アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた 作:Archangel
あの後、デスシャドウ島の医務室から戻ると執務机に置かれた書類の量に眩暈を覚えましたわ。
いっそ全てを放り出してアルカディア号さんと街へ繰り出そうかと思いましたが、まだ何も言わない内から事務官?艦?の大淀と筆頭秘書の大和が海老ブル一氏も真っ青になる程の表情を向けてきたので止めておきましたわ…。
一斉にため息をつき、三人で『たれぱんだ』状態になりながら業務に取り掛かります。
「提督~、もう少しシャキッとなさって下さい。横須賀第一鎮守府の指揮官がそんな事じゃだめです~。」
「そうですよぉ、それにこの間も縁談を断ってしまったんですって? 少しはこの大和に回して下さいよ、全く。そんなこと繰り返していると行き遅れになる可能性大ですからね。」
「ぐっ、行き遅れ以外はアナタ達にそっくり返してあげますわ。それに横須賀の大淀や大和が机に垂れてるなんて知れたら
それから二時間ほど経った頃でしょうか?
ようやくティータイムという頃、アルカディア号さんが顔を出して下さったのですわ。
花火さんから預かっているとタウイタウイで採れた南国フルーツを大和、いえ山と入ったカゴを持って。
「まあ、こんなに?
「そこが花火だ。同じ指揮官として中将閣下の気苦労も手に取るように分かるのだろう。それにいかなる時でも花火は他人に対しての思いやりは忘れない娘だ。」
「ええ、気苦労ばかりですわ。ずっと監視の目が光っているだけでも…。」
そう言って大淀と大和に目をやります。
「そうか。俺にできる事があれば言ってくれればいい。なんなりと…。」
「本当ですか?!では息抜きに行ってみたいお店がありますの。今宵の食事、付き合って下さらないかしら?!」
やったわ!
自然な流れで上手くお誘いできたましたわ!
(自然な…、流れ?)
(大和には強引にとしか思えませんが。)
「構わんがこんな無法者でいいのか? 海賊船などを連れ歩いては中将閣下の評判や名誉に傷が付いてしまわないか心配だが…。」
「とんでもありませんわ! 今やアルカディア号さんは全艦娘、いえ海軍にとって憧れの英雄ですのよ? ほとんどの基地や警備府、泊地では演習で来られるのを待ちわびているとか。」
ただブラック鎮守府ではTVやモニターが無かったらしく彼の事を知らない艦娘達がまた大勢いるのも事実なのですけれど…。
まあ、彼を知らしめるきっかけとなった『鬼姫級十二隻による横須賀第一鎮守府及び横須賀第二鎮守府急襲事件』を中継したウチの
「ではPM06:00にこちらにいらして下さいな! お待ちしていますわ!」
「そ、そうか。中将閣下のような美しい人からお誘い頂けるとは光栄だ。楽しみにしておこう。」
美しい?!
まあ自分でも分かっていましたけれど、アルカディア号さんのような方から改めて言われると照れてしまいますわね…(///)。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか彼はそのまま執務室を後にされました。
(いえ、絶対知らずだと思いますけど…。)
(ええ、大和もそう思います。)
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窓を開けているからでしょうか、居酒屋鳳翔の方からここまであの子達(戦艦娘と空母艦娘)のはしゃぎ声が聞こえてきますわ。
時刻を確認するとPM05:30。
いささか宴会に早いのではないかと思いつつ外を見ると丁度、夕日が落ち始めた頃。
春のお彼岸もひと月も過ぎた4月中旬だと、この時間でもだいぶ明るいですのね。
そして明るいのは外だけではありません、私の心もですわ!
ああ、早くPM06:00になりませんこと?!
私の名前である『菫』色のワンピースにローヒール。
その出で立ちの自分を何度も鏡に映しておかしなところが無いかチェックしていると、大淀から一体、何度確認されたら気が済むのですかと呆れられましたわ。
大和と交代した高雄からはウロウロしないで下さい、床が減りますなんて言われる始末。
「そんなこと言ったって…。枝毛なんか気になるでしょう?」
「そんなトコ、男の方は気にしませんし気が付きません。」
お、大淀…、アナタそんなに辛辣だったかしら?
「そうですね、そんな事より歯紅やストッキングの伝線にはこまめに気を配って下さいね。」
彼は足フェチらしいのでいっそ素足の方が良いのではと高雄。
歯紅は何度も確認していますし、素足も試してみたのですが、ちょっと艶めかし過ぎて勇気が出なかったのですわ。
そして仕上げに香水を思った矢先、大淀が私の手を止めました。
「提督、アルカディア号さんは女性の匂いが大好物なんです。そのままで勝負して下さい。」
な、何ですって?!
大淀、あなた何処からそんな情報を?!
「私達が殿方の匂いに反応するのと同じです。若い異性の匂いというのはそれだけで武器になるんですよ。」
この時は半信半疑でしたが、後で大淀に感謝する事になるとは思いもしませんでしたわ(笑)。
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「ここか。暖簾も看板も出てないが…。」
アルカディア号さんが首を傾げていますが無理もありませんわね。
ここは退役した先代の鳳翔さんと伊良湖さんが営まれている会員制のお店です。
艦娘とその一部関係者以外は門をくぐる事が出来ませんし、一見すれば大きな純和風の邸宅ですから普通の人は分からないでしょう。
「先代、お久し振りですわ。」
「いえ、こちらこそご無沙汰いたしております中将閣下。」
出迎えてくれた先代の鳳翔さんがアルカディア号さんに目を向けましたわ。
表情こそいつもの鳳翔スマイルですが、じっと何かを観察するような視線が彼に注がれます。
「成程そちらの方が…。」
「宇宙海賊船アルカディア号だ。なにやら俺には不相応な場所のようだが…。」
「いえ、中将閣下がお連れされたのなら何もいう事はございません。十分信頼に値するお方のはずですから。では、ようこそ艦娘専用料亭『料(理)山泊』へ。」
そう言うと先代は私達を離れの一室へと案内して下さいました。
それからは緊張するも楽しい時間でしたわ!
アルカディア号さんとのお喋りも楽しかったし、次々と運ばれてくる料理も絶品でしたし言うこと無しでしたわ(少々、値が張るのが痛いですが…)。
少し飲み過ぎて失敗したと思いましたが、おかげで帰り道は彼に寄り掛かって歩く事が出来たので良しとしないといけませんわね。
というかさっきから青葉がチョロチョロと…。
もう少し上手に隠れなさいな。
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「本当に申し訳ありませんでしたわ。私とした事がつい飲み過ぎてしまって…。」
鎮守府内にある私室のソファーに座らせてもらう頃にはかなり酔い醒めていました。
ですがもう少し酔ったふりをしておきますわ。
え? 何ですの? あざとい?
おかしな事を仰るのね。
これは駆け引きですわ、駆け引き。
「中将閣下。」
アルカディア号さんが隣に座りました。
ああ、殿方の匂いがたまりません!
そしてそんな私に止めの一発が!
何と私を提督部門の側室筆頭にというお誘いですわ!
「一応、お伺いしますわ。正室はどなたですの?」
(やだ、何を言ってるの私! サッサとOKしてしまいなさいな!)
「正室は花火だ。閣下に側室とは甚だ失礼だとは思ったがどうしても諦められず…。」
やはり花火さんが正室なのですね。
まあ、彼女の可憐さは誰もが認める所ですから納得ですわ。
「もし、私が嫌だと言ったら次は誰に?」
ああ、もうどうして私ったらこんな時まで素直になれないのかしら?!
つくづく自分が嫌になりますわ。
「タチバナ閣下に頼もうと思う。」
「そう、マリアさんにね。それはもう彼女にはお話ししていらっしゃるのかしら?」
「いや。一度に複数に話を持っていくことは俺の主義に反する。」
「それは賢明な判断ですわね。で、私にというのは本気ですの?」
「もちろんだ。」
キタアアァァァ! さあ言質はとりましたわよ!
「分かりました。ではその本気を見せて頂けませんこと?」
やりましたわ、震え声にならず上手く言えましたわ!
「ん?」
「今…、ここで…、私を抱いてくださいな。」
アルカディア号さんの逞しい胸の中に顔を埋めます。
少し戸惑われたようですが、背中のファスナーが…(///)。
あとはもう彼に身を任せるだでけしたわ…。
まあ!
アルカディア号さんたら本当に私の匂いで元気を取り戻すなんて。
大淀の言った通りですわ。
でもどう考えても脇なんてイイ匂いだとは思えないのですけれど、ヘッドロックを極めるたび面白いように彼の分身は最大仰角に…(キャ)。
グラウンドの展開ばかりですけれど、これぞベッドの上でのプロレス(白いマットのジャングル)ですわ(笑)。
さ、次は腕ひしぎ逆十字固めですわよ。
顔全体でストッキング越しの足を十分に味わって頂きますわ、って…。
ぼ、暴発?!
ふーん…。そうなんですのね。
花火さん(正室)さえも知らないであろう大変な
※これで提督部門の側室筆頭が無事埋まりました。よって全ての大奥メンバーが出揃った事になります。
また機会を見つけて各自との距離を縮めるエピソードなんかも入れていけたらと…。
※白いマットのジャングル:タイガーマスクのOPです。知ってる人、いるかなぁ(笑)。
※花火さん(正室)さえも知らない:いやいや『すみれ』さん、『花火』さんはちゃんと知ってます(笑)。