アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた 作:Archangel
※この両者は海底ピラミッドをキーにして繋がっているようです。
「ぐあっ!」
「あうっ!」
細川が悲鳴を上げる。
さらに銃を弾き飛ばされた藤枝中将の悲鳴が後を追って聞こえてきた。
「タチバナ中将、貴様!」
マリア・タチバナ中将を睨む藤枝中将をよく観察し他に武器は持っていない事を確認する。
「何をするかっ! 放せっ、この狼藉者が!」
自己紹介乙である。
「細川、貴様…、ウチの翔鶴と花火を泣かせたか。いや、それだけでは無い。あの美しい花火の足に傷を付けた罪は重いぞ!」
柱島第七泊地の宴会場で型と香りを堪能した時は傷一つ無いキレイな足だったのに。
腕を掴んだまま細川を吊り上げる。
が、宙ぶらりんになった細川が逃れようと暴れたのでつい力を入れ過ぎてしまった。
パキッともペキッともつかない乾いた音がして細川大将が悲鳴を上げる。
あ、折っちゃった?!
「動かないで。少しでも動いたら次は足を撃ちます。」
細川大将を助けようとする藤枝中将をマリア・タチバナ中将の銃口が捉えた。
「放せと言っているのだ! 小汚い海賊船の分際で私に触れるな!」
えー、先までその海賊船を用心棒としてそばに置こうとしていたのは誰でしたかね?
「出来ればこちらもお前のような老け顔の女に興味も無いし触れたくも無い。が、二人を泣かせたとなると話は別だ。おまけに貴様が花火に付けた傷、あれは擦り傷ではなく火傷だ。間違いなく後が残るぞ!」
お互い言いたい放題である。
それに出撃前には確か妹の『藤枝かえで』少将も間接的とはいえ泣かせていたな。
「知った事か! 上官の命令を聞かなかった北大路にこそ責任がある!」
ハァ?!
知った事かだと?
「貴様、神の造形物ともいえる花火の足を傷付けておいてよくそんな事が言えるな!」
傷を隠すためにタイツを履くようになったらどうしてくれるんだ?!
タイツは透け感が無いのと生地の厚さからくるモッサリ感が大嫌いなんだ。
「何が神の造形物か、笑わせるな! 私と変わらぬ平々凡々ではないか!」
細川、お前ここの明石か夕張にでも頼んで高性能な眼鏡でも作らせろ。
文字通り世界が変わるぞ、知らんけど。
「細川よ、貴様は少し感受性が鈍過ぎる。美しいモノを見れば素直にそう思えるようになれ。男から見て可愛げが無いぞ。それに踵の荒れた貴様の足を花火の足と一緒にするな。花火は柔らかくしっとりしてぷにぷにだ!」
「まさか確かめたというのか?! この破廉恥海賊船が! 大体、しっとりなどタダの油足ではないか! いいからサッサと手を離せ!」
油足ねぇ。あれだけの危険な黒酢の香りはそのせいなのかぁ。
あ、ヤバイ。
また堪能したくなってきた…。
「~っ!」
花火がとうとう両手で顔を覆って首を横に振り始めた。
可哀想に、子爵令嬢ともなれば傷一つで商品価値(言い方は非常に不適切だが)が落ちてしまう事を嘆いているのだろう。
俺や世間一般からすればナンセンスだが、未だに華族や子爵では家柄や体傷などに煩いのは容易に想像できる。
時代錯誤も甚だしいが、結婚は家の為にするというのが当たり前の世界だと聞くしな。
「大神元帥への無礼を含め反省の色無しか。」
怒りに任せてコンテナまで細川を放り投げる。
「ひっ!」
重力サーベルを突き付けてやると彼女の顔が恐怖に引き攣った。
「アルカディアさん、止めるんだ!」
殺してしまうと思ったのだろう、大神元帥が叫ぶ。
そのまま引き金を引いて両耳のピアスを飛ばしてやった。
「最初見た時はダルシムのような下品なピアスだと思ったが、これで随分と上品になったではないか。その方がずっといいぞ。」
年を取るにつれて派手なモノを好むようになっていくと聞いた事がある。
老け顔とはいえ、貴様の年齢であればそれで十分だろう(笑)。
「細川よ、翔鶴と花火を再び泣かせる事があったら次はその耳ごと無くなる、と…。」
細川大将一派のブラック提督達に釘を刺そうと彼女を見下ろすと不思議な水溜りがあるのに気付いた。
それだけなら水溜りの上に座ってしまったと解釈できるが、現在進行形で水溜りが広がってる?
「フッ、こいつは傑作だ。明石、応急修理妖精をよこせ。細川大将殿に派手な浸水、いや漏水が見られるぞ。」
「み、見るなっ! 頼む、見ないでくれ!」
懇願する細川に対しホワイト提督達から失笑が漏れる。
「細川、自分がそれ程の恐怖を感じる事を何故、平気で他人に向ける? これから生きていく中でそれを忘れるな。」
軍警に拘束されていく細川大将に俺の言葉が届くかどうかはわからんが…。
それにどうだ? 実際、弱者の立場に身を置いてみた感想は(笑)。
続いて藤枝中将の足を踏みつけてやる。
油断していたのか避けようともしなかったため、喉奥から悲鳴を上げ転げまわった。
「きゃぷてん!」
花火のものとへ向かおうとした時、螢が声を上げた。
「どうした螢?」
「あるかでぃあごうの れーだーが さきほどから びじゃくでんぱを とらえています!」
「そんな、また敵襲なのですか?」
エリカ・フォンティーヌ大佐か。
ドジっ子属性はあまり好きではないが、日髙のり子さんは大好きなので声を聞けたのは素直にうれしいですわ(癒し)。
「螢、発信源は分かるか?」
「はい、ぎゃくたんち しゅつりょく さいだい! はっしんげん かいせきかんりょう、ふじえだちゅうじょうの ねっくれす!」
藤枝中将に全員の視線が集まる。
まさかコイツ、スパイなのか?!
「藤枝中将、あなたそのネックレスどうしたの?」
「これか? これは数年前に夜店の露天商から売れ残りとして貰ったものだ。」
返事を聞いた真宮寺大将が厳しい表情になった。
細川の後ろ盾を失った今、藤枝中将がウソをつくとは思えない。
となると考えられる事は一つだ。
「何故そんな顔をする?! 失礼だぞ、これは貰ったもので盗んだ訳ではない!」
真宮寺大将が居合の構えをとって彼女の前に立つ。
「な、何をする! 貴様、無抵抗な者を切るというのか!」
「破邪剣征、桜花放神!」
気合一閃、藤枝中将のネックレスを一刀両断する真宮寺大将。
実に見事、惚れ惚れする程の腕前である。
でも夜には大神元帥の腰前にある剣(意味深)を握ってるんでしょ?
貴女もスミに置けませんなぁ、知らんけど(笑)。
「気付かれたか。せっかく海軍中枢部に我が傀儡を送り込めたというのに。」
あ、これどこかで聞いた事のある声だ。
思い当たるのは一人しかいないが、もしそうならメンドクサイ事になるなぁ…。
「貴様、何者だ?」
まあ、確定だろうが一応聞いておこう。
「私は波野静香。アルカディア号、この例は近い内に必ずさせてもらう!」
ネックレスが青白く燃え落ちる。
やっぱりかぁー、うん。
マゾーンの先遣部隊が噛んでやがるよ…。
藤枝中将が意識を失ったみたいだが、もうそんな事どうでもいいや。
(女神:いやダメだからね!)
「大神元帥、それに真宮寺連合艦隊司令長官。話さなくてはならないことが出来た。午後からの会議では私にも少し時間を貰いたい。」
マゾーンに付いてある程度詳しく説明しておく必要が出てきてしまった。
それよりも問題なのはマゾーンと深海さん達とどういう御関係なのかという事である。
「翔鶴、行くぞ。」
花火を抱え上げる。
「神崎中将閣下、救護室か医務室への案内を頼む。花火の手当てをしたい。」
「は、はい! こちらです。」
「あ、あのアルカディアさん、歩けます! 自分で歩けますから!」
ダーメ。放す離すわけないでしょーが。
花火の髪から感じられるシャンプーの匂いに顔が緩む。
これで文字通り『頭のてっぺんから足の先』まで花火を制覇である(意味不明)。
神崎中将に案内された救護室はカーペット張りで、どうしようかと思ったが直ぐに翔鶴が気を利かせて花火の靴を脱がせてくれた。
そのまま診察用ベッドに座らせる。
ん? 花火の様子が少しおかしい。
目の焦点が定まっておらず、少しばかり息も荒い。
「北大路提督? いえ、もう花火さんで良いわね、どうしたの?」
神崎中将が声を掛けるも目はトロンとしたままで反応が鈍い。
冗談抜きで心配である。一体どうしたというのか?
「!!」
何かに気付いたのだろうか? 翔鶴が息を飲む音が聞こえた。
「と、取り敢えずパンストを。神崎中将は左足をお願いできますか?」
「では俺は右足だな?」
「アルカディアさん、さすがにそれは殿方の出番では無いわ。私と翔鶴に任せて。」
ハイ、閣下の仰る通りです、スイマセン…。
すごすごと部屋の隅に移動する。
「いえ、あのアルカディアさん、心配なのは分かりますがじっと見ているのはどうかと…。」
「花火の素足が見れると聞いて。」
(やはり心配なのでな。)
しまった、逆になってしまったぞ。
「そんなに女の素足が見たければ後ほど、執務室にいらして下さいな(笑)。」
私でよければと、小声で中将が本日一番のハニトラを仕掛けてきた。
これはさすがに抗えませんわ、もうただのYESマンですわ…。
楽しみにしておこうと返答し救護室を出ようとすると神崎中将が再度、耳元で囁いてきた。
「アルカディアさん、あなた足フェチなのね(笑)。」
さすが神崎中将閣下である。一発で看破されてしまった。
「否定はしない。」
ニヤリと笑って振り向くと中将閣下も同じように笑っている。
改めて閣下に目を向けると年はそれほど花火と変わらない(1907年1月と1908年5月)なのに神崎中将のほうが遥かに大人びて見える分、制服もよく似合っている。
黒パンストも花火はセーラー服に対するソレであるのに対し(それはそれでイイものだ!)、中将の場合は大人の女性が脚を引き締めるために履きこなしているソレだ。
後ろ髪を引かれるが、神崎中将と翔鶴に花火を頼むと告げて艦娘専用食堂に向かう。
彼女には士官専用食堂の使用を勧められたが、これ以上ブラック提督からの勧誘を避けるために丁重にお断りしておいた。
あと、やっぱりここの艦娘達とも親善をはからないとな(笑)。
その後、何故か調子を取り戻した花火はしばらく目を合わせてくれないようになった。
翔鶴に理由を聞いても、彼女も赤くなるばかりで何も教えてくれない。
神崎中将は複雑な顔をしていたが、理由を聞かないのも優しさですと言われてしまった。
うーん、訳が分からん。
女というのは複雑怪奇な生き物である…。
※ア:少しあの二人に対する制裁が甘過ぎるのではないか?
筆:私もそう思ったんだけどね。
でもキャプテンハーロックは必要以上に相手を傷付ける事は好まないのではな
いか、そこも彼の男としての部分ではないかと思ったんだよ。
ア:それ程でもない(フンス!)がな。
ただ、翔鶴と花火を泣かせたのかと思うとちょっと『プチ』切れてしまったんだ。
筆:あといくら何でも老け顔はまずいよ。相手は女性だし…。
ア:反省はしている、後悔はしていない!
筆:水溜りも黙ってあげるのが紳士ってものでは?
ア:柱島第七泊地に手を出せない事を分からせるための尊い犠牲になってもらった。
筆:…。
筆:ところでついにマゾーンが出て来たみたいだけど?
ア:うむ、戦場に出てもこれまで見たいにはいくまい。
筆:そうだね、艦娘達にも光線兵器を装備させる必要があるから、明石と夕張は忙しくなるよ!
筆:あ、諸兄氏も北大路提督がちょっとおかしくなった理由が分からなくても追求しちゃダメですよ。
翔鶴さんも同じ経験をしたので、絶対に主人公には教えないですね(笑)。