この音は、ただ君の為に。   作:月の城

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表現力が乏しいので、稚拙な文章です。

オリジナル展開に持っていく方の発想に驚かされます。
いざやってみた瞬間、キャラ崩壊が起きてしまったような錯覚を覚えて……。

取り敢えずはこのまま進ませますが、変なところで煮詰まらないように祈りたいです。


5話

 珍しく音合わせが進んだと思ったら、まさかの連中と再会しました。

 

 確か……ばっちゃんが言ってたのは小生意気な小僧で、部活の存続をかけて弾かないといけない……だったっけ?

 小生意気は理解できるけど、部員は眼鏡君を入れて6人いるから必要条件を満たしているはずだし……なんで?

 しかし、全員黙ったままこちらを見て来るのは変な感じ。

 

「立ったままでもなんだし、座ったら?」

「何でお前がばあちゃんの家で箏を弾いてんだ?」

 

 イケメン男子と接点が増えてきたとはいえ、馬鹿正直に話すのは――。

 しょうがない、所々省くか。

 

「ばっちゃんとは小さい頃から知り合いでね、たまにここの箏を借りて練習しているんだ」

「へ~、凄いね。俺たちも最近箏を始めたんだけど、なんか上手だな~ってのは分かったよ!」

「お~、それは嬉しいな。ありがとう」

 

 やっぱり初心者だったか。

 可愛い系男子の言葉に、おデブと長髪ボーイが頷くのを見るに初心者は3人でいいのかな?

 イケメン男子も、手を見る限り箏をやっているような指先をしていないから初心者だと思うんだけど……どうでもいいか。

 

「(あの音が上手? そんな言葉で済まされるレベルじゃないわよ)」

 

 美人女子が小さな声で呟いていたけど、ごめんね。

 俺は耳がいいからこの距離でも聞こえちゃうんだ。

 近くにいたイケメン男子も聞こえたのか、美人女子を見た。

 

 しかし、イケメン男子もそうだけど、あの美人女子もどこかで見たことがあるんだよなぁ。

 見覚えがあるということは箏関連だと思うんだけど、……はて?

 

「さて、待たせちゃって悪かったよ。俺はもう帰るから練習頑張ってね」

「あ、待って! 俺たちと一緒に箏を弾こうよ、きっと楽しいだろうからさ!」

 

 誘ってくれるのは素直に嬉しいんだけど、ごめんね。

 初心者の君たちに合わせて、決まった音楽を演奏するってのは性に合わない――なんて言えるわけないよな。

 

「悪いんだけど、断るよ」

「え~! なんで?」

 

 ぐいぐい来るね、可愛い系男子。

 

「多分だけど、君たち初心者だよね? 俺、人に教えるの下手くそでさ。結構きついこと平気で言っちゃうから空気最悪になると思う」

「そんなのこの女で慣れてるから気にしなくてもいいぞ」

「なんですって!?」

「まあまあ、二人とも!!」

 

 ……へぇ~。気になるところがない訳でもないけど、いいメンバーじゃん。

 いつもの手でいくか。

 

「だったら、君たちの演奏聴かせてもらってもいい? 曲は何でもいいから、俺が気に入ったら(・・・・・・)君たちと一緒に弾くって約束するよ」

「随分と上から目線じゃねぇか、お前そんなに上手いの?」

「君たちよりは弾けるってぐらいだけど、俺もやりたいことがあるからね。俺が君たちと箏を弾くということに納得できる理由が欲しいだけなのさ」

 

 もしかしたら、君たちと一緒に弾くことで何か新しい発想を与えてくれるかもしれない。

 

 だけど、それはあくまでも可能性の話であって絶対じゃない。

 

 何度かそういった教室に入ってみたけど、合わなくてすぐにやめた。

 そういった経験があるから、あまり他人と弾くことにメリットを見出せなくなってしまったんだよね。

 

「悪いけど、今練習中で弾ける曲は僕たちにはないんだ」

 

 眼鏡君が申し訳なさそうに言ってくるけど、そうだろうね。

 初心者って言ってたし、それで何か曲を弾ける方がおかしい。

 

「……じゃあ、この話は『だから――』」

「だから、あと半月待ってくれないかな? 多分、来月の全校朝会の時に演奏する予定だと思うんだ。それを聴いてから判断してほしい」

 

 しつこい性格をしているな、眼鏡君。

 嫌いじゃないけど、時期的にタイミング悪いなぁ。

 

「はぁ。俺はそれでもいいですけど、他の部員の人たちもそれでいいですか?」

「いいじゃん!」

「面白そうだな」

「おうとも」

 

 美人女子とイケメン男子以外の3人組が各々返事をする。

 

「楽しみにしてますね、ばっちゃーん。どの箏出すの?」

 

 先に出て行ったばっちゃんの後を追いかけて部屋を出ていくと、後ろから箏の音が聞こえてきた。

 

 あらら、随分とやる気を感じさせる大きな音じゃないの。

 少しは……期待してもいいのかな?

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 部の存続をかけた全校朝会での演奏まで1週間を切り、初めて最後まで止まらずに演奏をした日の夜。

 ばあちゃんの好意で居間にてお茶を頂いていた。

 

「あ~~、うめーっ。ばあちゃんのいれてくれたお茶好き!!」

「ほっとするよね~」

「このせんべいうめぇな」

 

 実康たち3人組がまったりしている中、愛がにやけながらばあちゃんに顔を向ける。

 

「なあなあ、ばーちゃん。どーよ俺らの演奏? だいぶ良くなってきただろう」

「……そうだねぇ。ま、形にはなっているよ。テストとかなら合格ラインじゃないかい?」

「なんだよ、その言い方」

 

 ばあちゃんがお茶をすすりながら答えると、愛の顔が納得のいかないような顔つきに変わる。

 

「あんたたちはこの演奏で学校中を納得させたいんだろう? そこにいるお嬢ちゃんはよく分かってると思うが、曲で人の心を動かすってのはそう簡単なことじゃない。でも、あんたたちはよく練習している。手もよく動いてる、パワーもある。――――あとは、弾く時の気持ちの在り方じゃないかい?」

「気持ちの……あり方……?」

「そうだ」

 

 話を聞いていた光太が疑問に思った点をばあちゃんに問う。

 

「何のために弾くのか、誰に届けたい音なのか? ちょっと意識するだけで音色はガラリと変わるモンさ」

 

 そこで湯呑みを置くと、笑いながら愛達に語り掛ける。

 

「大事な人に、大切な言葉を投げかけるように弾いてごらん。音は、言葉で上手く気持ちを伝えられない人のためのもう一つの言葉だよ。不器用で、誤解されやすそうなあんたたちにぴったりじゃないか」

「……あいつの音を聴いたときに感じた。力強い音の中に悲しい音がいくつか混じっていたのは何かを伝えたいからなのか?」

 

 愛がばあちゃんに聞くと、ばあちゃんとさとわの目が見開かれて愛を見る。

 箏を始めたばかりの愛が、音に乗る感情を理解していることに二人は驚愕したのだ。

 

「源と一緒で耳がいいんだね、あんたは。そうさね……孝介にも事情というモノがあるから私の口からおいそれと喋るわけにもいかないんだが……。もし、あんたらが孝介と一緒に弾こうというのなら一つだけ伝えておこうかね」

 

 お茶を飲んで真面目な目つきで愛たち全員を見る。

 

「孝介が誰かと箏を一緒に弾いていたのは、二年前にあいつの祖父が亡くなるまでだ。それ以降は、誰とも一緒に弾いたことがないんだよ」

「そんな! あの音は確かに――」

 

 さとわが珍しくばあちゃんに向かって声を荒げたが、最後まで言い切ることなく俯く。

 何を言おうとしていたのか愛たちは予想できなかったが、ばあちゃんただ一人理解を示したようだ。

 

「そうかい、――お嬢ちゃんは分かったんだね」

「何がだ?」

「……こればっかりは自分で気付かないと意味がないよ。とにかく、私が言いたいのはこれさね。孝介が誰かと一緒に弾くということは、その人を認めたときだけってことだ」

「……二年間誰とも弾いていないってことは、その亡くなったというじーちゃんがあいつの認めていた人ってことか?」

 

 ばあちゃんが頷くと、さとわが問う。

 

「その亡くなってしまったという方の名前は?」

「朝霧劉生(りゅうせい)、異端と言われて隠居した頑固爺だよ」

 

 

 

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