アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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※アルカディア号にツケが回って来たようです(笑)。
※ドルアーガの塔:ナムコの名作ゲーム。凄く面白いです。


第60話 柱島帰投編2(アルカディア側17)

 「嬉しい…、です。」

 

 「はい、私も。」

 花火と翔鶴がそれぞれ両肩にもたれ掛かってきた。

 嬉しいのだがここまで事態が急変したのは何があったんだろう?

 

 「二人ともいいか?」

 まさかとは思うが、学生時代によく揶揄われた黒歴史が蘇る。

 

 「嫌な思いをさせるかもしれん。だが一応、聞いておきたいのだ。」

 要するに怒らないで、という事なんだけどね。

 

 「わかりました。」

 

 「アルカディア号さんにとって大切な事であれば構いません。」

 うん、そう言ってもらえると助かりますわ。

 

 「これ、『ドッキリ大成功!』というプラカードを持った青葉が出て来たりとか?」

 

 「「…。」」

 あ、ヤバイ。二人の視線がどんどん冷たくなって…。

 怒らないって言ったじゃん?!

 

 「さすがに青葉さんでもそんな事はやらないと思いますよ? 多分…。

 え、最後に多分って小声で聞こえたんですけど?!

 人を不安にさせるんじゃありません!

 

 「いや、申し訳ないとは思うが花火も翔鶴も俺には眩し過ぎる。そんな二人が何故、俺のような無法者にと…。それゆえに聞きたいのだ。」

 

 「青葉が聞いたら間違いなく本気で怒りますよ。まあ、今回は黙っておきますが。」

 眩し過ぎるというのを聞いた途端にジト目から一転、目尻を下げて体をくねらせる花火と翔鶴。

 ドルアーガの塔に出て来るローパーを思い出してしまった。

 

 (青葉:危なかった…。)

 

 「二人とも本当にいいのか? 海賊船など無法者の極みだぞ。」

 横須賀でこの二人に何があったのだろう?

 それこそ会議で無理矢理、俺を繋ぎ止めるために体を差し出せと言われたのではないだろうな?

 もし、そうなら彼女達を本気で振り向かせられるようにこの不肖アルカディア号、一層の奮励努力をしなければ!

 

 「はい。それにアルカディア号さんは決して無法者なんかではありません。」

 

 「ええ、北大路提督の仰る通りです。それこそあなたは自分の胸に自分の正義をお持ちですから。」

 

 「偏った性的指向(足フェチ&匂いフェチ)を持っていても?」

 変態さんの部分も含めて念を押す。

 

 「要するに変態さんという事ですね、わかります!」

 翔鶴さんェ。

 そんなに明るく答える事も無いと思うのですが(泣)。

 

 「恥ずかしかったですが、キレイな足だと褒めて頂いて嬉しかったです。私も二人きりの時なら…。ぽっ。」

 え、何?!

 二人きりに時ならドコまで許されるんでしょうか?

 またその危険な黒酢の香りを堪能できるんですか?

 それとも足〇キ・素〇タですか?!

 

 「そう言ってもらえるのは有り難いが、俺が好きになったのはあくまで北大路花火と翔鶴という個人だ。それは忘れないでくれ。」

 好きな事をしていいのは足だけなんて勿体ない!

 あくまで全身を使ってお願い致します。

 

 (女神:うわ…。いいセリフなのに齟齬がスゴイ…。)

 

 「それに何を勘違いしておられるか分かりませんが、私はアルカディアさんが思っているような女ではありません。むしろはしたないぐらいです(笑)。」

 

 「それこそまさかだ。翔鶴がはしたないなど…。」

 

 「そうですか? ではもう言ってしまいますがアルカディアさんの匂い、男の人の匂いというのでしょうか? どうしようもなくドキッとしてしまうんです。ね、提督?」

 

 「ええ、まあ、その…。大神元帥さんの匂いとはまた違いますが、それでも男の人の匂いにクラクラしてしまって…、やだ、翔鶴ったら何を言わせるのよぉ…。」

 花火が真っ赤になって両手で顔を覆ってしまった。

 

 「いや、それをいうならこちらもだ。女性特有の何ともいえないあの甘い体臭が堪らなくてな。」

 

 「なら私もです! ずっとアルカディア号さんの臭いに包まれていたいなんて考えているんですから!」

 って、我々は何のカミングアウトをしてるんだよ(笑)。

 

 「「「…。」」」

 

 「フッ。」

 「うふふ。」

 「あはっ」

 お互いに顔を見合わせた後、誰からともなく吹き出してしまった。

 それにしても今回の横須賀行きは収穫が大きかったな。

 神崎中将やブルーメール少将、タチバナ中将、その他大勢の提督達に顔を売れたし、おまけに大神元帥から海軍の協力を取り付ける事までできた。

 これで少々の無茶と思える動きもある程度までなら出来るだろう。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

 

 翌朝、柱島第七泊地に到着すると門前で待っていた所属艦娘全員が歓声を挙げて迎えてくれた。

 期間限定海域攻略要員のお帰りという事で、特に輸送部隊を組む水雷戦隊のメンバーの喜びは殊更だった。

 そしてまた秋月型と白露型はやはりハーレムに加えなければと再認識した瞬間でもある。

 

 「お帰りなさい、提督。それに翔鶴さん、アルカディア号さん。」

 大和さんが前に出てきた。

 

 「はい、ただいまです。特に変わった事は無かったですか?」

 留守中の確認を行う花火。

 

 「変わった事ですか…。そうですね。はい、特には…。」

 気のせいだろうか?

大和の歯切れが幾分か悪いような…。

 

 「え、どうしたの? その間が気になるのですが。」

 花火も同じ事を思ったのだろう、掘り下げて聞いてしまった。

 

 「何かあったのなら遠慮なく言って下さい。特に軍では些細な事が重大な結果を引き起こしてしまう事もありますから。」

 花火にしては当たり前の事を言っただけに過ぎない。

 が、この一言によって彼女は『私、死にます!』ボタンを押してしまったのである!

 

 「オホン。そうですか、では。」

 「アルカディア号さん、提督を呼んでみて下さい。」

 

 「ん? 花火をか?」

 

 「はい、もうそれで結構です。」

 大和は何を確かめるつもりだったんだろう?

 何かメッチャ、イヤな予感がする…。

 

 「大和、貴女一体どうしたの?」

 花火がふざけるなら怒りますよ、的な感じだが…。

 

 「まず一つ目、アルカディア号さん。いつから北大路提督を名前で呼ぶようになったのでしょうか? 何かお二人の(かんけい)に変化でも?」

 …。

 ……。

 ………。

 

 ここに至って初めて自分でも知らない間に北大路提督呼びから花火呼びになってしまっていた事に気付いた。

 

 「それから二つ目、伊勢さんが大荒れで大変でした。私達、宥めるのに大変だったんです。」

 い、伊勢が、伊勢が据わってた目でこっちを見てるぅ!

 

 「三つ目、妙高さんと高雄さんどうぞ。」

 あ、この組み合わせ…。

 

 「アルカディア号さん、明日は私達が、ここ柱島第七泊地を隅から隅まで案内いたしますので、お昼はサンドイッチを重巡全員で取りましょう。」

 ハイ、やっぱりですか。

 

 「いや、ここの事はある程度わかって…。」

 

 「案内いたします。」

 デスヨネー。

 

 「四つ目、瑞鶴さんどうぞ。」

 重巡完璧レディースに続き、今度は瑞鶴が前に。

 

 「私だけじゃないわ。ね、大和さん、榛名さん?」

 大和と榛名も誘った瑞鶴。

 これも何となくわかった気がする。

 

 「提督、アルカディア号さんを少しお借りします。」

 そう言うと大和と榛名が腕を取ってきた。

 うほほーい!

 う、腕が、腕が!

 腕が大和と榛名のパ〇ズリ状態に?!

 

 「え、でも…。」

 

 「遠慮なくという事でしたので夕食後にでも先程の返答を聞かせて頂きますね。提督?」

 大和の次弾がクリティカルヒットした花火。

 

 「も、もう! アルカディア号さんに聞いて頂戴!」

 彼女は捨て台詞を残して建物内に駆け込んで行ってしまった。

 え、これ俺が答えなくてはいけない状況になったじゃん。

 自分だけ逃げるなんて酷すぐる…。

 

 こうなれば翔鶴、お前だけが頼りだ!

 頼むぞ!

 

 が、翔鶴に目を向けると青鬼(加賀)と赤鬼(赤城)に詰め寄られ震えあがっている始末。

 あ、これ翔鶴死んだわ。

 俺よりもヤバイ状況だわ。

 

 「そうだねぇ。こんなのを見せられたんじゃ、第二次攻撃の要を認めない訳にはいかないよね?」

 二航戦が差し出した携帯を見て翔鶴が悲鳴を上げた。

 

 な、何だ? 何が写っているんだ?

 気にはなるが確かめる勇気などとても持ち合わせていない。

 さらに追い打ちを掛けられた翔鶴はへたり込んでしまった。

 

 「アルカディア号さん、翔鶴さんが気になりますか(人の事を気にしている場合では無いですよ)?」

 

 「向こうの私達との触れ合いは楽しかったですか? 楽しそうでしたよね?」

 何故だろう、ニコニコ顔の大和と榛名から凄いプレッシャーを感じる。

 

 「取り敢えず、戦艦寮に行きましょう、か。」

 伊勢が移動を促してきた。

 

 「あ、大和さん、私もいいよね。」

 

 「ええ、勿論です。瑞鶴さんがいないと再現できませんから。」

 暗く濁った瞳で四人がニヤリと嗤う。

 ハイ、世に言う拒否権無し、というヤツですねこれは。

 はっはっは、これ翔鶴だけじゃない、俺も死んだかも。

 いや、死んだわ(笑)。




※この後、全てをべてをゲロさせられてしまう3人達。
 次回、主人公のアルカディア号の様子だけ中継して横須賀鎮守府編の終了です。

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