アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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※この章は本編とは関係なく独立章となっています。

※あまり笑うことが無いマリアを笑わせたかった。後悔はしていない…。

※今回、アルカディア号が選定した『山吹色のお菓子』ですが『有限会社セントラル・スコープ』さんから実際に販売されています。
面白い上に大変美味しいお菓子なので興味ある方は是非!


マリア・タチバナ1(東京花組)

柱島第七泊地(大淀)

 「一昨日お帰りになられたばかりなのに…。」

 北大路提督が恨めしそうにアルカディア号さんを見上げます。

 無理もありません。提督が仰るようにアルカディア号さんは一昨日の夕方にリンガ泊地から戻られたばかりなのです。

 もっと二人だけの時間を過ごしたいという思いは正室として当然でしょう。

 

 「そんな顔をするな。こちらも出来るだけ早く戻る。」

 アルカディア号さんが北大路提督を抱き寄せました。

 あの人にとっても北大路提督は特別な存在ですから悲しい思いをさせるのは当然本意では無いのでしょう。

 

 「早く帰って来て頂きたいのは山々なのですが…。」

 マリアさんとの時間も取って下さいと提督。

 

 「正室・側室を問わず私達はアルカディア号さんのものです。ですが貴方は…、皆のものですから。」

 確かに彼を独り占めしてしまえば、艦隊というか海軍自体が回らなくなってしまう可能性がありますから少しは大目に見ないといけないのですが、提督にとってもこれは複雑な心境です。

 

 「うん?」

 不思議そうな顔のアルカディア号さんですが、これはいただけません。

 彼には一度、女心というモノを教えて差し上げないとダメなようですね。

 

 「一日~二日くらいはタチバナ中将とプライベートでご一緒下さいという事です。」

 未だ首を捻るアルカディア号さんに私から説明します。

 後はタチバナ中将に失礼の無いよう海賊船としての振る舞いは程々にと注意しておきましょう(笑)。

 

 「ところであの…。何かお忘れではありませんか?」

 北大路提督がモジモジしながらアルカディア号さんに視線を送ります。

 見送りの私達も一気にヒューヒューな感じだったのですが…。

 格納スペースを点検しだす彼に全員ヤレヤレというか一気に冷めてしまいました。

 むくれる北大路提督の代わりに妖精姿の有紀さんが小さなハリセンで彼にパコン、と一発!

 とにかくそのお陰でキスという忘れ物をせずに済んだアルカディア号さんは、そのまま舞鶴第一鎮守府へと飛び立っていきました。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

舞鶴第一鎮守府

 「アルカディア号さん、舞鶴第一鎮守府へようこそ!」

 今日の秘書艦である瑞鶴と共に正門前でアルカディア号さんをお出迎え。

 それにしても瑞鶴ったら全然物怖じしないのね。

 

 「お邪魔させて頂いた事はあるけれど、いらして頂いたのは初めてね。よく来てくれたわ。」

 ウチ(舞鶴第一鎮守府)の艦娘達が遠巻きにこちらを見ている中、庁舎内へと案内します。

 廊下では敬礼してくれる艦娘もいるけれど、柱の陰や曲がり角から様子を窺っている艦娘が大半。

 どうせ執務室の中へ入ったら全員が扉の前に集まるんでしょうけど。

 

 「一昨日リンガ泊地から柱島に戻られたばかりだったんですって? 花火さんとの時間もあまりとれなかったでしょう、悪い事をしてしまったわ。」

 

 「花火だってその辺はわきまえている。それにリンガへ行く前は一か月以上、柱島第七泊地にいたからな。」

 それからこれは花火からだと包みを差し出してくれたわ。

 

 「頂き物まで。悪いわね、後で北大路提督に…。」

 北大路提督にお礼をしないと、と言いかけた時、アルカディア号さんからの強烈な不意打ちが私を襲った。

 

 「それからこれは俺からだ。」

 一日遅れになってしまったが、とまた別の包みをアルカディア号さんがテーブルの上に置く。

 訳が分からないといった私にバレンタインのお返しだと…。

 後ろでは提督やったじゃん、と瑞鶴がニヤニヤしながら覗き込んでくる。

 でもちょっと待って。

 男の人から何かを頂いたなんて大神さんとココの職員数名、それから市長さんぐらいなのよ?

 免疫の無い私に何ていう事をするのかしら…。

 すまんがソイツを仕舞ってくれんか、ワシには強すぎる…、って違う違う。

 私はポム爺さんじゃない。

 

 「あ、ありがとう…。それで、あの…、中身は…。」

 本来ならもっと喜ばないといけないのに、あまりの事に思考は殆ど停止状態。

 

 「中将閣下の好きな少々重たい菓子だ。」

 薄紫の包装紙を開けると黒い印籠箱。

 紙製のしっかりした硬さの箱、その蓋には金文字で『山吹色のお菓子』の文字が?!

 蓋を開けると薄紙を通してうっすらと見える小判の束。

 そっと小判の束を一つ取り出すと、それ自体が入れ物になっている。

 開けると胡麻クリームを挟んだダックワース。

 思わず瑞鶴と顔を見合わせる。

 やがてどちらからともなく笑いだしてしまった。

 

 「やだ、アルカディア号さんたらこんなの何処から見つけて来たのよ(笑)?」

 

 「なになに、胡麻クリームなのは胡麻を擦らないと作れないからですって(笑)?」

 ちゃんとエスプリとユーモアが効いてるんだと瑞鶴。

 

 「ちょっと重たいお菓子ねぇ。まあいくらあっても困るものではないけれど。してアルカディアさん、いえこの場合はアルカディ屋さんかしら。一体、この私に何を(笑)?」

 

 「いつも通りお計らいを一つ(笑)。」

 

 「さすがは海賊、貴方もなかなかの悪ね。」

 

 「いやいや、中将閣下ほどでは(笑)。」

 お決まりのやり取りの後、瑞鶴と二人で思いっ切り笑ってしまった。

 こんなにお腹を抱えるほど笑ったのはいつ以来かしら?

 さらにアルカディア号さんは瑞鶴にもお返しを差し出したわ。

 

 「え、あたしにも? いいの?!」

 加賀さんに自慢してやるんだからと、ルンルン気分で箱を開ける瑞鶴。

 

 「えっ、これ…。」

 箱から出て来たのはアクリル製のケース。その中に鎮座する精巧な艦船模型。

 木製の台座にあるプレートには『1/700 日本海軍航空母艦 瑞鶴』の文字が。

 しかもその精密さは飛行甲板に並ぶ艦載機と共に凄まじく瑞鶴自身も言葉を失うほど。

 

 「本来、この時期のお前は迷彩塗装だった。だが、あの塗装が施された後、お前は姉の後を追う事となった。あれはお前の死化粧だと俺は思っている。」

 「二度と瑞鶴を失うという事があってはならん。史実通りの迷彩塗装ではなく軍艦色で作り上げたのはそのためだ。」

 

 「…。」

 押し黙ってしまった瑞鶴に大事に飾っておきなさいと声を掛ける。

 これを入れるガラスケースぐらいは用意してあげましょうか。

 そんな事を考えていると瑞鶴が、

 

 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!」

 「う゛れ゛し゛い゛よ゛ぉ!」

 絶叫しながらアルカディア号さんに飛びついた。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 「いっそ殺して…。」

 恥ずかしさのあまり顔を覆う瑞鶴。

 それよりも感極まったとはいえ、殿方に抱き着くなんて相手がアルカディア号さんでなかったら軍警(MP)事案もの。

 下手をすれば軍法会議で解体かもしれなかったのよ、笑って済ませてくれた彼に感謝なさい。

 

 とにかく直ぐにでも午前演習、午後演習もPM03:00に実施して、後はウチの艦娘達と交流を持ってもらいましょう。

 ゆっくりしてもらうのは夕食後でいいわね(もちろん私の部屋でだけど)。

 一日目の今日は補助艦艇・海防艦・潜水艦・駆逐艦が夕食に参加、二日目は軽巡洋艦・軽空母・重巡洋艦、三日目は正規空母・戦艦の予定になっていたはず。

 え、私?

 おかしな事を聞くのね。そんなの三日連続に決まってるじゃない。

 職権乱用?

 なんとでも言いなさい。殿方が少ないこの世界、なりふり構っていられるもんですか。

 




※次回はマリア編2になります。
 その後は再びタウイタウイ第二で事件が起こります。
 再び戦場へと向かうアルカディア号。
 再建途中のタウイタウイ第二で一体どんな事件が?!

※マリア編といいながら半分ぐらい舞鶴瑞鶴のお話になってしまった。
 これも後悔はしていない。

※笑って済ませてくれた
 嗤っての間違いでは?
 鼻の下を伸ばして『うほほー』だったハズ。
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