アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた 作:Archangel
ついに陸軍が不穏な動きを始めたようです。
※『艦これ』2021年春イベント、ようやく終了しました。
新規実装艦は報酬のノーザンプトンとホノルルしか来ませんでした。
宗谷は何処に…。
未だ暗い中、始発列車を変引するC59型蒸気機関車が岩国の駅に滑り込んできました。
横須賀行きに関しては大淀から特急列車の使用を勧められるのですが、贅沢をすると
もちろん、他の提督さんによっては『つばめ』や『はと』といった豪華特急や『あさかぜ』・『さくら』といった寝台特急を使う方も多いです。
各自荷物を手に持ち無言で客車に乗り込みます。
やはり『赤城』も『伊勢』も『日向』もアルカディア号さんが同行しない事に納得していないのでしょう。
席に着き荷物を網棚へ載せると『伊勢』が口を開きました。
「ねえ、提督。本当にアルカディア号さんを連れて行かなくてかったの?」
「またその話ですか。今度は私が置いてく番だと言ったでしょう。」
昨日からその話ばかり。いい加減にして欲しいです…。
私が彼を置いていくという話は直ぐに柱島第七泊地に広まりました。
そのせいで当日の秘書艦である『赤城』はおろか『鳳翔』『妙高』『武蔵』『長門』『大淀』達からも御高説を頂戴する破目に。
さらには
「アルカディア殿は提督を守るにはここに残すのが一番だと判断したのだ。決して提督が疎ましくておいて行ったのではないのだぞ。そこは分かっているのか?」
日向の言う事は分かっています、分かっているんです。
ですからこれは私が気持ちの整理を付けられるかどうかなんです。
そのための時間が欲しいだけなんです。
「まあ、何かあった時は独自の判断で働いて頂けるみたいですから。」
「甘いぞ、赤城。いくら未来の宇宙戦闘艦といえ瞬間移動できる訳では無いのだ。彼がいないという前提で北大路提督を守り切る算段を立てておかねばならん。」
「
お饅頭を口に入れたまま幸せそうな顔をして返事をする赤城。
そういえば昨日のお昼過ぎに、明石と夕張から渡された新鋭の艦載機である戦闘攻製機を受け取っていましたっけ。
「これがX‐ウイング。綺麗な翼、この子達なら!」
そう言って目を細めていた彼女と妖精さん達は、夕方にはもうある程度まで扱えるようになっていました。
赤城と瑞鶴は天才肌という点では非常に良く似ています。
ある程度までは何となく感覚でできてしまうので、努力はそこからで済んでしまう。
加賀も翔鶴もまずあの二人が感覚でできてしまう所までの努力が大変だと…。
そんな事を考えていると汽笛が鳴り列車が動き出しました。
電車やディーゼルカーと違い、客車には走行用モーターやエンジンは付いていないのでリズミカルなレールの通過音が良く聞こえます。
「もういいでしょう。長旅なのですから今のうちに少しでも寝ておく事、良いですね?」
無理矢理に話を切り上げ目を閉じると朝早かったこともあり、直ぐに私は眠りへと落ちて行きました。
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大阪までの乗り継ぎは岡山と神戸。
特に神戸から京都までは電車という電気で動く列車に乗れる区間は皆、物珍しさもあって誰も寝る事はありませんでした。
アルカディア号さんがこれからは電気の時代だと仰っていましたので鉄道もそのようになっていのでしょう。
大阪駅に着いたのが丁度お昼時。
昼食は『赤城』の希望でお好み焼きとなりました(笑)。
柱島第七泊地では広島焼を食す方が多いので純粋なお好み焼きは新鮮です。
さらにガイドブックから厳選したお店だけあって非常に美味しかったのですが、一体彼女は何冊ガイドブックを持ってきたのでしょう?
それも全て食べ物関係のガイドブックを…。
日向から呆れたヤツだと言われていましたが赤城自身は全く気にもしていない様子。
だって今度は横須賀のガイドブックに目を通し始めたのですから(笑)。
「あら、タチバナ中将ではありませんか。お久しぶりです。」
京都からは
舞鶴から湖西線でいらしたのですね。
あれだけ背の高いキレイな人ですから直ぐに分かります。
京都からは再び蒸気機関車による客車列車の旅です。
(その…、何だ。例の海賊船は一緒ではないのか?)
京都を出てからずっとそわそわしていた那智さんが日向にコッソリと聞いています。
もう、聞こえてますからね。
やっぱりアルカディア号さんの事が気になるんですか…。
「アルカディア号さんには残って頂きました。本来なら、護衛も赤城一人のはずだったのです。」
「そ、そうか。しかし意外だな、今回は陸軍のクーデターがあるやもしれんというではないか。てっきり今回もご一緒だとばかり…。」
私が何と答えようかと困っていると…。
「痴情のもつれってヤツね(笑)。」
マ、マリアさん?!
「ほう、良く知っているな。」
「私のところにだって『青葉』はいるわよ(笑)。」
マリアさんはそう言いますが、この分だと殆どの提督さん達に筒抜けでしょう。
青葉、帰ったら覚えておきなさい!
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ようやく横須賀に着いたときにはPM10:00を回っていました。
弾丸列車計画が実現するのが待ち遠しいという話をしながらホームへと降り立ちます。
「提督、何か変な感じがしないか?」
突然日向がおかしなことを言い出しました。
いえ、おかしくはないですね。
実は私もホームに降りた途端、違和感を持ったんです。
「ああ、私も列車を下りた時から感じていた。何がとは分からないが…。」
舞鶴第一の『那智』さんも用心深く周りを見渡しています。
「とにかく改札口へ向かいましょう。違和感の正体が分からない以上、ずっと駅にいるのは好ましくないわ」。
突然先頭を急いでいた
どうされたのでしょう、特に何も変わった所は無いように思いますが…。
取り敢えず乗車券を駅員さんに渡そうと取り出した時、私にも
改札にいるべき乗車券収受を行う駅員さんが居ないのです。
声を掛けようと目をやった駅事務所も『もぬけの殻』。
ここに至ってようやく全員が違和感の正体に気付きました。
そうです、駅員が誰もいない、いえ駅員どころか人っ子一人いないんです!
照明も意図的に間引くように消されており駅全体がいつもより暗くなっています。
さらに改札を出た
突然、後ろでチャキッという音がしました。
振り向くと銃を構えた
「タ、タチバナ中将?!」
どうして銃を向けられるのかわからず、固まっている私を那智さんが皆がいる後方まで引っ張ってくれました。
私がいなくなったにもかかわらず、タチバナ中将は誰もいない改札に、いえその先の暗闇に向けて銃を構えたままです。
「出てきなさい!」
剣を抜いていないにもかかわらず、凄まじい殺気です。
前に出ようとする護衛艦娘達を制止したタチバナ中将は私を連れて駅構内へ戻るよう指示をされました。
「私は残るぞ、
那智さんが艤装を展開しました。
「そんな、タチバナ中将を置いてなんて…。」
「二手に分かれた方がどちらかが無事でいられる可能性が上がるわ! 北大路大佐、これは命令です! 行きなさい! 早く!」
「提督!」
伊勢と日向が特別な瑞雲を展開させて駅構内へと走り出しました。
ところが跨線橋を登ろうとした時、日向が立ち止まったのです。
「はっはっは。どこへ行こうというのかね(笑)?」
そこには対艦娘専用銃を構え艤装を背負った陸軍の男性佐官が!
※鬼の面を被った剣士:あれ? ひょっとしたら…。
※何処へ行こうというのかね(笑)?:銃を構えたまま、これを言うと高い所から落下してしまうフラグが立つ可能性があるのでなるべく控えましょう。
※X-ウイング:スターウォーズに出て来る反乱軍の主力戦闘機。
戦闘時には両翼をX字型に展開して運動性能を上げることが出来ます。
決してグリザイアシリーズを世に送り出したゲーム会社ではありません
(そりゃフロントウイングだ)。