FAIRLY TAIL〜妖精軍師に愛されし者〜   作:しぐ

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メイビスがヒロインの二次ぱっと見少ないよね。


プロローグ
出会い


 彼女と出会ったのはいつだろう。

 枯れた世界で、彼女は泣いていた。

 

「ッ!? 来ないで!」

 

 周りの命が枯れていく。

 ああ、彼女は優しいのだろう。必死になって、俺が死なないように気遣っている。 

 一歩、歩を進める。三歩、後退る。

 嫌だ嫌だと首を振りながら、大粒の涙を流し拒絶の言葉を叫ぶ。

 

(無差別に命を刈り取る力……嫌だな)

 

 敵を殺すのならまだいい。愛した人も、友達も、全てを平等に殺す力は、危険極まりない。

 その危険性がこの少女もわかっている。だからこそ無関係な俺を遠ざけようとする。

 ああ、気に食わない。

 

「やあこんにちは。君の名前を聞かせて欲しいな」

 

「な、何で……」

 

 枯れゆく世界で、俺と彼女は出会った。

 死にゆく世界で死なない俺と、小さな死の世界で一人涙を流す少女との邂逅だ。

 

「何で? そりゃあ、俺が最強だからだよ」

 

 不遜に、傲慢に、その答えは彼女の笑いを誘ったらしい。

 泣き顔で、頬を緩める彼女はとても可愛いと思った。

 

「……ふふっ、そうですか」

 

「安心したところで、君の名前を聞かせて欲しい」

 

「そうでした。私はメイビス・ヴァーミリオン。メイビスとお呼びください」

 

「俺はラクナ。ラクナと、そう呼んでくれ」

 

 

 

 

 色々話した。

 メイビスがギルドの長である事や、無差別な死をばら撒くようになった原因、命を奪ってしまった事。

 

「私は……もう、ギルドには帰れません」

 

「ギルドか……俺は所属した事ないからわからないけど、楽しい?」

 

「はい! それはもう──」

 

 話し出したメイビスは止まらない。ギルドで何をしたとか、こんな事があったとか、楽しい事、悲しい事、どんな事があってもギルドなら……家族なら超えていけると楽しげに話した。

 ひとしきり話して、満足げに笑うメイビスの目には、涙が浮かんでいた。

 

「あれっ、違っ。違うんです。これは、涙なんかじゃなくて……」

 

「いいんだ。泣きたきゃ泣いていい。なんなら俺の胸を貸そう。ほら、おい──」

 

 ぽすん、と飛び込んできたメイビスはしばらく泣いて、泣き疲れたのかそのまま眠っていた。

 

「……あーあ、服がびちゃびちゃだ」

 

 だが、この小さな少女の悲しみを受け止められたのなら安い代償だろうか。こんな小さな身体に合わないほどの大きな悲しみを背負って、一人で抱え込んできたんだ。

 

「安らかな寝顔だ」

 

 服の裾を掴んで安心したように眠るメイビス。すり減った心が、少しでも満たされてくれればいい。この子の生きる糧になれば。

 

 

 

 

 

「ギルドを作ろう」

 

 朝、メイビスが起きて顔を真っ赤にしながら言い訳を重ねているのをぶった切って、そう言った。

 

「ギルド……?」

 

「ああ、この場所で、俺たちだけのギルドを作ろう。そうすれば、家族だ。なっ?」

 

「届け出をしないと、闇ギルドなんですよ?」

 

「えっ、あー、それは……どうしよう」

 

「なら、ラクナも、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入りませんか?」

 

「俺が?」

 

「そうです。私は一応初代ギルドマスターだったんですから。そのくらいの権限はあります」

 

 そうだ、と手を叩く。

 

「ここを妖精の尻尾(フェアリーテイル)支部としましょう! 支部長は私、メンバーはラクナです!」

 

 一も二もなく頷いて、それから、この枯れた世界でメンバー2名のギルドは設立された。

 ガリガリと木の板に妖精の尻尾(フェアリーテイル)支部と書き、固定したら完成だ。

 

「何も無いですね……」

 

「それはこれから作ったらいい。時間はたっぷりあるのだから」

 

 そうだ。時間はいくらでもある。

 

「じゃあ配置を考えましょう!」

 

 最適な配置を──とブツブツ呟くメイビスとの時間はこれからもたくさんある。まあ、のんびり行こうじゃないか。

 

「まずはギルドからじゃないか?」

 

「あっ、忘れてました!」

 

 ちょっと抜けてるんだよなと笑いながら、

 

「俺にも考えさせてくれよ!」

 

 一人で考えるよりも、二人の方が楽しい。誰だって孤独は辛いものだ。形はどうであれ人と接するのは心を保つ上では重要だ。メイビスのすり減った心が、どうか元に戻りますように。




フェアリーテイル熱が高まったので書きました。
メイビス可愛いよメイビス。
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