……すまん
「…お前が謝るなんて嫌な予感が……」
一行が聖杯とそれを持つセイバーの元へ行軍する途中ストームがオルガマリーの横に
「なあ、所長」
「な…何よストーム?」
「…アンタもここまで頑張ったな」
「……え?」
……今目の前の兵士は私に何て……
「何だ?てっきり褒めて欲しいのかと思ったぜ?」
「いや…貴方…だって」
「なあ!マスター!所長は良くやってるよな!?」
ストームが気前良く声を掛けると
「はい!右も左も分からない私達を所長がここまで行動方針を打ち立てて導いてくれました!
何よりも…所長がストーム達を召喚しようと言わなかったら私達多分キャスターに会う前に死んでました」
立香が笑って私に『ありがとう』と頭を下げてお礼を言った。
私……褒められ…た…?
「…ふぐぅ……そ…それはぁ…カルディアのぉ…所じょうどじで……!!」
「あ!?ストームが泣かせた!!」
「はあ!?これ俺のせいなのか!?」
「ストームさん…女性を泣かせるなんて……」
「マシュ!?」
「ストームさん…これは擁護出来ません」
「り、リリィ!?」
「あーあ…女を泣かせるなんて男として最悪だな?」
「キャスター!?」
《ストー「黙れ軟弱モヤシ男お前には何も言われたくない」…僕も泣くぞ………グスン》
今まで…時計塔の魔術師だって、カルデアのスタッフだって、誰にも褒めて貰えなかった……皆に認められたいと思って頑張ってきたのにいつの間にか皆に威張り散らして…遠ざけて……
やっと…やっと…褒められた…やっと認めてもらえた…!
「…向こうに着くまでにその涙は拭っとけよ?」
「わがっでるわよ…ズズ………ストームは急にどうしたと言うの?」
「………別に、マスターばかりに目がいってたから我らがカルデアの所長にも労いの言葉が必要かなって?」
その時のストームの顔は優しく穏やか…だけど少し違和感があったような気がした…だけどその時の私は人から褒められたという実感に浸かってしまってそれに気付けなかった。
「…ストーム、貴方には私をオルガマリー所長と呼ぶことを許しましょう」
「マリーはダメか?」
「……調子に乗らないの」
「了解、オルガマリー所長殿」
「殿もいらない」
そして遂に最奥までたどり着いた一行。大聖杯を確認したオルガマリーが、驚いた様子で話し始める。
「これが大聖杯…超抜級の魔術炉心じゃない…なんで極東の島国にこんなものがあるのよ……」
《資料によると、制作はアインツベルンという錬金術の大家だそうです。魔術協会に属さない、
「悪いな。お喋りはそこまでだ。奴さんに気付かれたぜ」
キャスターに言われて視線を大聖杯のある丘のような場所の上に向けると小さな人影があった。
リリィと比べると薄い金髪。彼女とは正反対で首元まで身体を覆う漆黒の鎧。
そして地面に突き立てられている剣もまた刀身まで真っ黒で巨大な魔力を帯びていた。
まさに全てがリリィとは真逆の存在であった…。
だが違いは2つあった。1つはその眼だ。無垢で愛らしいリリィとは対照的で鋭く冷徹な眼でこちらを見下ろす。
そしてもう1つ何よりもリリィに無いものがあった。それは国を治め、あの円卓の騎士達を率いたる『王』の圧倒的な覇気だった。
「なんて魔力放出…あれが、本当にリリィの成長した…あのアーサー王なのですか…?」
《間違いない。何か変質しているようだけど、彼女はブリテンの王、聖剣の担い手アーサーだ。やっぱりリリィと同じ様に伝説とは性別が違うけど、何か事情があってキャメロットでは男装をしていたんだろう。ほら、男子じゃないと玉座にはつけないだろ?お家事情で男のフリをさせられてたんだよ、きっと》
「いやぁ…リリィもそうだがあれで男と言い張るのは無理があるんじゃね?リリィはそこら辺どうしたの?」
「え?私の頃は特に…それに私はマーリンから『色々と無茶ができる今ぐらいは自由に、身を軽くして戦うべき』と言われてこのドレスを頂いたのでそのまま着ています」
《うーん…多分宮廷魔術師の悪知恵だろうね。伝承にもあるけど、マーリンはほんと趣味が悪い》
「マーリンって?」
「アーサー王に選定の剣を抜かせて王に導いた魔術師…だったか?高校時代に『ブリタニア列王史』を読んだが詳しい事はもう忘れた」
少し前まで一般人の立香と神話や伝説に興味のないストームはマーリンを嫌悪してる理由がピンと来なかった。
《ストームの言う通りだよ。アーサー王の相談役であって王を導いた魔術師…ただかなりのトラブルメーカーでね…》
「こら、英霊の講義はまた今度よ」
何やら話が脱線し始めていたのをオルガマリーが止めた。
そしてキャスターから警告が出る。
「見た目は華奢だが甘く見るなよ。アレは筋肉じゃなく魔力放出でカッ飛ぶ化け物だからな。一撃一撃がバカみてぇに重い。気を抜くと上半身ごとぶっ飛ばされるぞ」
そりゃあサーヴァントだし…ましてや修行途中のリリィではなく完全なるアーサー王相手だとそうなるわなぁ…
「ロケットの擬人化のようなものですね。…理解しました。全力で応戦します。」
《ロケット…の…擬人化…?》
「絶っっっ対やめろよ!?」
「どうしたの!?」
「…嫌…何でも…ない」
…勘弁してくれ…マジで勘弁して…!!
「?…まあ、ヤツを倒せばこの街の異変は消える。いいか、それはオレもヤツも例外じゃない。その後はおまえさんたちの仕事だ。何が起こるかわからんが、できる範囲でしっかりやんな。」
そう言って一同が構えてセイバーと対峙した瞬間
「――――――まさか『私』がそちら側にいるとはな、それに随分と面白いサーヴァント達がいるな」
こちら側を見ながら突然…底が見えない冷めた声でこちら側に喋り掛けてきた。
「なぬ!?テメエ、喋れたのか!?何で今までだんまり決め込んでやがった!?」
どうやらキャスターはセイバーが喋れる事を知らなかったのか慌てて杖を構えながら何故黙ってたか問い質す。
「ああ。
…見られている?他にサーヴァントがいるのか?…それにどうやら彼女はマシュの宝具に心当たりが?っとそう考える暇も与えて貰えず
「さあ構えるがいい、名も知れぬ娘。近代史の兵士、…偽りの私よ!その守りが真実かどうか、この剣で確かめてやろう!」
その瞬間に地面に刺していた黒い剣…エクスカリバー・モルガンを抜いて丘から飛び降りてきた。
…ん偽りの?…
「来ます――――マスター!」
「はい!マシュ・キリエライト、出撃します!」
「先手必勝だ!心理戦術を行うぞリリィ!!」
「は…はい!」
皆がいざ決戦!と意気込む中でストームが心理戦術と叫んだ瞬間にリリィもストームの元へ駆け寄る。
「え?いや何してるの!?」
「マスター予備のヘアゴム貸してくれ!リリィ!さっき言った事は覚えてるな!?」
「へ…いや構わないけど…!?」
「は…はい!勿論です!ではいきます!!」
そう言ってセイバーは一度髪をほどき立香から貰ったヘアゴムを借りてツインテールになった
「む…?…貴様…!?」
ん?何か心当たりがあるの??
ごほん!…と1つ咳払いをして
「び…美少女英霊セイバー⭐️ナイツ!あなたの
スマイル♪ウィンク♪!
ピキッ!!
……周りの空気が氷付いた…あ、リリィも流石に恥ずかしいのかプルプルしてる。
「…クッ!!」
《え!?効いてるの!?》
黒いセイバーは頭を押さえて思わず膝を着いた…
「おかしい…!あんなものしたこともない筈なのに…!?何故私の精神がこんなに揺らいでいる……!?」
《その戦術…最高じゃないか!!》
「黙りなさいロマン!!」
「ストーム!?何処でそんなこと知ったの!?」
「何か知らないが戦略情報部の言う通り効いたぜ!!」
恐らく戦略情報部がアーサー王の史実を調査して見つけてくれた弱点なんだろう!!
…ええ、セイバーの書物(Fate/Zero 黒 雌鳥第1話)から発見致しました。
…でもそれ以前にリリィがやるとすなわち本人の昔の黒歴史が追加されるのと同義だよな?(黒笑
「お…おのれぇ!王を愚弄しおってぇぇ!!」
次の瞬間思いっきり立ち上がり大気が震え上がるのをこの場に居た全員が感じた。セイバーの持つ聖剣の刀身に莫大な魔力が集束していく。
やがて空気が震え出した…これは…!?
「おっと!?宝具を放つつもりだぞ!!」
「皆さん!私の後ろに!!」
マシュがそう叫ぶと盾を前に構えて地面が抉れるぐらいに踏ん張った。
この時ストーム1は右手に《レーザー照準器》を握っておりそれを地面に撃っていた。
卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め!
黒いセイバーはその堕ちた聖剣に込められし闇を放つ。
グォォォォォオン!!
闇の光は津波のようにこちら側に…全てを無に返すかの如く押し寄せてきた。
「宝具を展開します!!」
仮想宝具 疑似展開
人理の礎《ロード・カルデアス》!!
マシュはセイバーからの攻撃に対して白亜の結界を展開させ押し留める。
「くうぅぅぅぅうううう!!」
「マシュ踏ん張れ!!」
「マシュさん!!」
マシュは吹き飛ばされまいと全力で踏ん張る…しかし聖杯の力を得た黒いアーサー王の砲撃は凄まじく…徐々に押され始めた。
「マシュ!!」
「せ…先輩!?」
そこに立香がマシュの盾を一緒に押さえ始める。
「皆!マシュに力を!!」
「おう!任せろ!!」
「マシュさん!!」
「オルガマリーはオオトリで」
「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!?」
そこにキャスター、リリィ、ストーム、最後に所長まで加わって…皆の力添えを得たマシュは守るという彼女の意志が更に白亜の壁を強固なものとした。
「…ふむ…見事だな」
――そして、カルデアの皆は力を合わせて見事だ闇を打ち消した。そこには周りが焦土と化している中でマシュとマスター達が無傷で立っていた。
「ハァ……ハァ……やり、ました…!!」
「凄いねマシュ!!」
「流石マシュさんです!!」
「まさか…聖杯の力も入ってる宝具の攻撃を防げるなんて…!?」
「だから言っただろ?嬢ちゃんの盾はアイツと相性が良いって!!」
皆が手放しで褒め称える中で…黒いセイバーは再び聖剣に魔力を込めていた。
「嘘でしょ!?もう宝具の発射体制に入ってるじゃん!?」
「そりゃ当然だ!アイツは聖杯から無尽蔵とも言える魔力を得てるんだからな!!」
キャスターが牽制して止めさせようとしたが…
「待て!俺に考えがある!!」
「ん?何だストー…何してんだお前?」
ストームの方を見たらレーザー照準器を下に照射している姿が…そして。
《神をも滅する光の槍よぉぉ!!》
「来た!いくぜ黒いセイバー!!」
「……!!」
セイバーが前に構えるより先に照準器を向ける方が早かった…レーザー照準器を構えられたセイバーは聖剣で守りの構えを見せるがそれより先にストームのレーザーが当たった…しかし何も起こらないソレに黒いセイバーは顔をしかめて
「……ん?何のマネだこれは??」
「ふん…これはちょっとした……」
ゴゴゴゴゴゴゴ……!!
…何やら洞窟の天井から音が鳴り響く…ここは工房も兼ねてそんじょそこらの攻撃ではびくともしない筈だ…
「…何だ?」
「…あれ?サテライトブラスターにしちゃ何か……」
ストームも何やら違和感を抱いた瞬間その瞬間…セイバーのいた場所に
ドゴン!!
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
「ガァァアアアアアアアア!?」
「「「「「!!???」」」」」
セイバーが赤いエネルギー光線の雨あられに襲われた!
着弾していく度にクレーターが出来上がりそれが広がっていく…スプライトフォール…いやそれでも威力でかすぎ…このレーザー薄ピンク色じゃん!?これまさか!?
「おいぃぃい!?これラグナ・ブラスターじゃねぇか!?」
《そうよぉ!?総司令部が恐れ、封印した力♪あはははははは!!》
「馬鹿か!?また俺が怒られるだろうが!!」
本当はサテライトブラスターで上に穴を空けてそこからテンペストを撃ち込むつもりだったのに…!!
「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「ひ…酷い…!」
「アンタ…これは…流石に敵とはいえ…」
「ど…ドン引きです…!」
《な…嬲り殺しだ…》
「おめぇ…何てエグい魔術を……」
「う…おえええ……!!」(口元押さえてる
「待て!これは魔術と言うか…!俺のせいでもないし…!…リリィ大丈夫か…!?」
いや皆ドン引きですやん…!俺のせいじゃないよ!?これはあのチキチキババアのせいです!!
あとリリィ吐かないで!そりゃ未来の自分がこんな嬲り殺しになってるところなんて見たくなかったでしょうが…!!
《……あーこちらバレンランド、テンペストの発射は中止しますか?》
こちら側のやり取りを聞いていたバレンランドからテンペストの発射はどうすると聞いてきた。
《この兵器を作った人は天才ね…!!》
あ、照射終わっ…うっわ……
着弾地点はクレーターの穴が広がっており更に深くまで…セイバーの姿は…あ、あった…けど鎧はおろか魔力を込められて作られてる筈の魔術礼装も粉々に砕け散っており…ちょっと…何か…色々見えそう…!
…いやもうこれ止めの必要ないよなぁ……
「そうだな発射は…」
ストームはやめようとしてふと黒いセイバーが言っていた事が頭に引っ掛かった。
《何を言っても見られている。故に案山子に徹していた》
「……いや待て、発射態勢のまま待機だ」
《了解、テンペスト発射態勢のまま待機!》
…つまり黒幕がここにいるのか?
「…ガハッ!…終わりは呆気なかったな…いやまさか聖杯を持ってしてこんな一方的な戦闘になるとは」
「は!?嘘だろ!?まだ生きてるのか!?」
ラグナ・ブラスターが直撃したんだぞ…!?いくらサーヴァントとは言え消し炭になっても可笑しくない筈なのに…!?
「バレンランド!テンペストを…!!」
「待てストーム、奴はもう虫の息だ。アイツが消滅してねぇのは奴は聖杯から無尽蔵に供給されていた魔力を全て防御の為に使ったからだろ…まあもう消滅し始めてやがるが」
キャスターが慌ててテンペストを呼ぼうとした俺を止めた…キャスター顔が真っ青だぞ?え?何…もうこれ以上やめてくれ?
「…だってあの無尽蔵の魔力を持つ聖杯の力をフルパワーで死に損ないになったんだぞ?これ以上何を求めるんだ?」
あ、はい
「フン…こうしてあの天空からの地獄の雷から生き長らえているのは聖杯のお陰か…結局、どう運命が変わろうと、私ひとりでは《同じ末路》を迎えるという事か……」
「あ?どういう意味だそりゃあ。テメエ、何を知っていやがる?」
黒いセイバーの物言いにキャスターが問い質そうとするがそれを嘲笑うかのように
「いずれ貴方も知る、アイルランドの光の御子よ。
含みを持たす言葉を最後に黒いセイバーは…今までのサーヴァント達とは違い黒い光ではなく金色の光に包まれて消滅した。そしてセイバーが消えた場所から水晶体が出現する。
「オイ待て!それはどういう…っておぉお!?ここで強制帰還かよ!?まだ聖杯確保してねぇぞ!?」
キャスターの身体も同様に金色の光が包み始めて徐々に身体が光に熔けていく。
「チッ、納得いかねえがしょうがねえ!ストーム!リリィ!一緒に戦えて楽しかったぜ!特にストーム、てめぇの未来の武器には驚かされた!!」
「はい!こちらこそ…キャスターさんと肩を並べて戦う事が出来て…素晴らしい体験をさせて頂きました!!」
「かのアイルランドの大英雄と戦えて光栄だった!今度会うときはゲイ・ボルクを見せてくれ!!…欧州に派遣された時に現地のEDF兵やイギリス兵から聞いたことがある!アンタは今でも伝説の戦士として語り継がれてるぜ!!」
あの絶望的な戦場で…彼らはケルトの大英雄《クー・フーリン》の様に強くなれと教えられていた。
「ハッ!そりゃ良いことを聞いた!そんでお嬢ちゃん達!あとは任せたぜ!」
「はい!私の宝具の修行の手解きをして頂きありがとうございました!!」
「ええ!こっちは任せて!!」
「俺は本当に魔術師ってのは柄じゃねぇんだ!次があるんなら…そん時はランサーとして喚んでくれ!!」
そう言ってキャスターもまた、金色の光をまとい消えていった。
「セイバー、キャスター、共に消滅を確認しました…私達の勝利なのでしょうか?」
《ああ、よくやってくれたマシュ、立香ちゃん!所長もさぞ喜んでくれて……あれ、所長は?》
せっかく勝利したというのにオルガマリーは何やら考え込んでいた
「…
「…どうかなさいましたか?」
難しい顔で考え続ける所長に立香が声を掛けるとハッ!?として
「…あ、そ、そうね。よくやったわ…あらキャスターはもう還ったの?…別れの言葉を伝え忘れたわ…
藤丸、マシュ。不明な点は多いですが、ここでミッションは終了とします。まずあの水晶体を回収しましょう。セイバーが異常をきたしていた理由・・・冬木の街が特異点になっていた原因は、どう見てもアレのようだし。」
オルガマリーはホッとしてあとは聖杯を回収して撤収。
それでこの特異点は元の形に戻る。
「はい、至急回収―――な!?」
マシュが聖杯を取りに行こうとした矢先…丘の上にいる物に驚愕した。
「いや、まさか君たちがここまでやるとはね。計画の想定外にして、私の寛容さの許容外だ。」
そこに先ほどセイバーのいた丘の上から男性の声が聞こえた。
…そこにいたのはモスグリーンのタキシードとシルクハットを着用し、ぼさぼさの赤みがかった長髪で紳士的な印象を与える人?だった。
「48人目のマスター適性者。まったく見込みのない子供だからと、善意で見逃してあげた私の失態だよ。」
「?あれは誰だ??」
「レフ教授!?」
《レフ―――!?レフ教授だって!?彼がそこにいるのか!?》
いやだから誰やねん…!?
するとそれを察したマスターが声を掛けてきた
「カルデアの技術顧問の人だよ…でもあの人爆破事故現場の直ぐ近くにいたからてっきり死んだって…」
ほー…俺が召喚される前の話しか…あ、そういえば何かそんな奴がいたって話をしてたな。確かオルガマリーの腹心か?
声の主は、カルデアの緊急事態の最中、管制室で亡くなったと思われていたレフだった。
「うん?その声はロマニ君かな?君も生き残ってしまったのか。すぐに管制室に来て欲しいと言ったのに、私の指示を聞かなかったんだね。まったく―――」
次の瞬間ニッコリとした顔が一気に目が見開き
「どいつもこいつも統率のとれていないクズばかりで吐き気が止まらないな。
人間というものはどうしてこう、定められた運命からズレたがるんだい?」
…うわ顔怖いと言うかキモい!!というかあんなにいかにも自分が黒幕ですって体現できる奴おらんぞ!?
するとその異常にマシュが盾を構えて皆の前に立つ。
「―――!マスター、下がって…下がってください!あの人は危険です!…あれは、わたしたちの知っているレフ教授ではありません!!」
いや、こんな明らかにヤバそうな奴に近付きたい奴なんて…
「レフ・・・ああ、レフ、レフ、生きていたのねレフ!よかった、あなたがいなくなったらわたし、この先どうやってカルデアを守ればいいか分からなかった!」
うせやろ…!?
そんな明らかにヤバそうな奴の元に駆け寄るオルガマリー。
「所長…!?いけません、その男は…!!」
オルガマリーを止めようと、マシュもまたレフの元へ向かおうとするがストームに阻まれる。
「!?す、ストームさん!あの人は…!!」
「待て!…アイツは危険だ…落ち着いて隙を見計らえ…」
というか出てきた時点で敵のレッド反応出てるし…しかも何か…アイツ…人間なのか…?
「やあオルガ。元気そうでなによりだ。君も大変だったようだね」
…チッ!こいつオルガマリーと話しながら俺を見て…正確にはラグナ・ブラスターを警戒してるな…あの至近距離じゃ俺が少しでも動いたらオルガマリーが…
しかしオルガマリーはそんな事もつゆ知らず…いやもうそんな考えすら頭に入ってきてないな…
「ええ、ええ、そうなのレフ!管制室は爆発するし、この街は廃墟そのものだし、カルデアには帰れないし!予想外の事ばかりで頭がどうにかなりそうだった!でもいいの、あなたがいれば何とかなるわよね?だって今までそうだったもの。今回だってわたしを助けてくれるんでしょう?」
ちょっとオルガマリーさぁぁん!?冬木において誰がここまで守ったんですかねぇ!?
いや俺じゃなくてもせめてマスターとマシュを頼れよ!?
「ああ。もちろんだとも。本当に予想外のことばかりで頭にくる。その中でもっとも予想外なのが君だよ、オルガ。爆弾は君の足元に設置したのに、まさか生きているなんて」
…おいおい…マジかよ…まさかカルデアの…彼女の腹心が黒幕だとはねぇ…
「―――――、え?…レ、レフ?あの、それ、どういう、意味?」
「しょ…所長…が?」
「亡くなっている…?」
「そ…そんな…!?じゃあ目の前にいるのは…!?」
「………こればっかりはアイツの嘘ではなかったか」
「いや、生きている、というのは違うな。君はもう死んでいる。肉体はとっくにね。トリスメギストスはご丁寧にも、残留思念になった君をこの土地に転移させてしまったんだ。ほら。君は生前、レイシフトの適性がなかっただろう?肉体があったままでは転移できない。わかるかな。君は死んだ事ではじめて、あれほど切望した適性を手に入れたんだ。
だからカルデアにも戻れない。だってカルデアに戻った時点で、君のその意識は消滅するんだから。」
レフの言葉にオルガマリー所長が信じられないといった表情となってレフを見上げる。
「え・・・え?消滅って、わたしが・・・?ちょっと待ってよ・・・カルデアに、戻れない?」
まるで死人のように顔面蒼白になるオルガマリーの姿が面白おかしいのか笑いが止まらないレフは
「そうだとも。だがそれではあまりにも哀れだ。生涯をカルデアに捧げた君のために、せめて今のカルデアがどうなっているか見せてあげよう。」
そう言ったレフの手により、後ろの大聖杯がカルデアの管制室、カルデアスの目の前に風景が変わる。
…マグマの様に真っ赤に染まったカルデアスが映ったのだ。
「な…なによあれ。カルデアスが真っ赤になってる…!?嘘、よね?あれ、ただの虚像でしょう、レフ?」
「おい…あれは何だ?」
「そんな……あれは…《地球環境モデル・カルデアス》…星の魂を複写しているもので…つまりあれが燃えてるって事は…!?」
「……あー…それで俺が呼ばれたのか…」
…ここで星の命を3回も救った《全人類の英雄》ストームは自分の存在概念すらないこの世界でサーヴァントとして呼ばれた理由を理解した。
「本物だよ。君のために時空を繋げてあげたんだ。聖杯があればこんな事もできるからね。」
そしてレフは声高らかに嗤いながらオルガマリーにこの『現実』をぶつけた。
「さあ、よく見たまえアニムスフィアの末裔。あれがおまえたちの愚行の末路だ。人類の生存を示す青色は一片もない。あるのは燃え盛る赤色だけ。あれが今回のミッションが引き起こした結果だよ。良かったねぇマリー?今回もまた、君のいたらなさが悲劇を呼び起こしたワケだ!」
レフがそう言い放つと未だに混乱しているが所長が断片的に状況を理解したのか泣きながら…怒りをレフにぶつけた。
「ふざ―――ふざけないで!わたしの責任じゃない、わたしは失敗していない、わたしは死んでなんかいない…!アンタ、どこの誰なのよ!?わたしのカルデアスに何をしたっていうのよぉ…!」
オルガマリーの怒りにレフはギリッと奥歯を噛み締めて彼女を睨み付けた。
……レフがオルガマリーに気を取られてる…ストームは無線機を着けた。
「アレは君の、ではない。まったく―――最期まで耳障りな小娘だったなぁ、君は。」
レフが左手を振ると所長がゆっくりと宙へ浮き始め制御の効かない突然の出来事に所長は困惑する
「なっ…体が、宙に―――何かに引っ張られて―――!?」
「所長!?」
皆もまたその光景に呆気に取られ…立香とマシュが所長目掛けて走り出す。ストームは所長に全ての注目が集まった隙に直ぐ小声で指示を出した。
「……バレンランド。テンペストを発射せよ、先程ノートゥングに設定した座標に撃ち込め。あとはこちらで誘導する」
《了解!テンペスト発射!!》
「言っただろう、そこはいまカルデアに繋がっていると。このまま殺すのは簡単だが、それでは芸がない。最後に君の望みを叶えてあげよう。君の宝物とやらに触れるといい。なに、私からの慈悲だと思ってくれたまえ。」
「ちょ―――なに言ってるの、レフ?わたしの宝物って・・・カルデアスの、こと?や、止めて。お願い。だってカルデアスよ?高密度の情報体よ?次元が異なる領域、なのよ?」
《こちらスカウト6、目標を確認しました》
「射線を確保したら撃て」
《了解、チェック…レディ……》
「ああ。ブラックホールと何も変わらない。それとも太陽かな。まあ、どちらにせよ。人間が触れれば分子レベルで分解される地獄の具現だ。遠慮なく、生き――」
《ファイア》
ズドォォオオオン!!
シュン…!!
「……あ?」
それは一瞬だった
一瞬でレフの着ていた人間に化けていた名残の強力で多少の攻撃ではびくともしない魔力礼装も用心の為に張っていた結界も何の意味も成さず…レフの体の胸から下が消えた。
《ストリンガー、目標に命中》
《ラグナ・ブラスター》
EDF最強の軌道攻撃用レーザー兵器。
レーザーを照射した地点周辺に無数のエネルギー弾が発射される。
目標は地上からレーザー照準器による照射で弾を誘導可能。
爆発する上に貫通性能が高い。《奴ら》の旧型・大型輸送船や四足要塞さらにマザーシップの装甲すらも貫いた(ゲームだとハッチを開いた時のみ)
余りにも強力すぎる兵器故にEDFではこの兵器に関する記録は全て抹消され衛星管理レーダーからも消滅させて忘れ去られようとしたが……
ストリンガー
高い威力と貫通能力を備え一撃必殺を目的としたシリーズ。一発撃つごとに長めのリロードに入るがその威力はライサンダーをも凌駕する。
これの最終進化系のj9を二挺持ちすれば巨大生物の出ないミッションは大体これでクリア出来る←作者個人談
いやラスボス戦がこんなに呆気ないのは今回だけです…多分
《あのチキチキババアにストーム1また騙されたんだとさ》
《まさかラグナ・ブラスターぶっ放すとはなぁ…》
《戦術士官の人の顔が般若になってた『ストーム1マジぶち◯す』って》
《…アイツはポーターズの姉さんと一緒に相手にせにゃならんのか?》
《あ、ストーム1から連絡だ》
《え?何…客を入れる準備をしろだぁ?》
《何だこの命令?》
《分からん、伍長頼めるか?》
《了解です軍曹…でもそろそろ《奴ら》来ちゃいますよ?》