アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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※新章開幕です。
 思い切って第1話を投稿してから半年、お気に入りも380台となりたくさんの方々に支えられてここまで来ました。
 これからも細々と身の丈投稿を続けていけたらと思いますのでお時間のある時にまた覗いてやって下さいませ。<(_ _)>

※この章から艦娘視点とアルカディア視点が不規則になります。


タウイタウイ第二泊地
第62話 遠征艦隊1(艦娘側:タウイタウイ翔鶴1)


 タウイタウイ泊地。

 旧日本海軍の空母基幹の第三艦隊と戦艦重巡基幹の第二艦隊の泊地として有名なこの場所から少し遠く離れた位置を6名の艦娘達が航行しています。

 もちろん『艦これ』プレイヤーさん達なら、すぐにその6名が『陸奥』・『翔鶴』・『羽黒』・『名取』・『潮』・『電』である事がわかるでしょう。

 

 資源を大事に抱えて母港のタウイタウイ第二泊地を目指す6名ですが何か様子がおかしいですね。

 通常は遠征艦隊に大型艦を入れる事はあまりありません。

 共通する事といえば比較的大人しい艦娘達で構成されている気がしますが。

 

 それに南方の暑い日差しが容赦なく照り付ける中、自然と俯きがちになるのは仕方ないとしても陸奥は名取を、翔鶴は潮を、羽黒は電を曳航?しています。

 おまけに曳航されている3名は意識を失っており、陸奥・翔鶴・羽黒の息も荒く、目の焦点もあっていません。

 一体、どうしたというのでしょうか。

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 

 

 私の後ろで突然、バシャッと水音がしました。

 虚ろに霞む目を向けると電さんを曳航していた羽黒さんが倒れています。

 ですが、私も陸奥さんも大丈夫ですか、と聞くことはありません。

 二人無言で機械的に曳航ロープを結び直します。

 以降は私が羽黒さんと潮さんを、陸奥さんが名取さんと電さんを曳航しないといけません。

 普段なら、いえ普通の状態であれば大型艦である私達には何でもない事ですが、この状態で曳航人数が増えるのはかなりキツイです。

 

 私達の所属するタウイタウイ第二泊地はいわゆる隠れブラック鎮守府。

 提督のカルチェラ少佐は大型艦にしか補給と入渠を認めず軽巡洋艦や駆逐艦といった小型艦に至ってはほぼ使い捨て状態。

 その大型艦もギリギリでないと認めて頂けません。

 食事なんて当然なく、ほんのを僅かな補給のみで過ごす毎日。

 当然、私達も最初は演習相手の艦娘さん達や提督に助けを求めました。

 実際に軍警の方や監査官の方たちが幾度もやって来ましたが、そのどれもが問題無しと報告されてしまい、ことごとく希望の目は摘まれてしまいました。

 信じられないお話ですがカルチェラ少佐は相手に幻影や幻覚をみせるという不思議な力があり、それを使って誤魔化しているらしく、無駄な事は止めるんだね、と高笑いされてしまいました。

 そしてそんな日は密告した奴がいると全員が罰を受ける羽目に。

 でも私やその他一部の艦娘達は知っています。

 私達が遠征で得た資源を横流し、その利益で宝石を買い集めている事を…。

 あの中の一つで、どれほどの遠征に出る軽巡や駆逐艦の艦娘に補給がいき渡ったのか。

 どれだけの艦娘が使い捨てられずに済んだのか。

 希望を持って建造ドックから出て来た駆逐艦の目が直ぐに絶望に染まっていきます。

 いえ、染まるならまだマシかもしれません。

 そうなる前に私達、大型艦の盾として沈んていく駆逐艦の何と多いことでしょうか…。

 

 (この感覚?! ああっ、駄目っ、嫌!)

 15kmほど航行したでしょうか、急に脱力感に襲われました。

 足先から徐々に力が抜けていきます。

 

 「陸奥さん。」

 陸奥さんが振り返ります。

 

 「ごめんなさい。燃料切れ…、です。羽黒さんと潮さんをお願いします。」

 燃料切れを起こした大型艦など敵潜水艦の格好の餌食。

 羽黒さんと潮さんを巻き込むわけにはいきません。

 

 「謝らないで翔鶴。私もここまでなの。」

 

 「どうしてですか? 陸奥さんはまだ…。」

 

 「私こそ黙っていてごめんなさい。数分前に電探が敵艦載機群を捉えたの。私の燃料を移すわ。翔鶴こそ名取と電を連れてあの島まで逃げて。」

 残酷な事実とは違い陸奥さんの優しい笑顔が私の胸を締め付けます。

 本来なら空母としての役目を果たすべき私の矢筒にはもう一本たりとも矢が残っていません。

 

 「止めて下さい、そんなこと聞きたくありません! 陸奥さんこそまだ砲弾が残っているはずでしょう?!」

 

 「私の足ではどう頑張ったってもあの島までは辿り着けないわ。翔鶴、これは貴女にしかできないことなの。」

 

 「それでもできません! 私には、私には!」

 

 「謝らなくていいわ。あのクソ提督を諫めることが出来なかった私自身の責任よ。」

 長い間、お風呂に入れなかった上に潮風にさらされ続けた私の指通りの悪い髪を陸奥さんが優しく撫でてくれました。

 

 「ごめんなさい、私に…、艦載機が無いばかりにこんな…。」

 この時ほど私は自分の役目を果たせない事がこんなにも悔しく情けないと思った事はありませんでした。

 

 「最後まで気を使わせてごめんなさいね。でもこれでようやく沈んだ皆の所に行け…。」

 最後まで言い切れずに陸奥さんから力が抜けました。

 

 「陸奥さん!」

 駆け寄ろうとする私の膝にもそれだけの力はありませんでした。

 いえ、正確には指先の力でさえも…。

 そんな中、幻覚でしょうか?

 陸奥さんと私の体を誰かがガッシリと受け止めた気がしたんです。

 私の意識は相手の胸元まで視線を上げたところで完全に途切れました。

 あれは…、髑髏?




※相手に幻影や幻覚をみせるという不思議な力ですか…。
 あー、いましたね、台羽くんも幾度となく苦汁を舐めさせられたあのマゾーンと同じ力ですね。
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