少々変わり者の副隊長   作:魔剣グラム

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ポウとの戦いの決着ですね。

IF話は、興味のある人のみ、読んでみてください。
後書きに書くか迷って、本文に書いてみました。


フラシオンとの決着

俺は目の前に立つ。

現世で言うならば300メートルは優に超えるバケモノの前に。

「……ハリボテエレジーだなぁ」

見た目は凄い。大きいし、重いし、急所には届きにくいし。

 

でも、デカくなるぶん必然的に、ノロくなるし、近くにいると攻撃が当たらなくなるし、動きも大きくなる。重力も、空気抵抗も。自然の全てがデカいヤツの敵になる。

 

蚊から人間への攻撃と、人間から蚊への攻撃。どっちの攻撃が当たりやすいかと言えば、蚊から人間への攻撃のほうが遥かに当たりやすいだろう。

 

『最高のパンチダ。喰らエ虫ケラ』

 

かなりゆっくり突き出される拳。それを。

 

人差し指で受け止める(・・・・・・・・・・)

 

否。受け止めようとした。拳は左人差し指を貫通して、拳にぶつかり、そして。

 

そこで止まった。

あまりにも強靭過ぎる人差し指が相手の拳を文字通り、刺し貫いてしまったのだ。

 

「……こんなのが最高の拳かよ。じゃあ、俺も普通の拳のお手本ってヤツを見せてやる」

左手の一部が相手の拳に埋まったまま。

右手を引き絞る。

 

一骨(いっこつ)

 

総隊長の『一骨』。それのモドキだ。

モドキだから、ホンモノ程の威力は出ない。せいぜい8割が関の山。

だが、8割ほどの威力でも、大抵の敵をねじ伏せる。

 

ドバァンッという、ものすごくけたたましい音。

 

相手のケツが地面に激突し、凄まじい砂が吹き上がる。

(文字通りの土砂降りだなぁ)

 

相手の拳が片方、ひしゃげている。

 

俺がやったとはいえ、いま時期の破面(アランカル)は弱い。まさか霊印がないだけでこんなにも楽になるとはね。

 

「もういっちょ!」

 

相手の顔の真ん前に出て。拳を顔面にめり込ませる。

 

込めた力が想像すらもできない程、巨大で凶悪で凶大な力の暴虐。

 

その結果が、尻もちをついた巨大な破面の後頭部を地面に叩きつけるのに余りあるほど莫大過ぎる力だ。

 

また土砂降り(文字通り)が降る。

 

「どうだ?虫棲(むしけら)の拳の味は?美味いか?不味いか?お前には少々食べごたえがありすぎるんじゃあないか?いかんせん、骨を感じると思うぞ?」

 

上から語りかけると、返答は緑の閃光。

 

……ノロいな。弱いな。軟いな。

 

マトモに喰らう。……避けるのが、面倒だ。

服を消しとばしたが、本体は無傷。

 

剣帯と帯だけが服としては残る。コレがないと、斬魄刀が落ちちゃうから、コレだけは特別製だ。

 

……フンドシ?漏れなく消し飛ばされましたが、なにか?

 

『フハハ。服を消し飛ばシテやった。次はお前だ!虫ケ……』

 

拳がドテッ腹に突き刺さる。

今度は左胸。

次は首。

 

殺意と暴力。それを、それだけを思う存分、食べさせてあげよう。お歳暮代わりに。要らないって?

 

遠慮は要らないって。

 

ほら。拳。今度は純度の高い殺意と拳を贈ったよ。

 

美味しい?そっかー死ぬほど美味しいか。良かった良かった。

 

 

「さっさと死ね」

 

人を虫ケラ呼ばわりするようなヤツには当然の末路だよね?

 

 

ちっこいヤツに、こんなにもボコボコにされるのは、始めての経験だろう。

私、始めてを貰っちゃった!

 

向こうがふらふらになりながらも立ち上がった。

 

……根性見せるねえ。

でも、根性だけなら、意味など存在しない。

 

……さてと。そろそろ終わらせるかぁ。

 

 

俺の剣技。13個ある必殺剣のうち、最も殺意の高い技を喰わせてやろう。

 

万鈍(よろずなまくら)四つ目・死会(しあ)わせ」

 

剣を一振り。ただそれだけ。

 

「ギャハハ!今の空振りは……」

 

そう。俺はただ首の高さで剣を空振りしただけ。

 

向こうからしたら爪楊枝のような剣だ。

 

だが。

 

影が動き出す。身体にどんどん近づいて行く。

 

最後、ドォォォォンと地面が揺れて、身体が影と繋がった。

 

離れた頭が一瞬遅れて地面で弾んた。  

 

 

「俺の必殺剣。四つ目。死会わせ。距離に鈍くなり、頸と躰を別かつ剣技だ」

 

「お前の生き方は正しい生き方だったかもしれない。だが、その生き方は、

 

『幸せ』

 

だったかい?」

 

 

その呼びかけは、すでに永久にかえって来ることはない。

 

 

 

 

 

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IF話

 

「名はなんだ?死神?」

「天邪鬼。4番隊副隊長」

「副隊長?ならば、『副隊長相当の力で闘う』としよう」

剣を構え、突っ込んでくる。

それをマトモに受け止める。鍔迫り合いに持ち込み、吹き飛ばした。

 

更に瞬歩で背後に回り込み、蹴り飛ばす。

 

「まさか、コレが副隊長という事ではあるまい?今の力はかなり甘く見積もっても、五席ってとこだ」

正解(エサクタ)!」

は?

「今の俺の力は護挺13隊の五席クラスだ。正確な見立てで嬉しいよ」

……かなり甘く見積もってもって言うのは聞き流したのかい。

「そして、コレが!」

仮面に剣を突き立てた。まるで頭を割るように。

……すげぇ。よく髪斬らないな。

「四席!」

剣の勢いが強くなった!

……気がする。霊圧がちょびっと上がったから強くなったんだろう。

筆の重さに例えたら、さっきのが、フツーの筆の重さで、今のが、墨を含ませた筆の重さって感じ。

 

今度は仮面の横を削る。

……よく髪と耳を斬らないなぁ。

 

「三席!」

また霊圧が上がった!

……のかな。たぶん、きっと、おそらく。

墨をたっぷり含ませた筆の重さに変わった感じ。

 

「そして、コレが、」

副隊長、だ!

 

……すげぇ。約7割の仮面が一気に砕かれた。

……どうやって砕いたんだ?

 

「コレが副隊長の霊圧!」

ちっぽけだなぁ。

「コレが副隊長のパワー!」

五席が筆の重さなら、副隊長は筆2本分の重さって感じ。

やったね!剣の重さが倍増したよ! 

「コレが副隊長の剣だ!」

……。軽すぎね?

「アハハ!アハハハハ!アーハッハッハ!!!」

敵は笑う。笑いながら、剣を上に。下に。右に。左に操る。

……遅すぎて、辛い。合わせるのが、つい、3呼吸ほど、速くなっちゃう。頑張って遅くせねば……! 

……あ。速く剣を操りすぎて。

このままだと、相手の剣をマトモに喰らってしまう!マズい!

相手の剣の直撃前に慌てて逃げる。残像だけ置いて。

「……フゥー。危ねえ」

気持ちよく剣を振るってもらってるのに、剣がこっちの身体直撃したら、向こうに傷がついちゃうよ。霊圧の関係上、しょうがない事とはいえ。

 

「人生とは困難な選択の連続だ。少しでも正解を選択した者が生き残る!」

 

「……なんだと?」

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目の前の男の雰囲気が変わる。

先ほどまでの、フザケた、決して本気ではなかった霊圧から、一気に重厚な霊圧ヘ。息が詰まるような。

「『人生は困難な選択の連続と。少しでも正解を選択した者が生き残る』と、お前は言ったな?」

くだらん、と。目の前の男は吐き捨てた。

「俺はな、『人生には転換点となる、大事な選択肢がいくつかある。いくら失敗してもいい。だが、大事な選択肢だけは、決して間違ってはいけない』っていうのが俺の信条なんだ」

畢竟、俺にあたった時点でお前の選択は間違った。

 

その言葉に。

俺は怒りを覚える。

「じゃあお前を殺して、俺の選択が正しいと証明してやろう!」

水面に刻め。蟹刀流断(ピンザクーダ)

刀剣解放(レスレクシオン)ってヤツか」

霊圧が爆発的に上昇する。

「それだけではないぞ!」

仮面を剥ぐ。

左手で。

「9割の仮面を剥ぎ取った俺の霊圧は隊長格のそれと同等!副隊長である君に、勝ち目はない!!!俺を怒らせた事が、君としては不正解(ノス・エス・エサクト)だったということだ!!!」

 

右のハサミをガバッと開く。そこから、水流を高圧で吐き出す。

手の奥、肘の所で、絞るイメージだ。

 

「……へぇ。水を高速高圧で吐き出しているのか」

目を反らす男に。

正解(エサクタ)。だが、そうやって敵から目を外すのは良くない。不正解(ノス・エス・エサクト)

襲いかかる。背後から。

「……何を言ってるんだ?お前。コレは『油断』じゃあねぇぞ。『余裕』だ」

爪が副隊長の背中に直撃した。

血がほとばしった。

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やっぱりだったかぁ。

「どういう事だ!!!」

え。また同じ説明するの?読者飽きちゃうよ?

「……霊圧同士がぶつかれば、押し負けた方がケガをする。つまりは君が最大限に高めた霊圧で俺にぶつかっても、俺が無意識に垂れ流している霊圧のほうが強い」

その言葉に、

「お前!!!隊長格の俺の霊圧に、副隊長のお前の霊圧のほうが強いというのか!!!」

「俺は例外なんだよ。『少々変わり者』なんだ」

少々変わり者の(ちょっぴり強い)』副隊長って事だよ。

 

……さてと。そろそろ決めるかねぇ。

 

「『死骨(しこつ)』」

 

腹に、拳が沈み込む。

加減はした。が、それでも、相手は、口からは血を吐き、吹き飛ぶ。

 

「『お死舞(しまい)』」

 

今度は後頭部に足が吸い込まれる。

 

頭から地面に叩きつけられて、視界が歪んでいるだろう。

 

万鈍(よろずなまくら)四つ目。 

 

「『死会(しあ)わせ』」

 

「正解ばかり選んで生きるのは正しい生き方かもしれない。でもその生き方は、

幸せ

 

だったかい」

 

 

正解ばかりを選んで生きてきた漢は、一度の不正解を選んでしまったばかりに、この世から消えた。

 

たった一度の不正解を選んでしまったが故に。

 

………たった一度の幸せも知らずに………。

 

「正解に囚われた男よ。遠回りを知らぬ漢よ。できれば、俺を赦さないでくれ」

……お前の考え方はそれでなお、完成する。




というワケでフィンドールとの戦いも描いてみたかったんです。
元々、フィンドールとの戦いだったのですが、ポウとの戦いに変えました。
……ヒサギサンの出番を奪うのは、良くないと思って。

最終的に主人公ばどっちで闘って欲しいですか?

  • からくらちょう
  • うぇこむんど
  • そうる・そさいえてぃでたいき
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