アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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※一方、アルカディア号が柱島を立つ少し前のデスシャドウ島では…。


第119話 軍令部(仮)編3(艦娘側:真宮寺さくら1)

 「長官、山口海軍大臣をお連れ致しました。」

 ドアが開いて神州丸さんと山口海軍大臣が入ってこられました。

 全員で弾かれた様に立ち上がり敬礼で迎えます。

 

 「大神君に真宮寺君、ここにいる神州丸君に話は聞いたよ。大変な事になったね。」

 開口一番、山口大臣は私達に向かって仰いました。

 同時に自身も危ない所だったと感謝をして下さったのです。

 

 「大臣、我々の現有戦力は海軍軍令部と横須賀第一&第二鎮守府の艦娘達です。これを多いとみるか少ないとみるかですが…。」

 軍令部も横須賀第一&第二鎮守府も現状確認されている艦娘は全て揃っています。

 普通に考えればかなりの戦力ですが、やはり艦娘の数と陸軍兵の数とでは比べ物になりません。

 それに陸軍兵が艤装を装備しているとなると数だけの不利ではないでしょう。

 

 「ここへ来るまでにも軍令部や横須賀第一&第二鎮守府はおろか町の至る所にチハの艤装を背負った陸軍兵がいて苦労したよ。」

 「神州丸君がいなければとてもここへは辿り着けなかっただろう。私としてはもっと戦力が欲しいと願うところだが…。」

 やはり大臣殿も数の面を不安視されておられるようですね。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 「ところであきつ丸殿は?」

 神州丸さんがあきつ丸さんの姿が見えない事に気付かれました。

 

 「念のため、隠密で貴様ら二人の後を追わせた『まるゆ』から別のあきつ丸に捕まったと報告があった。」

 

 「そんな! では他鎮守府や泊地への連絡は?!」

 焦る神州丸さんですが、神崎提督から二鎮の『まるゆ』さんがしてくれましたわ、と聞かされ少し落ち着いたようです。

 

 「こうしてはいられないであります! 一刻も早く全員の身柄を取り戻さないと!」

 彼女の言う事は尤もですが、『まるゆ』さんからの情報では拘束された提督達は大本営と帝都湾第二海保の二か所に分かれて収容されているらしく、救出部隊を二手に分ける必要があるのです。

 間違いなくアルカディアさんは大本営に乗込むでしょうから、ここ軍令部(仮)からは第二海保に囚われている提督達の救出を行う事が決定されました。

 現在、第二海保へ駆逐艦(小型艦艇六人)で突入を試みてはどうかという作戦が立案されつつありますが、事態はそう簡単ではありません。

 

 もともと第二海保は陸軍が外国船の帝都湾侵入を阻止するために見張り台として設置した構造物です。

 警備自体はそこまで厳しくない事から上陸が出来れば駆逐艦六隻でも十分なのですが、その手前に立ちはだかる『名波論島』の存在が厄介なのです。

 岩肌をくりぬいて作られた洞窟にはドーラ列車砲とグスタフ列車砲の艤装を付けた陸軍兵が居座っているらしく、第二海保へ向かおうとすれば間違いなくその巨砲が火を噴くと…。

 

 さらに岩で出来たこの島は四方を切り立った断崖絶壁で囲まれており船を着ける事の出来る場所はたったの一か所しかありません。

 そこには多くの陸軍兵が目を光らせており、正面切っての突入は不可能なのです。

 従って、第二海保へ突入し提督達を救出するためには、『名波論島』に居座る巨砲二門を無力化する必要があるのです。

 そうでなければ間違い無く六名の駆逐艦娘が海の藻屑となってしまうでしょう。

 艦載機を使って爆弾を放り込むという手段も検討されましたが、『まるゆ』さんの撮影した写真からは対空兵装が鬼のように設置されており文字通り難攻不落の天然要塞です。

 

 「警備の手薄さを考えると裏側の崖を登るしかなさそうね…。」

 ラチェット・アルタイル提督が島の写真を見て呟きました。

 

 「50m以上ある崖を登れたとして、そこから爆薬を仕掛けて撤収し脱出、その後に起爆装置による発破か…。」

 ブルーメール提督が大きく息をつきます。

 

 「ハードルはかなり高いと言わざるを得ないね。」

 ジェミニ太平艦隊総司令の言う通りですね。

 いえ、高いどころかほぼ不可能といっても良いでしょう。

 ですが可能性がある限り諦める事なんてできません。

 

 「神崎提督にブルーメール提督、お二人とも明石と夕張を呼んで下さい。ここにも第二海保と『名波論島』の見取り図があります。これを基にウチ(軍令部)の明石と夕張を含めた六名で技術的な事も含め、作戦の立案を致しましょう。」

 テーブルの上に見取り図を広げながら指示をすると、お二人とも直ぐにそれぞれの明石と夕張を呼んでくれました。

 

 「何が起こっているかは知っていますね? 陸軍はマルナナサンマル(07:30)までしか待たないと一方的な通告をしています。時間を逆算すると出撃はマルロクサンマル(06:30)、突入するメンバーは『白露』・『初春』・『朝潮』・『暁』・『吹雪』・『陽炎』の六名とします!」

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 突入メンバーを集め、作戦概要を説明すると一気に場は騒然となりました。

 

 「よーし、イッチバーンに突入してやるんだから!」

 

 「各地の提督達を拉致監禁とは…。この初春の怒りを買ったようじゃのう!」

 

 「この朝潮、必ずや突入を成功させてみせます!」

 

 「暁の出番ね、見てなさい!」

 

 「司令官達のために私、頑張ります!」

 

 「いよいよ私の出番ね。陽炎型ネームシップとして妹達に参考になる戦い方を見せてあげなくちゃ!」

 

 「その意気や良しです。ですが時間内に巨砲を無力化できなかった場合、貴女達は突入する必要はありません。巨砲の射程圏内に入る前に反転し帰投して下さい。」

 そう伝えるとまたしても騒然となりました。

 彼女達は全員、そのまま突入するべきだというのです。

 『まるゆ』さんからは、あの巨砲は見かけによらずレーダー射撃が可能らしく射程を抜け切るまでに全滅する可能性が非常に高いという情報が寄せられているというのに…。

 

 「黙りなさい。これは連合艦隊司令長官でもあり海軍軍令部直属艦隊の指揮官である私、真宮寺さくらの命令です。異を唱える事は許しません。」

 

 「帰ろう、帰ればまた来られるから…、ですわね。」

 神崎提督はそう言うと暁の頭をそっと撫でられました。

 暁自身は、『頭をナデナデしないでよ、もう子供じゃないって言ってるでしょ!』とプンスコしていますが(笑)。

 結局、これは中を取って大破艦が一隻でも出たら反転という事に落ち着きました。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 「まず、夜が明ける前に50m以上ある崖を登り切る必要があるわね。」

 夕張(二鎮)が『名波論島』の崖の写真を見ながら顎に手をやりました。

 

 「爆薬、起爆装置、リモコンを背負って、かぁ…。キツイわよ、これ。」

 溜息をつく明石(軍令部)。

 

 「何か崖をこうピューンと登れる機械、作れないの?」

 

 「無茶ですよ、そんなの。夕張さんこそ作れないんですか?」

 夕張(一鎮)のリクエストに明石(二鎮)が首を振ります。

 

 「取り敢えず、自動でハーケンを打てるだけでもかなり楽になると思うのよね。自動釘打機ならぬ自動ハーケン打機を作ったらどうかしら?」

 

 「じゃあ、私は腰に装備する艦娘用の小型ウインチを六台開発しますね。」

 夕張(軍令部)と明石(一鎮)が素晴らしいアイデアを!

 

 「となると暗視用ゴーグルも必要か…。」

 

 「歩哨を無力化となると持続力を持った麻酔弾も必要よね(笑)。」

 次々と開発をするモノと担当が決まっていきます。

 ですが爆薬を仕掛ける場所の選定で再び話し合いは暗礁に乗り上げてしまいました。

 

 「皆、ちょっといいかな?」

 沈黙を破ったのはレニ提督。

 

 「あれだけの大きな列車砲の艤装だ。当然、砲弾もかなり大きいと見ていいだろう。そんな大きな砲弾を岩山のかなり上にあるグスタフとドーラの周りに置いておけるとは思えない。」

 

 「どういう事ですの?」

 

 「神崎提督、もし僕の考えが正しいければ砲弾供給用のエレベーターで上に運んでいるはずだ。そのエレベーターに仕掛けてはどうだろうか。あんな岩山に急造で作るとなると間に合わせ的なものだろう。」

 

 「それだ!」

 私達全員の声が重なりました。

 




※名波論島
 さて何と読むのでしょうか(笑)?
 古いですが、結構有名な映画なのでご存知の方も多いのではと思います。
 救出に向かうのは駆逐艦六隻というのもここからとっています。

 勿論、日本はおろかエーゲ海にもこんな島は実在しません(笑)。
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