔法、巨大化を発動!装備モンスターの攻撃力を2倍にする!」
「サイレントソードマンの攻撃力をアップするつもりか……?」
「俺はこのカードを、シューティングスタードラゴンに装備!」
「な、なんだって!?」
シューティングスタードラゴン 攻撃力3300→6600
「いったいどういうつもりなんだ……?」
「そして俺は、サイレントソードマンでシューティングスターを攻撃!」
「攻撃力1000で、6600のシューティングスターを!?」
「……」
「……君のことだ、なにかあるんだろうね。ならば、墓地の三つ目のダイスの効果発動!自身を除外し、サイレントソードマンの攻撃を無効にする!」
それはクイックシンクロンのコストで墓地に送っていたカード。効果の発動と同時にソードマンの攻撃も止まる。
「これで、君の攻撃は無効。ハルカ、おそらく君の狙いは心理戦で僕の判断を誤らせシューティングスター自身の効果で攻撃を止めさせることで、僕の戦力を削ぐことだった」
「……」
「その伏せカードもおそらくはそのためのブラフ。でも惜しかったね、僕の墓地に三つ目のダイスがあることを見落としていたのは」
「……それはどうかな」
「え?」
「トラップ発動!反発力!モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスターと攻撃対象モンスターの攻撃力の差分のダメージを相手に与える!」
「そ、そんな!2体の攻撃力の差は……5600!」
「行け!サイレントソードマン!流星を切りさけ!」
ソードマンがシューティングスタードラゴンめがけて走り出す。その刀身は再び巨大化し、熱を帯び真っ赤にそまる。
「沈黙の大剣!」
振り下ろされた剣がシューティングスタードラゴンを切り裂き、大きな爆発が起きる。その爆風でバスケコート内は煙に包まれる。
煙が晴れた時、俺の視界に移ったのは地面に膝をつくタケルの姿だった。
タケルLP3700→0
デュエルディスクをたたみ、俺はタケルのもとへと歩み寄り手を差し伸べる。
タケルはその手をつかみ、ゆっくりと立ち上がった。
「……楽しいデュエルだったよ、ハルカ」
「ああ、俺もだ」
時計を見ると時刻は13時を示している。デュエルに要した時間は約1時間。それでも、このたった一時間は俺の心を躍らせた。それはきっと、真月タケルというデュエリストが本当にデュエルを愛し、そして強いからなんだろう。
「二人ともお疲れ様!いやあ、凄いデュエルだったね!」
気づけばベンチで観戦していた竹田もすぐそこにいた。
「いいデータはとれたか?」
「もちろん。ソリッドヴィジョンもしっかり投影されたし、実験は大成功さ!」
竹田はもうウッキウキらしいので、俺はタケルの方へ再び視線を向ける。
「1ターン目にクェーサーが出てきたときには正直ビビった」
「僕もあそこまで完璧に回せるとは思ってなかったよ。でも、それ以上に驚いたこともあったよ」
「驚いたこと?」
「僕が竹田さんから借りたデッキは本当に完璧にできていて、クェーサーみたいな強力な切り札がたくさん入ってた。それに対しハルカのデッキは一枚一枚のカードのパワーはそれほど高くないのに、それらが絶好のタイミングで君のもとに舞い込んでくる。それが君とデッキとの絆なんだろうね」
「かもな」
「また、君とデュエルしたいな」
「今日は流石に疲れたが、いつでも受けて立つ」
俺は再びタケルに手を差し伸べる。タケルはにっこりと笑った後、その手を握り返す。