アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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第67話 遠征艦隊6(艦娘側:北大路花火1)

 「あ、貴女達は普段一体何を食べているのですか?」

 最初は冗談で言っているのかと思ったのですが、翔鶴さんも名取さんもどうやらそうでは無さそうです。

 

 「補給すらほとんど無いのよ、食事なんて無いわ。」

 

 「ほんの少しの資源が私達の食事替わりです。難関海域攻略時は駆逐艦の子達が自分達の分をコッソリ私達に分けてくれるんです。それでタウイタウイ第二泊地はどうにか海域攻略を果たしてきました。」

 陸奥さんと翔鶴さんからタウイタウイ第二泊地の実態が語られます。

 私はてっきり泊地周りでとれたお魚でも食べているのでしょう、と思っていたのですがまだ考えが甘かったようですね。

 これはいけません。

 少しでも早いタウイタウイ第二泊地の開放が望まれます。

 

 「そう、大変だったのね。でも私達がそれを分かるなんて無責任な事は言えませんし言いません。確実なのは、そんな日々ももうすぐ終わりという事です。アルカディア号さんがきっと何とかしてくれますから。」

 しかし大丈夫なのでしょうか、アルカディア号さんから提供されたこのお肉はかなりの高級黒毛和牛のはず。

 違う意味で彼女達が心配です。

 

 やがてテーブルのあちこちから牛脂が溶ける音とワイワイという楽しそうな声が聞こえ始めました。

 私は有紀さんや潮さんとペアですね。

 アルカディア号さんは陸奥さん、台羽さんは羽黒さんとミーメさん、ドクターさんは電さん、魔地機関長は翔鶴さん、綱島(ます)さんは名取さんとヤッタラン副長とペアになっています。

 

 あれ、割り下が見当たりませんね。

 私が不思議に思っていると有紀さんがいきなりお肉を焼き始めました。そしてお砂糖とお醤油で直に味付けを?!

 なるほど、これが関西式のすき焼きなんですね。

 割り下を使う関東式とは随分違います。

 

 「ささ、お替りも沢山あるからね。遠慮せずどんどんお食べ。」

 あっという間に消えていく大量のお肉を綱島さんがそれ以上の勢いで追加してくれます。

 

 「ううっ…。」

 

 「ぐすっ。」

 

 「どうしたんだい、口に合わなかったかい?!」

 綱島さんが戸惑っていますが、一体どうしたのでしょう?

 

 「いいえ、美味しい。美味しいです…。」

 首を横に振る羽黒さんの目からもポロポロと涙が。

 

 「ええ、とても…。」

 陸奥さんのお箸が止まってしまいました。

 

 「ひっく…。瑞鶴にも…、一航戦や二航戦の先輩にも食べさせてあげたいです。」

 

 「はい、妙高姉さんや那智姉さんにも、何より沈んでしまった足柄姉さんにも食べさせてあげたかった、です…。」

 それ以上羽黒さんは言葉を紡ぎ出すことが出来ませんでした。

 

 「足柄が沈んだ?! いつですか、そんなの海軍報には!」

 毎週の海軍報は必ずチェックするのが提督の義務なので私も目を通していますが、ここ一ヶ月半の轟沈艦は何処も無かったはず…。

 

 「そんなの…、公表するとでも思ってるんですか。」

 

 「あり得ません、主力重巡ですよ! 隠しきれるなんてとても…。」

 重巡のような大型艦の轟沈を名取さんの言うように隠し通せるものでしょうか?

 

 アルカディア号さん、私はどうすればいいのでしょう…。

 タウイタウイ第二泊地の皆さんのお話を伺う限り、今すぐにでも乗り込むべきなのでしょうか?

 そう思ってアルカディア号さんに縋るような視線を向けると彼も同じように涙を流していました。

 

 ああ、貴方という人は他人の為に涙を流せる人なんですね。

 そんな正義感と優しさを持った方が私の許に来てくれただけでも嬉しいのですが、そんな方が私を選んでくれたという事が未だに信じられません。

 

 「カルチェラ提督には不思議な力があるのよ。今まで何度も軍警や海軍監査官がやって来たわ。でも全員が催眠に掛けられたみたいになってしまって…。」

 信じられませんが陸奥さんの表情は真剣です。

 

 「なので問題なしと報告されてしまうんです。」

 な、名取さん?!

 

 「お願いです! 私達を、タウイタウイ第二泊地を助けて下さい!」

 羽黒さんが台羽さんにしがみ付きます。

 羽黒さん…、貴女、虫も殺さないような顔をして結構大胆なんですね。///

 

 「キャプテン!」

 台羽さんが立ち上がります。

 

 「これは間違いなくアイツ、あのマゾーンと同じ力ですよ! マゾーンの連中は深海棲艦だけでなくブラック鎮守府の提督達にも接触を図ってきてるんです!」

 台羽さんが憤っています。なお彼もしっかり羽黒さんに両手を回している模様です。

 

 「いやワイもな。色々と調べてみたんや。軍警や監査官が軒並み問題なしと報告しとるのは事実やで。ちょいと手強いんとちゃうか?」

 

 「我々の考える通りだとすると人間である以上、花火はデスシャドウ島に残ってい方が良い。」

 

 「分かりました、では皆さんを宜しくお願いします。」

 

 「最善は尽くそう。それから柱島第七泊地の長門・加賀にも出動依頼を。あとは足柄・大鯨・鳳翔・間宮・伊良湖の台所組にジャーナリストもな。」

 

 「キャプテン、急がんとこの子達の捜索隊も危険にさらされてしまうぞ。」

 

 「魔地機関長さん、その心配はありません…。」

 

 「う、潮ちゃん?! いやしかしだね…。」

 

 「捜索隊が来ることはありません。私達を探すより次の艦隊を編成して遠征に行かせる方が効率的という方ですから。」

 もう開いた口が塞がりません。

 やっぱり私もタウイタウイ第二泊地へ乗り込む事にします。

 

 「やっぱり私も行きます。ここまでなんて許せません。」

 

 「駄目だ、ローラのあの能力は手強い。それは何度も苦汁を舐めさせられた僕が一番よく知っている!」

 

 「あら、その時はアルカディア号さん、貴方が助けてくれるんでしょう(笑)。」

 一応、相思相愛(と思っています)なのですから。

 

 「何故分からないんです! マゾーンの中でも特にアイツは人の心の入り込んでくるのが上手いんだ。」

 そうなんです。

 この時、私はアルカディア号さんに選んで頂けた、いえ選ばれたという思いで増長し調子に乗っていたのです。

そしてこの後、台羽さんの意見に耳を傾けなかった事を死ぬほど後悔する破目になるとは考えもしませんでした。

 それと同時にマゾーンの恐ろしさを垣間見る事にも…。

 




※基本、北大路提督が艦娘をさん付けで呼ぶ時は他所の艦娘さんを呼ぶ時です。
※タウイタウイ第二泊地で卵が珍重されるのはやはりカルチェラ・ターンが蛇の怪人だからでしょうか?(笑)
※沈んだとされている足柄さんですが実は余所の鎮守府で無事に保護されています。安心して下さい(笑)。
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