アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた 作:Archangel
※2020年04月26日 一部表現修正
無事に帰ってきたというのに翔鶴姉の様子がおかしい。
アルカディアさんから降りようとしないのだ。
気分が悪いのか、具合が悪いのか、どこか痛いのか聞いてもアルカディアさんに顔を埋めたまま首を横に振るばかりで一向に要領を得ない。
私も少し腹が立ってきて、
「もう翔鶴姉、一体どうしたっていうの、ハッキリしてよ! みんなドックにも行けず困ってるんだから!」
と声を荒げてしまった。
ボソボソと何かを必死で伝えようとする翔鶴姉に耳を寄せる。
え、何?
力が抜けて立てない?
何でよ?
「アルカディアさんの匂い、男の人の匂いが凄くて…。ダメ、ダメだから、こんなの! 私ずっともう…。あっ、また! くっ、ううっ?!」
ゴメン、翔鶴姉、悪いけどもう一回言って?
「とにかく、もう顔もグチャグチャで上げれないの。悪いけど頭にタオルを掛けて。後、入渠ドックまで肩を貸して欲しいの。」
………。
……。
…。
「みんなゴメン、心配して損したわ。さっさと入渠しましょ。」
ハイ解散~とばかりに翔鶴姉にタオルを掛けて肩を貸す。
全くもう、マスクを剥ぎ取られた覆面レスラーかっての。
「待て待て、一体何があったというんだ?」
「それはドックで浸かりながら説明するわ。さすがにココじゃ可哀そうだから。ただ、翔鶴姉も提督さんの耳には入ると思っておいて。」
「うう、やっぱり?」
「当り前じゃない、提督さんだって心配してくれてるんだし、それに女としてもね。」
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
「はあ?! 軽イキ?!」
カポーンと桶の音が響く入渠ドックに人数分の声が重なり響く。
隣にいる翔鶴姉は両手で顔を覆って耳まで真っ赤になってしまった。
現在、ドックを占拠しているのは私達五航戦と日向さんと青葉さんの4名。
残り全員は対面の木製長椅子に座って順番待ち。
「軽い気ってなんですか?」
うん、秋月、あなたはずっとこのまま穢れを知らずにいて頂戴。
間違っても隣で真っ赤になった俯き加減の眼光が戦艦クラスな駆逐艦みたいにならなくていいからね。
「だってその、アルカディアさんっていうか、男の人の体臭って物凄い破壊力なんです、これ以上、嗅いではいけないとわかっているのに止められなくなってしまって…。」
「確かに以前、時雨や妹の雪風がそんな事を言ってはいましたが…。」
幸運艦といわれる彼女達は艦隊司令部や演習先で時々、殿方に会うらしく男の人って凄くいい匂いがします、なんて言って羨望の眼差しを浴びていたっけ。
まあ確かに私もちょくちょく大本営や演習先で男の人と会ったり話をしたりする事があるんだけど確かにドキッとする匂いだから、やっぱり長く嗅いでいたらおかしくなっちゃうのかな?
「あー、でも分かるなぁ。私も何て良い匂いがするんだろうって思ったもん。」
アンタ、頼むからアルカディアさんに違う意味での夜戦を挑んだりしないでよ。
「ええ。でも何ていうんでしょうか、ただ単にいい匂いという訳ではないというか…。」
「あーら、祥鳳。それはフェロモンっていうのよ。」
「女としての部分に訴えてくる感じ、これだ。」
あーあ、うら若き乙女がなんて話してるのよ。
止めなくていいの、と武蔵さんと大和さんに視線を送ったら二人とも赤くなって目を逸らしてしまった。
ブルータス(第一戦隊)、お前もか…。
「まあまあ瑞鶴さん、そんな難しい顔をしなくても良いではありませんか。」
「滅多にお目に掛かれない男の人が目の前に現れたのよ。これぐらいの反応ならまだ可愛らしいモノじゃなくて?」
「赤城さんと加賀さんのおっしゃる通りですね。海賊といえば片手にお酒、もう片方の手には女のイメージです。しばらく滞在していただけるなら私にも勝機があるかもしれません。ふふ、ふふふ、あははははは!」
アンタ誰?!
こんなの私の知っている妙高さんじゃないから!
「そうよね! よーし漲ってきたわ、試射(ためしうち)してみても良いかしら?」
あ、こっちは平常運転だわ。
でも試し打ちするのは20.3cm砲よね?
ナニか違うモノじゃないわよね、ねっ?(違)
「でもそうなるとアルカディアのヤツが誰を選ぶかだよなぁ。」
「私の戦況分析によると胸部装甲の厚い(熱い?)方がお好みでしたら我々大型艦や高雄さん、愛宕さん、蒼龍さん、雲龍さんでしょう。家庭的な方でしたら鳳翔さんや古鷹さん、それに羽黒さんでしょうし、凛とした方がお好きなら長門さん、那智さん、木曽さんといったところかしら。」
「この長門が…。いや、そういった事も嫌いでは、無い(ハイライトオフ)。」
「貞淑な方がお好みであれば大和さん、榛名さん、翔鶴さん、妙高さん辺りでしょう。よーし、夜にでも青葉、単独取材に突撃しちゃうぞー!」
言うが早いが大浴場に飛んでいく青葉。
入渠が似たような時間であっても、修復完了後は大浴場へ移ってそこで待つというのが柱島第七泊地暗黙のルール。
これは4つしかない入渠ドックの占拠を防ぐためになっているの。
「よし、お陰で私も完治だ。後は大浴場で待つとしよう。(入渠ドックを)先に使わせてもらえて感謝するよ。」
「さ、翔鶴姉、私達も上がるよ。次は一航戦の先輩と祥鳳さん、それから霧島さんの番だからね。」
そう言って翔鶴姉を大浴場に送り出すと私達の使ったバスタブ周りを軽く拭く。
赤城さんが気にしないでと言ってくれるけど、やっぱり後の人には気持ち良く使って貰いたいじゃない?
最後に桶を元の位置にセットする。
これで私も大浴場へと思った矢先、カララと戸が開く音がして先に大浴場に向かった3人が放心状態で戻って来た。
「青葉、見ちゃいました…。」
見た?
見たって何を?
市原悦子さんの家政婦は見たじゃあるまいし何を見たってのよ?
「ねえ瑞鶴…。私、見たの…。うん、あれが、あれがそう、そうなのね…。」
焦点のあっていない瞳で天井を見つめる翔鶴姉。
「な、何を見たんだ! オ、オバケか! 違うよな、頼むから違うと言ってくれ!」
あーあ、ビッグ7ともあろうお方が涙目だよ。
長門さんも落ち着いて、まだ真昼間じゃないのよ。
「あれは知識として知ってるモノでは無かった…。あのようになっているとは。」
日向さん?
全く訳が分かんないんだけど?
その後、一航戦のお二人と大和さん、妙高さん、足柄さんも大浴場へ確認に行き同じようになって帰ってきた。
埒が明かないので残り全員で大浴場へ乗り込む。
ああ、そういうコト。
結果は全員、ミイラ取りがミイラになっただけだったわ、うん。
ああ、日向さん。今ならあなたが言っていた事が分かるわ。
(男の人って)ああなっているの…、ね。
※今回は瑞鶴さんにご登場いただきました。
このメンバーの中では結構、常識人の立ち位置になってますね。
そして彼女たちの見たものとは!
次回は週末にでも投稿できればと思っています。