アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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※アルカディア号が宇宙へと上がる時が近付いてきました!

※9月は決算月という事で業務が忙しく、次の投稿まで倍ぐらい開いてしまうかもしれません。
 読んで頂ける皆様には感謝しかありません。
 業務が落ち着き次第となりますが、どうか気長にお待ちいただけますようお願いします。


第167話 ラフレシア座上艦『ドクラス』2(艦娘側:ラチェット)

『梁(理)山泊(ラウンジ)』

 ラフレシア?

 ドクラス?

 アルカディア号さんのお知り合いみたいですが、一体…。

 しかし、それ以上に私達が唖然としてしまったのは彼女のその美しさです。

 私達の中で自他共に認める美人といえばすみれさん、グリシーヌさん、そしてこの私なのですが、その私達をはるか後方に置き去りにするほどです。

 そして私はアルカディア号さんからお聞きしていたある事を思い出しました。

 それはマゾーンは皆、とんでもなく美しいという事…。

 同時に背中に嫌な汗が流れます。

 もしこの女がマゾーンだとすれば私達はいともたやすく中枢部に敵の侵入を許した事になります。

 そしてもしもその技術が深海棲艦達に流れでもしたら…。

 

 「アナタと一度直にお話をしてみたくてね、アルカディア号。」

 穏やかにそう告げる彼女とは裏腹に銃を手にした魔地機関長と台羽くんが前に出ました。

 

 「まて!」

 アルカディア号さんが右手を伸ばし、お二人に銃を下げるように命じます。

 

 「私は戦いをしに来たのではありません。お話をしてみたくて来たのですよ、アルカディア号。」

 

 「そうだな、ここは戦う場所ではない。くつろぐ場所だ、ドクラス。」

 言うに事欠いて何を言っているのだろうと思いましたが、それに対するアルカディア号さんの返答も実に意外なモノでした。

 少しも取り乱す事なく、どっしりと椅子に座ったまま。

 その素振りや行動すべてが私に、いえここにいる女性陣に刺さるのです。

 全くもって罪なお人ですね、貴方は。

 と、その時、防空レーダーの自動探知警報が鳴り響くと同時にヤッタラン副長が飛び込んできました。

 

 「なーにが話し合いや! キャプテン、どえらい数のマゾーン艦が襲来やで!」

 ヤッタラン副長の報告に彼は、なに?!と驚いた様子でしたが、それでも慌てる事はありませんでした。

 

 「これで話し合いとはどういうことだ、ドクラス?」

 

 「…。」

 アルカディア号さんにそう問われたドクラスですが彼女は黙ったままです。

 彼女自身も何が起こったのか分からないという表情ですが…。

 しかし、これは私達を欺く芝居かもしれません。

 いえ、その可能性の方が高いでしょう。

 

 「ここでは戦いたくなかったというのに。なぜこうなったか説明できるのか、ドクラス?」

 アルカディア号さんがドクラスを詰問します。

 

 「どうやら私はお前に軽蔑されたようですね。私にとっても思いがけない事…。」

 「私は戦う時と話し合う時のけじめははっきりと付けておくつもりでした。守れなくて残念です。」

 この女、よくそこまでしらばくれる事ができるわね!

 怒りのあまり銃に手を伸ばした私でしたが、誰よりも先に銃を抜いたのはタチバナ提督でした。

 

 「黙りなさい、そんな三文芝居が誰に通用すると思うの!」

 タチバナ提督の声に全員が頷きます。

 が、そんな私達などお構いなしにドクラスが続けます。

 私達の武器など恐れるに値しないということなのでしょうか…。

 

 「殺し合う前に今一度、ゆっくりと語り明かしたいものですね、アルカディア号。」

 

 「そうだ…。強敵と飲む酒は一番うまいモノだというからな。」

 カッコイイ!

 このラチェット、シビれちゃいます!

 いえ、もう濡れるといった方が正しいでしょう(場所は聞かないで頂けるとありがたいです…)。

 

 「ヒステリアス! 貴様はこのマゾーンの旗艦であるドクラスに恥をかかせた。どうなるかは分かっておろうな。」

 ドクラスがそう上空へと向かって叫ぶと瞬時に空気が変わりました。

 流石はマゾーン艦隊の総旗艦といったところでしょうか?

 上空、いえ宇宙にいるマゾーン艦隊の動きがピタリと止まりました。

 

 「ドクラス様?! 一体何故そこに?! いえ、勝手な判断をお許しください! しかし今が最大のチャンスなのです!」

 ドクラスの持つ無線から艦隊指揮官でしょうか、相当に焦っている様子です。

 

 「チャンス? 何のだ?」

 先程とは違うドクラスの冷たい声。

 それと同時にドクラスが薄くなって消えていきます。

 これがマゾーンの科学力?!

 その科学力と彼女が去り際に残した呟きは私達にとってこれ以上無い恐怖でした。

 いつかアルカディア号とは殺し合いをしなければならない。その時はそんなに遠い未来ではない、私には分かる、と…。

 軍人にあるまじきですが、もはや私達にとって深海棲艦や地球なんてどうでも良い、アルカディア号さんを失う方が余程、恐ろしいのです。

 口にこそ出しませんが、ここにいる誰もが同じ想いなのです。

 あ、真宮寺長官を除いてですが…。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 「こうしてはいられない、全員直ちに迎撃態勢を…。」

 大神さんがマゾーン艦隊を迎え撃つように指示を出そうとしたのですが、アルカディア号さんはその必要は無いと再びソファーに腰を下ろされました。

 

 「ドクラスは約束を守るだろう。どうやらマゾーン艦隊の指揮系統に乱れがあるらしい。」

 彼はそう言うと、これはいけるかもしれんと呟きました。

 魔地機関長も緊張から解放されたのでしょう、マゾーンと話し合えばどうにかならんやろかね?と鳳翔さんと話しています。

 

 「ならないでしょうね。どうやらあちらさんは私達人類抜きの地球が必要みたいですから。」

 

 「そして地球人類もマゾーンを受け入れるつもりはない…。」

 アルカディア号さんがアンドロメダレッドバーボンを呷ります。

 

 「徹底した殲滅戦、というわけか…。」

 

 「お父様?!」

 真宮寺長官が真宮寺参謀総長に非難の混じった視線を向けますが…。

 

 「ともに未来が掛かっているんだ。話し合ったところで譲り合いの余地はないという事だ、よ?」

 大神さんが上空を見上げました。

 シュルシュルと何か人型の様なものが落ちてくるようです。

 ひょっとして、こいつが空から落ちてこなければ誰も某巨大空中都市国家(天空の城ラピュタ)の存在を信じなかっただろう、というあの?!

 一瞬期待したのですが、ドズンという音とともに中庭におちたそれは大柄なマゾーン兵でした。

 副長や機関長がこの制服はかなりの上級将校だとか、胸に穴が開いている事から射殺されてから落とされたとか話しています。

 

 「花火、アルカディア号クルーを1週間ほど好きにさせてやってくれ。」

 全員で落ちてきたマゾーン将校を取り囲んでいると、アルカディア号さんが何かを決意した様子で花火さんに不思議な依頼をされました。

 

 「ええ、それは構いませんが一体…。」

 

 「アルカディア号くん、君はまさか?!」

 花火さんは彼の意図を理解していないようでしたが、真宮寺参謀総長は彼の考えに気付いたようです。

 

 「君は宇宙に上がるつもりだな?! 先のドクラスとやらの決着を着ける気か!」

 

 「ええっ?!」

 思わず声を上げてしまった花火さんですが、何も驚いたのは彼女だけではありません。

 私達を始め、ここにいる全員の視線が一斉にアルカディア号さんに向けられます。

 しかし、アルカディア号さんは、涼しい顔でそうだと答えるとアンドロメダレッドバーボンをコップに注ぎ足したのです。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 「ダ、ダメっ! そんなの絶対ダメです!」

 花火さんがアルカディア号さんに正面から飛びつきました。

 

 「む? しかし一大決戦前なのだ。アルカディア号クルーも英気を養う必要がある。」

 しかし、花火さんはアルカディア号さんの胸に顔を埋めたまま、激しく首を横に振りました。

 

 「違いますっ、マゾーンは深海棲艦とは比較にならない程の科学力と技術を持つ異星人艦隊です、いかなアルカディア号さんといえども行かせる訳にはいきません!」

 顔はアルカディア号さんに埋めたままですが、花火さんは完全に泣き声です。

 

 「アルカディア号さん?」

 すみれさんがもアルカディア号さんに声を掛けました。

 それも今まで聞いた事も無い無機質な声で、です。

 

 「貴方は以前、マゾーン艦隊は宇宙を埋め尽くす程の大艦隊でこの地球へ向かっていると仰っていましたわ。」

 「そんな所に行かせるなんて、例え花火さんが首を縦に振っても私は絶対に行かせませんわ!」

 すみれさんの仰る通りです。

 貴方はもう海軍のいえ、この地球のただ一つの希望なのですから。




※最後にラチェットさんが『この地球のただ一つの希望』としていますが、はたしてそうなのでしょうか?
 そういえば、少し前に神様会議なるものが開かれていた気がするのですが?
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