アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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※アルカディア号がいなくなったのを見計らったように大挙して押し寄せる深海棲艦群。
 果たして全国から集められた艦娘達は帝都と市民を守り切れるのでしょうか?!


第172話 浦賀水道攻防戦1(艦娘側:北大路花火)

横須賀第一鎮守府

 私の横を大勢の艦娘たちが慌ただしく駆け抜けていきました。

 戦艦組・空母組はアルカディア号からもたらされた未来技術を使用した兵装を受け取るために横須賀工廠に並んでいます。

 他にも全国の鎮守府・泊地・基地・警備府から同様の武器を満載した輸送機が続々と到着、そして国鉄横須賀線では一般客扱いを中止し、特別団体列車を増発して全国から出来る限りの艦娘を迎えています。

 到着したそばから武装を受け取った空母艦娘達が横須賀第二鎮守府の庁舎前に集まり新型艦載機のレクチャーを受けていますね。

 前にある朝礼台の上では明石と夕張がX‐ウイングに加え新型機の説明を?

 って、ビッグバイパー?! ロードブリティッシュ?!

 あれって確か某ゲームに出てくる機体なのでは?

 コナミさんに怒られても知りませんよ?!

 横須賀第一鎮守府では戦艦組と重巡組が目を輝かせて受け取った砲を装備しています。

 ここでも別の明石と夕張が光線兵器を利用した砲の使い方を説明していますね。

 また広場の反対側では航空戦艦と航空巡洋艦が集められていました。

 多くの日向がウットリとした表情で手にした緑色の機体を眺めています。

 

 「最上、これがスペース瑞雲だ。ファンネル機能はもちろんの事、さらに宇宙戦闘を可能にした機体だぞ。」

 

 「うん、これで攻防ともに更なる活躍が期待できるよ!」

 他の航空艦娘達も悦びに沸いています。

 

 「今までの瑞雲とフォルムが随分と違うのね。私と姉様にも使えるのかしら?」

 

 「確かにファンネルは攻防一体の素晴らしい兵装です。ですが一度に両方を操ろうとはせず、扶桑さんと山城さんの僚艦でどちらが攻・防を担当するかを決めて下さい。」

 

 「なるほど、それぞれ専担を決めるわけね。」

 山城がスペース瑞雲を格納庫にしまいながら頷きます。

 一方、軍令部庁舎前に集められた軽巡組・駆逐組と潜水艦組は配布された異次元魚雷がどのようなものかの説明を受けていました。

 この新型魚雷、投擲された後はすぐに異次元へと姿を消し相手のすぐ近くで急にこの次元に姿を現すのです。

 特に潜水艦組は魚雷と同様、異次元に潜航して相手の間近からその異次元魚雷を射出するのです。

 相手にとっては絶対に手の届かない所から避けようがない悪魔の兵器が襲ってくるという訳ですね。

 

 「こりゃ凄い魚雷だよ、大井っち。タップリと相手にお見舞いしてやらないとね。」

 

 「ええ、私と北上さんに加えて木曽も阿武隈さんもいることですし。」

 潜水艦組同様に雷巡チームも意気上がっているようですね。

 一般市民には被害を避けるために真宮寺参謀長から避難勧告を出してもらっておりこの点でも迎撃準備として抜かりはありません。

 欲を言えば海外泊地や基地からの艦娘も応援に来てもらえればかなり違うはずですが致し方ありません。

 そして各艦種とも先頭に立つのは軍令部と我が柱島第七泊地の艦娘達です。

 万一、迎撃に失敗しても不沈空母化したデスシャドウ島に全員で移動し迎え撃てばさらに相手戦力を削ることが可能です。

 この時の私はこれだけの兵装とそれを手にした多くの艦娘達を見て、何とかなるのでないかなどと楽観的な考えになっていました。

 ですがそれは単なる思い過ごしであったことをこの後、イヤというほど知ることになるのです。

 

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横須賀第一鎮守府作戦指令室

 作戦室にずらりと並ぶ大淀達。

 

 「電探に反応出ました!」

 そのうちのヘッドセットを付けた数名が叫ぶと同時に、ここ横須賀第一鎮守府の作戦指令室に一気に緊張が走ります。

 

 「まだ視覚では確認できませんが、侵攻速度的に艦載機だと思われます!」

 

 「軍令部空母艦娘と呉第一空母艦娘に告ぐ、全艦載機を発艦!」

 

 「横須賀第一鎮守府空母艦娘も続きなさい、発艦後は航空隊は西側へと展開!」

 長官の命に続き神崎提督も空母艦娘達に艦載機を発艦させるように命じました。

 

 「横須賀第二鎮守府空母艦娘隊、艦載機を上げろ! 我々は東側の千葉方面へとまわる!」

 

 「佐世保機動部隊は浦賀水道入口へ展開! 出来るだけ多くの相手艦載機を落とせ、いいな!」

 グリシーヌと桐島中将の横須賀第二鎮守府と佐世保第一鎮守府の空母艦娘達による航空機隊、やや遅れて他の泊地や基地、警備府の空母艦娘達も次々と艦載機を発艦させていきます。

 アルカディア号さんからもたらされた超技術とA&Y(明石&夕張)重工によって開発された、艦戦・艦爆・艦攻全ての役目をこなせるX‐ウイング・ビッグバイパー・ロードブリティッシュの3機種がこちらの頼みの綱。

 数分後、軍令部の大淀からこちらの艦載機が敵艦載機と接敵しましたと報告が上がりました。

 西は藤沢辺りから東は千葉の館山まで一直線になった艦載機群を5重にして何としても相手艦載機に浦賀水道を抜かせないという作戦です。

 そしてついに相手艦載機群とX‐ウイングとビッグバイパーが相手艦載機と入り乱れ始めました。

 ここで新型機ロードブリティッシュのリング状に広がるリップルレーザーとやらが絶大な効果を発揮しました。

 味方のやや後方から発射されたリング状のレーザーは前に行くにしたがって広がり多くの相手艦載機をとらえていくのです。

 軍令部作戦指令室に歓声が巻き起こります。

 

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浦賀水道の攻防1

 しかし数では圧倒的に上回る相手艦載機群。

 やがてこちらの艦載機が展開している両端を回り込むようにして突破する相手艦載機が出始めました。

 それを防ぐため、さらに防衛線を横に伸ばすと浦賀水道を守る正面が薄くなってしまいます。

 そのせいで正面からもこちらの宇宙戦闘機隊を突破する敵機が!

 戦闘自体はこちらの艦載機が圧倒しているというのに!

 さらには何処から現れたのか敵艦隊の本隊までもが薄くなった正面の防衛線を突破し浦賀水道へと侵入を始めたのです!

 空母艦娘達からは申し訳ありません、突破されましたという悲鳴が!

 軽空母艦娘達から発艦した第二次艦載機群が健闘しているとはいえ、正規空母艦娘達の航空隊が補給のため一斉に母艦に帰還を迫られたことが大きかった。

 ですが、ここで浦賀水道へとなだれ込もうとした深海棲艦達から爆炎が。

 

 「さあ、行くぞ! 打ち方…、始め!」

 

 「遠慮はしない、撃てぇ!」

 

 「敵艦捕捉、全主砲薙ぎ払え!」

 軍令部:武蔵、柱島第七泊地:武蔵、横須賀第一:大和をはじめとした横須賀と富津の両側から戦艦娘の砲撃が!

 さらに重巡艦娘達も砲戦に加わり浦賀水道を超えようとする深海棲艦達と激しい砲撃戦が展開されていきます。

 砲口から放たれる光の矢が次々と浦賀水道へと侵入しようとする深海棲艦達を捉え海底へと還していきます。

 ですがあれだけ大量の深海棲艦が相手、押されては押し戻しといった一進一退の攻防が続きます。

 航空巡洋艦・航空戦艦達の宇宙瑞雲ファンネル、水雷戦隊艦娘と潜水艦娘達の異次元魚雷がなければとうに帝都は陥落していたでしょう。

 しかしそれもちょっとした何かですぐに崩れてしまいそうな危ういバランスの上に成り立ったもの。

 その何かが味方だとは夢にも思いませんでしたが…。

 突然、小型のボートの大群が東京湾から現れたのです!

 

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浦賀水道の攻防2

 あれは陸軍の小型上陸艇?!

 いえ、それだけではありません。

 よく見れば民間の漁船が半分近くを占めています。

 そしてそこには陸軍の戦車娘が!

 全員があっけにとられましたが、いち早く反応したのは真宮寺参謀長でした。

 

 「天笠大臣代理、これは一体どういうことなのだ! 戦車娘で深海戦艦を相手に戦うおつもりか?!」

 ややあって天笠から無線越しに返答が。

 

 「真宮寺参謀長、貴様はいまさら何を言っている? 我が陸軍には敵に背を見せるという考えは無い。」

 「この帝都を守るのは皇軍こと、この陸軍である! 臆病風に吹かれた海軍などでは到底、この戦い勝てぬ。黙って見ているが良い!」

 

 「馬鹿な! 攻撃力も防御力も艦と戦車では比較にならん、今すぐ撤退させるんだ!」

 天笠大臣代理と真宮寺参謀長がやり合っている間にも砲撃戦を展開している艦娘達からひっきりなしに問い合わせが入ってきます。

 ブリーフィングでは陸軍が割って入ってくるなんて聞かされていませんでしたからね。

 しかも日本の戦車なんて小口径な上、短砲身なので砲弾の威力もたかが知れていますし、届く距離も限られます。

 深海棲艦にとっては良い的にしかならず次々と被弾し船もろとも沈んでいく戦車娘達。

 しかも徴兵した上で人体改造を施したのでしょう、被弾した瞬間にお母さーん!と叫びながら散っていく娘達も大勢いました。

 大神さんがダンと机を両手で思い切り叩きました。

 

 「酷い。どうして…、こんな…。」

 神崎中将が涙を流しながらじっと手を握り締めています。

 唇を噛み締めるタチバナ中将。

 その手は神崎中将と同じように強く握りしめられていました。

 と、突然砲雷撃戦を行っている戦艦娘と重巡艦娘の陣形が崩れ始めたのです。

 モニターには戦車娘を救出しようとする艦娘達の姿が!

 しかし、それは砲雷撃戦よりも救出・救援を優先させたという事。

 当然、戦線の維持などできようはずもなく…。

 しかも海上に出たという事は当然、沈む危険性もあります。

 

 「全艦娘に告ぎます! 陸に戻り戦線の維持を優先なさい!」

 沈痛な面持ちで長官が命令を下しました。

 第三者からすればあまりにも非情な命令。

 当然、救援活動中、あるいは向かった艦娘達からも陸軍を見捨てるのかという声が上がりました。

 

 「最も優先されるのは一般市民と帝都の防衛です。戦車娘の…、救出ではありませんわ。これは命令です、陸へ戻り…、戦線を、維持なさい…。」

 

 「提督…。提督もお辛いのですね…。」

 横須賀第一鎮守府の大淀。

 しかし、一度崩れた戦線を立て直すことなど容易ではありません。

 いつの間にか戦線は総崩れとなり気付いた時にはデスシャドウ島への撤退戦となっていたのです。

 

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デスシャドウ島への避難

 フル稼働する軍令部・横須賀第一鎮守府・第二鎮守府のドック。

 バケツも1000以上は使ったでしょうか?

 しかし、ついに真宮寺長官と大神元帥が全艦娘に最寄りのシェルターへ撤退を命じました。

 もちろん、デスシャドウ島へ避難する艦娘達も多数います。

 私達、軍令部作戦室にいた全員もシャトルに乗ってデスシャドウ島へと避難するのですが、撤退してきた艦娘を含め全員が一度に乗ることはできません。

 何度も何度もシャトルがデスシャドウ島と軍令部を往復します。

 いくら高速といえども、避難してきた艦娘達はかなりの数に上るのですから無理もありません。

 ですがようやく残り人数が数えられる程度までになりました。

 

 「花火、お前が行先に乗れ。私は最後でいい!」

 グリシーヌはそう言ってくれましたが、フィリップを失った私に色々と尽くしてくれた彼女を先に乗せるべきだと思った私はその申し出を断りました。

 彼女と他の提督さん達を送り出し、残るはいよいよ私とウチの大和・武蔵・日向・霧島・翔鶴・加賀、エリカ提督に影山提督。

 デスシャドウ島からこちらへ戻ってくるシャトルにホッとしているとものすごい衝撃と爆発音がして私の意識はそこで途切れてしまいました。

 

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デスシャドウ島大会議室(真宮寺長官)

 最後のシャトルの到着を待っていると突然、軍令部の方からものすごい爆発音がしました。

 

 「何だ、どうした!」

 

 「一体何が?!」

 全員がモニターを見つめますが爆炎と砂煙で一切の状況が不明です。

 

 「大淀、一体何があったのですか?!」

 私の問いにも彼女は呆然としたまま。

 

 「大淀!」

 もう一度強く名を呼びますが大淀は呆然としたままです。

 そして途切れ途切れに彼女が紡ぎだした返答は私達にとって到底信じられない、いえ信じたくないものだったのです…。

 

 「軍令部からの…、生体反応9つ全てが…。消失しました…。」

 




※陸軍さんは相変わらずのようですねぇ…。

※さあ、大変です!
 北大路提督、それに大和・武蔵・日向・霧島・翔鶴・加賀、エリカ提督に影山提督の生体反応が消失してしまいました。
 そしてそれが何を意味するかは…。
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