少女前線 ~銃へと憑依した傭兵~(更新停止)   作:蒼月 アイン

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第6話投稿ですよ~(小声


第5話をかき終え、これで暫くは落ち着くだろうと思っていた・・・
が、そう思うのは主だけでした(10529文字)
いろいろと書きたいこと書いたりフラグ建築進めたり回収するかどうかも危うい伏線引いたりしてたらまた1万文字超えました・・・ちくせう


第5話をかき終えた反動でモチベが死んだり、構想が上手く練れなくて難産でしたがなんとか第6話投稿に漕ぎ着けました。


あ、とても私事ではありますがつい先日、ボイスロイドの紲星あかりのの音声ソフト買いました(小説関係ない)


第6話 S04地区とあいつと私たちの恋愛事情

 S04地区のグリフィン&クルーガー社の基地は普段以上の喧騒に包まれていた。

 鉄血の支配地域に隣接する地区の一つ後ろに存在し、後方基地としての役割を持つこの基地の仕事は多岐に渡る。

 前線基地への物資補給やその補給路の哨戒。

 緊急時等で前線基地の部隊だけじゃ間に合わない時の増援。

 市街地の治安維持並びに警備。

 敵地で孤立した友軍部隊への救援部隊の展開等だ。

 今回もその内の一つで敵地で孤立、救援要請を発した味方部隊の救援が任務だったのだが規模が違った。

 G&C社と技術提携先のI.O.P社で取り分け縁の深い16LABからの緊急依頼。

 対象は16LAB傘下にある特別製の戦術人形で編成された特殊部隊だと言う話だ。

 救援信号が発されたのは最近、鉄血の活動の活発化が確認されている地域だった。

 面倒な地域からの救援だと指揮官は内心、顔を曇らせたが断ることは出来ない。

 グリフィン本社からヘリアントス上級代行官を通して社長であるクルーガーさんからも「必ず成功させよ」という絶対命令に近い指示も出ていた。

 お陰で派遣する部隊は通常の倍の規模を動員することになった。

 通常だったらCAS担当の戦闘ヘリが1機、救援部隊兼回収用の輸送ヘリが1機と戦術人形一個小隊で済んだがそうは行かなかった。

 今回に限り、確実性を持つために戦闘ヘリ2機に輸送ヘリ2機が用意され、基地所属の中でも精鋭の戦術人形を二個小隊を動員することになった。

 動員したメンバーには非番や休暇を取っていた者もいて、文句を言われたが臨時手当を出す事で納得してもらうことになった。

 慌ただしく準備を進め、救援部隊が基地を発ったのは救援部隊が発せられてから2時間後。

 現地まではヘリでも1時間掛かる位置だったが後は到着まで彼女たちが無事である事を祈るのみだ。

 

 

 

 

 約1時間後、執務室で書類を片づけながら待っていると救援部隊から連絡があった。

 救援を要請した部隊が立てこもる廃棄された飛行場には多数の鉄血兵が殺到していたとのことだ。

 更に鉄血のハイエンドモデルであるエクスキューショナーの姿も確認されており、指揮官は思わず血の気が引く思いをした。

 だが運の良い事に救援を要請した部隊は全員無事で回収にも成功したという。

 回収した戦術人形たちはみな、消耗しており程度の差はあるとは言え負傷していて一人は左腕を骨折するという重症を負っているとの事だ。

 友軍部隊が全員、無事である事に指揮官は安堵の息を漏らし、すぐに医療班に緊急搬送の準備をする様にと指示を出した。

 そしてそれと同時に救援部隊から奇妙な報告を聞いた。

 

5()()()の見慣れない戦術人形がいる」

 

 という事だ。

 今回の救援のために、16LABから対象の戦術人形の人数と名前と顔写真が送られてきていた。

 だが実際に現地に行ってみればそこには対象の4人以外にもう1人、知らない戦術人形がおり彼女も回収したとの事だ。

 外見的特徴を聞いてみたが指揮官も聞き覚えがなく首を傾げることになった。

 16LABにも問い合わせてみたがあちらも知らないという事だ。

 不審に思ってると回収した部隊の隊長が彼女は野良の戦術人形であり、今回運良く合流出来たという報告が来た。

 基地に到着した後に正確なことを調査するという事に決まり、とりあえずは救援部隊が帰還するのを待つことになった。

 

 

 

 

 2時間後、救援部隊が基地に帰還したという報告が入った。

 出来れば自分自身が出向いて見知らぬ戦術人形を一目見てみたいと思うが書類仕事を投げ出す訳にもいかない。

 報告に来た秘書担当の戦術人形に彼女たちに執務室に出向く様に頼むのを指示すると同時にヘリアントス上級代行官と16LABの首席研究員であるペルシカリア女史にも連絡を入れる。

 ヘリアントス上級代行官とは最低限の報告だけで済んだのだがペルシカリア女史の方が手間取った。

 AR-15の容態はどうなのかから始まり、見知らぬ戦術人形の事についてあれやこれやと話し始める。

 更に専門用語でいろいろ話し始めたところで後で報告書出すのでそれを確認してくれと言って通信を切った。

 思わずため息をついた所で執務室のドアがノックされた、丁度件の彼女たちが到着したらしい。

 

「どうぞ」

「失礼します」

 

 そう言って入って来たのは2人の戦術人形たちだった。

 確か、資料によればM4A1とM4 SOPMODⅡだった筈だ。

 あと3人いる筈だが・・・一人は医療棟に搬送されたとして残りの二人はどうしたのだろうか?

 

「AR小隊隊長のM4A1です。今回、救援部隊を手配してくれたこと感謝します」

「S04地区の指揮官だ、礼には及ばない。これも仕事だからな、ところであと一人のメンバーと例の彼女は?」

「2人はAR-15・・・負傷した仲間の様子を見に医療棟に行っています、執務室の場所は教えてあるので時機に来ると思いますが・・・呼びますか?」

「そうか・・・いや、結構だ。M4A1、彼女たちが来るまでの間にこれまでの経緯について説明を頼む、グリフィン本社と16LABに報告書を上げなきゃならないからな」

「分かりました、それでは最初に私たちが墜落した経緯から説明させて頂きます」

「あぁ、よろしく頼む」

 

 

 

 

「―――・・・以上になります」

「これまでの経緯は了解した、ご苦労だったな」

「ありがとうございます」

 

 一通り、説明を終えたことで彼女も安心したのか小さくため息をついた。

 彼女の報告は記録されており、後程纏めた上でグリフィン本社のヘリアントス上級代行官と16LABへと送られることになる。

 録音ソフトの停止ボタンを押し、録音データを保存したところで彼女に個人的に質問してみた、例の彼女についてだ。

 M4A1はその問いに少々、悩んだ様子をした上で答えてくれた。

 

()()・・・ですね」

「異質・・・?」

「はい・・・グリフィン社に属する・・・いえ、鉄血含めあらゆる戦術人形を以てしても彼女に並び立つ者は少ないかと思います」

「それほどまでにかね?」

「はい、戦闘能力、作戦立案能力、即応力、どれを取っても彼女のそれは一級品というべき物です」

「・・・君たちAR小隊は16LABの特別製の戦術人形と聞いている。その君たちさえも凌ぐと?」

「はい、悔しくは思いますがそれは間違いありません」

「そうか・・・」

 

 悔しい、と答えたが彼女の表情はその言葉と裏腹に何処か誇らしげにしていた。

 普通だったら劣等感や善望を覚えるところだと思うのだが違うのだろうか?

 そう思っていると彼女は苦笑して見せた。

 どうやら、顔に思っていたことが出ていた様だ。

 

「お疑いでしたら後程、今回の一連の戦闘データを16LABにて収集されるでしょうからそれを確認してみてください」

「そうさせて貰おう」

 

 今聞いた事は先の音声データとは別に報告書として添付して本社と16LABに送ることにするか。

 そう思ったところで、ドアがノックされた。

 どうやら医療棟に出向いていた2人が到着したらしい。

 入室を許可すると2人の戦術人形が入って来た。

 先に入って来たのは三つ編みに右目に眼帯をした少女でその後に例の彼女の彼女が続いて入って来た。

 救援部隊からの連絡で特徴は聞いていたが実際に見てみると確かに見覚えも聞き覚えもない容姿をしている。

 白銀に輝く銀髪をポニーテールに纏め、灰色の瞳の切れ目と整った理知的な顔立ちは美人というに相応しく、その纏っている雰囲気も合わさってクールな印象を受ける。

 その均整の取れた体はその四肢を包むインナーとジャケット、ズボンの上から十二分に分かるほど立派であり、思わず自己主張の激しい一部に目がいってしまったがこれは致し方ない男の性であると思う。

 次に目についたのは彼女が右手に持ち、左手で銃身を支えているアサルトライフルだ。

 見た限り、M4A1をベースしたアサルトライフルだという印象を受ける。

 ・・・いや、どちらかと言うとM4 アサルトライフルをベースにしたHK416を元に設計にしたと言ったところだろうか?

 そう言えば、報告によれば彼女は今の服装の上から同じ色合いのコートを着けていたと聞いていたが今の彼女はコートを着けていない、何らかの理由で外しているのだろうか?

 まぁ、個人的に言わせて貰えば非常に眼福な物を見せて貰ったので文句はない。

 そんな事を思っているとM4A1たちと数度、言葉を交わしていた彼女がこちらへやって来て目の前に立った。

 その美貌に違わぬ、涼やかな声で彼女は自己紹介を始めた。

 

「M4から粗方の事は聞いていると思うが改めて自己紹介させて貰う。HK433だ、今回の救助の件、感謝する」

 

 HK433か、生憎実物を見たことはなかったが名前だけは知っていた。

 HK416とG36の特徴を組み合わせたアサルトライフルだった筈だ。

 

「・・・あぁ、無事で何よりだ・・・かなり激しい戦闘だったと聞く、どこか負傷したりしてないか?」

「いや、問題ない、かすり傷程度で済んでるので治療を必要とする程じゃない・・・まぁ、強いて言えば」

 

 そう言って彼女は目線を自分の右足へと向けた。

 釣られてその後を追えば彼女の右膝にはハンドガン用のホルスターが付けられており、本来そこに存在する筈のハンドガンは無く空白を作っていた。

 

「御覧の通り、エクスキューショナーとの戦闘中にサイドアームを落としてしまったので代わりになるハンドガンを頂ければ有難い」

「分かった、手配しよう。後程、要望を聞くのでその時に欲しい銃があれば言ってくれ」

「了解した、感謝する、指揮官」

 

 そう言って彼女は会釈して後ろに下がった。

 それを見届けた後に室内にいるAR小隊全員に向けて話す。

 M4A1が冷たい目で見てきていたのはきっと気のせいだろう。

 

「今回の任務、ご苦労だった。長期間の戦闘で皆、疲れていることだと思う、部屋と食事あとシャワーを用意させているのでゆっくりと休んで欲しい」

 

 その言葉にM4 SOPMODⅡが嬉しそうにはしゃいで見せた。

 M4A1やM16、HK433もM4 SOPMODⅡほどではないが嬉しそうにしている。

 

「今後の君たちに関する指示はまだ来ていないが、恐らくは休養を取った後に君たち全員16LABに送られ、そこでメンテナンスと修理を受けることになると思う」

 

 その言葉にAR小隊のメンバーが頷いてみせた。

 AR小隊のメンバーではないHK433は静かに聞いてるだけだ。

 

「それとHK433、君はIOP社の試作戦術人形だ。かなり詳しく調査されると思うのでそのつもりでいてくれ」

「了解した、覚悟しておこう」

「そうしてくれ・・・それでは、以上、解散!」

「「「「了解!」」」

 

 最後にそう締めくくると彼女たちは敬礼して答え、こちらも答礼して答えた。

 敬礼を解けば彼女たちも敬礼を解いて各々、喋りながら執務室を出て行った。

 それを見送った後、端末を立ち上げてグリフィン社と16LABに提出する報告書作りへを始めることとした。

 

 

 

 

 因みに後日談ではあるが、16LABより開示されたHK433の戦闘記録やAR小隊の戦闘映像を見た指揮官は思わず飲んでいたコーヒーを噴出したとのことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どう思いましたか?ここの指揮官は」

 

 執務室を退出し、用意したという部屋に向かっていると前を歩いていたM4が肩を合わせてそう問いて来た。

 数秒、考えた後にその問いに答えた。

 

「悪くないと思う、私たち戦術人形を物としてではなく人として見てるのは好感が持てるな」

「そうですか・・・433さんは胸を思いっきり見られてたの全然気づてなかったんですね

 

 M4が何が言っていたが生憎、声が小さくて良く聞き取れなかったが・・・まぁ問題ないだろう。

 不思議そうに首を傾げる俺を見て、M4がため息をつきその後ろを歩いていたM16が同情気味に肩を叩いた。

 

「それで?この後はどうする?」

 

 M4を慰めていたM16が隣に並んで俺たちにそう聞いた。

 

「とりあえずシャワー!!私、シャワー浴びたい!!」

 

 そう言ったのはSOPⅡだ。

 今回の戦闘で土煙を被っていてシャワー浴びたいと言っていたなと思い出す。

 その事については同意見で俺も今回の戦闘で土煙を被ったし、エクスキューショナーとの戦闘で汗をかいていたので早くどうにかしたかった。

 M4とM16もそれについては同意見らしく、頷いていた。

 まずは部屋に行き、シャワーを浴びてからその後の事を決めるという事で纏まり、俺たちは気持ち足早で兵舎へと向かった。

 

 

 

 

 兵舎に着き、エントランスで俺たちの事を告げれば受付がそれぞれ4人分の鍵と部屋の位置やシャワールームの場所や食堂等いろいろと教えてくれた。

 受付に礼を言ってから4人で用意された部屋に向かった。

 室内には4人分のベッドに簡易的なキッチンやシャワールーム等、必要な物が取り揃えられていた。

 テーブルの上には何種類かのサンドイッチと数種類のペットボトルが置かれていた。

 簡易キッチンに併設された冷蔵庫の中にビールを見つけたM16がハイテンションになっていたがM4にシャワーの後だと釘を刺されていた。

 とりあえず、4人それぞれで使うベッドを決めて着込んでいた装備を外した。

 15分ほど室内でゆっくりした後、M4の一言でシャワールームへと向かう事になった。

 用意されていた着替えを持ち、全員でシャワールームへと向かう。

 一番、シャワーを待ち侘びていたSOPⅡが先頭を今にでも突貫せんと言わんばかりに走っていく。

 それを俺たちを危ないから走るなと宥めつつもその後を追ってシャワールームへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 シャワーシーンあると思った?残念、総カットです

 

 

 

 

 

 

 

 

 シャワーを浴び終え、部屋へと戻った俺たちはそれぞれ思い思いに羽を伸ばしながらこの後の事を話していた。

 因みにシャワーを浴びる際にいろいろとあった。

 シャワーを浴びる際に服を脱いだ俺を見たM4が自分の胸を触った後に落ち込んでそれをM16が励ましたり慰めたりしていた。

 何かあったのかと問えば、M4に

 

「433さんには持たない人間の気持ちは分からないんですよ・・・」

 

 と暗い顔でそう言われM16には

 

「お前って戦闘に関しては一流だが、こっち方面に関してはからっきしだな」

 

 と呆れた様な顔で言われた。

 理解出来ずに首を傾げると2人から呆れた様にため息をつかれた・・・解せぬ。

 その後、シャワーを待ち侘びたSOPⅡに急かされてシャワールームへと入ったのだがその際にも一波乱あった。

 シャワールームはそれそぞれのスペースが区切られ、個室になっていたのだが・・・

 慣れぬ長髪の洗髪に悪戦苦闘していると隣のシャワーブースに入っていた筈のSOPⅡがいつの間にか忍び込んで来ており、いきなり抱き着いてきたのだ。

 突如の奇襲に驚く俺を気にすることなく、抱き着いて背中に擦り付いてくるSOPⅡ.

 自分のシャワーブースへ戻る様に告げるが彼女は戻るどころか、俺に頭を洗えと要求してくる始末。

 最終的には俺が折れて彼女の頭を洗うことになり、更にはシャワーを出た後に頭を拭く羽目にもなった。

 等とというハプニングがあった。

 

 

 

 

 それは兎も角。

 取りあえず、用意されていた食事を口にしつつこの後の事を話し合う。

 因みにM16は部屋に戻ると上機嫌で冷蔵庫から冷えたビール缶を取り出し、蓋を開けてゴクゴクと喉を鳴らしながら飲んでいる。

 それぞれがこれからの予定を話し、その通りにすることとなった。

 M16はこのまま一人で酒盛りを続けるらしく、M4はM16の監視兼留守番するらしい。

 SOPⅡはシャワーでスッキリした上に満足いくレベルでの食事を摂ったのと疲労が出たらしくすぐに寝ると言っていた。

 俺はAR-15の様子が気になったので彼女を様子を見に行くことにした。

 鍵を持って部屋を出る際、べろんべろんに酔ったM16が

 

「可愛いからって私の妹に手を出すなよ?」

 

 と言っていたがM4が「姉さん?」と言って良い笑顔で締め上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 医療棟のAR-15に割り当てられた部屋に入ると彼女は既に目を覚ましていたらしく、ベッドの上で暇そうにしていた。

 容態を聞けば頭の傷やかすり傷は問題ないのだが折れた左腕は16LABに行かないと修理することは不可能らしい。

 ベッドに座りとりあえずこの基地の指揮官の事と明日以降の予定やらを知らせ、その後は当てが割られた部屋の事やシャワーの話や酔ったM16の事を話しの種に雑談に講じた。

 シャワーについて話せば「私もシャワー浴びたい!」と愚痴を言われたので私が拭いてやろうか?と聞けば

 

「ば、バカじゃないの!?」

 

 と、顔を真っ赤にして拒否された。

 まぁ、流石にそう思うよなと思いつつも雑談を続けた。

 シャワールームでのM4とのやり取りを教えれば

 

「M4に全力で同意するわ、貴女は持たざる者たちの敵よ」

 

 と鋭い目つきで睨みながら嫌味に似たことを言われ、その後のシャワーブースでのSOPⅡの事を言うと

 

「あの子は・・・全く」

 

 と呆れた様な声でため息をついた。

 その後、酔ったM16に言われた事を伝えると

 

「な!な!な・・・!!M16はなんてこと言ってんのよ!?」

 

 とピンク色の髪以上に顔を真っ赤にして狼狽して見せた。

 コロコロと顔色を変える彼女が面白くてそれに思わず笑みを浮かべつつ雑談を続けた。

 

 

 

 

「あ・・・えと、これ」

「うん?」

 

 小一時間ほど、雑談をしそろそろお暇しようかと思って立ち上がったところでAR-15に声を掛けられた。

 見れば彼女は自分の上に掛けていた物を手に取ってこちらへと渡そうとしていた。

 良く見ればそれは俺がヘリの中で彼女に掛けといたコートだった。

 そう言えば彼女に渡したっきりだったなと思い出し、少し考えた後にそれをやんわりと断った。

 

「持ってて構わない」

「え?だけど・・・」

「別に後は部屋に戻って寝るだけだしな、良いさ」

「・・・分かった」

 

 そう言って彼女は持っていた手を下ろしてコートを自分に掛けなおした。

 

「まぁ、なんだ。エクスキューショナーとの戦闘で破けてるし、少々煙草臭いが我慢してくれ」

「・・・そう言われると返したくなるんだけど・・・まぁ、いいわ」

「まぁ・・・その内、気が向いた時に返してくれれば良いさ」

「そうね・・・もしかしたら捨てちゃうかもしれないけど」

「おいおい、勘弁してくれ」

「・・・冗談よ」

 

 その間はなんだ?と聞きたい気もしたが気にしてもしょうがないので俺は帰ることにした。

 

「まぁ、良いさ。それじゃあ、また明日」

「えぇ、また明日」

 

 お互い別れを告げ部屋を出ようとしたところで、そうだと踵を返した。

 

「あ、そうだ」

「?」

「夜中に一人で寂しく思うかもしれないが、そいつを使って我慢してくれよ」

「は!?・・・ば・・・バッカじゃないの!?」

 

 俺の言葉にAR-15は顔を真っ赤にして反論して置いてあった枕を掴んだ所で、俺はそれを投げられる前に部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 医療棟から戻り、鍵を開けて部屋に入る。

 テーブルの方を見ればM16がテーブルに突っ伏しており時折、寝言らしきものが聞こえてくる。

 その周囲には飲み切ったビール缶が数本散らばっていた。

 次にベッドを見ればM4が眠っているのが見えた・・・SOPⅡの姿が見えないと思っていたがM4と同じシーツに包まっていた様だ。

 M16のベッドからブランケット取ってきて、彼女の肩に掛ける。

 起きた素振りを見せないのを確認しつつ、自分のベッドの上に置いたサイドバックからタバコケースとライターそれと携帯灰皿を持ってベランダへと向かった。

 ベランダに出ると二組のイスが向かい合う形で置かれており、スライドドアを閉めてそれの片方へと腰かけた。

 足を組みつつ、タバコケースから煙草を出して咥えライターで火を点ける。

 大きく息を吸って紫煙を体内に取り込み、咥えた煙草を外して支援を吐き出した。

 数度その行動を繰り返し、ぼんやりと夜空を眺めていると突如と閉めた筈のスライドドアが開いた。

 振り返ればそこには酔い潰れて寝てた筈のM16の姿があった。

 

「M16・・・」

「飲もうぜ」

 

 ニヤリと笑みを浮かべつつM16は両手に持ったビール缶を掲げて見せた。

 まだ飲むのか・・・

 俺は内心、そう思いつつタバコを携帯灰皿にねじ込んでから彼女からビール缶を受け取った。

 

 

 

 

「AR-15の様子はどうだった?」

「暇そうにしていた、シャワーについて話したら私も浴びたかったって文句を言われた」

「そうか、そいつはご愁傷様」

 

 M16は反対側の椅子に腰かけ、お互いビール缶を開けて乾杯して一口飲んだ後に雑談を始めた。

 最初は医療棟にいるAR-15の様子についてだった。

 

「頭の傷やかすり傷とかはどうにでもなるそうだが腕に関しては16LABにいかないと直せないとも言ってたな」

「だろうな」

 

 気になったのでM16に16LABという場所はどういう所かと聞いてみた。

 する彼女は16LABとそこの首席研究員であるペルシカリア女史という人物について掻い摘んで教えてくれた。

 説明を聞き、だいたいの事を知ったところでもう一つ聞いてみることにした。

 

「もう一つ良いか?」

「構わないぞ?今はキンキンに冷えた美味いビールが飲めて最高に機嫌が良いからな、なんでも答えてやるぞ?」

 

 私の3サイズが知りたいか?やら、ビールよりもジャック・ダニエルがあれば・・・

 等とブツブツと呟くM16、酔いが覚めたかと思いきや飲んだお陰でまた酔いが回って来たらしい。

 彼女がまた酔い潰れてしまう前に聞くことにしようと判断し口を開いた。

 

「私がAR-15の様子を見に行こうとした時、お前は私に『可愛いからって私の妹に手を出すなよ?』と言ってきた、あれはどういう意味だ?」

 

 そう問うとビール缶を呷っていたM16はピクリ、と反応した。

 その反応に俺はやはりか、と思った。

 あの時、M16は俺に対して酔った風に装って言っていたが俺を見ていた目は酔っていなかった様に見えた。

 それを確認する前にM4に締め上げられてしまったので出来ず仕舞いだったが今のやり取りで分かった。

 M16は俺になんらかの意味を含んでああ言ったらしい。

 

「言葉通り受け取れば。お前の言葉はまるで私がAR-15を襲うことを前提にした様な口ぶりだったが・・・」

やれやれ、疎い癖にほんとに鋭い時は鋭い奴だ

「?、なんか言ったか?」

「なんでもないさ、ところで、私も一つ質問良いか?」

「?」

「お前、AR-15のことどう思ってる」

「どういう意味だ?」

「そのまんまの意味さ」

「そうだな・・・良い奴だと思うさ」

「ほう?」

「最初会った時はちょっと冷めた奴と思っていたが話を聞いて見ればあいつはあいつなりにM4の事を心配していたしな」

「ふむ・・・それで?」

「腕も悪くないな、常に冷静で周囲を見て最善の手を判断して行動に移してる。狙撃の腕も悪くない、改善点はあるがそれを入れても背後を任せても安心出来るな」

やれやれ、見てないと思いきやしっかり見てる上にこうも高評価とはな・・・

「なんか言ったか?」

「いや、なんでもない」

「そうか・・・ところでさっきの私の質問の答えなんだが・・・」

「悪い・・・ちょっと酔いが廻ってきたみたいでな・・・先に寝させて貰う」

「あ・・・おい」

 

 俺が引き留める間もなく、M16は立ち上がると足早に部屋の中へと消えて行った。

 俺は質問に対する明確な答えを聞けなかったことに落胆しつつ、ビール缶を呷った。

 

 

 

 部屋に戻ってベランダへと振り返った。

 そうすればそこにはビール缶を呷り、そのまま夜空を眺める433の姿があった。

 さっきの質問をされた時、私は思わず考えたことがバレたかと思って反応してしまった。

 ビールを呷る振りをしながら更に聞けばあいつは私の言ったことについてまだ半信半疑と言ったところだということが分かって安心した。

 にしても433の奴、あからさまな反応を見せるM4やAR-15の事に気づかないわ、自分の胸を凝視ししていたこの基地の指揮官に目線に気づかないわでてっきりそっち方面は疎いのかと思っていたんだが・・・強ち、そういう訳じゃないらしい。

 恋愛に疎い433もそうだが話を聞いた限り、AR-15の奴も奥手・・・というかまだ正確に433に対する感情がなんなのか気づいていない様だ。

 だがそう遅くないうちにAR-15も自分の感情に気づいて明確に動き始めるなと思った。

 それにしても今回のシャワーブースでのSOPⅡの行動についても驚かされた。

 あいつが私たちAR小隊の誰かではなく、まだ会って一日と経ってない433に対してあそこまではっきりとしたスキンシップを取るとは思ってなかった。

 SOPⅡの行動が無意識での親しい仲間への行動か、それとも恋愛感情故かは分からないがひょっとしたらありえるかもしれない。

 M4も今までの行動を見るとやはり433に好意を抱いているのは確かだ。

 でなきゃ、433に不躾な目線をするS04地区の指揮官にあんな目は向けないし、私に対してもあんな行動を取らないだろう。

 自分の感情に半ば気づいてるM4にもうじき気づくであろうAR-15と無意識に行動に移すSOPⅡだ。

 大本命のM4に対抗馬のAR-15・・・そして大穴のSOPⅡ・・・はてさて誰に軍配が上がるかな?

 もしかしたらまた別のパターンが・・・というのもあり得る。

 433には本人が気づいてないが他人を惹きつける独自の空気・・・いわばカリスマの様な物がある。

 それに惹かれてあいつら以外にも集まってきてそいつに取られるというのもある。

 だがもしかしたら・・と思うがその可能性に関してはないだろうと思って頭を振った。

 確かにあいつは一緒にいて楽しい奴だし良い酒飲み仲間だと思っているが・・・だからと言って・・・

 

「流石に飲み過ぎたか?」

 

 普段の自分ならしない様な思考してる事に驚き酒を飲み過ぎたかと思った。

 まぁ、誰とくっ付こうが構うもんか・・・美味い酒とそれを引き立てる美味い肴に対する対価なら文句も出ない。

 そう思いつつ、私はテーブルの所から433が私に掛けたブランケットを取って自分のベッドへと潜り込んだ。

 

 

 

 

 後年、自分も思いも寄らぬ結末を迎えたことに対してM16は

 

「あの時は3人の誰かとくっ付くんじゃ?と思っていたがまさか、こういう結果になるとはね・・・」

 

 と、苦笑を漏らしたそうだ。

 だがその言葉とは裏腹に彼女自身は実に嬉しそうにしていたと言う。




一応、最後はどうなるかというのは何となく考えてあります。
考えた上での伏線を配置です。
なお、この小説が完走すればの話であり、しなかったら無意味の産物と化します。
ところで次回は16LABに行ってそこでペルシカさんと会ったりいろいろやります。


余談ですが最近、点け始めたサブタイは大体、適当です(爆)




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