アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

178 / 198
※この章は本編とは関係なく独立章となっています。
 
【挿絵表示】



艦娘達とのエピソード(本編とは無関係)
摩耶(高雄型重巡三番艦)


給湯室

 給湯室にお茶っ葉を補充しに行くと赤城がいた。

 手に持っているモノを見るにアタシと同じ目的で来たんだろうが、彼女の視線はテーブルの上にある白い箱に絶賛中で注がれている。

 

 「何だか随分と高そうなブツだな、洋菓子か?」

 

 「ええ、開けてみましょう。って、エクレアですか。ん~、美味しい。いけますねぇ~。」

 彼女はそれをヒョイと摘まむと、止める間もなく口の中に放り込んだ。

 

 「お前、何やってんだよ?! 誰のモノかも分かんねえのに、止せ止せ!」

 幸せそうにエクレアを平らげていく赤城とは逆にこっちが青くなる。

 

 「大丈夫ですよ。テーブルの上に落ちていたんですから。」

 

 「置いてあるんです!」

 後ろには大魔神と化した大淀が立っていた。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

執務室

 「提督、ネズミを二匹捕まえました。」

 大淀が執務室の扉をノックする。

 

 「ネズミ?」

 

 「はい、かなりの大型ネズミです。」

 二人して提督の前に突き出される。

 執務室の中には提督ともう一人…。

 げ、ブルーメール提督じゃねえか?!

 そういえば今日は月一の定期戦の日。

 アタシの中でこの二つ(来客とお菓子)が繋がった(繋げたくはなかったが…)。

 

 「実はブルーメール提督にお出ししようと思っていたお菓子を赤城さんが…。」

 やっぱりかよ!

 

 「ええっ?!」

 

 「でもあれはテーブルの上に落ちて…、痛い痛い!」

 

 「まだ言いますか?!」

 大淀が赤城に絡みつく。

 おおぅ…、コブラ(ツイスト)かよ。

 またガッチリと極まって…。

 

 「提督、すまねえ。止める前にもう…。」

 

 「大体、どうして勝手に食べたりしたのですか?!」

 「摩耶さんにも誰のモノか分からない以上、止めるように言われたでしょう!」

 大淀がさらに赤城を絞り上げる。

 

 「そこにお菓子があるからです!」

 悲鳴を上げながらもドコかドヤ顔の赤城。

 

 「「「登山家か?!」」」

 執務室でタカ&トシをやらせるんじゃねーよ。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 「では摩耶は赤城を止め切れなかったのですね?」

 

 「はい、提督。摩耶さんをここに引っ張ってくるのはいささか可哀そうだとは思ったのですが。」

 彼女は手を付けていないという事をお伝えしておこうと思いましたので、と大淀。

 と、それまで黙ってカップを傾けていたブルーメール提督が笑いだした。

 

 「何処の赤城でも同じだな。私もこの間、ケーキを半分づつと言ったら上半分を持っていかれたぞ(笑)。」

 オイオイ、そっちの赤城も大概じゃねーか。なるほど、その手がありましたか、と妙な感心をして更にギュウギュウと絞られる赤城。

 と、その時、ノック音と共にアルカディアの声がした。

 

 「北大路提督、アルカディア号、二日間にわたる佐世保第一鎮守府との演習任務より帰投した。」

 

 「ほら、王子様のお帰りだぞ(笑)。」

 

 「も、もう、グリシーヌったら!」

 赤くなりながら彼を部屋へ迎え入れる提督。

 剣を構えたまま、踵を合わせて立つアルカディア。

 

 やっぱカッコイイよなぁ。

 でも何でアタシ、重巡の側室筆頭に選ばれたんだ?

 正室は足柄だし、言っちゃなんだが重巡枠だけイロモノ臭が半端ない。

 (足柄:摩耶、後でちょっと顔貸しなさい?)

 

 「お帰りなさい、随分と早く戻ってきてくれたのですね。」

 

 「やはりここの方が落ち着くのでな。戦績は20戦20勝、あと桐島中将閣下より長崎名物の高級カステラを沢山いただいている。ん、ブルーメール閣下ではないか。今日は一体…。」

 

 「月一の定期演習だ。早く着いたので朝からお邪魔させてもらっている(笑)。ウチ(横須賀第二鎮守府)の演習メンバーも卿に会いたがっていたぞ。用事が無ければこの後、訊ねてやってくれ。」

 花火と此処の艦娘達は面白くないかもしれないが、とブルーメール提督。

 ま、これも有名税のようなものだ、諦めろと笑って提督の肩をポンと叩いた。

 

 「もう、グリシーヌったら。丁度いいわ、代わりにこれ(カステラ)を頂きましょう。」

 

 「はい!」

 

 「何でイイ返事してるんですか! 貴女(赤城さん)の分はありませんからね!」

 大淀からの非情な宣告。

 ま、自業自得ってヤツだ(笑)。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 「提督、赤城さんに対する処罰は如何致しましょうか?」

 

 「私からは特にありません。」

 そもそも柄ではありませんし、と提督は涼しい顔だ。

 それでは示しがつきませんとする大淀に、

 

 「桐島中将の高級カステラで何とかなったので良いではないですか。無ければ非常に困った事になる所でしたけれど。まあ、この事態が空母艦娘教導艦の耳に入らなければいいですけどね(笑)。」

 首筋にゾッとする感覚。

 振り返ると、切ったカステラと紅茶をカートに載せた鳳翔さんがこれ以上無い笑顔で立っていた。

 だが、あの笑顔は危険だ。現に鳳翔さんの背後には黒い何かが漏れ出ている。

 これが二航戦から聞いた鳳翔さんの黒化ってヤツか。

 本家(間桐桜)に一歩も劣ってねーな、こりゃ。

 生まれたての小鹿よりも震えてる赤城が何だか可哀想になっちまった。

 

 「赤城ちゃん?」

 

 「は、はひっ!」

 

 「ちょっとお話があります。空母寮へ帰りましょう(ニコニコ)。」

 いえ、あの私、ちょっと用事が…、と渋る赤城の襟首を掴む鳳翔さん。

 そのまま赤城は鳳翔さんに曳かれて空母寮へと消えて行った。

 

 「提督もお人が悪いですね。よりによって鳳翔さんに言いつけるなんて…。」

 

 「偶然、私が嘆いた時にカステラを切ってお茶を入れてくれた鳳翔がいただけです。それをチクったようにいわれるなんて心外ですね(笑)。」

 提督、やっぱお前が一番怖えーよ…。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

夜:重巡療高雄型(第四戰隊)部屋三番個室

 「なるほど、そんなことがあったのですネ。」

 とんだ災難デース、とは戦艦寮から回覧物を持ってきてくれた金剛。

 特段忙しくないからというので今日あった事を愚痴ってるって訳だ。

 それにしても腹減ったなぁ…。

 赤城を止められなかったバツとして大淀から言い渡された罰は晩飯抜き。

 もっとも赤城は明日一杯まで飯抜きと、彼女にとってはこれ以上ないキツイお仕置きとなっている。

 おまけに食堂には必ず顔を出して皆が食べているのを見ていないとダメなんだとか(笑)。

 

 「鳥海が風呂に行ってる間にコッソリ貰い置きしていたお菓子でも食うか(笑)。このままじゃ体が持たねえからな。」

 アルカディアから貰った森永のエンゼルパイ。

 金剛にも一つ進呈する。

 これ美味えんだよなぁ(笑)。

 口を大きく開けて半分ほど一気にかじり付く、いやかじり付いたはずだった。

 でもソレは忽然とアタシの手から消えちまった。

 

 「あん?」

 落としたのかと思って下を見る。

 落としてない、おかしい。お菓子だけに。

 代わりに目に入ったのは黒いストッキングに包まれた足。

 

 「摩耶?」

 

 「摩耶ちゃん?」

 恐る恐る見上げると消えたはずのチョコパイが愛宕姉の手に収まっている。

 

 「大淀さんから聞いたわ。摩耶、あなた赤城さんを止める事が出来なかった罰として夕食抜きなんですって?」

 

 「そうよぉ、なのにこんなお菓子を食べちゃダメじゃない。」

 

 「だから晩飯の代わりなんじゃねーか。返してくれよ!」

 が、手を伸ばすより先にチョコパイは愛宕姉にモグモグされてしまった。

 こうなったらテープルの上にある袋だけは…、無い?!

 

 「駄目よ、一晩絶食なさい。」

 高雄姉の手にはしっかりとチョコパイの袋が。

 二人はそのまま部屋を出て行くと、共用スペースで風呂から上がった鳥海と三人でミニ茶会をおっ始めやがった。

 開こえてくるのは高雄姉のあら、美味しいとか、鳥海の私の計算ではこんな美味しいお菓子有り得ないとか、愛宕姉のぱんぱかばーんとか、缶を開けるカシュッという音。

 楽しそうだな、全くよぉ…。

 

 「摩耶。」

 

 「あん?」

 

 「これ。私のを食べるですヨ。」

 せっかく頂きましたが、と金剛。

 チョコレートの甘さと生地のフワフワ感、そして金剛の優しさが身に染みる。

 

 「取り上げるならまだしも自分達のモノにするのはチョット酷いデスネ。」

 金剛は摩那の気持ちを代弁してあげマースとニヤッと笑った。

 

 「くっそー、こっちは演習に全戦出ず張っりで腹減ってんのに。」

 「大体、高雄姉も愛宕姉もそれ以上パイ(意味深)は要らねえだろ。」

 「デブだ、デブになっちまえ、それで鳥海と三人で柱島第七泊地の森三中結成ってか?! なあ、金剛?」

 金剛、お前!

 やるなら地声でやれよ!!

 しかも無駄に似てるドコロかドコをどう聞いてもアタシだぞ!

 やはりというか、ドアの向こう、共有スペースでピシッと空気が凍った音がした。

 

 「そうね、 じゃあお言葉に甘えて運動しようかしら。」

 指を鳴らしながら距離を詰めてくる三人。

 それからの事は多く語らない、いや語りたくない…。

 ただ一ついえるのは…。

 

 金剛のヤツぜってー許さねえ!

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

デスシャドウ島

 あれから不貞腐れてベッドに潜り込んだものの腹が減って眠れない。

 おまけにモノが二重に見える…。

 空腹もあるが、主な原因は鳥海のフライングボディアタックと姉貴達のツープラトン・バイルドライバーを喰らったせいだ。

 寮を抜け出しデスシャドウ島に向かう。

 デスシャドウ島へと渡る桟橋を歩いていると月明かりの中、同じようにフラフラしながら少し先を歩くヤツがいる。

 騒動の発端、元凶の赤城だ。

 アイツも考える事は同じかよ。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 「それでここへ来たのか?」

 

 「頼む…。何か、何か食わせてくれ…。」

 

 「私もです、お腹が空き過ぎて胃がキリキリと痛んで…。」

 アルカディアはそれを開くと戸棚からカップ焼きそばを取り出した。

 げ、アタシの空飛ぶ奴と違って赤城のは4184キロカロリーもあんのかよ、凄えな…。

 お湯を注いで待つ事3分、書かれてある通りにお湯を捨てソースを入れると香ばしいイイ香りが!

 二人して貪るように喰い始める。

 そんなアタシ達の前にアルカディアはマヨネーズを置いた。少し入れるとコクが出るんだとか。

 さらに摩耶も一つでは足りないだろうと、もう一つ『夜店の焼きそば』(一平ちゃん)とやらも出してくれた。

 帰る時、今度は見つかるなよと新しいエンゼルパイまで持たせてくれた。

 くそっ、ますます惚れちまうじゃねーか。

 

 よーし、待ってろよ、必ずお前と釣り合うイイ女になってやるからな!

 




※タカ&トシ
 御存知、〇〇か!のツッコミでお馴染みの漫才コンビ。
 最近見ないけど、舞台が忙しんでしょうか?

※ケーキを半分ずつって言ったら上半分を持っていかれた
 娘が小さい頃、実際にやられました。

※用事が無ければこの後、訪ねてやってくれ
 アルカディア号が控室に訪ねたところ横須賀第二鎮守府の全員が戦意高場(キラ付け)状態になってしまい柱島第七泊地の前習メンバーからはかなりの不評を買ってしまったようです。

※本家の間桐桜に一歩も劣っていない
 さすがにタコさんウインナーのようなモノは出でいなかったようですが…。

※ドコをどう聞いてもそれアタシの
 金剛型も高雄型も全員、中の人が『東山奈央』さんです。声真似なんてお手のモノに違いない、メイビー。

※空飛ぶヤツ
 ピンクレディーの歌にも…。ええっ、ピンクレディーをご存じない?!
 と、とにかく摩耶はこれが一番お気に召したようです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。