アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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第74話 タウイタウイ5(艦娘側:北大路花火2)

 私は…、私は一体何を?

 つい先ほどまで見ていた景色と内容は一瞬にして消え去り、タウイタウイ第二泊地の食堂で下着姿になっている自分がいました。

 何も理解できない、いえ理解したくない、そんな中でカルチェラ提督の北大路家の子爵令嬢もこんなものかという言葉だけが頭の中を回っています。

 

 「ううっ、お父様、お母様、ごめんなさい…。私…。」

 私…、北大路家にとんでもない傷を…。

 台羽さんのいう事を聞いていればこんな事にはならなかったでしょう。

 調子に乗ったばかりにとんでもない事態に。

 

 私の一番の願い。

 それはアルカディア号さんに女として求められること。

 あまりの浅ましさに心の最奥に隠していた願いですが、それがいとも簡単に取り出されてしまいました。

 いえ自分で取り出したというべきですね。

 今になってマゾーンは巧妙に人の心に入り込むという意味が分かりましたがもう手遅れです。

 

 「加賀、花火を頼む。落ち着かせてやってくれ。」

 泣きじゃくる私にそっと何かが羽織らされました。

 どうして神様はこうも残酷なのでしょうか。

 今一番、顔を合わせたくないのに…。

 

 「あら、あらあら。アナタ達、ひょっとしてデキてるの(笑)?」

 

 「ああ、花火は俺の…、これ以上ない大切な存在さ。」

 

 「?!」

 ひぐっ…、アルカディア号さん。こんな私にまだそう言って下さるのですか。

 

 「そう、ウチの提督ったら事もあろうに海賊の正室に手を掛けたのね?」

 聞いた事も無い陸奥さんの低い声。

 

 「ヒッ! し、知らなかったんだよ、許し…、ウエェェェ…。」

 カルチェラ提督、まさか本当に燃料を飲んだのですか?!

 

 「俺の船長であるキャプテンハーロックにとって許せないものがいくつかある。」

 

 「だ、だから悪か…、ウゲェーッ。」

 

 「一つ目は自分の仲間を傷付けたり裏切ったりする奴だ。貴様はここの指揮官でありながら配下の艦娘達を日常的に虐待していたな。」

 

 「虐待?! とんでもないさね、あたしゃ、効率のいい艦隊運営をしていたに過ぎないんだよ!」

 

 「二つ目は俺の仲間を傷付ける奴だ。貴様は俺の(泊地の)加賀と長門に傷を付けた。」

 

 (俺の加賀、俺の加賀俺の加賀…。さすがに気分が高揚します!)

 (俺の長門だと?! 胸が熱いな!!)

 同じ女だからでしょうか、私にも加賀と長門の声が。

 

 「そっちの提督の教育不足じゃないか。余所の提督に掴み掛るなんて、あたしが替わりに教育してやったんだよ、感謝しな!」

 教育?!

 何の教育だというのですか!

 ウチの艦娘達にそんな必要なんてありません!

 

 「三つめは人の心を弄ぶ奴だ。貴様は俺の大切な女(人)の心を弄んだ上に辱めを与えようとした。トリプル役満達成だ。」

 俺の大切な女(ひと)…。

 ぐすっ、私に幻滅したのではないのですか?

 

 「や、やめとくれ! 何がトリプル役満だよ、お前のやっている事はただの弱い者虐めじゃないか!」

 

 「弱い者虐め? その弱い者苛めを散々やって来たのは何処の誰なのよ?! よくそんな事が言えるわね!」

 武蔵を抱え起こしながら足柄が言い放ちます。

 いえ、もう叫びです。

 ここにいる艦娘全員の叫びと言って良いかもしれません。

 

 「足柄、遠慮はいらん。たった今も感謝しろと言われたんだ。花火の分も含めてし切れない位の感謝をしようじゃないか。長門も加賀もそう思うだろう(笑)。」

 

 「心得た、任せておけ。」

 

 「ええ、じっくりと時間をかけて…、それこそ炭火の遠赤外線で焼き鳥を焼くようにね。」

 

 (瑞鶴:wwwww)

 何故でしょうか、瑞鶴のニヤニヤする顔が。

 

 「お前達、何を見てるんだい! さっさとそいつらを排除しな!」

 カルチェラ提督が命じますが、タウイタウイ第二泊地の艦娘達は全員が死んだ目で彼女の命令が聞こえているのか聞こえていないのかも分からない状態です。

 

 「聞こえないのかい! アタシを助けるかそいつらを排除するんだよ!」

 再度カルチェラ提督が命じますがタウイタウイ第二泊地の艦娘は濁った眼を一瞬向けるだけでした。

 

 「青葉、撮影を止めて今すぐデータを流しな!」

 

 「ひっ! 止めてっ、止めてぇ!」

 恐怖のあまり真っ白になった頭でそれだけを叫んでいました。

 今の私にはどうする事も出来ないのです。

 

 「出来ません…。青葉にはできません。」

 青葉さん!

 彼女のお陰で少しだけ体温が戻って来た気がします。

 

 「衣笠がどうなってしまってもいいのかい?!」

 

 「カルチェラ少佐、アナタという人は!」

 卑劣な脅しに足柄が詰め寄りますが…。

 

 「さあ、選ぶんだよ! データを『つべ』か『ニコ動』に流すか、それとも衣笠の解体かをね!」

 

 「い、嫌あっ!」

 自分の下着姿が不特定多数にバラ撒かれるなんて考えただけでも気が狂いそうです。

 恐怖からくる強烈な〇意、ここへ来る前にお手洗いに行ってなかったら間違いなく細川大将の二の舞になっていたに違いありません。

 

 「カルチェラ指令、アナタは…。」

 皆、固唾を飲んで青葉さんを見つめます。

 

 「例え私が命令に従ったとしても、いずれ衣笠共々解体されるのは目に見えています。それならば青葉は人の道を踏み外したくはありませんっ!」




※カルチェラ提督、『つべ』とか『ニコ動』なんて良く知ってますね?

※〇意って何でしょうね? そういえば人は恐怖を感じた時にオシッコをしたくなる気が…。

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