アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた 作:Archangel
柱島第七泊地 執務室
一体提督はどうされたのでしょうか?
一緒にいた吹雪さんによると、アルカディア号さんは本当に何もしていないし、提督にお声を掛けただけだったらしいのです。
「で、何があったんですか提督。私達もアルカディア号さんが提督に何かしたとは思えないのですが?」
「…ちゃう。」
「え?」
「行っちゃう、アルカディア号さんがここを出て行っちゃう!」
当然、執務室内は大騒ぎになりました。
「提督、落ち着いて下さい。吹雪さんのお話ではアルカディア号さんは提督と少し話がしたいとしか仰っていないはずです。執務室の中へ入れてもらっただけなのにどうしてそうなるのですか?!」
「私が最初からアルカディア号さんをお連れしていれば…。」
「きっと…、あの人は私に愛想が尽き果てたに違いありません。それを告げに来たに決まっています!」
さらに蜂の巣をつついたような大騒ぎとなった執務室。
私も目の前が真っ暗になりました。
「有紀さん、何とかならないのですか?」
大鳳さんが『螢』さんに縋るような目を向けます。
「フフッ。」
彼女は一人ポカンとした表情をしていましたが、笑い出したのです。
「安心して。キャプテンは何処にも行かないわ。それこそ、貴女達に出て行けと言われない限りね。」
「本当…、ですか?」
「ええ。だってキャプテンは花火さんにベタ惚れだもの。」
それを聞いてようやく私達にも生きた心地が戻ってきました。
「(この世界に)側室制度が推奨されている以上、心配なのはわかるわ。」
「でもキャプテンにとって一番は北大路提督、貴女なのよ。信じてあげなきゃダメ(笑)。」
『螢』さんはそう言って提督を指でチョンしました。
「まあ、強いて言えば『すみれ』さんに要注意ね。『マリア』さんは拒まずだけど勧誘までするような感じではないし。」
「でも宿毛湾第一泊地だったら、そこの司令官ともども宇宙のワームホールに放り込んじゃうかも…。」
背中を合わせて座り込む妙高さんと高雄さん。
アルカディア号さんがここからいなくなるというのはパーフェクトレディと呼ばれるあの二人でも取り乱してしまう程の事なのです。
「提督、貴女はここの司令官ではありますが、だからといって私情を優先させ過ぎるのは良くありません。」
「これに懲りたら一人で、いえ独りよがりでトチ狂った判断はせず現状をよく見た上で色々と判断をなさって下さい!」
少々キツい言い方になってしまいましたが仕方ありません。
なにしろ彼がいなくなってしまったらここ(柱島第七泊地)は崩壊するのです。
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赤城・加賀(一航戦)自室
部屋に戻ってからも先程の恐怖が頭から離れません。
もし先の話が本当だったなら…、そう思うだけで胸が締め付けられます。
「赤城さん?」
余程、思い詰めていたか顔色が悪かったのでしょう。
同室の加賀さんが心配してくれます。
「加賀さん、私達がアルカディア号さんに初めて会った時の事を覚えていますか?」
「ええ、あれだけの圧倒的な戦闘力、覚えていない方がどうかしているわ。」
「私が言いたいのはその後です。全員で一緒にお風呂に入りましたよね?」
その様子を思い出したのでしょう、加賀さんはボンッと音を立てて耳まで真っ赤になってしまいました。
「え、ええ、そうね。その…、見てしまったわね…。」
「そうです! という事は今更何も問題はありません!」
「一航戦、赤城出ます!」
「あ、あの…。赤城さん、どちらへ?」
「食べてきます。」
ドアノブに手を掛けたまま振り向くことなく答えます。
後ろでは、機内食を食べたのでは?という加賀さんの声が。
「喰ってきます。」
そう言い直して部屋を出ました。
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柱島第七泊地 アルカディア号自室
アルカディア号さんのお部屋を訪ねると、驚きながらも部屋へ入れて下さいました。
ああ、ダメです。
やっぱりこの人が何処かへ行ってしまうなんて考えたくはありません。
そう思うと無意識に彼に飛びついてしまっていました。
「何処へも行かないですよね?! 私達の前から居なくなったりしませんよね?!」
「落ち着け赤城、一体どうした?」
「聞いてるのは私です! どうなんですかっ、答えて下さい!」
「いつも言っているだろう。お前達や花火に出て行けと言われれば話は別だが、それ以外で出て行く事は無い。」
「やっと…、聞けました。」
安堵のあまり、ポロポロと涙がこぼれます。
「みんな怖いんです、貴方を失うのが。執務室は大騒ぎだったんですよ。」
「昼間だって私達より
そう抗議すると彼は私の髪を優しく手で梳きながら悪かったと言ってくれました。
でもまだ駄目です(笑)。
やっぱり私達だけの特別が欲しいです。
「それだけですか?」
「他の私との差別化は無いのですか?」
「ふっ、ならばこのアルカディア号が
他の私達とは違い『沈ませない』ではなく、その圧倒的な力であの運命の五分間を一緒に越えて下さると仰るのですか?!
これが柱島第七泊地『南雲部隊』だけの特権なんですね!
それを聞いて私は普段のおっとり系のお姉さんキャラなんて何処へやら、履物を脱ぎ捨てると彼を廊下に床ドンしていました。
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柱島第七泊地 食堂
翌朝、食堂で朝食をとっていると後から来た二航戦のお二人と瑞鶴さんが私の方を見て何やらヒソヒソと話しています。
確かにあれからアルカディア号さんとは組んず解れつ…、いえ組みっぱなし(ゲフンゲフン)でしたが夜が明ける前には自室に戻りました(加賀さんも未だ寝ていましたし)し、バレるはずが無いのですが(汗)…。
「ねえ赤城さん、化粧品変えた?」
隣に座った飛龍さんが私の顔を覗き込みます。
「うん、ハリとツヤが凄いよ。一体、何を使ったの?」
蒼龍さんに至っては銘柄まで教えて欲しいと食い下がってきました。
「そういえば翔鶴姉もこの間、同じような感じになってたなぁ。作った感じじゃなくて自然な感じでハリとツヤが凄いんだよね。」
翔鶴さんが?!
薄々、感じてはいましたがやはり先を越されていましたか…。
翔鶴、もとい
いえ、感心している場合ではありません。今はこのピンチをどう切り抜けるかです。
「そ、そうでしょうか。昨日食べた(意味深)モノが良かったのでは(汗)。」
「そう言えば赤城さん…、昨晩アルカディア号さんの所へ食べに行くって部屋を出て行ったわね。」
「加賀さん、それホント?! あの人にそんな良いモノ貰ったなんて羨まし過ぎるよ! まあ翔鶴姉も同じモノ貰ってるんだろうけど…。」
「ま、まあしいていうなら神経伝達物質・エンドルフィン・ホルモン・免疫抑制物質に、コルチゾール・エストロン・セロトニンといったところでしょうか(汗)。」
「皆さん、どうされたのですか?」
ここでようやく翔鶴さんがトレイを持ってやって来ました。
飛龍さんと蒼龍さんのボヤキを聞いた翔鶴さんがジッと私を見つめます。
そして半目になると、そう…、そうなのねと呟きました。
「やっぱり翔鶴姉も同じモノ貰ってる…。」
「何よもう…、二人とも正室の余裕ってヤツ?」
「どうした? 朝から荒れているじゃないか。」
唇を尖らせる飛龍さんの隣に日向さんと伊勢さんがトレイを置きました。
話を聞いた伊勢さんが二~三日前アンタも…と日向さんをジッと見つめます。
翔鶴さんと違ってこれは意外です。
まさか彼女にも先を越されて…、いえ考えれば全艦種側室筆頭なのですから以外ではないですね。
「まあ順番で行けば加賀、次は君の番だ。」
それを聞いた加賀さんは首を傾げていましたが、日向さんがコッソリとテーブルの下で作った指の形を見てまたまた真っ赤になってしまいました。
「そういえば肝心のアルカディア号さんが未だ来てないよね。」
「えーっと、昨晩に私が
この時の
提督も午前の演習ではアルカディア号さん相手に海防艦達の経験を積まそうと考えていたみたいで、急遽私が責任を取ってキッズ達の相手をする破目に。
しかも一切の装備を剥ぎ取られた上でです!
さらに大淀さんにお聞きした所によると、予定がパアになった理由を知った北大路提督は指令書にこう記入したらしいです。
『赤城の屠殺』と…。
※『マリア』さんは拒まずだけど勧誘までするような感じではない
これは有紀さん、考えが甘いですね。
次回から少し続く日常編では舞鶴第一鎮守府にアルカディア号が出向く話もあります。
海産物も美味しい上にハーフの美人司令官がいるとなれば…。
※司令官ともども宇宙のワームホールに放り込んじゃう
どうやら藤枝かえで少将は完全に虎の尻尾を踏んでしまったようですね。
原作では男としての台羽君に全く興味が無かった感じだったように思うのですが…。
※神経伝達物質・エンドルフィン・ホルモン・免疫抑制物質に、コルチゾール・エストロン・セロトニン
あれの主成分らしいです。え? あれとは?
それはほら、言わせんな恥ずかしい(〃ノωノ)ってやつですよ(汗)。
※北大路提督は遠く離れたタウイタウイ・イン・デスシャドウ島で済ませたため、気付かれずに済んだようです。
※屠殺
完膚なきまでや抹殺ではない辺りに北大路花火嬢の陰の部分が見えていますね(笑)。