少々変わり者の副隊長   作:魔剣グラム

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頑張った。超頑張った。
前回の話の雛森とかそんなに書きたくなかったけど、コレが書きたくてここまでやってきたんだ……!



剣なんて所詮は傷つけるモノ

藍染隊長を殺した下手人はともかく。

俺はゆったりと振り返る。

 

「……市丸隊長。のんびりしてていいんですか?」

まだいた市丸隊長とイヅルに言う。

「俺はイヅルを捕まえねばなりません。護りますか?」

牢を脱獄したヒトは再び捕まえねばならない。

「ええよ。勝手にしたらええやん」

「…イヅル。牢に行くぞ」

消沈していたイヅルに言う。

「……はい」

これぐらい素直ならば他の副隊長もいいんだけどな。

色々破天荒なヤツ多いからな…。

太っちょ隠密機動、イノシシ暴走女、変なマユゲ、ヤクザ、メガネツンデレ委員長、サボり魔、ガキ、開発者が眠っているヤツだったかな。

 

マトモなのは、1、3、4、9ぐらいじゃねえか。

 

やっぱやべぇな。護挺って。

「……自分の事は棚上げするのが得意なんですか?」

虎徹ちゃんの声。

なんの事だ?自分の事?

 

 

……サッパリわからん。

「……首をひねる事なんだ……」

さ。さっさと帰って寝るぞ。

明日も早い。

早起きしなければ。仕事が山積みだ。

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日が出てすぐに。

 

俺は走っていた。

もう少しだ。もう少しで。

(お前を助け出してやれる…!)

懴罪宮の手前。

俺が一護を撃退した所で。

 

……カツ…カツ…。

……カツ…カツ…。

 

足音が聞こえる。

階段を降りてきたらしい。

 

……この霊圧は。

 

 

「……天邪鬼副隊長!!!」

 

「よう!こんな所で会うなんて奇遇だな!……で、どこにいこうとしていたんだ?」

俺の最も尊敬する副隊長が服を着て待っていた。

 

 

 

「……俺はルキアを助けに行きます」

「……君の幼馴染だね。罪人の。俺は立場的にこう言わねばならんな。ダメだ」

「行きます!!!

……どうあっても、通してはもらえませんか?」

「……通してやろう」

ホントかよ!言ってみるモンだな!

「ただし!条件が1つある。それを呑めるかな?」

「助けに行けるならばなんでも呑みます!!!」

「よし。わかった」

 

そこで一呼吸。

 

「斬魄刀をこちらによこせ」

 

は?

 

「キミの斬魄刀。確か『蛇尾丸』だったね。それをよこせ。…そうだな。君の幼馴染の処刑が終わるまで。そうしたら通してやるよ。

……あまりにも簡単な条件だろう?」

 

確かにここで蛇尾丸を渡す事は簡単だ。これで通れるなら。

でも、他に隊長格がいたら?この人以外の隊長格がいたら、『蛇尾丸』なしの俺では身を護る事すら不可能だろう。

 

「……申しわけありません。それはできません。でも、他の事ならばなんなりと。なんなりとしてみせます!!!」

頭を下げる。これで許してくれ…!

目の前の男は嘆息すると。

「……コレが最大級の譲歩だったのだが。ならばダメだ。隊舎に帰るといい。俺はそうする限りは手は……」

刀を抜いた。目の前の副隊長に刃を向ける。

「……服を着た俺に刃を向ける意味をわかっているのか?」

……知るか!!!

「服を着た俺は護挺の代表として立っている。『決闘』等、合意の取れた闘いでない限り。服を着た俺に刃を向ける行為は総隊長以下全隊使に、刃を向けると等しいと知れ」

それでも剣を構えるかね?

 

その質問の答えは決まっている。

 

「あたりめーだろ」

 

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目の前の男は嘆息を一つ。そして。

 

(……くる!!!)

 

キンッと高い金属音。

後ろを振り返り、俺は刀を受け止めていた。弾き、距離をとる。

 

狂桜(くるいざくら)。回転を掛けた特殊な瞬歩で相手の背後を取り、鎖結もしくは魄睡を破壊する。その時、血桜がまるで狂い咲く様に見える事からつけた名だ。あんたの得意技って朽木隊長が言ってたぜ。

…頭では、理屈ではあんたの動きを掴んでいた。ようやく身体がついて来れる様になったらしい」

瞠目しているのをみて、俺は思わず笑ってしまう。

「何をそんなに驚いているんだ?言ってるだけだぜ?」

あんたの剣は見えてるってな。

 

俺がそう言うと。

「なるほど。ちったあ腕を上げたんだな。でもな。俺に勝つのはムリだと思うぞ。あと少なくても千年はな。だからさっさと諦めて……」

諦められるか!

「……絶対に諦めねぇ。今回は譲れねぇ。俺は今日、あんたを超える!!!」

刀の名を呼ばずに斬魄刀を解放する。

それをみて、目の前の男は驚いた様だった。

「……阿散井副隊長。いつの間に、そんな力を」

「わかんねえさ。あんたみてぇに足元をみない連中には永遠にな」

それを聞いて、溜息をつく男。刀を収めてしまう。

「……闘う気をなくしたのかよ!?」

俺が煽ると。

「……まさか。お前ごときは素手で十分だ。この戦いの最中に俺にもう一度刀を抜かせることはできないだろうからな。(あらかじ)め収めておいてもそう変わらんだろ?」

……()かせ!!!

「卍解!!!」

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「卍解!!!狒々王蛇尾丸(ひひおうざびまる)!!!」

俺が刀を卍解すると。向こうからは……ほうと言う声が聞こえた。

「それがお前の卍解か。実に見事」

俺が腕を振り落とすと、蛇の頭がこの場のもう一人の副隊長目掛け走り出す。

その副隊長は。

腰を落とし、足を前後に開いた。

まるで相撲とりがドッシリと腰を据えて構える様に。

 

その男に正面から直撃する蛇の頭。

 

その男は地面をガリガリ抉りながら、数十メートル後退した。

 

 

 

その男は。狒々王蛇尾丸の牙をしかと掴み。

受け止めていた。狒々王蛇尾丸を。

 

…は?

 

「でぇりゃああああああああああああ!!!」

勢いよく上にブン投げられて、思わず我に帰る。

……後ろを振り返ると、多大なる被害をもたらしている様子が視界に飛び込んできた。

 

ほんとに同じ死神かよ……。

 

「凄いな!阿散井くん!!!」

 

なにかと思えば手のひらをみせてくる。

ズタズタになったてのひらを。

 

「こんなに傷を負ったのは久しぶりだよ!!!」

……ちょっと待て。アイツは俺の狒々王蛇尾丸を素手で受け止めたよな?

てことは(・・・・)俺の狒々王蛇尾丸を素手で受け止めて(・・・・・・・・・・・・・・・・・)てのひらがズタズタになる程度で済んだ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)のか(・・)

 

実感する。この男が千年前から副隊長を勤めているのが、伊達(だて)酔狂(すいきょう)でない事を。

 

しかし、こっちは卍解してんだ!!!

絶対に諦めねぇ!!!

 

 

また突進させる俺の剣。

まだ卍解できる様になって間もない。

単純な動きしかできないからだ。

しかし、シンプルな動きこそどこまでも強くなれる事を、俺は経験として知っている。

 

なぜなら俺は直接攻撃系の斬魄刀である、『蛇尾丸』の持ち主だからだ。

 

執拗に蛇の頭骨が追う。四の数字を腕に巻く者を。

 

……追いついた!!!

噛みつく攻撃をあっさり避けて。

蛇の目の辺りを殴り飛ばされた。

 

蛇の頭骨がそれて、そのスキに。

刃節(じんせつ)1つ1つに拳が放り込まれる。

 

そのたび、刃節が弾け飛び、バラバラにまるでだるま落としの様に吹き飛んでいく。

 

どんどん長さが縮み、やがて手元のわずかな節を残し、全ての節が外れた。絶体絶命だ!!!

 

……て思うじゃん?

 

 

一瞬で刃節を繋ぎ直した俺を見て、目の前の、珍しく服を着ている男は驚いた様だった。珍しく瞠目しているのをみて、思わず笑ってしまう。

 

狒々王蛇尾丸(コイツ)の刃節は俺の霊圧で繋いでいるんだ。拳じゃ殴り飛ばせねぇ。

……何を驚いているんだ?言ってるだけだぜ?」

あんたの動きは見えてるってな

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「凄いな!阿散井君は!」

俺は笑う。

楽しくて、愉しくて。

久々過ぎるな。戦っている時の高揚感は!

神経が研ぎ澄まされ、命尽きるまで全力で闘うというこの感覚。

 

大好きだ!

 

のんびり歩きながら、阿散井君のもとヘ向かう。

手ぶらで。

大蛇の牙のもとへ。

 

その瞬間、足元が猛烈にヒビが入る。

 

バキバキと音を立てて勢いよく出てきたのは、

「刃節!!!」

慌てて後ろに跳ぶと、その瞬間。

真上から大蛇が襲いかかってきた。

 

「……ヤバ!」

 

慌てて刀を抜き、受けとめる。

膝が折れたが、なんとか受け止めきる事ができた。

弾き返し、その驚き顔を見てやろうと顔をあげると、そこには予想を外したニヤケ顔が。

抜いたな(・・・・)()

驚愕する。俺に刀を抜かせるなんて。

やっぱ、お前の成長速度はめちゃくちゃだな。

 

強えよ。やっぱ。

「幕を引こうぜ。俺とあんたとの戦いに」

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「幕を引くか」

そういった最古の副隊長は笑う。

「そうだな。そうするか。ならその幕は俺の剣で引くとしよう」

「さっき言った事をもう忘れたのかよ!あんたの動きは見えてんだ!!!幕を引くのは、俺の剣だ!!!」

その大蛇の頭骨を受け止めたあと、横に流す。最古の副隊長。

地面に激突し、激しく煙を立てる。

土煙を目隠しに、瞬歩で近付いてきた。

「甘え!!!」

だが今度はいくつも瞬歩で近づく分身を見せる。

近く、遠く。

右に、左に。

上に、下に。

 

いくつも分身しようが関係ねぇ!!!全部ぶん殴ればいいだけの……。 

 

グラッと。蛇の頭骨がズレる。その次に砕ける音。

操作が(つたな)く、自分の剣を自分でも未だに完璧に把握しきれてはいない。

 

自分の剣を自分で砕いてしまうという最悪の悪手をやっちまった。

(……操りそこねたか!!!)

 

「甘いのはお前だっつうの。卍解ってな、そう簡単に扱えるモンじゃあない。卍解を修得してから、数十年の鍛錬か、十数回の価値ある実戦が必要なんだよ。どちらにせよ、経験がたりなさすぎる。それがお前と、お前の卍解の欠点だ」

上から目線の通告。

そんなのはな!!!そんな事は!!!

「だからどうした?こっちはそんな事を承知の上で来てんだよ。生憎こちらの斬魄刀はにぶくて(・・・・)な。刃節1つ砕けたくらいじゃ何も変わりはしねぇんだよ!!!」

目の前の男は嘆息を1つ。

「はぁ……。素直に剣を引けばいいのに。お前、まさか忘れているわけじゃあないでしょ?」

俺はまだ始解すらしていないという事を。

 

その言葉に俺は驚愕する。確かに、この男が始解できないハズはない!!!

 

にぶい、か。

目の前の男がそう呟く。

「じゃあ、俺がホンモノ(・・・・)ってヤツを魅せてやるよ」

 

鈍光(どんこう)を灯せ。『万鈍(よろずなまくら)

 

霊圧が爆発した。

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「な…!」

初めてみる。

天邪鬼副隊長の始解を。

その形は。

「……あんまり変わってなくねぇか?」

斬魄刀の解放していない『浅打』とそう変わってない様にみえた。

四という数字を腕に巻いた男が絶叫する。

「変わっているだろう!!!まずは刃先が約一寸(約三センチ)も伸びて刃の幅も五分(約1.5センチ)も増えた。刃の厚さも2分(約6ミリ)も増えている!!!」

お……おう……。

「それにそれを言ってくれるな。俺の斬魄刀も気にしてんだ」

 

その小さな声に。なんか敵対しているのにかわいそうになってくる。

 

……大変だったんだな。

 

まぁ容赦はしねぇけど。

狒々王蛇尾丸を操り、攻撃を仕掛ける。  

 

目前の男にあっさり直撃した。これまでの労苦がウソの様に。

 

   

 

 

 




あっさりと。さっくりと。 
主人公の斬魄刀の能力がついに解禁ですね。
2部構成にしました。
まぁどんな能力かはオサッシの通りですね。 

……あまりオサレではないな。一番近い能力は京楽隊長…?
……全然違うけど。

主人公がオサレ能力じゃあないなんて……。

まぁいいか。
こんな作品が1つくらいあっても。

この男にもっと頑張って欲しいか。

  • ……頑張って欲しい。
  • 頑張らなくていいよ
  • 投稿時間は一定がいい
  • どうなっても完結してほしいぬ。
  • 打ち切り希望。
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