アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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※やっぱり好きな人/気になる人から屋上に呼び出されたらドキドキしますよね?
 その後をつけていく翔鶴さんの心中やいかに!

※さて主人公君がこの世界に来たのが10日、夜汽車で柱島を立ったのが11日夜、横須賀着が12日。二泊して柱島に帰るのが14日。
 今月は2月ですからええっと…。

※2020年09月07日 一部修正。


第54話 屋上編1(アルカディア側14)

 12股男さんから海軍の全面協力を取り付け上機嫌の俺は、会議終了後に横須賀第一鎮守府の屋上へと足を向けた。

 別に用事があった訳ではないんだけど、まあ夕食までの暇潰しというか横須賀一鎮の探検だ。

 屋上への出入口は施錠されているかとも思ったが、ドアノブに手を掛けると…。

 あれれ? 簡単に開いてしまったぞ。

 

 更にドアを開けると冬の風が音を立てる中、微かに女の鳴き声がする。

 誰かは分からないがまさか自らの命を?!

 風に乗ってすすり泣きが聞こえるのは給水塔が並ぶエリアだ。

 民間の建物と違い、リスク管理の点から中型が複数設置されているので、その後ろは完全に死角になっている。

 

 そっと覗くと…、あれはブルーメール少将閣下ではないか?!

 一体どうしたというんだろう?

 あれほど気丈なグリシーヌちゃんがシクシクするなど…。

 

 ここは弱っている所をついて押し倒す千載一遇の機会だと思ったが、こんな寒い所でオイタしてしまっては風邪をひいてしまうし、何よりこちらの砲身が縮こまったままとなる公算が大である。

 よって普通に声を掛けようと思ったが、やはりこの場合はお友達である花火の出番だろうと判断し急いで戻った。

 

 「花火、少しいいか。」

 

 「あ、はい。何でしょうか?」

 

 「悪いが屋上まで一緒に来てくれ。」

 途端、花火と翔鶴が固まってしまった。

 いや、屋上が寒いのは分かるけどそこまで固まらなくて良くない?

 二人で階段を上り屋上への扉を開ける。

 

 「あ、あの…。アルカディアさん?///」

 花火が胸を手で押さえている。

 え、これだけの階段を登っただけで息が上がったの?

 顔も少し赤いし、さすがにそれはちょっとインドア派過ぎる。

 よし、柱島第七泊地に戻ったらグラブを買ってあげよう。

 空いた時間のキャッチボールを日課にして運動不足を解消だ。

 ついでに愛のキャッチボールも…(キャ)。

 後、翔鶴さん、隠れているつもりだろうけどコッソリ付けてきてるのが丸わかりだよ…。

 花火の息が整うのを待ってから給水塔の奥を指さす。

 

 「アルカディアさん、グリシーヌに何をしたのですか?

 グリシーヌちゃんを見た花火の目がスッと細くなった。

 

 「分からん、それは少将閣下に聞いてくれ。」

 失礼な、何もしてはいないぞ。

 『こ れ か ら』何かするのだ。考え違いをしてもらっては困るな(笑)。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 

 

 「グリシーヌ。」

 花火が声を掛けると少将閣下が振り向いた。

 

 「は、花火?! どうしてここが…。」

 あらら、だいぶ目が赤いし瞼も腫れっぽく…。

 

 「アルカディアさんが呼びに来てくれたの。」

 花火がこちらを見る。

 

 「ア、アルカディア殿?! そんな…。いや、貴公も私を気遣ってくれての事であろうな。だが、すまない。忘れてくれ。」

 

 「それは構わんが、花火にも話せないような事なのか? そう思ってきてもらったのだが。」

 

「グリシーヌ、貴女が泣くなんて…。アルカディアさんには外してもらうから…。」

 まあ、慌てるグリシーヌちゃんを見れただけでも良しとするか。

 何かするのは演習に柱島第七泊地に来てもらった時でもイイしな。

 さっさと戻って翔鶴との心の距離を埋めるとしよう。

 

 「いや、アルカディア殿は横須賀の恩人だ。その方に外せなどとは…。」

 それを聞いた花火に襟首を掴まれてしまった。

 

 「私はもう…、指揮官でいることが出来ない。」

 「配下の艦娘達が沈んでしまったらと思うと哨戒部隊にさえ出撃を命じることが出来なかったのだ。」

 そう言ってグリシーヌちゃんが話してくれたのは、配下の艦娘がまたあのような危険な状況になったら、まして沈んでしまったらと思うと出撃させる事に恐怖を覚えてしまったとう事だった。

 事実、お昼からの哨戒部隊に出撃を命じようとしたところ、急激に心拍数が上がり立っていられない程の眩暈がしてしゃがみ込んでしまったらしい。

 さらに呼吸困難にも襲われたらしく異変に気付いたコマンダンテストによって事無きを得たとの事。

 

 「それなのに、さらにマゾーンなどという得体のしれない連中まで現れて…。」

 成程ねぇ、そういう事でしたか。

 だからって提督業を辞めたいというのは感心しませんですよ、ハイ。

 

 「ふむ…、少将閣下ほどのお方が。いや、貴女ほどであるが故か…。」

 

 「え?」

 

 「少将閣下が真に艦娘達の事を想い考え、彼女達と良好な関係を築けている証拠であろう。」

 適当な事を言ってしまったが、あながち間違いではないしイイよね?

 それよりまだ味見をしていないのに体液、いや退役などされ実家に帰られては非常に困る。

 

 「今日の事で思い知ったのだ。それにアレほど取り乱すようでは私に指揮官の資格など無いのだと。まして部下を戦場に送り出したくないなどという指揮官がどこにいる?」

 彼女のフェンスを握る手に力が籠められる。

 

 「だからこそ皆、貴女に付いて行くのだと思うが?」

 

 「いい、下手な慰めなど止してくれ。」

 

 「まず撤退命令は絶対だという事を徹底させる必要がある。守れない時は後を追うと脅してでもな。」

 ハーロックが『まゆ』にオカリナを掘ったのと同じ海賊ナイフを渡す。

 これを普段からチラ付かせておくと抑止の一端になるだろう。

 

 「だが、やはりあの子達が沈んでしまったら私は正気でいられん。それにもう決めたのだ。」

 

 「グリシーヌ、あなた…。」

 グリシーヌちゃんが花火の視線から目を逸らした。

 

 「あれだけ貴女を慕ってくれている大勢の艦娘達を残してここを去るなんて無責任が過ぎるわ。」

 「どうしてもという状況になったら柱島第七泊地に緊急連絡を頂戴。またアルカディアさんが駆けつけてくれます、ね?」

 花火、がグリシーヌちゃんの肩に手を置く。

 

 「だが、それでは…。」

 他の鎮守府や泊地に対して遠慮しているのか歯切れが悪いな。

 気にするな少将閣下、遠慮はいらんぞ。

 何も駆け付けるのは横須賀第二鎮守府だけではない。

 西に東に、北に南にと好感度アップのためにあちこちお邪魔する所存でございますゆえ(笑)。

 

 「気にする事は無い。俺も男として少将閣下のような美しい人に正気を無くしてもらっては困るのでな(笑)。」

 

 「ふっ、私にそんな事を言って良いのか? 花火の怒りを買っても知らんぞ。」

 

 「大丈夫だ、花火はそんな事で機嫌を損ねたりしない。」

 とは言ったものの、かなり機嫌を損ねてマス。

 後ろの空気が変わってしまっている。振り向きたくない…。

 

 「花火、少し少将閣下を借りるぞ。」

 グリシーヌちゃんにマントを掛け抱き上げる。

 

 「ちょっと、アルカディアさん! グリシーヌをどうするつもりですか?!」

 花火と花火を捜しに来たであろう翔鶴が慌てている。

 

 「しばしの遊覧飛行だ。少し待っていてくれ。」

 そのまま艤装を出してゆっくりと離陸する。

 

 「貴公も…、大胆だな。私にこんなことをするなんて…。///」

 

 「ここを去る前に少将閣下には是非とも見てもらいたいモノがある。」

 グリシーヌちゃんの耳にインナーヘッドホンを填める。

 曲はミスターロンリーでいいかな?

 城達也氏のナレーションがあればジェットストリームの再現が出来たのに(笑)。

 そのまま、彼女の制帽が飛ばない程度の速度で海上へ出る。

 

 「少将閣下、あれを見てみるがいい。」

 水平線の向こうへ太陽が沈んだ瞬間。

 

 「トワイライトか。キレイなものだ…。」

 今度は内陸側を向く。

 

 「街の明かりがあんなに…。」

 

 「そうだ、横須賀一鎮と二鎮、ひいては神崎閣下とブルーメール閣下が守り抜いた場所だ。」

 

 「何を言う、守ったのは貴公であろう…。」

 グリシーヌちゃんの唇に人差指を当てて首を振る。

 次は下の唇に指を当てて…、いや入れてイイですかね?

 

 (女神:ダメダメダメ! 多分、彼女も受け入れちゃうから!)

 

 「いや、間違いなくお二人とお二人の艦娘が守ったのだ。」

 

 「あの子達が…。フフッ、そうか。そうだな、そういう事にしておこう。」

 そうだ、それでいい。

 鬼姫達12隻という厳しい戦いに立ち向かう勇気を持った艦娘達だ。

 

 「少将閣下、1回だけで良いのか?」

 グリシーヌちゃんがどういう事だと目で聞き返してきた。

 

 「この景色をこれからも見なくて良いのか?」

 

 「これからも?」

 

 「そうだ。」

 

 「私は…。」

 逡巡するグリシーヌ。

 

 「見たい…、何度でも! この海もこの街も横須賀の全てを!」

 力強く宣言した彼女の目には力が宿っていた。

 

 「なら、もう心配は要らんか。神崎閣下もブルーメール閣下もだが、誰かを頼るのは別に悪い事でも恥ずべき事でもない。一人で出来るのならそれに越したことは無いが、意地を張って取り返しのつかない結果を招いてしまう方がよほど恥ずかしい事だと俺は思う。」

 これで大丈夫だろう。

 後は花火からも適当に声を掛けておいてもらうとしますか。

 

 「そうだな。心配をかけてすまなかった。さ、花火が般若になる前に戻ろう。」

 

 「それは怖いな(笑)。」

 

 「これは意外だな。貴公でも怖いものがあるとは。」

 あります、あります! ありますとも!

 主に艦娘達に嫌われるとか…(現在進行形?)。

 

 「そうだな。怒らせるのは別に構わんが嫌われるのは困る。」

 

 「ほう、聞かせてくれるではないか。どうやら私が花火と貴公の間に割って入る余地は無さそうか。」

 いえいえ、そんな事は無いです。

 このアルカディア号、提督正室は花火と艦娘正室は翔鶴と決めてはいますが、門戸は広く24時間365日受付可能っス!

 

 「それはすまない。何しろこのアルカディア号、『花火』と『翔鶴』に一目惚れでな。」

 ただNo.1はあの二人だとはっきりさせておかなくては。

 

 「では花火に嫌われたら横須賀第二鎮守府に来ると良い。部屋は用意しておこう。それに私の所にも翔鶴はいる。」

 

 「それはありがたい、だがそうならないように祈ろう。」

 あの二人に嫌われたらもう立ち直れない自信がある。

 考えただけでも恐ろしい。

 

 「それから最後に一つだけ貴公に私の我儘を聞いてもらいたいのだ。このまま私の部屋まで頼む。」

 ん? グリシーヌちゃんの額に汗が?

 防寒用に掛けたマントがそんなに暑かったのか?

 

 「分かった。ではそうさせてもらおう。」

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 

 

 「グリシーヌ、大丈夫? 立て…、ないわね。アルカディアさん、急いでグリシーヌを部屋へ運んであげて下さい。」

 一鎮の屋上へ着地すると花火と翔鶴が駆け寄ってきた。

 

 「ああ、少将閣下からもそのように依頼を受けている。」

 花火と翔鶴から急いでと言われて慌てて本日宿泊予定の部屋がある3Fの307号室へと担ぎ込みソファーに座らせた。

 

 「すまなかった。もう大丈夫なので後は一人にして欲しい。」

 相変わらず、額の汗が引いていないが花火と翔鶴は頷くと、俺の背中をグイグイと押してサッサと部屋から出てしまった。

 

 うーん、一体どうしたというのだろう?

 まるであそこに居てはいけない、というか一刻も早く一人にさせてあげないとダメみたいな感じだったが…。

 それとなく聞いてみたが、病気ではないので心配ありません、と言われてしまった…。

 

 というかグリシーヌちゃん、隣の鎮守府なんだから別に一鎮に留まる必要なんて無かったんじゃ?

 




※『これから』何かするのだ:相変わらずですねぇ。グリシーヌに手を出したら返り討ちにあいますから止めなさいって!

※ジェットストリーム:黒い三連星によるアタックではなく、ラジオ番組の方です。JALがスポンサーだった気が?

※『地球滅亡まであと3??日』、間違えた『決戦日まであと2日』。
 柱島第七泊地の調理場では、艦娘さん達がその決戦に向けて期間限定海域最深部攻略時以上の真剣モードに(笑)。 
 そしてここ横須賀第一鎮守府でも14日に間に合わせるため阿鼻叫喚の事態が繰り広げられています。

※神崎提督から明日の横須賀第一鎮守府の案内を仰せつかった重巡洋艦の『高雄』さんと『妙高』さん。
 お昼は重巡寮のロビーに集まって全員でサンドイッチを食べようという素晴らしい計画を思い付いたようです。
 でも浮かれ過ぎて決戦日が頭から抜け落ちる事に…。
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