アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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帰還
第12話 帰還1(艦娘側:摩耶)


 (うわああ、早え、早えんだよ、クソがぁ!)

 アルカディア号に曳航され柱島第七泊地へと帰還途中のアタシ達。

 ラクだなー、なんて思ったのも束の間、三分後にはとんでもないスピードまで上がっちまった。

 これ絶対55ノット(時速100km)越えてんだろ!

 戦艦組も最初こそ楽しんでいたが流石に35ノット(時速65km)を超えたあたりからダンマリに。

 

 あろうことか途中ヤツが一度振り向いたので、こっち見んなクソが、と言ってやった。

 こんなスピード出してんのに余所見するんじゃねえよ、馬鹿じゃねぇのか?

 頼むから前向いてくれ。

 

 外湾から内湾に入った所でやっとスピードが落ちた。

 300mほど先に見える建物とガントリークレーン、それに続くブンカー、見慣れた景色に生きて帰ってこれた事を実感する。

 

 あれは…、瑞雲?

 飛んできた瑞雲に皆で手を振る。

 日向の周りを2~3週して帰っていったという事は伊勢のヤツか(笑)。

 

 お、ブンカーに人影が見えるぜ。

 あの特徴ある帽子、あれは高雄姉と愛宕姉だな。

 他にも伊勢・瑞鳳・金剛型に妙高型、青葉型や川内型、後は陽炎型と秋月型、それに提督まで。

 全くみんな心配性だなあ。

 何だよ、鳥海のヤツ泣いてやがんのか?

 普段口煩いクセにこんな時はダメなんだよなぁ、アイツ(笑)。

 

 「着ているモノからすると僚艦の連中か。随分と仲間想いだな。」

 

 「ええ、自慢の姉たちです。」

 

 「そうだね、でもそれは金剛型だけじゃないよ。」

 

 「川内さんの言う通りですね。絆は北大路提督が一番大事にしている物ですから。」

 妙高さんの言う通りアタシ達の提督は仲間の繋がりを最も重要視する。

 北大路提督の前任はそりゃあ酷いヤツだったからな。

 不眠不休の遠征や出撃は当たり前で大破撤退の原因となったヤツは晒し者にさせられるわ、姉妹艦も補給と食事は抜きにされるわ、しかも質の悪いことに決して艦娘を沈めたり資材の横流しをしたりしない。

 そのために長い間、海軍監査部の目を潜り抜けてきたという経緯がある。

 ところが提督同士の宴会で酔っ払った際にまだ士官学校生だった子爵令嬢の北大路候補生に取入ろうとして色々と自慢げに喋ってしまったらしく前任はそのまま帰ってこなかった。

 宴会に随伴していた武蔵さんが全員を集めて前任が降格の挙句、海軍陸戦隊に放り込まれた事を告げると駆逐艦の中には安どのあまり気を失うヤツまでいた位だ。

 武蔵さんが次に着任する司令官はその北大路候補生であり皆思う所はあるだろうが、どうか新しい提督を信じてやって欲しいと皆に頭を下げたのは忘れられない。

 

 出迎えの連中が手を振っている。

 ガントリーをくぐれば、もうブンカーだ。

 

 (ああん?)

 急に出迎え組が瞬間接着剤でもぶっかけられたかのように固まってしまった。

 ここぞとばかりにシャッターを切る青葉、クスクスと笑う大和さん。

 何が起こったんだ?

 

 「アハハ、あの神通の顔。青葉、しっかり撮ってやって。」

 

 「了解です。しかし皆さん、一様にいい表情ですねえ。」

 

 「私達もあんな感じだったんでしょうか。そう思うとちょっと…、恥ずかしい。」

 俯いちまう祥鳳さん。

 ああ、なるほど。

 そりゃそうだよなあ(笑)。

 曳き手が見た事も無い船だし、宙に浮いているし、さらには艦娘でなく艦息?ときたもんだ。

 おまけにあのでっかい髑髏と海賊旗、まさかアタシ達が海賊船に曳航されて帰ってくるとは夢にも思ってなかったってトコだろうな(笑)。

 出迎え組の目の前へと着地したアルカディア号が私達を引き上げてくれる。

 後ろで手袋組がこの手袋は永久保存だとか呟いていたのは聞かなかったことにする。

 それよりも日向さんが帰還の報告をしようとしたら、提督がいきなりダッシュで建物内に駆け込んで行った。

 

 「一体、指令はどうされたんでしょうか?」

 

 「艦隊の頭脳を持ってしてもわからんモノが脳筋の私に分かる訳なかろうが。ひょっとしたら艦隊司令部に新艦発見の一報を入れに行ったのかもしれん。」

 

 「お、お待たせして申し訳ありませんでした。ここ柱島第七泊地を預かる北大路花火と申します!」

 数分後、慌てて戻ってきた提督を見た赤城さんと陸奥さんが小さく吹き出した。

 いっちょ前にメイクしてきやがったのか。

 男の前だからって色気づきやがって(笑)。

 

 「宇宙海賊船アルカディア号だ。無理を言ってすまなかったな。」

 

 「い、いえ、とんでもありません! 皆を無事に連れ帰って下さりこちらこそありがとうございます。本当にどうなる事かと思いましたので(ぽっ)。」

 

 「提督、皆さん入渠と補給がありますし、お話は執務室にお越し頂いてからにされては?」

 本日の秘書官は高雄姉か。

 冷静を装っても、目を真ん丸にしたままじゃあ説得力無しだな(笑)。

 

 「そうですね、詳細は入渠と補給後で構いません。それから入渠に関しては高速修復材を使用して下さい。ではアルカディアさん、どうぞこちらへ。」

 提督、お前もちったあ落ち着けよ。この摩耶様を見習ってさ。

 右手と右足が一緒に出ちまってるぜ。

 

 「ふむ、ではそうさせてもらうとしよう。さあ翔鶴、着いたぞ。」

 あれ、翔鶴さんが降りようとしない。

 顔をアルカディアの胸に埋めたまま首を横に振る。

 何か様子が変だぜ。

 しがみ付いて小さく震えて…。

 

 「五航戦?」

 

 「翔鶴さん?」

 

 「翔鶴姉!」

 皆が一斉に翔鶴さんに駆け寄った。

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