アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた 作:Archangel
祥鳳:勇者ライディーンに謝って下さい!
柱島第七泊地執務室:北大路花火
「祥鳳がいない?」
「はい、瑞鳳さんが仰るには部屋に戻ったらいなかったらしくて…。」
戸惑った表情の大淀。
「まさか一人で3‐5に?!」
大井が最悪の可能性を口にしました。
ですが私も真っ先に考えてしまった事でもあるのです。
「いえ、出撃した様子はありません。」
それなら街に気晴らしにでも出かけたのでしょうか?
「守衛室は何と?」
「それが…、出て行く姿を見ていないと。」
大淀は筆頭事務官らしく私が指示する前に守衛室に確認を入れてくれていたようですが、それなら一体、何処へ行ったというのでしょう。
全員で顔を見合わせてしまいました。
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柱島第七泊地裏庭花壇前
裏庭の花壇前で黄昏れていると、後で砂利を踏みしめる音がしました。
「こんな所にいたのか。」
振り返る事も返事をする事もできません。
せっかく、憧れの方がいらしてくれたというのに…。
「皆心配していたぞ。」
「…。」
やがて妹の瑞鳳と大淀さんも息を切らせながらやって来ました。
捜したんですよと言われましたが、以降の出撃や当番もありませんし、無断外出をした訳でもありません。
「花を…、見ていました。」
「花?」
妹の瑞鳳だけではなく全員が花壇に目を向けます。
「あら、そういえばどれもキレイに咲いていますね。」
いつの間にか北大路提督もいらしていました。
「マリーゴールドがこんなに。私、大好きなんです。」
大淀さんがそっとマリーゴールドに触れました。
「ホントに! 他にもチューリップやマーガレット、ラベンダーがいっぱい!」
瑞鳳の言う通り、どれも表花壇に負けないぐらいキレイに咲いています。
違うのは規模くらいでしょうか。
ですが表花壇を正規空母、ここの裏庭花壇を軽空母と置き換えたなら私は…。
「花は皆キレイに咲けるのにどうして私はダメなんでしょうか…。」
「まだ気にしているのですか? あれだけ集中的に狙われたら仕方ないでしょう。」
「でも…」
北大路提督が気にする事は無いと仰ってくれますが、今月は軽空母強化月間。
次回はアルカディア号さんが付いてくれるとはいえ、私が3‐5攻略メンバ一から外れることが無いと思えば憂鬱にもなってしまいます。
「祥鳳、あの花壇にある花はどれが一番美しく咲いている?」
「え?」
質問の意図が分かりません。
思わずアルカディア号さんと花壇を交互に見つめてしまいました。
「人それぞれの好みがあるとは思うがどれも皆美しいとは思わないか?」
「ええ…。でもそれが一体?」
「俺のいた世界で大ヒットした歌がある。」
そう答えた彼から妖情さん達が飛び出てきました。
そして一列に並ぶとアルカディアさんのオカリナに合わせて歌を歌ってくれたのです。
それもとてもステキな唄を。
曲の名前は『世界に一つだけの花』というのだそうです。
「お前達こそ世界に一つだけの花なのだ、それを良く覚えておくがいい。」
そう言うと彼はフッと笑って私の頭を撫でてくれたのです。
そうですね、アルカディアさんの仰る通りですと顔を輝かせる大淀さん。
いつの間にか建物の窓という窓から首が出ていました。
それぐらい素敵な歌だったのです。
ですが、有紀さんや台羽さんはどもかく、ヤッタランさんや魔地機関長さん、ドクターゼロさんといったお腹ポッチャリ妖精さんが歌って踊っているのは何というが非常にシュールな光景でした。
だって…、その…。
動く度にお腹が揺れるんです(笑)。
特にヤッタランさんにはデブとかブタは禁句らしいので笑いを堪えるのは大変でした。
そうそう、これを機に那珂さんが本格的なオーディオを単品コンポで揃えてアルカディア号さんのいた世界の曲を聞きまくるようになり、同室の川内さんと神通さんが頭を抱える姿がよく見られるように。
同じ軽巡寮の大淀さんは頭を抱えていいのは神通さんだけです、と突っ込んでいましたが(笑)。
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3‐5 D地点
「キャプテン、レーダーに敵艦隊の反応!」
「数は?」
「空母ヲ級フラッグシップ・空母ヲ級フラッグシップ(艦載機白)・戦艦タ級エリート・重巡リ級エリート・駆遂イ級後期が2隻の合計6隻です。」
全員に緊張が走ります。
B地点でも多くが私を狙ってきました。
ここでも集中的に狙われるのは間違いありません。
「大井っち、魚雷の準備は良い? 制空争いはアルカディアさんの宇宙戦闘機隊に任せて空母勢はまず直掩機を上げて!」
「その後、全攻撃機の突入で出来るだけ多くを撃沈・無効化! 摩耶は重巡リ級の無効化を! 何としても祥鳳さんを守り切るからね!」
「よーし、任せな!」
摩耶さんが指ぬきグラブをはめた両手をバチンと合わせます。
今回、私達は直掩用として艦戦を最小スロットにしか積んでいません。
制空は北上さんが仰るようにアルカディアさんのスペースフォッケウルフ隊が担うのです。
その分、私達は残りスロット全てに艦爆・艦攻を積むという極端さで3‐5を攻略しようというのが北大路提督の作戦です。
やがて水平線近くで宇宙戦闘機隊と深海棲艦の艦戦が入り乱れ始めました。
未来の異次元戦闘機隊をすり抜けてこちらに攻撃を仕掛けてきたのは…、たったの2機ですか(笑)。
それもあっと言う間に上空直掩のX‐ウイングの餌食です。
「きゃあっ!」
ホッとしたのも束の間、私のすぐそばに大きな水柱が上がりました。
言うまでもありません、タ級エリートの主砲弾が私を襲ったのです。
装甲の薄い私にとっては至近弾でも脅威。
事実、小破判定手前までダメージを追ってしまいました。
「喰らいやがれ!」
今度は摩耶さんの主砲が重巡リ級を捉えます。
ですが相手の輪形陣に限まれ小破どまり。
そのリ級が主砲を私に指向するのが見えました。
もし捉えられれば確実に大破に追い込まれるでしょう。
その時、上空から急降下してきたアルカディア号さんが私の前に出てくれました。
ですがそのせいでリ級の砲弾はそのままアルカディア号さんに直撃してしまったのです!
爆炎が晴れると…、彼には掠り傷一つ付いていません!
何という重装甲でしょうか?!
「な、何それ?! 塗装すら剥げてないじゃん…。」
「直撃…、のはずよね。し、信じられない…。」
北上さんと飛鷹さんが驚愕していますが、それもそのはず。
私と摩耶さん以外、彼の戦いぶりを見るのは今回が初めてなのです。
「バカナ、チョクゲキノハズダ!」
驚くリ級ですがアルカディア号さんの光線銃(戦士の統)に額を撃ち抜かれ、そのまま絶命してしまいました。
それを見た大井さんの目が真ん丸に。
無理もありません、ダメージによる撃沈ではなく絶命ですよ?
もう驚くなという方が無理な話です。
さらに彼は空母ヲ級勢の艦載機をスペースバスターと重力サーベルで全て撃墜すると主砲の一撃でヲ級(艦載機白)と夕級を海に還してしまいました。
呆気にとられる私達を横目に彼は、駆逐イ級は任せると言うと一瞬で敵旗艦であるヲ級フラッグシップとの距離を詰めその肩に飛び乗ったのです。
「ナ、ナニヲスル! ハナセ!」
もがくヲ級ですが、後ろから頭に手を掛けられては振り解く事など出来ません。
まるでしばふ艦…、いえ芋類を畑から引っこ抜くような感じです(汗)。
「何故、祥鳳ばかりを狙う?」
「クチクコウマサマジキジキノシジダ。ソウコウノウスイヤツヤ、キノヨワソウナヤツヲシュウチュウシテネラエトイワレタノダ!(駆逐降魔様の直々の指示だ。装甲の薄いヤツや気の弱そうなヤツを集中して狙えと言われたのだ)」
「駆逐降魔? 始まりの深海棲艦の一人か。」
「ソウダ。アノオカタタチハイマハカイテイピラミッドカラデルコトハデキナイ。ダガ、イズレシンコウノトキハクル、ソノトキガオマエタチノサイゴトナル(そうだ。あの御方達は今は海底ピラミッドから出る事は出来ない。だがいずれ侵攻の時は来る、その時がお前達の最後となる)。」
そう言うとヲ級はニヤリと嗤いました。
「そうか。ところで俺の軽空母正室である祥鳳を随分と泣かせてくれたらしいな。」
アルカディア号さんの推進機関が唸りを上げた途端、大井さんと千歳さんが口元を抑えました。
私も込み上げ掛けたものを必死で抑え込みます。
だって首が脊柱ごと抜けて来たんですよ?!
戦場の凄惨な光景を数多く見てきた私達ですが、流石にこれは無理です!
「忘れてたぜ。ヤツが海賊だってことを…。」
摩耶さんの仰る通り、アルカディア号さんの海賊(船)としての一面を見てしまった私達。
改めて彼は決して敵に回してはいけない存在だという事を全員が再認識する事になったのです。
その後もあの北方棲姫さえ一方的に蹂躙し3-5を制圧、無事に今月分の勲章を持ち帰ることが出来ました。
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デスシャドウ島 アルカディア号自室
「いやあ、しかしアルカディアさん凄かったよねぇ。」
「はい、北上さんの仰る通りです。色々と聞いてはいましたがあれほどとは…。」
「しかし、首が脊髄ごと抜けて来るなんてあれはやり過ぎだろ。小便チビりそうだったぜ…。」
「摩耶の言う通りよねぇ、千代田に言っても信じてくれなかったけど。というか祥鳳も飛鷹も、さっきから黙ったままじゃない。祝勝会なんだからもっと嬉しそうにしたらどうなの?」
千歳さんの言うように私達は今、アルカディアさんの自室で祝勝会の真っ最中。
ようやく重圧から解放され祝勝会となったものの、軽空母正室と側室筆頭だからと彼の隣に座らされてしまった私と飛鷹さんはガチガチに。
さらに隣から感じられる殿方特有の臭いにもうそれどころではありません。
「おーい、二人とも?」
北上さんが目の前で手をヒラヒラさせますが…。
「も、もう北上さんたら! ちゃんと見えてますって!」
なら、いいんだけどさ、と北上さんがグラスに手を仲ばします。
「ほらほら、『しょーほー』も飲まないと、はい。」
これって、アンドロメグレッドバーボン?!
噂には聞いていましたが香りが凄いです。
度数も相当強いに違いありません。
それなのに緊張から逃れたい私は事もあろうにコップ半分を一気に煽ってしまったのです!
気が付くと私はベッドに寝ていました。
慌てて時計を見ると時刻は真夜中の2:30。
「起きたのか?」
ソファーに座って銃の手入れをしているアルカディア号さんと目が合います。
「申し訳ありません、私ったら…!」
年甲斐もなくお酒で醜態を晒してしまったなんて顔から火が出そうです。
「気にするな。意外と可愛らしい寝顔だったぞ。祥鳳を軽空母正室に選んで正解だった(笑)。」
「も、もう!止めて下さい!」
思わず両手で顔を覆ってしまいました。
「む、すまん。イヤなら無理をしないでくれていい。」
「違うんです、そんな意味で言ったんじゃ!」
彼は柱島第七泊地だけではなく余所でも絶大な人気を誇る優良物件です。
そんな人に選ばれて嬉しくない訳がありません。
この人から離れたくない、そんな思いから気づけば彼に抱き付いていたのです。
………。
……。
…。
「3‐5の攻略、よく頑張ったな。」
そう言ってアルカディア号さんがベッドの中で優しく髪を怖いてくれます。
「お前は俺の軽空母正室だ。何かあれば出来る限りの事はする。」
だからもっと頼ってくれていい、抱え込むなど…。
このような方に選んで頂けた嬉しさを噛み締めつつ、私は再び朝まで幸せなまどろみを噛み締めたのでした。
※他の方は手に汗握る戦闘描写ができるのに、自分で書くとなると難しい…。
ホント、申し訳無いです。
※深海棲艦達との戦いに集中するためにマゾーンとの戦いに早期決着をつけるべきか、いや逆ですかね?
それとも三つ巴か?!