アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた 作:Archangel
※2020年06月28日 後書き付け足し。
第16話 執務室編1(艦娘側:加賀)
私達は今、執務室の壁に沿って並んでいるわ。
前にはアルカディア号さんの広い背中、そして執務机を挟んで北大路提督がいらっしゃいます。
「アルカディアさん、今回は当泊地所属艦娘18名の命を救って頂いて本当にありがとうございました。改めてお礼を言わせて下さい。」
「本日の秘書艦である私、高雄からもお礼を申し上げます。一度は愛宕や鳥海と共に摩耶を失う覚悟を決めた程でした。」
そう言って高雄は目尻をそっと拭いました。
高雄の気持ちは痛いほどわかるわ。
私だって赤城さんを失う事を考えたら正気ではいられないもの。
「気にしなくていい。逆にこちらこそ彼女達にこの世界の情報を貰えたことに感謝せねばならん。」
ああ、アルカディア号さん。
決して驕る事の無い謙虚な心が素敵です。
全くどこかの五航戦に見習わせたいものね。
「まず最初に…。武蔵さん、男性なら男性だとそういって欲しかったですね。」
提督が武蔵にジト目を向けます。
「ん? 私はちゃんと伝えたはずだが?」
「武蔵、あなた『野良艦娘』って言ったじゃない。」
しれっとする武蔵に大和が突っ込みます。
「いや違うぞ、大和よ。私は『艦⤵娘⤵』とは言っていない。かんむすはかんむすでも艦息子なので『艦⤵息⤴』と発したが?」
そんなの分かりません!全員で武蔵に突っ込んだのは言うまでもないわね。
「さて、アルカディアさん、いくつかの質問をお許し頂いても宜しいでしょうか?」
「うむ、わかる範囲でなら何でも答えよう。」
さすがアルカディア号さん、こういうのを男らしいというのね。
「まず、今まではどうされていたのでしょうか?」
「ふむ、それは私にもわからん。何しろ気が付いたら海上だったのだ。」
アルカディア号さんは『マゾーン』と呼ばれる外宇宙生命体と戦っていた事、それは西暦2977年の出来事である事、自分はキャプテンハーロックという宇宙海賊の乗船する宇宙戦闘艦である事などを一通り説明したわ。
当然、提督は信じられないという表情をしていたわ。
でも、あの武装や戦いを見ていないのだから当然というべきかしら。
「では何故この子達を助けてくれたのでしょうか?」
「俺のキャプテンは信と義に篤い男でな。女子供が危険な目に合っているのに、それを見過ごせるようなヤツでは無かった。乗船である俺自身も勝手に体が動いただけの話だ。海賊行為も決して民間船相手ではなく腐った地球政府の輸送船が相手だった。」
アルカディア号さん、もうやめて頂戴。
貴方が眩し過ぎて私もう、どうかなってしまいそうだわ。
「何という男らしい、感激しました。」
隣では高雄がポケットティッシュで鼻をかんで…。
ちょっと待ちなさい、そのポケットティッシュの広告は何?
『BAR魔の巣 あなたの心の隙間お埋めします、ドーン!』ってあなたそんな所に出入りしてるの?!
身の破滅が待っているからスグに止めなさい!
オーッホッホッホッホッと嗤うキモイ黒服がいるのではなくて?
不本意だけれど、心の隙間はアルカディア号さんとお話しする事で埋めてもらいなさい、いいわね?
「ほかにアルカディアさんと同じような艦の方はいらっしゃらないのですか?」
「それはわからん。俺も気が付いたらここにいただけなのだ。似たような船に心当たりはあるが、彼女たちがこちらの世界に来ているかどうかまではわからない。」
「救出に向かった6名は当柱島第七泊地のエース級達です。失礼ですが、その6名でも防戦一方だったのにアルカディアさんはどうやって戦局をひっくり返されたのでしょうか?」
提督の言い方は柔らかいけれど全てがアルカディア号さんを見定める的確な内容ね。
北大路花火、わが提督ながら恐ろしい子…。
「ふむ、見てもらった方が早いか。青葉、撮影した動画ファイルをここで再生してくれ。」
わかりましたとばかりに青葉が大画面で動画ファイルの再生を始めたわ。
最初は訝しげに眺めていた提督でしたが、だんだんとその目が大きく開かれて…。
「こ、こんなのって…。」
高雄が両手で口元を抑えています。
摩耶に小さく、この動画本物なの?と聞いていましたが彼女が頷くと提督同様に青ざめました。
まあ、無理もないわね。
敵を自動追尾する対空火器と噴進式の空中魚雷、光線弾を発射できる三連装主砲が三基。
さらに噴進式の航空機隊を発艦させる事の出来る空母としての一面。
私達の様に喜ぶわけにはいかないわね。
だって敵に回った時、アルカディア号さんはそのまま恐ろしい存在となるのだから。
見終わった後も提督はまだ信じられないといった表情だったけれど青葉に本日限りで動画データの消去を命じました。
青葉は消沈していたけれど、アルカディア号さんの青葉、またいつかこの大海原で会おう、その時には好きなだけ見せてやるといわれて立ち直ってたわ(チョロイわね)。
「え? アルカディアさん、行ってしまわれるのですか?!」
大和がアルカディア号さんの腕をガッチリと両手でホールドしました。
「キャプテンハーロックは『俺の旗の下、俺は自由に生きる』という男だったからな。乗組員42名にも他人のためではなく自分の信じるモノのために闘えと常に言っていたぐらいだ。それに海賊船を匿ったとなれば北大路提督どころかこの柱島第七泊地自体の存続が危うくなる。」
ああ、あれほど忠告したのに。
今、この瞬間をもって一航戦加賀、完全に堕ちました。
こんな船(アルカディア号さん)ならまた一緒に出撃(ネオン煌びやかな宿泊施設に)したいものです。
「そんな、せっかく出会えたのに、大和は嫌です! 次回の期間限定海域には一緒に出撃しましょう、ねっ?」
全員が頷く。
本来なら一航戦として大和のワガママを諫めるべきなのでしょうけど、そのつもりはないわ。
何とかギリギリで留まっていた私を陥落させたあなたの責任よ。
「提督! 提督からも何とか言って下さい!」
さすがに大和のワガママを見かねたのでしょう、北大路提督が席を立ってコチラにやってきました。
「アルカディアさん、失礼ながら行く宛はおありなのですか? もし無いのでしたら私からもここでの生活と共闘をお願いします。」
提督!
皆の顔が輝いたわ。
この時ほど、この提督についていこうと思った事はなかったわね。
「海賊船である以上、軍属になるつもりはないぞ?」
「ええ、それで結構です。海賊船とはいえ海賊行為を行うとは思えないですから(笑)。」
「あと、当泊地の設備は好きにお使い下さい。行動も自由にして頂いて結構です。海外艦の方もたくさんいらっしゃいますし、所属艦娘とは『いろんな意味で仲良く』してあげて下さい。もちろん私ともですよ(笑)。」
「という訳で鳳翔さん・伊良湖さん・大鯨さん、そこにいらっしゃるんでしょう? 今夜は歓迎会です、早速の準備を!」
執務室の扉が開くと…。
柱島第七泊地所属の艦娘大半が集まっているわね。
聞き耳を立てていた中からバツが悪そうに鳳翔さん・伊良湖さん・大鯨さんが入って来たわ。
同時に執務室の中と外に響き渡る大歓声。
今日は一体どうしたっていうのかしら?
一日に二度も泣いてしまうなんて…。
でも仕方ないわね、全員だもの。
私も赤城さんはもちろん、あの五航戦の鳥頭とも抱き合ってしまったわ。
あら、五航戦の白髪の方が内腿をモジモジさせているわね。
まったくあのはしたない鶴はまだイキ足りないというのかしら?
かくいう私も先程の超刺激的な光景とこれからのアルカディア号さんとの生活を想像するとヤりました濡れました(ドヤァ)。
※今回は加賀さんに登場していただきました。
鉄面皮の加賀さんですが意外と陥落は早かったようです。
頑張れ主人公、あと少しで大和さんもイケるぞ(笑)。
※期間限定海域:大和型は資材を大量消費するので、日常やE.О海域ぐらいでは
出番がありません。
ですから大和さんが『期間限定海域へ一緒に出撃しましょう』という事は彼女に
とって普通に一緒に出撃しましょうという事なんですけどね…。