小説も書きたいけど、他の方が書いている小説も読みたい私です。
最近はRTAの小説の面白さに気付き、仕事の合間に読み漁ってます、はい。
春の邦楽祭があった休日から2週間? が経ちました。
煮詰まっています、非常にイライラしています。
なかなかいい音が見つかりませんが、どなたか拾ってくれていませんか?
つまらない授業時間が終わり、最近寄る頻度が増しているばっちゃんの家に向かっています。
びっくりだよね、どういう経路か俺の授業態度がばっちゃんの家に伝わって週に1回顔を出せっていう激おこのお電話が届きました。
最悪です。今までおとなしい優等生を演じていたのに、学校内での素行が完全に伝わりました。
顔を出すのは全然大丈夫なんだよ。
ただね、次学校から電話がかかってきたら1ヶ月仕事の手伝いをさせるって言われてしまったのが問題なんだ。
気晴らしをしているとき以外は、常に箏の音合わせをしているわけでして。
仕事の手伝いをすれば、夜遅くまで拘束されてしまいそんな時間は極端に取れなくなる次第で。
ばっちゃんも他の人たちも、俺のこと心配して言ってくれてるのは分かるんだ。
だからこそ心苦しい。
俺がやっているのはただの自己満足で、自分の作った音を早く聞きたいから他のことなんてどうでもいい。
って、思っている異常者なんて知られるのを怖がっている小心者が俺さ。
とにかく、夏休みまではおとなしくしてますよ。
そろそろ、もう一つの音合わせもしておかないといけない時期が来たからそれもやらないといけないし。
というわけで、ばっちゃんのお店に到着。
「ばっちゃーん。遊びに来た兼、箏を弾きに来た兼、晩御飯を食べに来たよ~」
いつものようにお店に入っていくと、俺の箏の近くにたくさんの13弦が置いてある。
……なんで?
「来たね、悪いんだけど箏はそのままにしておいてくれ。いちいち片付けるのも大変だからね」
「ん~それはいいんだけど、どうしたのこれ? 箏の教室でも始めた?」
全部13弦の箏か。
ともかく、合計で4つも箏が出ていれば俺もびっくりだ。
ここは楽器屋であって、箏の専門店ではないのだから。
「小生意気な小僧共が、部活の存続をかけて箏を弾かないといけないんだとさ。それもあって、少し前から夜の2時間ぐらいだけ場所を貸してやっててね」
「へ~、珍しいね。そういうのは、ばっちゃん断ると思っていたけど」
荷物を隅に置いてばっちゃんを見ると、笑っていた。
「なんでも、いい演奏を聴かせてくれるみたいだからね。聴いてみたくなったのさ」
「……そっか、それは楽しみだね。ちなみにその小僧共とやらはいつ来るの?」
「夜の9時前ぐらいには来るね。昨日は珍しく来なかったみたいだけど、毎日毎日ご苦労なことだよ」
それはまた、今の子供たちにすれば珍しいな。
俺だったら数日は来ない可能性が高いのに――飽き症ですから、自分。
「分かった、そしたらその小僧共とやらが来たら教えてよ。今日はそこまで
「はいよ、来たら声をかけるからそれまでは使ってて大丈夫さね」
「ありがとう、ばっちゃん」
そのままイヤホンをつけて目を瞑ると、外の音が全く聞こえなくなる。
「ったく、深く潜らないといってもお前さんが箏を弾いているときは、声をかけられる雰囲気じゃないんだよ」
ばっちゃんが呟くように言った言葉も、孝介の耳には入っていなかった。
――――――――――
ガララララッ。
いつも場所を借りている仁科楽器のばあちゃんのところに筝曲部全員で来た。
というのも、夜慌ただしく出ていく4人に上達具合の速さから、何かあると思った鳳月さとわが問い詰めたことで発覚してしまったのが原因だ。
「今日は来たんだねお前たち」
「ああ、昨日は飯を食いながらみんなと駄弁ってたから来れなかった」
「そうかい、しかし……何か増えてないかい?」
「あ、バレた?」
愛の中学生時代からの友達で、ギター経験者の足立
「すみません…お邪魔してしまって」
「まぁ、もう一人二人増えようが変わんないさ。好きにしな――と言いたいんだが、今日はもう少し待っててくれ。先客がまだ弾いてるんでね」
「先客? 箏の音とか何も聞こえないけど?」
人懐っこく、抱き着き癖がある水原光太が箏のある部屋に向かうとばあちゃんと愛たちが後を追う。
タン。
「あ、本当だ。誰か箏弾いてるね」
「……そろそろかね」
「あん? 何がだよ、ばあちゃ――!?」
タラララン、タン、タタタタン――。
突如として聞こえてくる箏の音。
しかし、先ほど聞こえてきた1音とはまるで違う。
心に直接訴えかけるようでどことなく優しい音。
「おお、なんか上手いな。そう思わねチカ?」
実康が愛に話しかけるが、愛は返事をする余裕がない。
さっきまで、さとわの17弦を聴いてしまっていたがゆえに無意識にも理解してしまったのだ。
レベルが違う。
初心者とかそういったものじゃない。
音は素直だ。
経験者でも、その人の本質が音に表れる。だから、同じ曲でも演者によって受ける印象がガラリと変わってしまう。
――音は嘘をつかないから。
俺が何も言わないで立ち尽くしているのを見て、光太も部屋に入るのを躊躇ったらしい。
他の人も部屋の外で静かに弾かれる箏の音を聴いていた。
タン。
箏の音が止まると、ばあちゃんがいつの間にか持っていたタオルを持って部屋に入っていった。
「今日は随分と進んだみたいだね、来た時はイライラしてたみたいだけど」
「あ、分かっちゃった? 俺もここまでいくとは思ってなかったからびっくりしてる」
どこかで聞いたことがある声?
それも最近聞いたことがあるような……。
「それで時間だけど、もしかして過ぎちゃったかな?」
「過ぎはしたけど、来たばかりだから安心おし。丁度いいから、箏を出すのを手伝っておくれ。新しく二人来たからね、奥から出さないといけないんだよ。お前たち外で立ってないで部屋に入っておいで」
ばあちゃんの声で部屋に入った俺たちが見たのは、顔の汗をタオルで拭っているファミレスであった男だった。
「あれ? また会ったね」