アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた 作:Archangel
「あの6人はまだ帰ってこないのかい?! 全く持って役立たずだよ!」
カルチェラ提督がテーブルを蹴飛ばしながら叫びました。
「はい…、依然として連絡・足取り共に不明です。」
提督が癇癪を起こす度に体がビクッとしてしまいます。
幾度となく振るわれた鞭の痕、秘書艦という立場上その痕が増える事があっても減る事はありません。
「もういい、次だ次! 次の遠征隊を編成しな!」
「提督!」
カルチェラ提督が仰った事は陸奥さん・翔鶴さん・羽黒さん・名取さん・潮さん・電さんの6名を見捨てるという事に他なりません。
捜索隊を出すどころか本当に私達艦娘を使い捨て間隔で運用するこの提督に改めて戦慄を感じます。
「提督、もうお止め下さい! すでに私達は限界です、どうしてもと仰るならせめて遠征メンバーだけでも補給と入渠をお願いします!」
「あぁ?! 何馬鹿な事を言ってんだい、アンタ達に回せる資源なんて無いんだよ!」
「お願いします、補給が万全でないと遠征も失敗する確率が高くなります! どうか、どうかもう一度お考え直しを!」
「ええい、やかましい! そこを成功させるのがお前たちの役目だろうが! 甘ったれるんじゃないよ、全く。」
「がはっ…。」
必死に縋り付きますが鈍い音がした瞬間、私は床に転がっていました。
床をのたうち回るほどの激痛が腹部に。
「ううっ…。」
「どうしてくれるんだね。ヒールが折れちまったじゃないか、ええ?」
立ち上がろうとした私の頭をカルチェラ提督が踏みつけてきました。
「申し訳…、ありません。」
何故、私が謝らなくてはならないのでしょう。
演習で訪れる余所の艦娘さん達は凄く楽しそうにしているというのに、ここには地獄しかありません。
毎日のように解体され資源になっていく駆逐艦達、それを見てこれだけの資源にしかなりゃしないと悪態をつくカルチェラ提督。
私達にできる事は建造された艦娘は仕方ありませんが、ドロップした艦娘は極力連れ帰らないようにするぐらいでした。
途中にある島に上陸させ、余所の泊地の艦隊が通ったら連れ帰ってもらう。
理由を説明し、くれぐれも記憶がない振りをするよう念押しして祈る思いで島を離れるのです。
お陰でその島は色んな泊地や基地から駆逐艦娘の湧く島と呼ばれているとか。
「おい、大淀! 第三艦隊が帰って来たぞ!」
執務室の扉が開いて天龍さんが飛び込んできました。
「本当ですか?!」
「ああ、しかも各資源を5,000も持って帰ってきやがった!」
「何だって?! 一体どうなってんだいそりゃ?」
大量に手に入った資源にカルチェラ提督の顔が輝きました。
普通なら艦隊が無事に帰って来た事を喜ぶはずなのに…。
「陸奥が言うには行き倒れたところを余所の提督が救ってくれたらしい。しかもここまで連れて来てくれたそうだ。」
「じゃあ、その資源はそこの提督さんが持たせてくれたのですね?」
天龍さんに確認を取ります。それだけあれば駆逐艦や軽巡洋艦、果ては大型艦の皆さんにまで行き渡るでしょう。
ただしその提督さんの前で補給し、それを見届けて頂かないとまた不正に流用されてしまいます。
特にボーキサイトは単価が高いですからカルチェラ提督に横流しされないよう特に注視しないといけません。
まあ注視したところで私達にはどうする事も出来ないのが現実なのですが…。
「ちっ、マズいじゃないか。してその提督は何処に?!」
「…。」
天龍さんが提督を睨み付けます。
「黙ってちゃ分からないだろうが! 一体どこに行ったんだって聞いてるんだよ!」
カルチェラ提督が手にした鞭が空気を切り裂くと同時に天龍さんの服が大きく裂けました。
「天龍さん?!」
駆け寄ると肩口から腕にかけて血が滲んでいます。
「そんなの…、俺に聞かれても知らねえよ! 今までの監査官と同じで入渠施設か食堂かじゃねえのか?」
「ああもう面倒くさいったらありゃしないね、可愛そうだが最悪消えてもらうとしようじゃないか(笑)。」
カルチェラ提督はそう言いながら小走りで執務室を出て行きます。
できれば先の理由でその提督さんの前で全員に補給が行き渡れば良かったのですが…。
私と天龍さんはその後ろ姿を見ながら、どうかその提督さんが既にこのタウイタウイ第二泊地を離れているように祈るしかありませんでした。
※ようやく登場したカルチェラ提督ですが、まだそれほど外道ぶりを発揮しておりません(笑)。
次辺りから徐々に期待にお答え出来るようになってくると思います。