アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた 作:Archangel
※2020年06月22日 一部修正
空母水鬼の艦載機と戦艦棲姫の主砲が金剛お姉さまを捉えました。
なのにお姉さまは避けるつもりが無いのか動こうとしません。
どうして?!
ハッ?!
お姉さまの後ろには意識の無い飛龍さんを抱えた大鳳さんが!
いけない、お姉さまはそのまま盾になるつもりです!
「金剛お姉さまっ!」
口の端を釣り上げる戦艦棲姫。
全てがスローモーションに見える中、戦艦棲姫の主砲から尾栓を閉じる音が聞こえました。
思わず手を伸ばしますが、僅か数メートルの距離が縮まりません。
間に合わないのはわかっています。
それでも榛名は、榛名はっ!
と、突然その戦艦棲姫と空母水鬼が叫び声を上げたかと思うといきなり小破と中破状態になって海面をバウンドしながら転がっていきました。
それだけではありません。
残りの鬼姫達も次々と爆炎に包まれ海面に叩き付けられていきます。
天性の勘か、『駆逐棲姫』は辛うじて何かを躱したようですが、Uターンして戻って来たその細長い何かが無防備な背中に突き刺さりました。
爆炎が晴れると彼女の姿は…、もう…。
それにしても一瞬見えたあれは何だったのでしょう?
魚雷のようなものが飛んできたように見えましたが。
「人が! 人が宙に浮いて?!」
戦闘中にもかかわらず、五十鈴さんが上を見上げてポカンとしています。
真上で聞こえる噴進音に榛名も上を見上げると本当に黒い服を着た人が!
さらにその人は見た事も無い艤装を纏っています。
後ろにある艤装は帆船のような板張りで出来ていますが、船体と思われる部分は瑞鶴さんと同じような緑色です。
その船首には左右に分割されているとはいえ大きな髑髏が!
「何…、あれ?」
「ブンカーにいた人だと思うけど?」
「一鎮の?」
「うん、男の人だけど…。」
「男の人? まさかぁ。そんな訳無いじゃ…、いひゃい(痛い)! やるなら自分でやりなさいよ!」
一鎮の瑞鶴さんがニ鎮の瑞鶴さんの頬を引っ張りました。
見てる方は瑞鶴さんがゲシュタルト崩壊しそうです。
さらにその人からバケツを抱えた噴進式の航空機が発艦してきました。
助かりました、あれは高速修復材です。
って、嫌な予感がします…。
ああっ、ヤッパリです。
原液をそのまま掛けるなんて何て無茶を?!
痛い痛い痛いっ!
そんなの怪我人が濃縮されたオキシドールに浸かるようなものです。
轟沈の心配こそ無くなったものの、思わず睨み付けてしまいました。
「ヘーイ、榛名。あれは一体何デース?」
痛みが治まってきたのでしょう、金剛お姉さまが訊ねてきました。
「わ、分かりません、ですが榛名には男の人に…。」
「ウソ、あの人、本当に戦えるの?」
「男の人が艤装をへひぇおって(背負って)…、ひょんな(そんな)バヒャな(馬鹿な)。」
というか一鎮の瑞鶴さん、いい加減に二鎮の瑞鶴さんの頬から手を離した方が良いのでは?
「そんな、ありえません! 艦娘ではなく艦息だとでもいうのですか?!」
こちらの赤城さんも驚愕しています。
「で、ですがそうとしか考えられません。艦種は伊勢さんや日向さんと同じ航空戦艦では?」
「ただでさえ男の人はツチノコみたいな存在じゃん。なのに艦息子ってどれだけの確率なのよ?」
「わ、私、男の人って初めて見ました。ただでさえ少ない運を使い果たしてしまったのでは…。」
翔鶴さん、飛龍さん、大鳳さんがヒソヒソと話しています。
「でもあんないい男がピンチに駆けつけてくれたなんて、やっぱりココはヴァルハラかもしれないネー。」
金剛お姉さまがチョット怖い事を仰っていますが、榛名もいえ皆さんも同じ意見です。
背が高くイケメン、おまけに体型に生える(意味深)、いえ映える漆黒の衣装、その胸元にある大きな髑髏。
そして一撃で鬼姫達を小中破させてしまう戦闘力。
榛名、キュンキュンです!
「あれは…、アルカディア号。来てくれたのか。」
意識を取り戻した一鎮の武蔵さんが呟きました。
「アルカディア? 理想郷という意味ですネ。
アルカディア号?
それがあの男性艦のお名前なんでしょうか?
「柱島第七泊地の提督、北大路花火大佐殿がお連れしている船だ。」
「何やて! ほな噂はホンマやったんか?!」
「「「え?! じゃああの人が噂の男性艦(ですか)!」」」
龍驤さんと飛龍さん、いえニ鎮の全員がようやくそこに思い当たりました。
「オマエハ イッタイ ナニモノ イヤ ナンナノダ?」
私達を守るべく前に出たアルカディア号さんに戦艦水鬼が問いかけました。
「宇宙海賊船アルカディア号。」
「アルカディアゴウ?」
「そうだ、宇宙海賊キャプテンハーロックの船だ。この18名を連れ帰るためにここに来た。」
「オマエガ ナンナノカ ワカラナイシ ナンデモイイ。ダガ、コノセカイニ オマエガイテハ イケナイコトダケハ ワカル。」
言うが早いか轟音と共に戦艦水鬼の主砲が火を?!
それを合図にもう一人の戦艦水鬼、戦艦棲姫達が次々とアルカディア号さんに一斉射を行っていきます。
「Oh! ジーザス!」
「そんな! 私達のために!」
「これでは北大路提督殿に申し訳が!」
金剛さんに翔鶴さん、武蔵さんの悲鳴が響きました。
いくら噂の戦闘艦といえどもこれでは!
え? ちょっと待って下さい。
今、煙の中から残念だったなという声が聞こえた気がしましたけど…。
爆炎が晴れてくると、そこには不敵な笑みを浮かべ仁王立ちするアルカディア号さんの姿が!
「ウソやろ?! 何で小破どまりなんや?!」
「馬鹿な! 有り得ん!」
龍驤さんや武蔵さんの言う通りです。
だって全ての攻撃がクリティカルヒットしていたんですよ?!
さらにアルカディア号さんは戦艦水鬼の主砲一基を掴むと左右の砲身を捻じ曲げてそのまま蝶結びにしてしまいました。
これを見た全員の口があんぐり開いたままに…。
アルカディア号さんが前に出ました。
そのまま睨み合いが続きます。
「戦う者であれば危険を顧みず、死ぬと分かっていても行動しなければならない時がある。」
「負けると分かっていても…、戦わなければならない時がある。」
彼がさらに一歩踏み出します。
「この18名はそれを知っていた。」
あ、ああ…。
「これ以上、全員に掠り傷一つけるな! 無事に横須賀へ帰すのだ!」
もう、もうダメです。
榛名、歓楽陥落です…。
「「「「了解!」」」」
榛名の陥落を余所にアルカディア号さんのお連れしている妖精さんが返事と共に彼の艤装へと配備に付きます。
そして上空では相手艦載機とアルカディア号さんから発艦した噴進式の航空機隊が航空戦に入りました。
あの不思議な航空機隊は一体何でしょう?
不思議な音と共に発射された光線が相手艦載機を次々と撃墜していきます。
さらにアルカディア号さん自身からも吹き上がる凄まじい火の逆スコール。
それが100機近くあった相手艦載機を三分かからずに全滅させてしまいました。
「ちょ、あの対空火器と航空機隊どんだけデタラメなのよ?!」
「もう私達、要らないんじゃないかな?」
飛龍さんと瑞鶴さんが弓を背中になおしてしまいました。
「ゼ、ゼンメツ?!」
「90キノカンサイキガゼンメツ?! 3プンモタズニカ?」
「タカガ キズツイタ イッセキノ センカンニ カンサイキガ90キモ?!」
「バ、バケモノカ?!」
相手空母勢の悲鳴が!
そりゃそうでしょう、だって90機ですよ?
それを二分半程で壊滅させてしまうなんて榛名もこの目で見ていなければとても信じられなかったでしょう。
「あの噴進弾、相手を追尾してるわ!どういう原理なの?!」
さらに信じられないのが大和さんが気付いたように、アルカディア号さんの対空兵装に追尾式の噴進弾が装備されている事です。
相手艦載機は逃げても逃げても追いかけてくる噴進弾に最後は捕まり、あるいは逃げ切ろうと回避運動中に味方同士衝突したり、噴進弾に気を取られている中、『すぺえすばすたあ』という対空兵装や噴進式航空機隊の餌食になったりして瞬く間に数を減らしていきました。
ですがそれ以上にもっと信じられない事が、いえ信じたくない事態が起きたのです!
※ニ鎮の金剛さんは少し気弱なところがあるものの、妹想いな所は他の金剛さんと変わりません。
※一鎮の艦娘さん達と違い、二鎮の艦娘さん達はアルカディア号を直接見てはいませんのでかなり驚く事に。
※この世界の男性は『男性保護法』なるもので過保護に守られているので、軍属の方は片手で数えられるぐらいしかいません(軍隊なんてとんでもない!)。
※弓を背中になおす→なおすとは関西弁で元の所に戻すという意味です。修理ではありません(汗)。
※横須賀に戻ったこの(ニ鎮)榛名さん、一鎮の榛名さんと刃傷沙汰になりかけるのはまた別のお話(笑)。
気が向いたりリクエストがあればまた…。