幼い頃、約束をしました。
大人になったら結婚する、という約束を。
お父様が避暑に行く、と仰られたのでそれに付いて行った先でのことでした。
そこで知り合った方は、この私がクーラポルン王国の姫、エリオット・クーラポルンだと言うことを知らなかったのです。
しかし、それ故に私と仲良くしていただきました。
その方の名前は今でも覚えております。
クロウ・フェザリーノ、幼いながらも凛々しい方でした。
クロウ様は十二年経っても、私のことを覚えていてくださいました。
無論、私とて覚えておりました。
クロウ様はその命を投げ打って、お父様とお母様、そして私を助けてくれました。
私たち王家は、そのとき遺された大鎌を国宝として、未来永劫守っていこうと思っております。
その後、私は結婚をしませんでした。
しかし、十五年経ったときに、ある殿方が城を訪れました。
その方の名は、クロノ・フェザリーノ。
クロウ様の御子息でした。
容姿も、性格も。
その全てが、私がかつて愛した殿方と似ていました。
私はクロノ様に求婚いたしました。
そして、クロノ様はそれを受けてくださいました。
私はクロノ様とクロウ様の子孫をこの身に授かりました。
婚礼の儀の際、クロノ様の母君とお会いいたしました。
当初は、王女と言えど自分と同じ歳の人と結婚、というものに反対していたそうですが、何とか許可をいただけました。
クロウ様がお選びになられた女性だ、と。
私より相応しい方だ、と。
そう思いました。
また、婚礼の儀に来ていたのはニーナ様だけではなく、クロノ様の双子の弟君であるクロハ様と奥様のフラウ様もおりました。
たくさんの方に祝福され、とても幸せでした。
きっと、この話を後世に残すとしたのなら、クロウ様の話もどこかで語られるのでしょう。
私はもう、長く人生を楽しみました。
そろそろ、眠りにつきたいと思います。
クロウ様、来世では、貴方と・・・・・・。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「これは実際にエリオット王妃が遺した手記を元に、御伽噺とした物です」
「とても・・・、悲しいお話ですね・・・・・・」
「えぇ、御伽噺という物は本来そういう物なのです」
「つまり、
「言い方は悪いですが、そういうことになります。
実際に、山間部にある農村では16歳になるとクロウ・フェザリーノ譚を聞かされるらしいですし、その農村にはフェザリーノの名を持つ一族が住んでいるらしいです」
私はクーラポルン王国、第三王女のエリアス・クーラポルン。
今日で16歳になり、追々婚約者も決まっていく事になります。
ですが、それが私の運命ならば従うしかありません。
一つ、とても気になることがあります。
「それはつまり、私と少なからず血の繋がっている親戚ということですか?」
「はい、一応は。ですが、王家の血を濃く受け継いできているエリアス様とは深く関係はありません」
それでも、血は繋がっている。
これもまた、運命でしょうか。
「エリアス様、迎えの馬車が到着いたしました」
「御苦労様です」
それより、まずは城に戻り御姉様方へ糾弾せねばならぬ事があるので気にはしないでおきます。
どうせ、明日になればこのもやもやするものは解消されるでしょうし。
「明日はシールバルズ王国の第二王子、カヤック・シールバルズ様が───────────────」
「生理的に受け付けない、と伝えておいてください」
「は、はい。承知致しました」
明日は学院へ行き、あの男に聞かなければならないことがあります。
クロス・フェザリーノ、フェザリーノの名を持つ、あの忌々しい男に問いたださねば・・・・・・!