アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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※ハーロックと鉄郎の酒場でのイメージといえば、映画版があまりに有名ですが、TV版にも二人の酒場シーンがあります。
 今回はそのTV版のシーンを取り入れさせてもらいました。


第151話 新たな姫級編9(艦娘側:北大路花火1)

横須賀第一鎮守府大会議室

 私は今、アルカディア号さんと横須賀第一鎮守府の大会議室にいます。

 いや、正確にいえばタウイタウイ第二泊地の西村艦隊と一緒にですけど。

 月一の定例会議の場を利用して、海峡夜棲姫という新たな姫級の出現とそれに対する戦闘詳報の提出、集まった各提督達への情報共有です。

 タウイタウイ第二泊地の西村艦隊の欠けた扶桑と山城は柱島第七泊地(私の所)の扶桑と山城ですから私としても戦闘報告は気になる所です。

 ですが、旗艦を務める彼女からの報告は色良い物ではありませんでした。

 海峡夜棲姫には攻撃があまり通らず、かなり余裕を持った上での撤退を許してしまうらしいのです。

 大神さんからは諦めたらそこで終了だ、何とかして海峡夜棲姫を撃破し変わり果てた扶桑と山城に安寧を与えてやって欲しいと仰られました。

 真宮寺長官からも出来るだけの援助はしますからという有難い申し出がありました。

 タウイタウイ第一泊地のサジータ少将も無限という訳にはいかないが出来る限り陸攻隊は出すと約束して下さいました。

 西村艦隊全員(タウイタウイ第二泊地)がお礼を述べますが、全員表情が暗いですね。

 ですがそれ以上に気になるのがそれを忌々しそうに睨む提督達が一定数いる事です。

 間違いなくブラック提督達でしょう。

 会議でも、そんな役立たず達に資源を回すなんて無駄な事は止めるべきだと強硬に主張を繰り返していましたから。

 資源については分からないではありません。

 万一に備えて各地の提督達は毎月一定量の資源を税金のような形で軍令部に供出する事になっているからです。

 勿論、軍令部所属の艦娘も遠征には出るのですが、泊地や基地が新しく設立された際や、深海棲艦の大規模侵攻で大きな被害を受けた海外泊地や基地にはこのストックされた資源が使われる事になっており、いわば保険組合というかお互い様なものだと思うのですが…。

 

横須賀第一鎮守府艦娘用食堂

 お昼はアルカディア号さんがここの艦娘用食堂を利用されるという事ですので私もご一緒させて頂く事にしました。

 え、べったり?

 半月ぶりなんですから仕方ないではありませんか!

 むしろ提督部門の正室としては当たり前だと思うのですが、何か問題でも?

 当然、昨晩は向こうでお妾さんを作っていないかどうかのチェックもさせて頂きましたし(どうやってだ?)、タップリと搾り取らせて頂きもしましたけれど。

 それにアルカディア号さんも久しぶりの花火の匂いだと(ぽっ)…。

 

 あ、当の西村艦隊の面々もいますね。

 ですが、食事時だというのにやはり表情が暗いです。

 扶桑も山城も貴女達が主力艦なのですからもっと明るく振舞いなさい。

 苦しい時こそ笑っていないと、と声を掛けようとした時でした。

 先程の提督達がやって来て彼女達を取り囲んだのです。

 

 「ちょっといいかしら?」

 あれはナーデル少将?!

 また厄介な方が出てきましたね…。

 

 「何かな、ボク達に用事かい?」

 タウイタウイ第二泊地の時雨が振り向きました。

 

 「何かなですって?! それはこちらの言う事よ!」

 一体、いつまでこんな無駄な事を続けるつもりなのよ、と喚くのは…、取巻きの蝶大佐ですか。

 あの平安朝の眉毛、間違いありません。

 いえ、別に妙高さんをどうこう言うつもりも無いですし、悪口を言っている訳では無いのですよ?

 

 「そんなの決まってるじゃないか、扶桑と山城を助けるまでだよ!」

 

 「冗談、これ以上、燃料や弾薬を無駄にされたらたまったもんじゃないわ!」

 食い下がる最上をナーデル少将が一喝します。

 

 「弾薬も燃料も出してくれているのは軍令部よ、そっちに迷惑を掛けている訳じゃないわ!」

 満潮だって負けてはいません。

 

 「これだから兵器共は。我々各地の提督達が軍令部に毎月資源を供出しているのを知らないとは言わせないわよ?!」

 ブラック提督達からもそうだそうだ、と次々に賛同の声が上がります。

 何も言い返せない西村艦隊の面々とは対照的に勝ち誇った表情のブラック提督達。

 その時、突然アルカディア号さんが口を開きました。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 「行かせてやれ。」

 

 「あん?」

 ナーデル少将だけではなく、取り巻きの提督達や食堂にいる全員がこちらを向きました。

 

 「行かせてやるんだ。」

 

 「あの人、前にも横須賀(ここ)で会った…。」

 横須賀第一鎮守府の羽黒が気付いたようですね。

 ですがどうして後ろ姿で分かるのでしょう?

 って、今そっと胸に直したロケットペンダント、まさか?!

 青葉がコッソリと隠し撮りした写真を入手してニヤニヤしていないでしょうね…。

 そんな私の胸中などお構いなしに彼はコップを手にしたまま微動だにしません。

 

 「ちょっと! 今なんて言ったの?!」

 ナーデル少将が彼の後ろにツカツカとやって来ました。

 

 「行かせてやれ…、と言った。」

 

 「横から余計な口を挟まないでちょうだい、このアタシにケンカを売ろうっての?!」

 ジタバタと床を踏み鳴らすナーデル少将。

 

 「そのつもりは…、無い。」

 一方のアルカディア号さんはヒートアップすることなく静かに対応していらっしゃいます。

 さすがは北大路家の跡取りです。私も鼻が高いですね(神崎:あ?)。

 彼はそのままコップを呷りました。

 

 ですが後先考えずに短気に走る所があるナーデル少将です。

 落ち着いた態度が気に障ったのでしょう、対艦娘専用銃に手を伸ばしました。

 アルカディア号さんも振り向きはしていないものの、戦場を潜り抜けてきた勘と経験からナーデル少将の気配を感じ取っているようです。

 

 ナーデル少将が銃を掴むチャッという音と共に彼の目が光りました。

 そして不思議な音と共に光線が寸分の狂いも無くナーデル少将の銃だけを弾き飛ばしたのです。

 しかもそのままマント越しに、一切後ろを見る事なくです!

 神業としか例えようがありません。

 

 「くうっ!」

 痺れる手を抑えるナーデル少将。

 アルカディア号さんがゆっくりと立ち上がります。

 

 「戦う者には負けると分かっていても行かなければならない時もある。」

 「死ぬと分かっていても戦わなくてはならない時もある。」

 以前にもほぼ同じ事を仰っておられましたが、何度聞いてもカッコイイですね。

 これで心を惹かれない女なんているのでしょうか…。

 

 「ここにいるお前さん(ブラック提督)達はいざという時に行く事も戦う事も出来なかった。それでここへきて自分達の立場を利用し憂さ晴らしをしているんだ。」

 さらに彼は周りにいる取巻きの提督達にも目を向けました。

 

 「だったらその7人を行かせてやるんだ。」

 「みんなで励まして行かせてやるんだ。」

 

 「それくらいの事はお前さん達にも出来るはずだ。」

 ナーデル少将が唇を噛みます。

 恐らくグウの音も出ないのでしょう。

 ふんっ、と弾き飛ばされた銃を回収すると取巻き連中を連れて出て行ってしまいました。

 

 「これを飲んでいきなさい。」

 それを見ていたここ(横須賀第一鎮守府)の鳳翔さんが、日が落ちてもタウイタウイは暑いですからね、と涼し気なドリンクを西村艦隊のテーブルに置いてくれました。

 横須賀第一鎮守府が大規模作戦に出る前には必ず振舞われる景気付けの一杯なんだそうです。

 

 「南の夜空に十字星が輝いている。その下に重く浮かぶ鉄の城のように見える小島、そこが海峡夜棲姫が身を潜めているアジトだ。」

 ア、アルカディア号さん?!

 聞けば独自に偵察機を出していたというではありませんか。

 

 いえ、それ以前に横須賀第一鎮守府の艦娘達が熱い視線を向けているのが気になります。

 そんなモノ欲しそうな顔をしたって上げませんから!

 私の想い人をそんな目で見るのは止めて下さい(ヤメテヨォッ)

 特にそこっ、伊勢と榛名!

 

 ああっ、高雄や妙高、羽黒に古鷹まで!

 後ろからは神通の溜息まで聞こえてくる始末。

 ですがアルカディア号さんは私の気持ちを知ってか知らずか何事もなかったように、お前達も分かっているのだろうと時雨の横に立ったのです。

 

 「うん…。」

 

 「ええっ、海峡夜棲姫に私達の攻撃が通じない理由が分かってるの?!」

 朝雲が驚きますが無理もありません。

 ですが、私も薄々は気付いていた事でもあるのです…。

 

 「提督の存在だよ。僕達艦娘は提督がいなければその力を半分も発揮できない。ブラック提督達が無くならない理由の一つだよ。」

 あんな連中でもいなければ艦隊として成り立たないからね、と最上。

 

 「何よ、理由が分かっているなら、サッサと新しい司令官を着任させてもらうべきじゃない!」

 

 「提督の絶対数が足りていないわ。誰でも簡単になれる訳では無いのは知っているでしょう。」

 扶桑がいきり立つ満潮を宥めます。

 

 「第一のサジータ提督にお願いしてみればどうかしらぁ~。」

 

 「サジータ提督は今、リランカ島開放作戦で手が一杯のはずよ。ああは言って下さっているけれど、陸攻隊もいつ切られるか分からないわ。」

 山城の言う通りですね。

 出来る限りとは仰っていただいていますが、逆にその範囲を超えた時は…、という事ですから。

 と、その時です。

 

 「全員、冴えない顔してるワ、一体どうしたって言うのかしら?」

 この場には似合わない能天気な声が聞こえました。

 




※映画版もTV版も酒場でハーロックに絡む男の中の人は銀河万丈さんなのですね(笑)。

※資源回復の目途が立たない状態で、もう夏イベの告知が運営からされました(泣)。
 諸兄氏の所はもう万全でしょうか?

※最後に出て来たのは右手にモップ、左手にバケツを持った掃除婦さんです。
 はてこの方は?
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