アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた 作:Archangel
無事任務を成功させる事が出来るのでしょうか?!
「「では行ってくるであります。」」
デスシャドウ島のブンカーで見送りの方々に敬礼を返す自分と神洲丸。
「気を付けて行きなさい。何かあったら直ぐに知らせる事、良いですわね?」
そう言って神崎提督が持たせてくれたのは緊急信号発信装置。
くれぐれも使う機会が無い事を祈るでありますが。
さらに二鎮のブルーメール提督からは無理をするな、任務困難となれば引く事も賢い選択肢であると念を押されたのであります。
お二人とも普段はとても厳しい方でありますが、その実は大変な部下と仲間想いなお方。
陸軍艦娘である我々にも同じように接して下さる素晴らしい指揮官であります。
それに比べて陸の連中(我々)ときたら…。
このあきつ丸、今回の件で陸軍には、ほとほと愛想がついたであります。
命じられても戻る事など無いでありましょう。
「神州丸さんも山口海軍大臣の事を頼みます。軍令部と横須賀とくれば大臣殿の御身も危険です、何としても無事にここへお連れして下さい。」
このような時にこそ私が動くぺきなのにと首を垂れる真宮寺長官。
「長官には長官のお役目がありましょう、ここは神州丸にお任せ下さい。」
貴女はいかなる時でも無事でいなければならい存在でありますから、と神州丸。
そして自分がカンテラを消すと同時に神州丸がフードを深く被り直しました。
こうして我々二人は間に紛れ、横須賀埠頭へ向け出港したのであります。
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同時刻、軍令部および横須賀第一&第二鎮守府。
突入した特殊部隊が明かりの付いた部屋のドアを乱暴に開けていく。
が、どの部屋もガランとして艦娘はおろか備品さえ殆ど無い。
軍令部突入部隊は大神元帥と真宮寺長官の部屋を、横須賀第一鎮守府突入部隊は神崎中将の部屋を、横須賀第二鎮守府突入部隊はブルーメール少将の部屋を特に念入りに捜索するも、隠れる場所は無く唯一、裏山の古井戸に繋がっている抜け道が発見されたのみ。
その通路も狭く机や本棚などはとても運び出せそうにない。
ましてや襲撃を受けてからの短時間で全員がここを通って脱出したなど考えられなかった。
「そんなはずがあるか!屋上は?! 探せっ、草の根を分けてでも探し出せいっ!」
無線機に向かって鬼のような形相で叫ぶ一鎮の襲撃隊長。
「何故だ、一体どうなっている?! 軍令部突入班は!? 二突入班は?!」
部下から報告を受けた隊長が壁を叩く。
「こちら軍令部突入部隊、大神・真宮寺はおろか艦娘一人としていません!」
「こちら二鎮突入部隊、同じくブルーメール提督も所属艦娘の姿は確認できず、もぬけの殻であります!」
状況は何処も同じという返答に一鎮の襲撃隊長は思わず床にヘッドセットを叩きつけていた。
「どうやらしてやられたようだな…。山崎少佐に連絡だ。」
一方、兵員輸送車の中、鎮圧部隊指揮官だけは事態を冷静に分析していた。
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「あきつ丸殿はどう思われるでありますか?」
無言で横須賀埠頭の端を目指していた我々でありましたが、神州丸殿がその静寂を破られました。
「どう、とは?」
振り返る事も無く聞き返します。
正直、今回の件は色々とあり過ぎて、自分も何を訊かれているのか分からないという始末なのでありますから。
「今回の件であります。黒幕は一体誰なのかと…」
「普通に考えればマゾーンの地球先遣隊が血気盛んな一部の輩を焚き付け裏から操っていると考えるのが道理でありましょうが…。」
成程、神州丸殿が気になるのは黒幕でありますか。
「が?」
縦列に航行していた状態から神州丸殿が隣に並んでこられました。
「自分は陸軍の一部がマゾーンを利用しようとしているのではと考えているであります。」
「そんな事が出来るのでありますか?! 相手は我々よりもはるかに優れた技術を持つ存在でありますよ?」
確かに彼女の言う通りゾーンは我々よりもはるかに優れた技術を持つ存在、普通の将官では到底無理でありましょうが…。
「ええ、ですから陸軍でもかなり頭が良く地位の高い人物、そして野心を持つ人物でありましょう。そして自分の知る限りそれはたった一人…。」
「それは一体…。」
神州丸殿の喉が鳴ります。
「京極陸軍大臣であります。」
「な、何ですと?! あきつ丸殿、滅多な事は!」
自分も憶測の域を出ないのでありますが…、と前置きしたにも関わらず神州丸殿は大変に驚かれた様子。
「ほぼ100パーセントの確率で間違いないでありましょう。ただ、普通に考えてマゾーン側が見抜けないはずが無い。逆に利用されているだけである気が自分はするのであります。」
「マゾーン側は知ってて泳がせているという事でありますか…。」
海面に視線を落とす神州丸殿。
自分と同じく今の陸軍にやるせなさを感じているのでありましょうな。
「自分も信じたくはありませんが、十中八九そうでありましょう。さ、埠頭に付いたであります。上陸するでありますよ。」
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あきつ丸と別れた神洲丸は横須賀駅を目指し埠頭をひた走る。
周りの気配を敏感に察知、そして自らの気配を消す。
隠密行動に掛けては川内型に匹敵、それ以上だ。
二人一組で展開する陸軍兵を後ろから気配を消して接近、無力化を繰り返していく神洲丸。
横須賀駅に着いた時には最終列車が出た後とあって陸軍兵の警備も随分と手薄になっていた。
「これは…、何たる僥倖。しかも牽引機はD51、これはツイているであります。」
留置線に目をやった彼女はそう呟くと線路脇から駅へと侵入する。
留置線に止まっているのは貨物列車。それも煙と蒸気の具合から直ぐに出発だろう。
そして貨物列車への接近は神洲丸にとっては造作もない事であった。
そのまま炭水車によじ登っていく神州丸。
D51型蒸気機関車はテンダー機だ。フードを被り身を低くすれば運転手と機関助手からも姿が見えることは無い。
哨戒の陸軍兵も気付く様子はなくノンビリと煙をふかしている始末。
十数分後、神洲丸を乗せた?貨物列車は汽笛と共に力強いドラフト音を響かせながら横須賀駅を出発して行った。
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ご武運をと拳を突き合わせ神州丸の背中を見送った後、打電するための適当な場所を探しに掛かります。
と、埠頭端に丁度良いコンテナの隙間が!
一刻も早く通信装置をセットし全鎮守府と泊地、ならびに基地と警備府へこの状況を知らせなくては!
が、この時、自分は通信装置の準備に気を取られ背後から近付く気配に気付けなかったのであります。
「がっ?!」
激しい衝撃を後頭部に感じた自分が見たのは通信装置が埠頭の先、海へと飛んで行った光景。
「このネズミめ。」
そしてもっとも
(む、無念…。み、皆、申し訳ない、であります…。)
※テンダー機
蒸気機関車は石炭と水を機関車本体に積んでいるタイプと炭水車という専用のカーゴをすぐ後ろに従えているタイプがあります。
これをテンダー機関車といい中型以上の機関車に多いです。前者はタンク機といい比較的小型の機関車によく見られます。
※もっとも聞きたくない声
大本営にいる『あきつ丸』達。基本、陸軍所属の陸軍艦娘なので陸軍の方針に従っています。
※通信装置が埠頭の先、海へと飛んで行った光景
あれれ、大変です!
これでは各地に現在の状況を知らせることが出来ません!