アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた 作:Archangel
「…。」
ここは一体どこなのかしら?
記憶にあるのは翔鶴に燃料を移そうとしたのが最後。
ハッ?! 翔鶴、翔鶴はどうなったの?
いえ、翔鶴だけじゃない、羽黒や他の艦娘達は?!
「う…。」
隣で聞こえる呻き声に顔を向けると翔鶴と羽黒が。
「良かった…、でも一体誰が?」
翔鶴を起こす。ひょっとしたら何か知っているかもしれない。
「え…、陸奥さん。ここは?」
「そう、翔鶴も知らないのね。私も気付いたばかりなの…。」
「ヒッ! こ、ここは何処なんですか?! 私達どうなるんですか、名取さん達は?!」
同じく目を覚ました羽黒が周りを見渡して怯えているわ。
何とか落ち着かせないと。
「大丈夫よ、このベッド医療用だもの。もし、私達にとって危険な相手ならこんな対応はしてくれないわよ。」
それにしても医療用ベッドでさえこんなに寝心地良く感じるなんて。
これならずっと体調を崩していたくなるわね(笑)。
「気が付いた? 良かった、危なかったのよ、貴女達。」
全員が目覚めるのを待っていたのかドアが開いて優しそうな女性が入って来たわ。
ただし、私達が最も忌むべき存在である事を示す提督服を纏ってだけれど。
「…誰?」
お陰で自然と声が低くなってしまったわ。
「私は北大路花火。柱島第七泊地を任されています。」
「柱島? 内地の提督がどうして?」
「所属は調べさせてもらいました。タウイタウイ第二泊地、カルチェラ少佐の所ね。」
「それで? 私達をどうするつもりなのかしら?」
万一の事があれば私が矢面に立たないと。
でも、この人どこかで…。
「ここは移動する人工島、デスシャドウ島です。私の知り合いが持つ補給兼入渠施設。これで確証が持てました。」
「あら、何がなの?」
一体、何の確証なの?!
これ以上、私達を苦しませるのは止めて!
布団の中で膝がどうしようもなく震えてる。
「貴女達のタウイタウイ第二泊地、ブラック鎮守府なのね。」
そうよ! そんなの誰だって見れば分かるじゃない!
でもそんな事実を肯定したことがカルチェラ提督の耳に入ればまた多くの艦娘達が酷い目にあってしまう。
それだけは避けないと…。
「…違うわ。」
「そう、失礼な事を言ってごめんなさいね。」
そう言って北大路提督は翔鶴と羽黒の頭を優しく撫でたのだけれど、それより早く私達は叫んでしまった。
「止めて! 翔鶴と羽黒に何をするつもりなの?!」
「「ヒッ、嫌! もう痛いのは嫌ぁっ!」」
「燃料無し・艦載機無し・弾薬僅か。おまけに遠征にしては航路が不自然。まるで傷だらけの姿を見られないように。何故かしら?」
羽黒と翔鶴を優しく抱きしめる北大路提督。
「ハッ、遠征! し、資源は、資源は何処?!」
悲鳴のような叫びを上げる羽黒。
「資源? 発見された時は何も無かったと聞いています。」
羽黒の顔が絶望に染まっていくわ。
「そんな、やっと手に入れた資源なのに…。ダメ、姉さん達が…。」
姉妹の中では着任が遅かった事から一人だけ練度が低く失敗が目立っていた彼女にとって、何かあれば姉妹艦全員が処罰される今のタウイタウイ第二泊地はまさに地獄。
姉妹全員がムチの餌食になった夜は妙高型の部屋からあなたのごめんなさいと泣き崩れる声がしていたわね。
そんなあなたを私達、大型艦はどうしてあげる事も出来なかった…。
でも今回は大丈夫、お姉さんに任せなさい。
「羽黒、資源を無くしたのは私よ。皆を曳航するのに獲得した資源を使うしかなかったの。だからあなたは悪くないわ。心配しないで。」
「え? でも陸奥さん…。」
「本当よ。だから、ね?」
それを聞いた翔鶴が手をギュっと握りしめる。
「…。取り敢えず入渠していらっしゃい。随分と不思議な損傷が沢山あるみたいですから。それにあなた達をここへ連れてきた方からもそう頼まれています。」
北大路提督、貴女も全てお見通しなの…。
「提督、残りの三人が目を覚ましたので強制的に入渠させました。現在は再び部屋で休ませています。」
ドアが開いて入って来たのはとんでもなくキレイな人。
でもあの髑髏のプリントはちょっと趣味が悪いかしら。(笑)
「残りの三人とは名取さんと潮さんと電さんですか?!」
「無事なんですね!」
「ええ、無事です。安心して下さい。それから螢さん、テキパキと良く動いてくれました。ありがとうございます。」
え、この人ったら今なんて言ったの?
提督よね? それがありがとうございます、ですって?!
※役付きであってもキチンと『ありがとう』といえる人の許には自然と人が集まります。
しかしタウイタウイ第二泊地の艦娘達にとっては凄いカルチャーショックだったようです。
カルチェラさん、登場前からこれですか…。
うん、外道に仕立て上げてゴメンね。