少々変わり者の副隊長   作:魔剣グラム

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嵐を耐えるのならば準備が必要

「…『旅禍(りょか)』が来たそうです」

虎徹ちゃんの報告を仕事をしながら聞く。

「旅禍?だいぶ久しぶりだね?どこの門から入って来ようとしたの?」

「…市丸隊長の報告だと、西からだそうです」

西か。それなら。

「…白道(はくとう)門だね。門番は…次男坊?」

「兕(ジダン)坊です」

ニアピンだな。それにしても、なぜにそこから。

確かあそこって…?

「…門番変わって以来、破られてないトコだよね?なぜにそこから」

「それでも負けて、入られそうになったそうですね。それで市丸隊長が追い返したそうです」

へぇ。

…ん?負けて入られそうになった(・・・・・・・・・・・・)

「へぇ。かなりデカい奴がいたんだね。精霊門開けられるくらいの」

精霊挺の外壁は霊圧を全く通さない殺気石でできている。

精霊挺に危機が迫ると自動で降りて来るのだ。

「いいえ。兕丹坊が自分で開けたそうです」

…は?なんで?

「門番負けたんでしょ?負けたら門なんて開けられないよ?」

死んでるんだから。

 

俺の言葉に、虎徹ちゃんは息を呑んだ。

「…市丸隊長と全く同じ事言うんですね…」

いやいや。

 

「門番は門を護るのがお仕事。負けるってのは護れなかったと言う事」

命を掛けて、門を護らないと。それはダメだよね。門番失格だよ…。

「今回は市丸隊長が正しい」

「…門番の腕、切り落としてでもですか?」

「…は?まだ腕ついてたの(・・・・・・・・)?負けたと言っても?」 

「武器破壊をされたみたいですね」

「…え?武器壊されただけで、負けたと言ったの?」

全く全く。ぬるすぎるよ。

「…虎徹ちゃん。『弁慶の大往生』って知ってる?」

「…いえ。知らないです」

 

そうか。知らないか。俺は直接聞いたから知ってるんだけどさ。本人からね。

 

「『弁慶の大往生』ってのはね。武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)ってヤツが主君を命を懸けて護ろうとした話なんだよ。…その時、弁慶は主君のいる扉の前で、鬼の形相(ぎょうそう)をして武器を掲げたまま、今にも襲いかかって来そうな状態で、そんな状態でね、…死んでたんだよ。門番の、『まさしくこうあるべき姿』ってヤツだよね」

 

ホントは怖くて怖くて逃げ出しそうだった。必死なだけだったんだって。

必死の顔が元々強面(こわもて)のせいで、鬼の形相(ぎょうそう)に見えただけなんだって。笑っちゃうよね。

でも、最後の最期まで主君を俺は命懸けで護ったんだって自慢気に話していたよ。

……あんな事は二度としたくないって言ってたけど。

 

「…そんな忠誠心の高い門番はそういないと思います」

そうだね。その通りだ。でもね。

「…虎徹ちゃん。護挺の大原則を言ってご覧」

「『一死を以って大悪を(ちゅう)す』ですか?」

「そ。それこそが護挺の意義ね。この大原則は一般隊士なら誰だって知っている。…それを侵入者に最初に教えるべき門番が知らんとは。実に(たる)んでいるな」

ホントに数百年、ぬるま湯に浸かっていた影響が出てるな…。

後で本格的に鍛えなおさねば。

それに。

「…たぶん、まだ諦めていないよ」

俺の声に虎徹ちゃんは驚いたみたいだ。

「あんなに派手にふっとばされたのにですか?」

「バカはね。ときたま、予想だにしない行動をとる事がある。来ないなら、まだいい。ほんとに来た時のために準備を整えておいて」

 

しかし、虎徹ちゃんは疑問があるらしい。

 

「…しかし、どうやって?」

コレがダメなら後1つしかないだろうに。

…しかし、コレはド派手なんだが。侵入って、普通コソコソ入るモンだと思うけど。

 

「…花鶴大砲(かかくたいほう)だ。それ以外にないと思う」

 

…最悪の自体に備えて、準備はしておく必要がある。ないならないでいい。だが、だからこそ「もし」の時に使うモノがあった方がいい。

 

「…傷薬や包帯の用意はしといて。近い内には間違いなく攻めて来るから」

「わかりました」

「…そんで。聞くの忘れてたけど、旅禍の特徴は?」

「明るいオレンジの頭髪だそうです」

 

…アイツか!あんなに弱かったのにな。

 

「…間違いなく攻めて来るよ。阿散井副隊長の幼馴染(おさななじみ)の処刑までには」

「…やっぱりですか」

 

こちらも準備を進めておかねば。『男子三日会わざりければ刮目(かつもく)してみよ』って言うし。初めて会った日から三日(それ)以上は確実に経ってるからね。目ン玉飛び出るほど強くなってるかもしれない。

 

「…めんどう事って重なるんだよね…」

手元の資料の題目は『藍染隊長の斬魄刀お披露目日程』と記されていた。

 

「…行く気ないのに」

「それでも毎回来るんですよね」

不参加にマルをつけ、理由の欄は『仕事と指導が忙しいため』と書いておく。

いつものノルマをこなし、今日はゆっくりと過ぎていく。

「お昼のコーヒーです」

「…ありがとう。最近はこれだけが楽しみでね」

自家焙煎した豆を挽いたヤツ。

豆を拾う(・・・・)※という手間をかけている事を俺は知っている。そのおかげで美味いコーヒーが飲めるという事も。

さぁコーヒー飲んだら仕事仕事。

まずは、傷薬や包帯の買い出しの書類からだな。

 

…経費で落ちるかなぁ?一応、旅禍退治に必要なモノだけど、まだ旅禍が攻めて来るかわかんないしな…。

 

ポケットマネーでも十分足りるけど(壺売った時のお金)、やっぱり経費で落ちた方が楽。

「隊長に経費で落ちるか聞いて来てくれない?」

「わかりました。ちょうど良かったです。ちょっと隊長に用があったので」

いつもの約束を熟した後。

「今日は忙しいな。今日の稽古はできないかも」

稽古の中止を決めて、ゆったりと過ごす事にした。

 

…稽古の2時間前に仕事が終わり、虎徹ちゃんの個人授業の時間が長くとられたのはナイショ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

彼にとって私はどういった存在なのか。

(少なくとも嫌われてはいない。といいな)

私の1つ席が上の上司。この隊の副官。護挺の先輩。

信じられないぐらい強いけど、稽古にはどこまでも純粋に打ち込む上司。

…いつも全裸なのと、性欲に正直なのが玉に瑕。

でも仕事はマジメでファンクラブができるほど。

…私も会員なんだけど。

上司として、こうあるべきという姿を見事に見せてくれている。

…全裸は違うけど。

でも性欲に正直なのは隠している。

たまにすごく冷たい事も言うけど、それは仕事のため。

できない部下を甘やかすのではなく、ちゃんと叱るという事もする。 

私達の副隊長から理想の上司を学びたいという人も多い。隊長達もときたまうちに来る。私達の副隊長の姿をみて、(全裸以外を)自分の隊にも取り込もうと頑張っている。

私は四番隊に来た瞬間、…終わった…と思った。

 

ここが左遷先になる事が多いから。

 

 でも、ここで理想の上司に出会う事ができたのが幸せだ。

 

最強最古の副隊長こそが理想の上司。

「…でも、私は戦闘でお役にはたてない」

たぶん天副隊長の戦闘で手助けができるのは、副隊長では雀部(ささきべ)副隊長だけだろう。それも卍解して、ようやくってところで。

 

でも。私は少しでもお役に立ちたい一心で頑張っている。

毎度、毎度。個人授業は何かを掴みたくて、副隊長に少しでも近づきたくて、私から言い始めたし。それに付き合ってくれている天副隊長は本当にありがたい。

 

……私の恋心も理由の一部としては、あるのは内緒ね。

 

もっと厳しくてもいいけど、適度に力を抜くのが一番良く自分の力を発揮できるんだって。

『8割の力で挑むのが最良の仕事のコツ』らしい。

「『なんとか経費で落ちる用に、総隊長に掛け合ってみます』って伝えないと」

隊長に掛け合ってみたら、すんなり上手くいった。

やっぱり隊長も副隊長の事はある程度、信頼しているみたいだ。仕事には手を抜かない人だと。

 

(うらや)ましい。

 

私には隊長はそこまでの信頼を寄せてくれてはいない。

 

そこは悔しい。

…長い、永い付き合いで形成された絆の証のようで。

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虎徹ちゃんの指導が終わった後。

準備も万端に整えた。血止めも包帯も十分揃っている。

そんな中で。

俺はのんびり日本酒を呑む。

つい最近までバタバタと動き回っていたせいで、こんな時間は中々とれなかった。

その時間を取り返すかのように。

どこまでもゆっくりと。 

 

この日本酒は辛口だ。

辛口の酒が大好きな俺としては、この日本酒は好きな味わいだ。

 

やっぱり嗜好品ってのは、愉しんでこそだよね。

一気飲みよりは、酒をゆっくりと一人で嗜み愉しむこの時間が、俺は嫌いではない。

 

…酒よりもコーヒーにつぎ込む金の方が多いが。

 

……さて。旅禍の小僧はどのくらい強くなってるか。

この短期間で卍解を覚えるのはムリだ。特殊な方法を使わないといけないし、そもそも表に出てきている力で斬魄刀を屈服せねばならない。

そこまでの力を表層に出す事はできるか。

……いくらなんでも不可能であろう。

始解の覚えたてくらいか?

……いや。最大限に見積もっても、副隊長には及ぶか及ばないかくらいであろう。

単純にいつもは、席官くらいのモンではないか。

 

(俺にはたぶん及ばない)

 

慢心は良くない。

が、相手を怖がりすぎるのも良くない。

憧れも恐怖も、そして見下しも刃を曇らせる。

 

 なぜなら、憧れも恐怖もそして見下しも『実力を見通す目』に色眼鏡がかかってしまうからだ。相手や自分を過度や過小に実力を見積もってしまいがちである。

 

大事なのは「理解」。相手と自分の理解。

 

理解こそが刃を最も鋭く研ぎ澄ます。

 

適度に怖がり、適度に見下さず、適度な力で勝つ。

 

それこそが俺の最も為すべき事なのだ。

そのためには情報を掻き集めねば。

情報こそが最も理解を進めるものであり、理解を深めるものでもある。

 

ゆっくりと一人で酒を嗜む一日。

……まさか昼間っから侵入しようとはしないだろう。

夜にコソコソ入って来るハズだ。ド派手な侵入経路なだけに、せめて夜から。夜闇に紛れて。

 

そんな。

 侵入者が入って来る、前日の夜はゆっくりと過ぎていった。

明日からの激動の対比の様に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お酒の好みは私と主人公は一緒にしておきました。
日本酒。美味しいですよね…。
辛口の日本酒とか最高。


…ジ丹坊のジが変換できませんでした。
できればでいいのですが、誤字報告でくださると嬉しいです…。
※豆を拾うと、味が深く、かなり薫りもたちます。
よく行くコーヒー屋が豆を拾っているので、参考にしてみました!
……スマホで打っていると、変換語数が少ないので…。
申しわけないです…。



……そういえば、ほとんど鬼道出てきてないな。タグついてるのに。


……。そこまで進めよ。速く。

どこまでやって欲しい?

  • ソウル・ソサエティ篇まで
  • 破面まで(テキトーに途中で切る)
  • 破面(最後まで)まで
  • 完現術(フルブリング)まで
  • 最後まで(滅却師篇)まで
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