アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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※それはいつ生まれたのか誰も知らない。
 暗い音のない宇宙で一つの大きな光が分かれて増えていき9つの光が生まれた。
 それらはもちろん人間ではない。
 また艦娘や深海棲艦でもない。
 だが女神達の召喚したその光の玉には正義の血が隠されているのだ。
 その光の玉、それは実体を持てなかった時空を超えて集まった伝説の船魂である!



第174話 浦賀水道攻防戦3(艦娘側:柱島第七泊地大和)

 帝都のおひざ元という事でかなり激しい攻撃を受けた大本営と陸軍娘、軍令部、各横須賀鎮守府は壊滅状態となってしまいました。

 陸軍による引っ搔き回しがなければまだ戦えていたかもしれないと思うと腸が煮え繰り返る思いです。

 東京湾への入り口となる富津ラインを突破された時点で、大神さんと真宮寺参謀長は全員にシャトルでデスシャドウ島シェルターへと避難するよう指示を出されました。

 もちろん全員が一度に乗れるわけでないので、かなりの便に分ける必要はありましたが、大半の提督さん達と所属艦娘達は避難を完了させる事が出来たのですが…。

 最後に残ったのは私・武蔵・日向・霧島・加賀・翔鶴・影山提督・エリカ提督・そして私達の北大路提督の9名。

 ですが、脱出シャトルを待つ位置に凄まじい轟音が響いたかと思うとそのあたり一帯には更地になってしまったのです。

 

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柱島第七泊地:加賀

 (加賀、私の声が聞こえますか?)

 

 …。

 

 (随分と手酷くやられましたね。矢筒の矢がほとんど減っていないということは艦載機を発艦させる暇もなく一瞬でやられたという事ですね。)

 

 謎の声が聞こえるわ。

 でも今の私は返事をしたくても出来はしない。

 先の一斉攻撃を受けた際、顔の下半分が飛んでしまったのだから。

 海上であれば轟沈ストッパーさえ効かず一瞬にして沈んでいたに違いないわね。

 おまけに左半身が土砂に埋まっていて身動きも取れない状態。

 これでよく五航戦の子なんかと一緒にしないでなんて言えたものだわ。

 

 (私の力は他の人たちに比べ総じて低め。それでも貴女が私の力を必要とするのであれば、私は迷うことなくこの力を貸しましょう。)

 

 どんな力でもいい、もう一度あの人の元に戻れるというのであれば…。

 私は…、悪魔にだって魂を売って見せる!

 

 (私の手を取ればもう二度と第一航空戦隊正規空母加賀として生きることは出来ません。本当にそれでも良いのですね?)

 

 貴女が誰だか分からないけれど構わないわ。

 どのみち私は一度死んだ身。

 これ以上失うものは何もないもの。

 

 (分かりました。)

 

 謎の声の主がそう言うと誰かが私の中に入ってくるのを感じたわ。

 その途端、恐ろしい速度で私の体の欠損した部分が再生していきます。

 いえ、再生していくだけではないわね。

 崩壊したコンクリートの破片や土砂の圧力をモノともしない凄まじい力。

 そして瓦礫をかき分け地上へと出た私は自分の姿がすっかり変わってしまっていることに気が付いたわ。

 なるほど、もう二度と加賀として生きることは出来ないというのはこういう事だったのね。

 青く輝く海原越えて旅立ちの時は来たわ。

 行くわよ!

 

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デスシャドウ島大会議室1

 「強力なエネルギー反応探知、しかもどんどん大きくなっていきます!」

 スクリーンを見つめていた宿毛第一の大淀さんが立ち上がりました。

 

 「まさか、深海棲艦の新たな増援なのですか?!」

 しかし、電波探知機の表示はその強烈なエネルギー反応が一部分だけといえども深海棲艦の軍勢を押し返し始めた事を示し始めたのです。

 

 「貸して、私に貸してください!」

 柱島第七泊地の赤城さんはそう叫ぶと、最寄りの大淀さんからヘッドセットを奪うようにして自らに装着し、映像受信機をその高エネルギー反応の1つに合わせ始めました。

 

 「こ、これは?!」

 

 「加賀さん?!」

 そこには消し飛んだと思われていた柱島第七泊地の加賀さんの姿が。

 

 「ぐすっ。加賀さん、良かった…。無事だったのですね。」

 安堵のあまり赤城さんがその場にへたり込んでしまいました。

 

 「ちょっと待っつぽい。あの加賀さん…、何かおかしいっぽい。」

 全員の目がもう一度、映像受信機(モニター?)に向けられました。

 加賀さんが無事だったという事にばかり意識が向けられていて夕立さんに指摘されるまで気が付かなかったのですが…。

 そこで初めて全員が加賀さんのコスチュームがいつもと違う事に気が付きました。

 空母の皆さんといえば弓道着ベースの出で立ちですが、いま映し出されている加賀さんは体にピタリとフィットした明るいグレーを基調とした戦闘用のボディスーツ。

 それにいつもは左側に装着している飛行甲板が両肩に装備されています。

 しかもそれが両方ともアングルドデッキな上、そこから夥しい数の艦載機が絶え間なく発艦し戦線を押し上げているのです!

 

 「それに…、加賀さんが…。」

 

 「飛んでる…。」

 あまりの光景に二航戦のお二人、いえ私も含めた全員の口が半開きに。

 

 「一体、どうなっているの…。」

 

 「わからないわ。でもカガに何かあったことだけは間違いないわね。」

 そういうホーネットさんとイントレピッドさんも目を見開いたままの状態でしたが。

 

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柱島第七泊地:翔鶴

 (目を覚ましなさい、翔鶴。)

 

 翔…、鶴。

 私…、私は翔鶴…。

 

 (私の盟友であるアルカディア号が星の海で戦っているというのに貴女は一体何をしているのです?)

 

 貴女が誰だか存じ上げませんが私はもう戦う事なんて出来ません。

 というか私は死んでしまっているはずです。

 

 (貴女は全艦種正室に選ばれた身。それなのに戦う力や術がないとは言わせません。)

 

 私だって戦いたい、でもどうしようもないじゃないですか!

 

 (私はかつて幾度もキャプテンハーロック、いえアルカディア号と共に戦ってきました。)

 (翔鶴、貴女がこれからも彼の傍に居たいというのであれば私の手を取りなさい。そして再び立ち上がるのです!)

 

 またあの人と共に…。

 もう一度、その願いが叶うなら私は…、私は!

 

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デスシャドウ島大会議室2

 

 「さらに8時の方向にも強力なエネルギー反応! これもどんどん巨大化しています!」

 今度は大湊第二警備府の大淀さんから報告が上がります。

 

 「…っ!」

 柱島第七泊地の瑞鶴さんがモニターに駆け寄り、次々と映像を切り替えていきます。

 

 「こ、これは?! 翔鶴姉…、なの?」

 瑞鶴さんが戸惑うのも無理はありません。

 そこに映し出された翔鶴さんは翔鶴さんであって翔鶴さんではなかったのですから。

 加賀さんと同じように戦闘用ボディスーツだけならまだしも、アルカディア号さんも絶賛していたあの美しいシルバーヘアが赤銅色に。

 しかも真っ赤な上着の胸元と髪留めにはアルカディア号さんと同じ髑髏が!

 飛行甲板は無く代わりに硬式飛行船を半分にしたものが両腕に装着されており、本当にあれが翔鶴さんなのでしょうか。

 そんな私達の疑念をものともせず、翔鶴さんが凄まじい戦闘力で戦線を押し上げていきます。

 その力は加賀さんを軽く超えているでしょう。

 硬式飛行船の船体部分から伸びる幾条もの光線、それに加えアルカディア号さんと同じ剣と銃が深海棲艦を蹴散らしていきます。

 しかし防衛ラインは横須賀から富津岬とかなり長いためお二人で両翼を抑えていても、肝心の真ん中である東京湾入口までは手が回っていません。

 そこから深海棲艦の大群が中央を突破しつつあります。

 まさに戦いは数です。

 一般市民の方々が内陸部へと避難していると良いのですが…。

 

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北大路花火

 (ちょっといつまで寝てるつもりなの?)

 (聞いてるの? ねえってば?!)

 

 どこからか声が聞こえます。

 周りを見渡しても真っ暗で何も見えません。

 おそらく私は死んでしまったのでしょう。

 最後に見たのは深海棲艦の一斉攻撃により全員が四散した光景。

 艦娘と違いただの人間である私は原形さえ留めていないはずです。

 

 (なにつまんないこと考えてるのよ。それよりアンタこのまま死んじゃっていいの?)

 (アルカディア号の正室なんでしょ?)

 

 アルカディア号さん…、正室…、私…。

 

 (そうよ、今度こそ幸せになるってフィリップさんにも約束したんでしょ!)

 (だったら私の手を取りなさいよ、世話が焼けるんだから!)

 

 貴女は…、誰なのですか?

 

 (そんなのどうでもいいじゃない。で、やるの? やらないの?)

 

 やるとは一体…。

 

 (ああもう、もう一度あの人の傍に居たいかって事!)

 

 それは勿論です!

 私はあの人に女の幸せを教えてもらうのです、それは譲れません!

 

 (じゃあ、協力してあげる。言っておくけど、私結構強いんだから!)

 

 謎の声の主がそういうが早いか私の体が再生していきます。

 それどころか分厚い土砂をものともせず手足が動かせることに驚きです。

 それだけで私は自分がもう普通の人間でなくなってしまったことを理解しました。

 そして地上へと出た瞬間、私の体は眩いばかりの光に包まれたのです。

 光が消えた時、私の体には艦娘の艤装とも呼べるものが装着されていたのです!

 

 (中の人つながりとはいえ、こうやってあなたのもとに来れたのも神様会議のおかげ。私の力、存分に使いこなしてよね。)

 (あ、忘れてた。最後に一言…、ジャンなんて大っ嫌い!)

 

 体の中に渦巻く凄まじい力。

 展開されていく艤装の前翼と主翼。

 縦に並んだスラスターが唸りを上げると私の体は一気に上空へと飛び出していきました。

 しかし、ジャンとはいったい誰なのでしょう?

 それに中の人とは?




※現在、未知なる船魂の加護を受けたのは3名。
 残りの者たちもレジェンド達の加護を受けるのですが、次回はいよいよあの艦娘が登場します!
 海を埋め尽くすほどの深海棲艦達を押し返す事が出来るのでしょうか?!
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