アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた 作:Archangel
第4話 出会い1(艦娘側:赤城)
それは見た事も無い噴進式の航空機隊でした。
謎の航空機隊より発射された光線が敵艦載機を次々と撃墜していきます。
さらにその恐るべき運動性能で数の不利をモノともせず、瞬く間に半数以上を叩き落してしまいました。
どうやらあの遠くにいる黒服の戦闘艦から発艦してきたようですね。
私も一航戦の旗艦として加賀さんと共に自分の妖精さんにはかなりの自信を持っているのですが、あれは機体性能、練度共に別次元です。
「誰だ? あんな装備、いや艦娘は知らんぞ。」
「私の戦況分析によると海外艦…、でしょうか?」
「あの未知の艦載機、流石に気分が高揚します。」
「んだよ、あのこれ見よがしな髑髏は。」
脅威と見たのでしょう、生き残った敵艦載機がこの航空機隊を発艦させた相手に目標を変更したようです。
が、黒服さんがハリネズミになった途端、敵艦載機のほとんどがその姿を消しました。
いえ、大袈裟ではなくそれぐらい対空兵装が凄まじかったのです。
「す、すげぇ。アタシと秋月を合わせても全然及ばねえぜ。」
「ハ、ハイ、というかあの対空弾、明らかに目標を追尾してましたよね?」
摩耶さんと秋月さんが驚愕する程の対空兵装に青葉さんもカメラを構えたまま、固まっています。
いえ、この場合、一番感心するのはこんな状況ですぐにカメラを構える事の出来る彼女の胆力と記者根性なのかもしれません…。
黒服さんの背中に黒い旗が掲揚されました。
黒地に白く抜かれた髑髏、あれは…。
間違いありません、海賊旗です!
仲間を失った怒りか、駆逐棲姫が全力で黒服さんに突っ込んで行きます。
それを黒服さんは艦首から飛び出た巨大な刃で突き上げるように貫きました。
絶叫し絶命する駆逐棲姫ですが、同時に戦艦水鬼の主砲が黒服さんに命中します。
「くっ、我々を助けようとしたばかりに! 不知火の落ち度、で…す?」
しかし次の瞬間、爆炎の中から飛び出してきた空飛ぶ噴進式の空中魚雷とでもいうのでしょうか?
な、何を言っているのか分からないと思いますが…(汗)。
とにかくそれによって戦艦水鬼と空母棲姫は揃って中破に追い込まれました。
レ級三匹は一旦はやり過ごしたものの、Uターンして戻ってきた噴進式空中魚雷?の直撃を背中に受けて全滅です。
何でしょうあれは?
目標を自動追尾するなんてそんなの聞いた事ありません。
さらに爆炎が晴れると黒服さんに損傷は…、信じられませんがカスダメ程度です。
もう意味不明な上、訳が分かりません。
「え、嘘でしょ? あり得ないじゃん…。」
川内さんが目を見開きました。
いえ、彼女だけではありません。
もう全員がポルナレフ状態です。
すると黒服さんのお尻が唸り、体が宙に浮きました。
え? まさか
思わず鼻を抑えてしまいましたが、良かった違うようです。
「と、跳んだ? いえ飛んだ?」
「あら、あらあら!」
あっという間に私たちを飛び越えた黒服さんが上空から狙いをつけます。
左腕にある三連装砲塔二基、右腕にある一基からそれぞれ三本の光線が戦艦水鬼と空母棲姫を貫くと水鬼の両腕は切断され棲姫は水底へと消えていきました。
さすがに次元が違い過ぎると悟ったか、撤退を始める戦艦水鬼。
ですが黒服さんは上空からその距離を一瞬で詰めるとその首を跳ね飛ばしたのです。
そのまま彼女は仲間の後を追って行きました。
「助かったの?」
「そ、そうみたいだけど…。どうなのかしら。」
瑞鶴さんと足柄さんが顔を見合わせています。
「どこの誰だか知らないが助かった。感謝する、ありがとう。」
「ええ、あのままでは間違いなく私達は全滅するところでした。本当にありがとうございます。」
「そうだな、日向と翔鶴の言う通り助けてくれた事には感謝する。だが貴様のような艦の存在など聞いた事が無い。一体何者だ?」
「ちょっと、武蔵!」
大和さんが止めに入ります。
私もそこまで警戒しなくてもいいと思いますが…。
ともかく誰も沈まなかったのでそこは上々ね。
「いや、大和よ。武蔵の言う通りだ。この後、私達まで沈められる可能性がある。先程の戦闘力を見るにあの海賊旗、遊びで掲げている訳ではあるまい。」
それを聞いた黒服さんがゆっくりと振り返りました(え?)。