アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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※この章は本編とは関係なく独立章となっています。

※カーブの打ち方ですか?
 ボールがググッとしたら自分のスイングに合わせて、いわゆるバットをこうブワッとですね、ハイ。


加賀(第一航空戦隊)

 「何でよ、何で出来ないのよっ!」

 ヒステリックに喚き散らす五航戦の娘(瑞 鶴)に、コチラまでため息が出ます。

 ペイント弾で真っ赤に染まったその姿は赤鬼もビックリといったところかしら。

 

 噴進弾ファンネル。

 私の運命の人(アルカディア号さん)からもたらされた攻防一体の夢のような兵装。

 それをヤッタラン副長とA&Y(明石&夕張)重工が形にしてくれたのだけれど、どういう訳かあれだけ器用な五航戦の娘(瑞 鶴)が上手く扱えません。

 自身で身を守る事が苦手な私達(空母艦娘)にとってはこれ以上無い福音のはずなのだけれど…。

 

 こういうとあの子だけがダメなように思われるけれど、そうではないわ。

 一組(三基)だけなら十分に扱えています。

 ただ、激しさを増す深海棲艦との戦いにおいて一組だけではやはり心許ないのも事実です。

 二航戦の二人は勿論、『雲龍』・『天城』・『葛城』・『大鳳』、はては姉の『翔鶴』まで何とか形になりつつあるというのだから、あの子が焦るのも無理は無いのだけれど…。

 

 「少し休憩なさい。そんな冷静さを欠いていては出来るモノも出来なくなってしまいます。」

 

 「駄目だよ、加賀さん。皆に追いつくためには立ち止まっている暇なんて無い、このまま戦場に出たら私が足を引っ張る存在になっちゃう!」

 

 「いい加減になさい。感情に翻弄されたまま行う訓練に意味があるとでもいうの?」

 「この兵装は特に集中力が必要なの。それは貴女も分かっているのではなくて?」

 

 「だったらどうすれば出来るのか教えてよ!」

 

 「だから意識を向けて集中なさいと…。」

 

 「私だって集中してるわよ! でもそれじゃ出来ない、出来ないし分かんないのよおっ!!」

 そう叫び、突っ伏してしまった五航戦の娘(瑞 鶴)はその日、もう立ち上がる事はなかったわ。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 「どうでした、瑞鶴さんは?」

 部屋に帰ると赤城さんが気を使って声を掛けてくれます。

 でも私は黙って首を横に振る事しかできません。

 

 「そうですか。まあ、あまり追い込まない方が良いでしょうね。」

 テーブルの上にあるお煎餅に手を伸ばす赤城さんからのアドバイス、いえ忠告です。

 窓の外を見ると件の五航戦の娘(瑞 鶴)が姉に連れられてトボトボとデスシャドウ島へと歩いていく所でした。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 次の日の訓練は賑やかだったわ。

 アルカディア号さんに台羽さん、そして有紀さんに赤城さんまでが瑞鶴の訓練を見守っています。

 相変わらずペイント弾で真っ赤になり続ける瑞鶴。

 目は完全に虚ろで、いつもにも増して酷い状態だわ。

 見るに見かねたのでしょう、有紀さんが前に出ました。

 

 「瑞鶴さん、一組だけでやってもらっていいかしら?」

 

 「うん…。」

 一組だけを使った訓練はあの子だって十分できる。

 あの四航戦にだって引けは取らない。

 

 「反応速度は悪くないのね。」

 

 「ええ、それどころか群を抜いていると思います。」

 有紀さんと台羽さんも驚く程の反応速度。

 でもやっぱり二組の使用となると全然駄目だわ。

 ここでアルカディア号さんが瑞鶴を海上から呼び戻しました。

 

 「瑞鶴、加賀からはどのような教導を?」

 

 「あれは意識と集中が大事だから常に集中し意識を向けて、ヒューと来たらピシュンのピシュンでキュピーンしなさいって…。」

 

 

 「ふむ、加賀は長嶋茂雄か。」

 あのミスターと同じと言ってもらえるなんてと喜んだのけれど、

 

 「加賀さん、今のはあまりいい意味ではありませんよ。」

 言いにくいですが、と赤城さん。

 

 「名選手は必ずしも名監督・名コーチではないという事だ。」

 顔に出ていたのでしょう、アルカディア号さんが説明して下さったわ。

  1.何故、自分が出来る事を他人が出来ないのか分からない。

  2・自分はこの感覚で出来ているので、これ以外に説明のしようがない。

  3.よって自覚は無いが、人に教えるのが苦手である、あるいは教える才が無い。

 

 「教導艦に求められるのは実績ではない。いかに引出しを沢山持っているかだ。」

 「これで伝わらなければ別の表現で伝えてみよう、それでも駄目ならまた違った表現で伝えてみようと…。それが引出しを多く持っているという事だ。」

 これが名監督・名コーチと呼ばれるのだと、そう仰ったわ。

 

 「瑞鶴、一方向だけを向かず向きを変えたり、一歩下がったりして出来るだけ多くの模擬攻撃機を視界に入れるようにしてみろ。」

 そこからの瑞鶴の動きは別人でした。

 模擬攻撃機が速度を最大にしても追い付きません。

 今までの突っ立ったままとは違い、DQ4のミネアとマーニャもビックリの華麗なステップと動きで全ての攻撃を防ぎ切ってしまいました。

 更に圧巻だったのは攻撃を防ぐだけではなくこちらから仕掛ける余裕まで見せた事ね。

 ついには模擬敵機の方が持たず全機燃料切れを起してしまったわ。

 

 満面の笑みを浮かべ戻って来た瑞鶴。

 そのままアルカディア号さんの所へ行くのかと思いきや、あの子は私に飛びついてきました。

 

 「やったよ、加賀さん! 出来た、私出来たよ!」

 良かったわね、と撫でてやると瑞鶴が小さく震え出しました。

 

 「うん…。加賀さんの…、お陰だよ。ありがと…ね。」

 

 「私は何もしていないわ。むしろ私の教え方が邪魔をしていたのね、悪かったわ。」

 瑞鶴が私の中で首を横に振る。

 

 「そんなこと無いよ、加賀さんじゃなかったら私とっくに投げ出してたもん。」

 

 「これで一件落着ですか。良かったですね、加賀さん。」

 

 「赤城さんの言う通りですね。やはり瑞加賀は正義なんだ。」

 台羽さん? その…、瑞加賀って何かしら?

 え、カップリング? ウスイホン?

 碓氷峠なら知っているけれど、それとも薄いフォンというぐらいだから薄型の電話かしら。

 知らなくて良い事よ、と有紀さんが台羽さんの耳を引っ張ってドナドナして行ってしまったわ。

 二人が桟橋を曲がって姿が見えなくなった後、何か大きなものが水に落ちた音が聞こえたのだけれど、あれは一体何だったのかしら…。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 夕食の後、色々と考えました。

 私の教導では誰であっても結果を出せなかったに違いありません。

 いえ、もともと自分に教導艦なんて無理だったのでしょう。

 おかげで、あの子にも辛い思いをさせてしまったわ。

 こんな時、あの人なら何て言うかしら?

 

 「行ってきたらどうですか。というか行くべきだと思いますよ(笑)。」

 鉄面皮といわれる私が顔に出るほどだったのでしょうか、いえ僚艦の赤城さんにはすべて筒抜けなのでしょう。

 

 「あの、ちょっと、赤城さん?!」

 そのまま私は赤城さんに廊下に追い出されてしまいました。

 部屋の鍵を掛ける音と共に中からは、一晩掛けてじっくりと彼のお話を聞いてきて下さいと赤城さんの声が。

 これで本当に彼の所へ行くしかなくなってしまったわね…。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

デスシャドウ島 アルカディア号自室

 

 「どうした、面白そうな話を持ってきてくれた訳ではなさそうだが。」

 

 「…。」

 出されたアンドロメダレッドバーボンを一舐め頂きます。

 噂には聞いていたけれど、本当に喉が焼ける程のキツい度数ね。

 

 「聞きたいことがあるの。」

 彼は黙っていましたが、目で続きを促してきました。

 

 「五航戦の娘に視界を広くとるように言ったのはどうしてかしら?」

 

 「瑞鶴の武器はその抜きんでた反応速度だ。他の空母艦娘は分からないが、彼女は視界に入った情報を基にそれを瞬時に処理して反応している。」

 これで何かを掴むことが出来れば、直ぐに予測に基づいた動きもこなせるようになる、安心しろと、彼は私の隣に腰を下ろしました。

 いけない、殿方特有の体臭に頭がどうにかなってしまいそうです。

 

 「あなたはあの短時間でそれに気付いたのね。私はあの子に何一つ役立つアドバイスが出来なかったというのに…。」

 「あの子には辛い思いをさせてしまったわ…。」

 

 「瑞鶴本人も気にする事は無いと言っていただろう。無理に自分を悪者にしたり責めたりするのは止せ。」

 また、それ以上はあの子にも失礼になるとも…。

 

 「何だ、泣いているのか?」

 そう言われて自分でも初めて泣いている事に気が付きました。

 

 「一体、お前は瑞鶴が好きなのか嫌いなのかどっちなんだ(笑)。」

 

 「深く憎み、そして深く愛しているわ。」

 あの子が聞いたら卒倒しそうだけれど、事実なのだから仕方ないわね。

 

 「お願いがあるの。」

 

 「うん?」

 

 「私の引出しを増やすのを手伝ってもらえないかしら?」

 そう言って彼に寄りかかります。

 このチャンスを利用しない手は無いわ。

 そう思いつつ、今にも口から飛び出てきそうなぐらい心臓バクバクです。

 

 「お前の頼みだ。喜んで手を貸そう。」

 アルカディア号さんが私の手を握って下さいました。

 ついでに(貴方の)ミル貝と(私の)アワビも握ってもらえないかしら?

 お醤油も甘ダレも無し、何も付けず(着けず?)頂きたいのだけれど…、って私は何を言っているのかしら。

 やはり殿方特有の麻薬のような体臭で頭がおかしくなってしまったのね。

 五航戦の娘、私も今そっちへ行くわ…。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

柱島第七泊地 第五航空戦隊自室

 

 瑞鶴:キュピーン!

 

 翔鶴:どうしたの、瑞鶴?

 

 瑞鶴:分かんない。でも今、すっごい加賀さんに失礼な事を言われた気がする!

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

(ドラクエの一夜明けたチャイム)

 

 生レバーのごま油とお肉の焼ける派手な音が食欲をそそります。

 泊地の食堂ではなく、お泊り(意味深)したアルカディア号私室での朝食。

 これには流石に気分が高揚します。

 生レバーを次々と平らげながらトングでカルビをひっくり返す殿方特有の逞しい手に私の目は釘付けです。

 

 でも少し待って頂戴、どう考えても朝食にこれは(炭火焼肉)おかしくないかしら?

 ティファニーで朝食をとは言わないけれど、これではあまりにムードが無いのではなくて?

 

 「どうした加賀、舌に会わなかったか?」

 大丈夫よ、舌にも下にもあって…、いえ何でもありません。

 

 「いえ、美味しいわ。でも朝食だったら珈琲か紅茶にパン、あるいは御飯に焼き魚とお味噌汁だと思うのだけれど?」

 

 「そうだな、俺もこんな朝食は初めてだ。だが、昨晩にお前を愛し過ぎてしまったのでな、体力チャージのためには仕方あるまい。」

 消え入りそうな声で謝る私に、悪いのは私ではなく私の美しさだと彼はそう言ってくれました。

 

 「さらに気分が高揚します!」

 この後、調子に乗ってお肉を食べまくってしまったせいで、3-5にいる北方棲姫にまで違う意味でカエレ!と叫ばれる破目になってしまったのだけれど…。

 




※瑞加賀
 意外と薄い本でみかける組み合わせ。
 主に鶴が百万石を責めるパターンが多いです。

※(貴方の)ミル貝と(私の)アワビも握ってもらえないかしら
 気まぐれクックさんの動画をご覧になって下さい。
 いかに危険な形状の貝かが分かります(笑)。

※ティファニーで朝食を
 加賀さんにも乙女な部分が?!

※カエレ!
 焼肉臭が(笑)…。
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