アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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「変態、襲来」

 横須賀第一鎮守府の艦娘さん達、逃げて、超逃げて!



第25話 会議室編1(アルカディア側1)

 「着きました。ここが横須賀第一鎮守府です。」

 そう言って北大路提督が門を見上げる。

 さすがは帝都に近い鎮守府のトップナンバー。

 門構一つとっても堂々たる風格である。

 冬の凛とした早朝、守衛に身分証明書を見せて門をくぐると、明石と夕張がこちらに駆け寄って来るのが見えた。

 

 「お待ちしておりました。『柱島第七泊地指令』北大路花火大佐殿、並びに同泊地所属第五航空戦隊旗艦翔鶴殿、当横須賀第一鎮守府の兵装実験軽巡夕張です!」

 

 「横須賀第一鎮守府、工作艦明石です!」

 

 「お二人ともありがとうございます。ここにいる間は宜しくお願いしますね。」

 北大路花火提督が横須賀第一鎮守府の工廠組に敬礼を返す。

 

 「はい! で、そちらの方が例の男性艦の方ですか?」

 

 「そうだ。宇宙海賊船アルカディア号だ。二日間宜しく頼むぞ、明石。」

 そう言って手を差し出すが…。

 下を向かれてしまった。

 何だよ、あ~う~って…。

 大平総理大臣かよ。

 柱島第七泊地が無理ならここでハーレムを作って移籍を目論んでいたのに…。

 

 「夕張、後で明石と青葉を伴って部屋に来てくれ。」

 仕方が無いので隣のヘソチラ軽巡を主体(メインターゲット)にする。

 夜汽車の中で北大路提督から艦娘達は只の兵器であるとするブラック提督達が後を絶たず、そのような連中からはアルカディア号さんは目の敵にされる可能性が大きいでしょう、と告げられた。

 場合によっては解体を言い出す可能性もあるとの事。

 何それ怖い、物騒どころの話では無いではないか。

 

 海軍では何度も艦娘達に人権を与えようとする法案が提出されたが、ブラック提督達の強硬な反対により未だに採択されていないのだという。

 要するに捨て艦戦法や駆逐艦を大型艦の盾にする、食事は最低限しか与えない、ドックの使用をギリギリまで許可しない等、まあテンプレ通りのブラック鎮守府が半数近くあるという事らしい。

 一応、海軍では艦娘達に対する非人道的な扱いや行いは禁止されているものの、その判断は各司令官に任されている事が抜け道になっているとの事であった。

 

 俺が軍属でないのが強みであるという彼女の言葉の意味がようやく分かった。

 軍属ではなく共闘なのでお互いに対等な関係である、従って自分には命令権が無く強制的にいう事をきかせられないという事なのだ。

 身を守るためなら降りかかる火の粉を払う事も出来るという訳だな。

 しかしこれは同時にこちらから命令できないという事でもあるまいか?

 彼女に良いではないかを実行しても私、拒絶できますからという事でもある、再び凹むわ…。

 

 が、案内された部屋に3つ並んだベッド(意味深)を見て少しメンタルが回復した。

 しかしここ(横須賀第一鎮守府)の艦娘達に夜這いを仕掛ける事を考えると、ベッドは北大路提督と翔鶴用の2つで良かったのでは(笑)?

 

 「疲れましたね、ちょっと休憩しましょう。」

 ぽすっと音をさせて北大路提督と翔鶴が早速ベッドに転がった。

 やはり長旅で疲れたのだろう、その可愛らしい仕草にこちらまで癒される。

 

 ………。

 ……。

 …。

 うーん、どうしても二人の無防備にさらけ出されたパンストの足裏と補強加工された足先に目が(笑)。

 その清楚な見た目からは想像できない程の危険な黒酢の香りを思い出してついニヤニヤしてしまう。

 

 「失礼します。横須賀第一鎮守府所属第六戦隊青葉、並びに明石、夕張参りました。」

 半時間ほど過ぎた頃だろうか、指名した三人が緊張の面持ちでやって来た。

 

 「よく来てくれた、呼び出してすまなかったな。」

 手籠めにされるとでも思っているのだろうか?

 滅茶苦茶、警戒されてる(泣)。

 

 「実は今日の司令官会議なのだが…。」

 議題が自分についてであり、未知の艦が現れた事、それが男性艦である事、艦娘兵器派の提督達からは解体論が出るであろう事など状況を伝える。

 

 「そ、そんな解体だなんて…。」

 横須賀第一鎮守府の青葉が目をウルウルさせてこちらを見る。

 横鎮青葉、お前イイヤツだったんだな。

 やはり全ての艦が男嫌いでは無いのだ、希望が見えて来たぞ。

 

 「そこでだ、お前達に頼みたい事がある。」

 三人が真剣な表情でこちらを見る。

 

 「何かトラブルが起こったら全ての鎮守府・泊地・警備府に内容を中継しろ。この俺と柱島第七泊地には手を出せない事を教えてやる。さらにブラック提督達の撲滅もな。」

 ブラック鎮守府を救えば簡単にハーレムが手に入る、ここに気付いた俺は天才ではなかろうか?

 しかし、これを悟られてはイカンというのにニヤニヤが止められない。

 ブラック鎮守府を開放していけばどこかでアタリを引けるだろう。

 まさか一つも無いという事は…、今は考えたくない。

 

 「分かりました、青葉にお任せください!」

 

 「ええ、でも…。どうしよう明石、絶対神崎提督に叱られちゃうよぉ。」

 

 「それでブラック鎮守府の方々が助かるなら協力します!」

 横鎮青葉と明石は協力的だが夕張がそのラインからハミ出している。

 これぞまさしくハミ出しヨコチンというヤツか?!

 

 「アルカディア号さん、あまり良からぬ事に御三方を巻き込まないで下さい。私まで神崎先輩に叱られてしまいます。」

 奥から北大路提督の声がする。

 

 「まあ、そう言うな。艦娘兵器派というか艦娘達を使い捨てと考えている連中も大勢いるから気を付けろと言ったのは北大路提督自身だぞ(笑)。」

 

 「アルカディアさん、何か仕掛けるおつもりですね?」

 当柱島第七泊地の翔鶴にも協力してもらえることがあるなら依頼しよう。

 俺の事ではなく仲間の事だから手を貸してくれるだろう。

 

 「青葉さんは撮影担当として、私達は何をすれば良いのでしょうか?」

 

 「ふむ、明石と夕張には機器に強い点を活かして電波ジャックと編集を頼みたい。」

 

 「分かりました。じゃあ手付としてアルカディアさんの船の姿を見せて下さい。絵とかでも良いですから!」

 

 「こんなんで よかったら もって かえってや。」

 ひょっこりと出て来たヤッタラン妖精が1/1500サイズの模型を取り出して明石に渡す。

 三人はおおー、と目をキラキラさせながら戻って行った。

 




※今さらですが、この世界観として、以下のようなものがあります。
 1.同じ艦娘は複数存在
 2.ただし同一地に複数存在できない
 3.深海側の1/5は沈んだ艦娘と言われている
 4.男性と女性の比率は1:500
 5.新幹線が無い

※もう少し増えると思います。

※まあ、何ですねぇ。惚れた弱み(北大路提督自身は未だ自覚無し)というのでしょうか?
 ニヤニヤと視線を向けてくる主人公が微笑んでいるように見えるようでは、もうかなりの危険水域です。
 ダメだコイツ、早く何とかしないと!

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