アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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※エリカ提督に『とんでもない船』がドロップしたようです。


第164話 ドロップ?!(艦娘側:北大路花火)

横須賀埠頭(エリカ・フォンティーヌ)

 「さあ、花火。」

 

 「はい…。」

 アルカディア号さんに促された北大路提督が集積地さんの棺に花をそっと置かれました。

 大神さんから始まった献花は真宮寺長官、真宮寺参謀ら重鎮、そして各第一鎮守府提督達を得て私へと回ってきました。

 私もそっと棺の中に一輪を置きます。

 棺の中に横たわる集積地さんの顔は非常に穏やかでした。

 それこそ見ず知らずの私の為に命を落としたと思えない程に…、です。

 

 「さくらくん。」

 

 「ええ…。」

 大神さんに促された長官が棺のふたを閉めます。

 そして後ろではアルカディア号さんが海賊式敬礼を?!

 

 「我々は一人の勇敢な戦士だったお前の事を忘れはしない。僅かな間だったが、お前はこの旗の下に集った俺達の大事な仲間だった。」

 それを聞いた多くの提督さん達がそっとハンカチを目に当てます。

 私が気を抜くことなくもっと周りに気を配っていれば集積さんが命を落とす事は無かったでしょう。

 そう思うと悔やんでも悔やみきれません。

 神に仕える者としてあまりにも不出来、失格です。

 後は棺を小型ボートに載せて長官がレバーを引けば…。

 そう思うとなぜか私は居ても立っても居られなくなり集積地さんの棺に駆け寄っていました。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

覚醒?!(北大路花火)

 アルカディア号さんの遠く時の輪の接する所でまた会おう、という呼び掛けの後、真宮寺長官がレバーを引こうとした時でした。

 突然、エリカさんが棺にしがみ付いたのです。

 

 「集積地さん、普段はあれほど私達を手こずらせるじゃありませんか! 悪い冗談は止して下さい、趣味が悪過ぎます! 集積地さん、集積地さんっ!」

 必死に呼びかけるエリカさんですが、見ているこちらの心も痛いです…。

 自分を守るために犠牲になったという事実が重い罪悪感となって彼女に押し寄せているのでしょう。

 

 「エリカくん。」

 見かねた大神さんが彼女の肩に手を置きました。

 

 「大神さん、私、私…。」

 大神さんにしがみ付くエリカさん。

 これは…、長官が恐ろしい事になりそうです。

 あ、やっぱりです!

 長官が腰の霊剣荒鷹に手を?!

 と、エリカさんの叫びが響き渡ったのはその時でした。

 

 「この寝坊助野郎っ、いい加減に起きやがって下さい!」

 私達の目が点になりました。

 聖職者(最近はアルカディア号さんを狙って生殖者?になりかねない)であるエリカさんが発したとは思えない台詞だったというのもあるのですが、彼女から目がくらむばかりの白い光が溢れ周りを包んだのです!

 そして背中から両翼で5mはあろうかという白い翼が!

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 やがて光が収まると同時に彼女の背中にあった白い翼も消えてしまいました。

 と、エリカさんがしがみついていた棺が突然、ガタガタと音を立てて揺れ始めたのです!

 悲鳴を上げてエリカさんが飛びのきました。

 いえ、彼女だけではありません、私達だってです。

 誰だって突然、棺桶が揺れ出したら怖いじゃないですか?!

 

 「ちょっとエリカさん、あれどうなっているんですの?! 確かめてきて下さいな!」

 神崎提督がエリカさんに棺桶を確認するように依頼しますが…。

 

 「嫌ですよ、ってか何ですかあれ!」

 棺を指差しながら逆ギレ気味なエリカさんですが…。

 

 「私にだって分かりませんわ! っていうか、さっきまで集積さんに目を覚まして下さいって呼びかけていたんですから貴女が確かめなさいな!」

 

 「だから嫌ですって! そんなに仰るなら先輩も一緒に行って下さい、ね?」

 神崎提督に縋るような目を向けるエリカさんですが…。

 

 「いえ、こういうのはマリアさんの方が適任ですわ。ね、マリアさん?」

 

 「私だって嫌よ! そうね、神も仏も信じないと公言なさっているロベリア中佐が適任じゃないかしら?」

 視線を向けられたロベリアさんですが、彼女も首を横を首に振りました。

 

 「さすがの私も目の前で見てしまってはな。というかアレ段々と音が大きくなってきていないか?」

 そうなんです、こうしている間にも集積地さんの棺から聞こえてくる音がますます大きくなってきているのです!

 この時には大神さんや真宮寺長官までが棺を遠巻きにするようになっていました。

 一部の提督さんに至っては海に落ちそうなほど距離をとっている始末です。

 

 と、突然、あれだけガタガタと音を立てていた棺の揺れが止まりました。

 全員で固唾を飲んで見守る中、ゆっくりと棺のフタが持ち上がったのです!

 そして持ち上がったフタと棺の間からゆっくりと青白い手が?!

 それを見て全員が悲鳴を上げました。

 何人かの提督さん達は既に気を失ってしまった方もいらっしゃいます。

 そして棺の中からエリカさんを呼ぶ声が!

 

 「貴女が目を覚ましてというから…、桜咲くこの国で待っているというから…、地獄から舞い戻って来たのに…。」

 「そんなに避けられると私、傷付いてしまいます。」

 当のエリカさんといえば十字架を前に捧げコンクリート埠頭で平身低頭状態。

 そして棺のフタが持ち上がり中から手と同じ色した女の人が?!

 もう駄目です、私も限界を超えてしまいました。

 だって真昼間から幽霊ですよ、って足?! 足がある?!

 その女の人が必死でお祈りを捧げているエリカさんの前に立ちました。

 

 「デラメヤ級強襲揚陸艦、デラメヤ着任しました! エリカ提督殿、よろしくお願いいたします!」

 




※集積地棲姫からドロップしたのはなんと『ガミラス艦』でした。
 肌の色が青白かったのも納得ですね。
 しかも強襲揚陸艦、だと?!

※固有能力である癒しに目覚めたエリカ提督。
 これ以降、彼女の指揮するラバウル基地では実質、ドックが5つあるのと同じ状態に。
 また、月一の定例会議では多くの提督さん達が彼女の加護を受けに来るようになったのだとか(笑)。

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