少女前線 ~銃へと憑依した傭兵~(更新停止)   作:蒼月 アイン

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我慢できなくて投稿しました、後悔もしていませんし謝罪もしません。


本編
第1話 戦場の日常


 第二次世界大戦の終結とアメリカ合衆国を中心とした西側諸国とソビエト連邦を中心とした東側諸国が対立した冷戦。

 だが長く続くと思われた冷戦はソ連のアフガン侵攻の大敗により、財政難に陥ったソ連の崩壊と共に緊張緩和(デタント)によって消滅。

 それで平和の世の中になるかと思いきや、その答えは全くもってのNO

 イデオロギーによるぶつかり合いが終わったと思えばその次に牙を剥いたのは今まで大国同士のぶつかり合いで姿を潜めていた民族または宗教における対立だった。

 国家間の戦争から民族・宗教に対する対テロ戦争への移行は正規軍への負担を大幅に強めた。

 アメリカにとってのベトナム、ソ連にとってのアフガンとも言える非正規戦はアフリカ、中東を中心に瞬く間に世界に拡散していった。

 そんな中、需要を必要とし急速にシェアを広げていった産業が存在した。

 民営化された軍隊・・・つまるところの傭兵達の集団――private military company――PMC達だった。

 彼らは人手不足に喘ぐ正規軍に代わり、兵士の鍛錬、警備・護衛、兵站管理等を皮切りに続々とシェアを拡大していき、いつの間にか彼らは正規軍の代わりに戦闘までも行うまでに成長していた。

 日常が非日常になり、非日常が日常の世界・・・それが現在の・・・国家間の大量破壊兵器によるカタストロフ(大惨劇)を回避した世界のあり様であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

西暦2028年 中東某国

 

 イタリア、イヴェコ社製軽装甲車であるイヴェコ LMVの後部座席に座る男は興味無さげに外を眺めていた。

 男はイスラエル製アサルトライフル・ガリルを装備しており首からスリングを通して抱えていて右膝に備えられたホルスターにはロシア製拳銃であるマカロフ PMが収められていた。

 銃装備は歴とした兵士だが彼を含め、LMV車内の兵士は全員正規軍所属ではなくPMC所属のオペレーターだった。

 彼らが属するPMCは現地の反政府組織の依頼によりかなり以前からこの国に展開しており、この男もここに来て既に1年は経っていた。

 男たちは既に日常の一部と化していた哨戒任務をこなすため、決められたルートをただ黙々と車両を走らせ続けた。

 彼らの間に会話は殆ど存在しない、だが仕事熱心という訳ではなくただ単に話の種がないので黙って外を眺めるだけだった。

 防弾ガラスの向こうに見えるのは瓦礫の山と化した村にIEDや対戦車ロケット、地雷によってスクラップと化した色々な戦車や装甲車・・・それに既に事切れた亡骸だけだった。

 配備直後は自分たちも何時かはあの中に仲間入りするのかと思い憂いていた彼らだが戦闘に駆り出されることもなく、毎日退屈極まりない哨戒任務ばっかり続けるうちにそんな考えも何時しか消え失せていた。

 自分たちが死ぬことない。

 その事に男は嬉しい反面、戦場に出たかったという残念に思う気持ちも持ち合わせていた。

 戦場に出てるオペレーターたちと違って後方でこの様に警備活動に就いているオペレーターたちはやはり給料にある程度差があった。

 もちろん、後方ではあるがここが戦場であるのは違いなく、危険手当等で彼もそこそこの高給取りであった。別に金に困ってるわけではない。

 男はヨーロッパ出身で上流階級という訳ではないが中流階級出身であったが刺激を求めて軍に入隊した代わった性格の持ち主だった。

 軍を5年務めた後に退役し、以後3年ほど警備会社の社員として働いていたが軍属時代派遣された中東での刺激的な生活が忘れられず猛反対する両親――軍人になる時も猛反対された――を押し切り、今のPMCに入社し志願してまで中東にやって来ていた。

 軍属時代の刺激に胸を躍らせ、いざ蓋を開けてみれば待っていたのは退屈で仕方ない哨戒ばかりの毎日だった。

 最初の頃は同じ班のメンバーに自分の経験談を聞かせたりと中々悪くないと思っていたが思い出話を粗方話し終えてしまうと殆ど暇を持て余していた。

 とっとと哨戒任務なんて終えて、基地に戻って冷えたビールを飲みてぇ・・・

 代り映えがなく、既に見飽きた光景を眺めつつそんな事を思っていると唐突に肩を叩かれた。

 なんだ?と思って振り返れば隣の座席に座っているメンバーの黒人の男がこちらに長方形のケース・・・煙草の箱を差し出していた。

 そこから顔を出していた煙草を抜き取り、悪いなと煙草の持った手を軽く掲げると隣の男は煙草の箱を持った手を引っ込め、変わりにライターを差し出してきた。

 差し出されたライターで有難く、煙草に火を点けようとしたところで・・・男は激しい爆発と閃光に見舞われ、それ以降の意識を永遠に閉ざした。

 

 

 

 

「――・・・派手に吹っ飛んだな」

 

 隣でそう呟いた男に、あぁと返事を返した。

 遮光処理が施されたライフルスコープの向こうでは黒煙が立ち上り、そこを通った反政府側の軽装甲車を木っ端微塵に吹き飛ばした事を鮮明に教えてくれていた。

 

「依頼達成だな、帰ろうぜ」

「そうだな」

 

 隣の男・・・長年、相棒を務めているバディにそう答えつつ匍匐体制から立ち上がり素早く装備を纏めた。

 今回、俺たちに当てられた任務は単純明快・・・敵である反政府ゲリラたちの哨戒部隊を吹き飛ばすことだった。

 奴らの哨戒ルートは既に割れており後はそのルート上に地雷を敷設し待ち伏せをするだけ、そうすれば見た通りターゲットを吹っ飛ばして終了だ。

 この様な()()()()任務はこの地域全体で敵味方関係なく日常的に行われている行為であった。

 それに今回の敵の哨戒ルートは敵の前線との補給線の役割も持っており、暫くは警戒して使われることはないだろう。

 

「とっとと基地に戻って飯にしようや」

「あぁ・・・」

 

 陽気な性格でムードメーカー染みた相棒に適当に返しつつ、俺は移動用のデザート迷彩を施されたジープの助手席へと腰掛けた。

 無論ながら俺もジープの運転は出来るのだがこの相棒が頑なにそれを譲らない――理由を尋ねたら根っからの運転好きらしい――

 マシンガントーカー、と仲間内からそう揶揄される相棒はその名に恥じぬ通り、帰り道ジープを運転しながらこの男はマシンガンの如くいろいろな事をしゃべり続けた。

 慣れ切っている俺はそれを適当に聞き流しつつ俺は懐から煙草を取り出し、火を点けた。

 一仕事終えた後の習慣であるそれは嫌煙家である相棒から幾ら苦言を呈され様とも辞めずに続けている。

 ヘビースモーカーではないにしろ、愛煙家である俺からすればこれは至福の時であり如何なる理由があったとしても止める気は一切なかった。

 今回も煙草を取り出し火を点ければ相棒は嫌な顔をしてぶつくさと文句を垂れるが俺は構わずに紫煙を肺一杯に充満させ楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数週間後。

 あの任務を終えてから2~3日ほど休暇を与えられた俺たちは新たな任務へと駆り出されていた。

 任務内容は俺たちの駐屯している基地から前線の野営地への補給物資の輸送任務だった。

 荷物は武器・弾薬に食料と水、あと燃料だった。

 物資は3台のトラックに載せられ、その護衛としてハンヴィーが4台付くことになっている。

 ハンヴィーに運転手を含めて4人ずつにトラックの運転手を含めて総勢19人のコンボイを形成することになる。

 最近では中々お目に掛かれない規模と言って良いだろう、恐らくなんらかの反抗作戦または攻撃の準備ではないかというのが部隊内での噂だ。

 道のりは往復2時間ほどで比較的安全なルートを通ることになっているのだが最近、反政府ゲリラと思われるパルチザン等の襲撃が増えていたためこの規模の部隊が編制されたのではと予想出来た。

 

「嫌な予感がする・・・」

 

 出発前、何気なしにそう呟くと相棒はお前の感は良く当たるんだから勘弁してくれと、うへぇ~、と言わんばかりの顔で言われた。

 それが彼なりの気遣いだということを重々承知していた俺はそうだな、と苦笑と共に返した。

 だが、俺が長年戦場で培ってきていた感は今回、絶対に良からぬ事が起こると俺に囁き続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局のところ、俺の悪い予感は的中した。

 それも、とても悪い方向でだ。

 車列は順調に輸送ルートを走っていき、今回のルートで最も警戒していたエリアを抜け出そうとした時、それは起こった。

 最も襲撃される可能性があったエリアを抜けようとし、皆がが張り詰めていた緊張の糸を緩めようとした時、先頭を走っていたハンヴィーが横転した。

 IEDによる待ち伏せだった。

 先頭車両が横転し、車列が止まった瞬間次には最後尾を走っていたハンヴィーが吹き飛んだ。

 今度はIEDではなく、対戦車ロケットによる攻撃だ。

 立地も最悪と言って良い、俺たちがいる位置は山岳地帯の細い道路で敵は山岳の上からこちらを好き放題撃ち下ろしが出来る状況だ。

 あと数メートルで渓谷地帯を抜け出せるところで完全な奇襲を喰らった。

 

「全員、ハンヴィーから降りて稜線の影に隠れろ!!」

 

 助手席に座る奴から無線機を引ったくり部隊全員に向けてそう叫び、俺は愛銃を片手にハンヴィーから飛びおりて稜線の影に隠れた。

 元々今回の任務に就いたオペレーターたちはうちのPMCでも手練れの連中だったため、ほとんどの奴が稜線の影に隠れられた――トラックの運転手一人が運悪く逃げ遅れて蜂の巣にされた。

 

「よう、まだ生きてるか?」

「生憎な、俺は死神に嫌われてるらしい」

「ははは、ちげぇねぇや」

 

 隣に滑り込む様に隠れてきた相棒と軽口を叩きつつ崖上を覗く。

 RPGが飛んできて崖上から掃射された後、めっきり銃声が止んだ。

 崖上を監視しても人っ子一人姿が見えない、しっかり隠れているようだ。

 

「・・・ゲリラじゃないな」

「あぁ、十分に訓練されている・・・」

「同業かな?」

「かもな」

 

 相棒とそう話しつつ近くにいた通信兵を呼び、現在の状況と救援要請を向かう予定だった前線基地と司令部に連絡させた。

 本部からの返信では救援部隊が到着するのは早くても30分後、それまで現状を維持せよというものだった。

 返信が来るまでの間、被害報告を聞いて俺は思わず顔を顰めた。

 先頭で横転したハンヴィー――アルファ分隊――は軽傷者2名、重傷者1名、無傷が1名(不幸中の幸いなことに全員、ハンヴィーからの離脱に成功していた)。

 次にアルファ分隊の後方にいたハンヴィー――ブラボー分隊――は1名が負傷した以外は全員無事だったがその1名が分隊長だった。

 その後ろに護衛対象の輸送トラック3台――先にも述べた通り2号車の運転手が戦死。

 その後ろのハンヴィーは俺と相棒が所属していたチャーリー分隊で俺が声を掛けたお陰で全員無事。

 そして最後尾のハンヴィーのデルタ分隊はRPGの直撃で全員戦死。

 真面に戦闘出来るのは俺たちを含めて10人程だった(トラックの運転手は非武装なので数に数えない)

 

「これで30分間耐えれると思うか?」

「・・・相手の数によるな」

「敵はどんぐらいいると思う?」

「・・・少なくともこっちと同数またはそれ以上だな」

「最悪だな」

「あぁ、最悪だ」

 

 こちらは先手を取られて戦闘力が削がれた状況、地理的に相手の方が有利で相手は反政府ゲリラではなく俺たちと同じPMC、更に数は最低でもこちらと同数以上、ついでに付け加えるならこちらの援軍は早くても30分後・・・四面楚歌ならぬ五面楚歌と言って良い状況だ。

 滅入りそうな気分をなんとか押し殺し、俺は愛銃のマガジンを引き抜いて内部を確認しそれを戻してチャージングハンドルを引いて初弾を装填する。

 それを合図にしたかの様に相棒も自分の銃をチェックし更に他のオペレーターたちも銃のチェックをした。

 チェックを終え、敵が潜むであろう崖上を睨む相棒に声を掛けた。

 

「相棒」

「なんだ?」

「長い一日になるな」

「・・・そうだな」




正直言って疲れた。
3本同時投稿とかなにしてるんですかね?(おい)
まぁ、一本目の一次創作は殆ど執筆止まってるのでほぼほぼ2本同時投稿という形になるんですが・・・
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