地球防衛軍:カルデア   作:エヴァンズ

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ストーム1の闇が見え隠れする…


フランス情勢と死神の息吹

「ん?あれは人か?」

 

 

オルガマリーとの再開を楽しんだ一行はカルデアからの支援を受けられるように霊脈地へと向けて移動を始めた。

 

 

 

ある程度歩いたところで前方警戒で歩いていたレンジャー隊員が動きを止めて前方から歩いてくる集団を観察する。

 

 

 

「ふむ…武器を持ってるな…フランス軍か?」

 

 

レンジャー2-3の隊員がスナイパー・スコープで前方から接近してくる集団を確認する。

 

 

 

「全員が革や鉄の装備で統一されています。それに鮮やかな青色の服……恐らくフランス軍ですね、しかしかなり気が立ってるようで…手負いの兵士も大勢います」

 

 

 

「何でだよ?今は休戦中だろ?」

 

「野盗とやり合ってきた直後か?」

 

「中世のフランス軍はかなり強い…野盗ごときに遅れを取るとは思えんが……」

 

 

「どうしましょうか。接触を試みますか?」

 

「そうだね…マシュお願いできる?」

 

「レンジャー2-1の隊長はフランス語喋れるんですが…」

 

 

「まあ、俺達の服装では敵を威圧してしまう。ここはマシュに任せようぜ」

 

 

マシュが彼らに近付いて愛想良く声を掛けた。

 

 

 

「ハロー、エクスキューズミー。こんにちは。私たちは旅の者ですがー」

 

《おい、マシュちゃんそれは英語…この時期にそれはまずいと思うぞ?》

 

 

兵士たちは突然現れて、話しかけて来たマシュ達をポカンとした表情で見つめていた。

 

 

…ここでマシュ達は兵士たちを見て改めて気付いた。

 

殆どの兵士が負傷している…この時代は小規模な小競り合いはあったがここまでやり合う事など滅多にない筈だ……それに人間と戦ったにしては刃物による傷を負った兵士が殆んどいない…むしろ大斧や槍で突き刺されたような傷を負って…そして何よりも殆んどの兵士が火傷を負っており鎧や服も一部焼け焦げていた

 

 

 

…その傷の負い方はストームやEDF隊員達には見覚えがあった。そしてお互い返事がないまま気まずい沈黙が数秒続いた。

 

 

「…フォウ?」

 

 

何の返事も聞かれない為、今度はフランス語を喋れる2-1指揮官が声を掛けようとしたその時、兵士達が次々と剣を抜き槍を構えて鬼気迫る表情を見せながら叫び始めた。

 

 

 

「ヒッ……!て、敵襲!敵襲ぅー!!!」

 

 

《あー、やっぱり英語はまずかったよなぁ》

 

 

ロマンが少し席を外してる間に勝手に無線に参加してるエンジニアが呑気にそんな事を言うが現場の兵士たちはマシュ達に戦闘態勢を取って取り囲み始めた。

 

 

 

 

「え!?何がまずかったんですか!?」

 

《だって英語は敵国イングランドの公用語だぞ?》

 

「…そうでした。これは私の失敗です。挨拶はフランス語でするべきでした。」

 

 

「どうしますか?発砲しますか??」

 

 

周りを囲んで戦闘態勢を取るフランス兵達に対してレンジャー達が銃を構えている。フランス兵達はレンジャー達が持っている武器には見覚えがなくそれも彼らの疑念を抱かせる要因になっていた。

 

 

「そういえばこの時代に銃はあったの?」

 

 

「手持ちサイズのか?えーと…中国だったら火槍…今で言うハンドキャノンがあったがここまでコンパクトな物でもない。中世のヨーロッパに関しては大砲はあるけど俺達の使ってるライフルの起源たる小銃が本格的に運用され始めたのは確か1470年以降のオスマン帝国が始まりだった筈だ。だからまだこの時代のヨーロッパには銃という概念すら…」

 

 

「歴史の授業は後にしな。んでどうするんだマスター?」

 

 

《ヤッホー、手が空いたから様子を観に……って、何で周りを武装集団に取り囲まれてるんだい!?》

 

「ちょっとした手違いよ…」

 

《何で手違いでここまで殺気立ってるんですか!?》

 

 

周りのフランス兵達に囲まれたレンジャー達は円陣防御で全方位のフランス兵を狙ってその中にマシュ達を入れている

 

 

《い、いきなり荒ごとか!しかも相手は手負いと言えどフランスの精鋭!ま、まぁ取り敢えず落ち着こう!その世界は隔離された状態だ。何が起きてもタイムパラドックスは発生しないから、ここで戦闘になっても問題はないだろうけど》

 

 

「精鋭と言っても皆手負いじゃない?アーチャーの兵士達の武器で倒せないの?」

 

 

メディアがストームに聞くとストームは一応出来ると

 

 

「そりゃあ…まあ…コイツらの鎧は鉄や革だ。レンジャーの一斉射撃で……」

 

《……いや、それでも現地人との争い事は避けた方がいい。下手すれば今後の調査に支障をきたす事になりかねない》

 

 

確かに来たばかりでいきなり現地人と敵対は避けたいのだが…その現地人たる周りのフランス兵達は今にも飛び掛かってきそうでレンジャー達も引き金に指を掛けて今にも一触即発の様相を呈している。

 

 

この殺伐とした空気に耐えかねたマシュがロマンに声を掛ける。

 

 

「ドクター!こう言う時の為のフランスジョークとか知らないんですか⁉︎」

 

 

《ぼ、ぼっちだから知るもんか!でもちょっと考えさせて……!小粋な冗談を思いつけばいいんだろう?うーん……ハッ!》

 

 

 

マシュ達のこの状況を打開する策をマシュから聞かれて必死にを考えていると、何かを思いついたのか自信ありげに言い放った。

 

 

《その帽子、ドイツんだ⁉︎…なーんて…ね?》

 

 

…その場の空気が凍り付いた。立香とマシュは顔が仏のように固まりオルガマリーは顔をひくひくとさせて他のサーヴァント達やレンジャー達も皆目を閉じて…コイツに期待したのは間違ったと悟った。

 

 

 

そしてフランス兵達の反応は…

 

 

「な、何だかよく分からんが、何処からともなく軽蔑な声がする…!総員構えろ!コイツら怪しいぞ!」

 

 

余計こちらに疑念を抱かせる原因になった。

 

 

 

「すみません、先輩。ドクターに期待した私が間違ってました。」

 

「……マシュのせいじゃないよ、でもやっぱりドクターはドクターだったね」

 

「そうねロマニはやっぱりロマニ……帰ったら話があるわ?」

 

「まあ、ある意味期待を裏切らなかったと言うことで」

 

「それフォローになってねぇぞストーム」

 

「これでもう向こうは完全にやる気みたいだぞ?」

 

「やっぱりマカロニみたいな名前の奴はダメですね…」

 

「じゃあ殺っちゃっていいかしら?」

 

 

《やっぱりアンタ社交性は最悪だな…》

 

 

《ぐはぁぁあ…!!》

 

 

 

全員からの慈悲の欠片もない言葉の攻撃にロマンはバターン!とそのまま床に倒れてしまった様だ。

 

 

 

 

「まてまて!ここで現地人との敵対はまずい!!」

 

 

 

もう仕方無いからやるか…と言う雰囲気になっていたところを軍曹が慌てて止めた。ここが特異点で普通の人類の世界ではない以上現地人との敵対は何が何でも避けたい。

 

 

「そうは言っても軍曹…連中ドクターのせいでやる気になっちゃいましたよ?」

 

 

「だからと言ってここで現地人を敵に回すと後々厄介な事になりかねん…!!」

 

 

すると軍曹の訴えを聞いていたマシュが落ち込んでいたが顔を上げて

 

 

「確かに軍曹さんの言う通りです…ここはやはり現地人を傷付けるのはマズイと思います!なのでここは……!」

 

穏便に済ませる方法を考えようとするマシュにおお?と皆が注目する。

 

 

 

…そうして弾き出された結論が…!?

 

 

 

 

 

「彼らを抑えるため、こちらから先制攻撃しましょう!」

 

「キリエライトお前もか信じていたのに…!?」

 

 

躊躇なく大盾をフランス兵に構えをこちらからの先制攻撃を宣言するマシュを見て軍曹は頭を抱えた。

 

 

 

「え?本当に殺っちゃっていいの?」

 

「いや殺すのはまずいだろ?峰打ちなら何とか穏便に済むんじゃない?」

 

「全員捕まえたら私が生まれてきてから今日までの記憶を全て消しましょう。それで騒ぎにはならないで済む筈よ?」

 

「いやメディアそれはちょっとやり過ぎじゃ…」

 

 

 

最早話し合いの余地なしと悟った軍曹も仕方無いと腹を括り…

 

 

「…レンジャー2-1、威嚇射撃を行え」

 

「この状況じゃ普通に撃った方が…」

 

 

「そういう事ではない。威嚇射撃で怯んだところをキリエライト達が峰打ちするというのは?」

 

「あ、もう軍曹もその案でいきますか?」

 

《ええい、仕方ない!こうなったら峰打ちだ!極力流血ナシの方向で!峰打ちで行こう!》

 

 

 

「あ、復活した」

 

「コイツさえ余計な事を言わなけりゃなぁ…!!」

 

「もういい、過ぎた事を言っても仕方無い!!」

 

 

隊員Bの愚痴を軍曹が止めてフランス兵達が襲い掛かってくる直前に

 

 

バババババ!!

 

 

レンジャー2-1の隊員達がフランス兵の足元にアサルトライフルを撃った。

 

 

 

「うわ!?な、何だ!?」

 

「これは…魔術か!?」

 

 

 

「やっちゃえ!マシューカー!!」

 

「はい!…ってマシューカーって何ですか!?」

 

レンジャー達の威嚇射撃にフランス兵達が怯んだ隙にストームに突っ込みを入れながらマシュ、エミヤ、リリィ、メドゥーサが飛び掛かった。

 

 

 

「おーおー…凄いねぇ」

 

「貴方は手を出さないの?」

 

 

襲ってくるフランス兵を投げ飛ばすマシュを見て笑っているストームにメディアが話し掛けた。

 

 

 

「んー?俺らはダメだよ。人間とは殆んど戦った事ないもん」

 

「…周りの兵士はそうだけど貴方は違うように見えるのだけど?」

 

 

エミヤがフランス兵達の装備を弾いて蹴り飛ばす光景を他所にメディアがジーッとストームを見つめると

 

 

「さて?何の事かな?」

 

「…無意識だったかしら?貴方あのフランス兵達を見た時にどうやって殺そうかなって顔をしていたけど?」

 

 

 

 

「クソぉ!?何だコイツらはぁ!?」

 

 

「《魔女》の仲間か!?」

 

 

 

(…魔女?)

 

 

 

こうしてボコボコにされたフランス兵達は形勢が不利だと分かると負傷者を担いで急いで走り去っていく。

 

 

 

「あー…逃げられたなぁ」

 

 

「人数が多いとは言えこんなにアッサリと引くもんなのか?」

 

 

「どうやら拠点まで引いたな…追い掛けるか?」

 

 

いつの間にか戦列に加わっていたキャスターが杖を肩に担いでフランス兵達が走り去る様子を見ながらエミヤはマスターに追撃の有無を確認する。

 

 

「う…うん!追い掛けよう!私達は敵じゃないって誤解を解かないと…」

 

 

「今のところフランス側にも死者は出なかったし今なら話し合いで解決出来そうね…直ちに追跡するわよ!」

 

 

立香とオルガマリーの掛け声に続いて全員がフランス兵達の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてフランス兵達の後を追っていると村が見えてきた…いや正確には建物の残骸の様な物が見えた。それに辺りも酷い山火事があったように木々が焼けた後になっていた。

 

 

 

「あれは建物の残骸…山火事でもあったのかな?」

 

 

「そう見えるか…戦闘があった後のようだぞ?」

 

 

「え?…」

 

 

一行は村の外で足を止めてストームがレンジャーに安全確認を取るように指示を出す。

 

 

命令を受けたレンジャー2-1と2-2が村に入って安全の有無を確かめようとしたがその惨状に絶句した。

 

 

 

「これは…!?」

 

 

 

建物があった場所は徹底的に破壊されて本来黄金色に輝いている筈の田畑は燃やされたあとで炭しか残っておらず…家畜も《何か》が食い散らかした後しか残っておらずそこにウジや小バエが集まっていた…そして何よりも人らしき焼死体がちらほらと転がっていた…。

 

 

《…クリアです…これをクリアと言って良いのか分かりませんが…》

 

 

 

「少なくとも敵は居ないんだな?了解した…マスター、あの中は戦争経験者の俺達ですら目を覆いたくなる酷い状態になってるが…迂回するか?」

 

 

 

「先輩…」

 

 

ストームが一応迂回するか尋ねたが立香は若干の震えは見えるが強い眼差しで

 

 

「……ううん、このまま進むよ。それに何か情報を得られるかもしれないし…」

 

 

「そうか…分かった。ここを通ってフランス兵達を追うぞ」

 

 

マスターの決断に他の者達も従って前に進む。

 

 

 

「これは…!?」

 

 

「…山火事で逃げ遅れたって訳じゃねぇな?」

 

 

 

立香達も改めてがるは惨劇の光景に絶句していた…その中で軍曹とストームが何やら話をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「…この破壊の形跡は見覚えがあるぞ」

 

 

「ええ…このやり方は恐らく…しかし《タットボウル》にしては……これは奴等よりも…」

 

 

 

「…お前が《後世》で戦った奴らか?」

 

 

 

ストームが軍曹からの問いに静かに頷いた…

 

 

 

忘れもしない…脳裏にくっきりと残っているあの光景を……ウイングダイバー処か戦闘機をも上回る飛行能力を持ち重火器並みの火炎放射…そして圧倒的な数……当時奮戦し何とか持ちこたえていたEDFの地上軍に突如として襲い掛かり壊滅寸前に追いやり…生き残っていた人々を焼き殺し食い殺して…ああ…そんな光景を見て俺は…

 

 

 

 

 

 

 

「ヴゥ…オェエ…!!」

 

 

 

「な…何よ藤丸この程度……ごめん私も…ウップ…!」

 

 

「せ…先輩!?オルガマリー所長!?大丈夫ですか!?」

 

 

 

……あんな初心な反応したっけな?…ああ、もう思い出せねぇや

 

 

「…貴方は平気なんですね?」

 

 

「ん?」

 

 

俺が皆に心配されて介抱されている立香を見てるとメドゥーサが静かに声を掛けてきた。

 

 

 

「…私ですら多少は動揺する…でも貴方はこの光景に対して表面上は驚いても内側の感情の変化が微塵も見られない」

 

 

 

「…ま、見慣れてるからね」

 

 

 

「見慣れてるって…」

 

 

 

「あとねぇ…」

 

 

 

メドゥーサが喋ろうとした時ストームがマスターの元へ向かう瞬間にメドゥーサの耳元で…

 

 

 

「俺達が《加害者》だった時もあったからね」

 

 

 

「…!!」

 

 

それだけ言い残してストームは皆の輪に戻っていき…その背中に背負っている物の断片を聞いてしまったメドゥーサはそれ以上口を開くのをやめた。

 

 

 

その様子を見ていた軍曹やレンジャー達も同じ様な表情を浮かべて…あの地獄を知ってればこの程度の光景など俺達の心には大して響かないさ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな昔話を思い出しながら廃墟になった村を後にして一行は退却したフランス兵達を追って彼らの拠点らしき砦を発見する事に成功した…が

 

 

 

「…こりゃ酷ぇな…」

 

 

《中がボロボロじゃないか……外壁はそこそこ無事だけど…これは…最早砦とは呼べないぞ…》

 

 

ドクターの言葉通り外壁もそうだが本来一番強固に出来てる筈の正門も破壊されて開けっ放し。しかもその中からは至るところに倒れ込んでいる負傷兵達の姿が見える。

 

 

「怪我人だらけ…どうして休戦中じゃないの…?」

 

 

「そうですね。戦争中では無いはずなのに……。1431年、フランス側のシャルル七世がイギリス側に付いたフィリップ三世と休戦条約を結んで筈です。」

 

 

「小規模な軍事衝突や小競り合いはあったかもしれないがここまで激しくやり合う事は…」 

 

エミヤがそう話していると外にいる我々に気付いたフランス兵が

 

 

 

「ひい…!?貴様らここまで追ってきたのか…!?」

 

 

 

フランス兵は慌てて剣を抜こうとしたがマシュは今度こそフランス語で話し掛けた。

 

 

「ボンジュール、私達は旅の者です。あなた方に危害を加えるつもりはありません。どうか武器を収めて下さいムッシュー」

 

 

「た…旅の者だと…敵ではないのか…?だが…貴様らどう見ても…」

 

 

「ああ、我々は傭兵団だ。この戦争で小遣い稼ぎをしたくてな」

 

 

 

「よ…傭兵だと?この状況下でよくもまあ…」

 

 

マシュと共に軍曹が矢面に立って話し始めるとフランス兵はアッサリと剣から手を離した。

 

 

《む。案外簡単に信用したね。藤丸くん達の行動によるものもあるのかな?それとも…戦う気力が無いほど萎えきっているとか……?》

 

 

 

「その答えは恐らく後者でしょうね」

 

 

メディアが彼らの様子を見てそう話していると

 

 

 

「シャルル王はイングランド側と休戦協定を結ばなかったのか?」

 

 

軍曹がフランス兵に聞くとフランス兵は一瞬ポカンとして直ぐに息苦しそうに答えた。

 

 

「アンタら何にも知らないのか?戦争なんて昔話でイングランドはとっくに本国に撤退した……それに王は死んだよ。魔女の炎に焼かれた」

 

 

 

この答えにマシュ達は驚愕した。そして先ほど兵士達の言っていた《魔女》という単語に反応する。

 

 

 

「……死んだ……?魔女の炎に、ですか……?」

 

 

兵士は魔女の炎に関して聞かれて頭を抱えながら震えた声で話す。

 

 

「《ジャンヌ・ダルク》だ。あのお方は《竜の魔女》となって蘇ったんだ。」

 

 

《じ、ジャンヌ・ダルクだって……!?》

 

 

「彼女が竜の魔女となって蘇えり、その襲撃を受けたイングランドや同盟国の軍はとうの昔に撤退…だが、俺たちはどこへ逃げればいい?ここが故郷なのに…畜生ッ!!どうすることもできないんだ…!!」

 

 

フランス兵は無念、絶望、悔しさ…様々な感情の入り交じった叫び声を上げた。

 

 

 

 

 

 

ジャンヌ・ダルク

 

 

 

…歴史に疎い人間でも一度は聞いたことがあるだろう…《救国の聖女》…フランスの国民的英雄で世界で最も有名な聖人の1人である。17歳でオルレアンの奪還を成し遂げてその後様々な偉業を成し遂げて、劣勢であったフランスを覆したが…彼女の最期は悲惨な物でコンピエーニュの戦いでブルゴーニュ公国軍に捕縛されてしまいその後引き渡しによりイングランドの捕虜となり彼女は審問にかけられた結果、拷問と屈辱の限りを与え、最期はイングランド側に内通していた審問官に異端者に科せられる火刑に処され僅か19年の生涯に幕を閉じた。

 

 

 

「その後名誉回復が行われて、400年後には正式な聖人として認定されました。無力な少女の思いが世界を変えた――その例で言うなら間違いなく彼女は最高級の英霊です」

 

「でも聖女にも認定された彼女が何故そんな事を…?」

 

「………オルガマリー、歴史の勉強したなら彼女の最期は知ってるだろ?」

 

 

オルガマリーの疑問にストームが皮肉っぽく話し掛けた。

 

 

「それはイングランドに…」

 

 

「先に言っとくが俺はジャンヌの功績は否定しない。寧ろ尊敬に値する。だが問題はその最期だ。

 

ジャンヌを捕まえたのはイングランド軍ではなく同盟軍だったブルゴーニュ公国軍…だが同盟軍とは言え中世の戦争は金さえ払えば捕虜は返して貰えた。それはジャンヌ・ダルクも例外じゃない。にも関わらずシャルル7世はジャンヌの身柄引き渡しに金は出さない処か介入すらもせず見殺しにしただろう?…全く酷い話さ、誰のお陰で王になれたと…」

 

ジャンヌはフランスに裏切りに近い見捨てられ方をしたとストームが語ると…

 

 

 

「そ…それは……となると…彼女は……!?」

 

 

「あんだけフランスに尽くしたのにフランスは彼女を見殺しにした。そりゃ報復の1つや2つしたくなっても不思議じゃない」

 

 

「…確かにねぇ…あんなに尽くしたのにそれだけの仕打ちをされたなら仕返しの1つや2つくらい許しても良くないかしら??」

 

 

 

ストームの言葉にメディアが共感を覚え…慌ててその2人を立香が諫めようとした直後に

 

 

 

《皆、注意してくれ!複数の魔力反応がこちらに向かってる!少量の魔力による人体を用いた使い魔……骸骨兵だな》

 

 

 

「ああ、メディアのよく使う奴らか?」

 

 

「違うわよ私のは竜牙兵よ。一緒にしないでくれるかしら?」

 

 

ロマンからの警告と同時に砦の見張り台に置いてある鐘が鳴り始めた。

 

 

「敵襲ぅ!!!敵襲だぁ!!!」

 

 

 

砦が一気に慌ただしくなった。砦の中からは動ける兵達は武器を持って出てきてそれぞれ持ち場に着く。そして、ロマンの警告通り、骸骨兵を集団が現れ始めた。

 

 

《今度はさっきとは違う。思う存分、暴れていいぞ、みんな!》

 

 

「分かってます!」

 

 

「いいや、お前らが出るまでもない。あの程度は俺が片付ける」

 

 

 

皆が武器を構え始めた時にストームが全員に下がるように話す…周りのレンジャー達も警戒はしているが武器は構えてない。

 

 

 

 

「ほーう?何となく覚えてるがまさかあのかんしゃく玉とか言うやつか?」

 

「な!?ちょっとストーム…!?」

 

 

「生憎あれはまた次にな…?俺が使うのはこらさ」

 

 

 

 

そう言ってストームはレイシフトした最初から持っていた武器を構えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタンピードM1

 

 

 

 

 

 

 

ボシュッ!

 

 

 

 

 

放物線を描いて飛来するグレネードの雨が骸骨兵の集団に降り注ぎ骸骨兵達は次々と粉々に粉砕されていった。

 

 

 

ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!!

 

 

 

「うわ…凄いな…!!」

 

 

「な…こんな一瞬で…!?」

 

 

 

 

「…相変わらず単純な武器だなこれは」

 

 

 

ストームがそれだけ呟いて再びリロードして再度スタンピードのグレネードを発射した。

 

 

精密さを必要とせず、ただ広範囲に大量の爆弾を降らせられればいいというコンセプトで開発されたランチャーから放たれ微かな着色煙を引いて降り注いだ砲弾が一斉に炸裂し、全てを粉砕した。同時多発的に発生する強烈な圧力と熱量の暴力によって、あらゆるものが引き千切られ、焼き尽くされた。

 

 

……この平等に降り注がれる破壊力…《アイツ》もよくこんなもん作ったよなぁ…

 

 

 

 

 

 

こうしてたった2発で骸骨兵達は粉々に跡形もなく粉砕された。

 

 

「おおう…俺達の出番は無かったな…」

 

「その武器あとで見せて貰っても…」

 

「やめとけエミヤ…あの武器は……」

 

 

 

 

 

「…アンタ……」

 

 

 

「お、所長どうだった?」

 

 

プルプルと震えるオルガマリーにストームが感想を求めるが…。 

 

「そんな真面目な爆弾飛ばすのあったらあっち(かんしゃく玉)じゃなくてこれを使いなさいよぉおおおおおお!!」

 

 

「なぬ!?かんしゃく玉をバカにしてんのか痴女所長!?」

 

 

「んなぁ!?これは貴方の所の正式装備だって…!!」

 

 

「いや見た目がダメだ。ウイングダイバーの連中はもっとスタイルが…」

 

 

「…そうなの…そんなにぶち殺されたいのぉおおお!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、アンタ…アイツらを一瞬で…!?」

 

 

 

先ほどの兵士が驚きながらオルガマリーと喧嘩しているストームに声を掛けた。ストームはそれに気づいて笑って大した事ではないよと答えるが…その笑みもフランス兵には若干の恐怖を覚えた。

 

 

「それより、もう一度一から説明をお願いします。ジャンヌ・ダルクが蘇ったというのは本当ですか?」

 

 

 

マシュからの問いにあぁ…とフランス兵は正気に戻り

 

 

 

「オレはオルレアン包囲戦と式典に参加してたからよく覚えてる。髪や肌の色は異なるが、あれは紛れも無くかつての聖女様だ。イングランドに捕らえられ、火刑に処されたと聞いて俺たちは憤りに震えたものさ。だが、彼女は蘇った……悪魔と取引して!」

 

 

兵士は再び頭を抱えながら嘆いた。

 

 

 

ストームとキャスターは髪や肌の色は異なるという言葉に冬木のセイバー……アーサー王の事が脳裏に浮かんだ。

 

 

 

彼女もリリィと同一人物だが髪や肌の色が透けており……

 

 

 

 

「悪魔、とは?……先ほどの骸骨兵のような?」

 

 

 

マシュからの問いに兵士は首を横に振った。

 

 

「いや、アレじゃない。アレだけなら俺たちだけでも対処できる…あんな骸骨どもより厄介なのは…」

 

 

フランス兵が言葉を続けようとした時

 

 

「くそ、やっぱりだ!来たぞ、迎え討て!!」

 

砦の上にいた弓兵が空を見上げながら皆に叫ぶ。それを聞くや否やマシュと話をしていたフランス兵が敵を撃退して一安心して座っている兵士たちを無理やり起こし始めた。

 

「ほらほら立て立て!ドラゴンが来たぞ!抵抗しなきゃ食われちまうぞ!」

 

 

「ど…ドラゴンですてぇ!?」

 

 

 

「総員射撃用意!こちらストーム2!ミサイル兵装のニクスを要請する!!」

 

 

ドラゴンという言葉を聞いた立香達は耳を疑うが今度はEDF隊員達も即座に迎撃態勢を取る。そこへ再びロマンからの通信が入った。

 

 

《君たちの周囲に大型の生体反応!しかも、速い……!》

 

 

 

マシュ達の見上げた空からはこちらに猛スピードで急降下して来る黒い無数の影が映った。

 

 

赤色や緑色の堅固な鱗。巨大な両翼。獰猛な牙と爪。そして雷鳴のような雄叫びに思わずフランス兵達の体は恐怖にすくみ動けなくなったそんな中でマシュ達は迎撃態勢を取る。

 

 

「こりゃ今度こそ俺達の出番だな!!」

 

 

「な…何よ…!?本当にドラゴンなの…!?」

 

 

「厳密に言えば、アレは《ワイバーン》と呼ばれる竜の亜種体です。間違っても、絶対に十五世紀のフランスに存在していい生物ではありません!」

 

 

「スナイパー射撃用意………撃てぇぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メドゥーサの言う通り俺はあの程度の破壊跡では何も感じない。それは生前の戦争でも同じだった。

 

 

あの戦争では後期になると既に軍人と民間人の区別はつかなかった。そして彼らを気にかけてやる余裕すら無かった。結果的にどうなったかって?

 

 

爆撃や戦闘に巻き込まれて死ぬ者がいれば、それらは《全て》戦死者に数えられた。

 

 

それで兵士達の罪の意識は軽くなった…いやもう罪の意識なんて心にあったかも分からないけどな…

 

 

 

……俺も開戦当初は民間人だったよなぁ…?

 

 

ああ……となると俺も一歩間違えればあの焼死体の様な末路だったのかな?

 

 

そんなIFを考えながら俺は目の前に迫ってくるワイバーン達を見てスタンピードM1の砲身を一撫でしてやってから閉まった。




スタンピードM1

ショットガンのように、複数の擲弾を発射して何かに接触した瞬間に起爆するグレネードランチャー。あたり一帯をまとめて爆破するため、敵を群れごと吹き飛ばせる。「横撃ち」「縦撃ち」「接射」の3つの使い道がある。うまく使い分け・使いこなしが出来るようになると殲滅力や汎用性が飛躍的に向上する。

…ストーム1はこの武器に関しては複雑な感情を持っているようだが……











《ああ…ストーム1があの武器を使ってくれたんだ…


素晴らしいでしょうあの火力?引き金を引いた事により放たれる音はまさに死神の息吹…私の《娘》は全てを圧倒的かつ徹底的な面制圧が可能にした最高のグレネードランチャー…お前の期待に見事に答えて見せただろう?

忌々しい始まりの黒蟻、突撃しか脳のない赤蟻と緑蟻、ウイングダイバーの天敵たる蜘蛛どもだって…私の娘は全てを粉砕し焼いた。蛙も…ドローンも…ビルに隠れた宇宙人とその中に隠れた哀れな難民も…逃げ遅れた難民達に群がる虫どもだって『丸ごと』粉々にして見せた……ああ…お前のその顔は忘れられない…早くここから出してくれないか…?》







ナポレオン将軍が我がカルデアに来てくれました!fgoをやっていらっしゃる方は配布サーヴァントは誰にしましたか
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