アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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※配られたスイッチは一体、何のスイッチなんでしょうか?


第79話 タウイタウイ10(艦娘側:長門1)

 「カルチェラ少佐よ、もう一度聞くが配下の艦娘達との関係は良好だったのだな?」

 これが最後とばかりにアルカディア号がカルチェラ少佐に確認をする。

 

 「当り前じゃないか! ここは笑顔の絶えないアットホームな職場なんだよ!」

 馬鹿な奴だ。

 アルカディア号が何故、今一度真実を語る機会を与えてくれたか全く分かっていないとは…。

 

 「…。」

 テーブルを見つめたまま無言のタウイタウイ第二泊地艦娘達。

 

 「二の句が継げないわ…。」

 加賀と足柄に至ってはもう言葉もないといった感じになっている。

 

 「ではそんな理想的な職場を運営してきた貴様にプレゼントだ。もちろん花火を泣かせた分も加賀や長門に傷を付けれくれた礼も込みでな。」

 アルカディア号はそう言うとカルチェラ少佐の首元にマッチ箱サイズの何かを取り付け窓から中庭へ放り出した。

 ドサッという音と共にカルチェラ少佐が窓下に倒れ込む。

 

 「な、何するんだね! 痛いじゃないか! ヒッ、ななな、何だいこりゃあ?!」

 喚くカルチェラ少佐だが、首元に取り付けられた装置が時を刻んているのを見てギョッとした。

 

 「960年後の未来技術で作られた高性能対人爆薬だ。小型だが貴様を跡形無く吹き飛ばすぐらいは十分できる。」

 

 「悪い冗談はやめておくれ! あたしゃアンタのお陰で両手が使えないんだよ!」

 右手首を砕かれ左腕が肘から先が無い状態では確かにそうだろうな。

 だが、その状態を招いたのは己である事を分かっているのか?

 

 「冗談? 冗談なものか。貴様は俺が最も大切にしている花火を泣かせ加賀や長門に怪我をさせた、それだけで万死に値する。いずれにしろ残り時間は5分だ。」

 

 「いいから止めろ、外せぇっ! こんな事が許されると思っているのかい?!」

 

 「カルチェラ少佐、さっき10名の艦娘達に配ったのはその解除スイッチだ。お前が真に艦娘達と良好な関係であったのならすぐに誰かが押してくれる。もっとも5分以内に押さないと手遅れだがな。」

 

 「ヒッ! お、お前達、早く押すんだ!」

 フッ、そういう事か。

 アルカディア殿も人が悪い。

 誰も押す者がいないと分かっていながらこのような茶番を行うとは(笑)。

 

 「大丈夫だ、カルチェラ少佐。10人もいるのだ、焦る事はない。」

 

 「武蔵、お前は戦艦組のリーダーじゃないか! こんな事が間違っているのは分かるだろう、早くそのスイッチを押しな!」

 

 「…。」

 腕組みしたまま微動だにしない武蔵。

 食堂の方が建物の中にある分、少し高くなっているので自然に艦娘達の方がカルチェラ少佐を見おろすようになっているのが笑える。

 

 「陸奥、そのボタンを押すんだよ! 押してくれたなら長門を地下懲罰房から出してやろうじゃないか、え?」

 武蔵にスイッチを押す意思が無いと踏んだか、カルチェラ少佐が陸奥に向き直った。

 

 「長門はさっき救出されたじゃない。だから要らないわ、こんなの(メリッ)。」

 ビッグ7パワーでスイッチを破壊し、窓の外へと放り投げる陸奥。

 奇しくもそれは先にカルチェラ少佐自身が武蔵の燃料を放り投げたすぐ傍に転がった。

 

 「な、何て事をするんだい!」

 

 「赤城、加賀! 一航戦のお前達なら押してくれるんだろう? 何ていったって艦隊の模範、一航戦だからね!」

 今度は一航戦の二人に縋るカルチェラ少佐だが…。

 

 「…。」

 赤城も加賀も光の無い目をチラリと向けただけ。

 それからはいくら喚かれようが騒がれようが無反応。

 

 「朝潮、不知火! あんた達はこの私を見捨てるなんて事はしないだろう?! さ、早くそのボタンを押しておくれ!」

 カルチェラ少佐に憎しみの籠った眼を向ける朝潮。

 

 「指令…。」

 窓際のテーブル席に座っていた不知火が立ち上がった。

 

 「ああ、不知火! アンタは私を助けてくれると思ってたよ。これからは陽炎型を優遇してやろうじゃないか。」

 

 「こんな時だけ不知火の名前を呼ばないで下さい、不愉快です!」

 そう叫ぶとそのまま不知火と朝潮は食堂を出て行った。

 彼女達の目には憎しみと悲しみが浮かんでいた。

 数えきれない程の姉妹が顕現・建造され、そして消えて行ったのだろう。

 

 「お待ち、一体どこ行くんだい?! この私を見捨てるっていうのかい?! 戻れ、戻るんだよ!」

 

 「妙高、那智! お前達は助けてくれるんだろう?! そうだ、助けてくれたなら足柄を再建造してやろうじゃないか、いい考えだろう?」

 つくづくこの女の馬鹿さ加減には溜息しか…、いやため息も出ないな。

 

 「…っ、いい加減になさって下さい! アレしてやるからコレしてやるからばかり…。どうして今までの御自身の艦隊運営を顧みようとなさらないのですか! どうしてこれからは私達を人として見てくれると言えないのですか! 不知火さん達がどうして食堂を出て行ったのか分からないのですか!」

 

 「もう行こう、妙高姉さん。羽黒によるとデスシャドウ島とやらでは入渠や補給はおろか旨い食事まで提供されるらしい。」

 そう言うと那智は妙高の肩にそっと手を置いた。

 

 「愚か者の末路に相応しいな。本来であれば那智も貴様の最後を目に焼き付けて酒の肴としたいところだったであろうが、もはやその価値すらないという事だ。」

 振り返る事はなかったが、アルカディア殿の言葉に那智が右手を上げて答えた。

 だが、この時私は本当に愚か者の末路といえる最後をこのカルチェラ少佐が辿るとは思いもしなかったのだ。

 それも直ぐに…。

 

 「お、お待ち! か、金だ、助けてくれたなら支払えるだけ金もやろう! こう見えてもうまくやりくりしてこの泊地にはかなりの金があるんだ、だから…、ヒッ?!」

 

 「その金はどうやって作ったのだ? 我らの犠牲の上にため込まれたものなど、あの二人が受け取るとでも思うか?」

 武蔵に副砲を向けられカルチェラ少佐がすくみ上った。

 

 「お黙り! アタシは(資源を売って)もっと素敵な石を手に入れるんだ! もっと…、ああああああああ!」

 誰も助けてくれないと分かり恐怖に耐えきれなくなったのか、錯乱し闇雲に中庭を走り回り始めるカルチェラ少佐。

 

 「ぐはっ!」

 突然カルチェラ少佐が悲鳴を上げたかと思うとそのまま地面に倒れて動かなくなった。

 同時に小型飛行艇の風防が開き見た事も無い妖精が!

 

 「お前は?!」

 台羽の顔色が変わった。

 

 「久しぶりね、台羽さん。」

 

 「ローラ!」

 

 「これで貸し一つね。このままだと、ここの艦娘さんとアルカディア号、ひいては北大路提督さんに責任が掛かってくるでしょう?」

 

 「嘘だ、口封じのために決まってる!」

 台羽が歯噛みする。

 

 「ふふ、賢い人は嫌いじゃないわ。またね。」

 

 「待て、ローラ!」

 そう言うとローラとやらは飛び去った。

 

 「キャプテン、レーダーが敵影を捉えました。至急デスシャドウ島にお戻りください!」

 台羽が追いかけようとしたのと、デスシャドウ島にいる有紀殿から敵影発見の知らせが入ったのはほぼ同時だった。

 




※カルチェラ少佐を誰に始末させようかと迷ったのですが、マゾーンに白羽の矢を立てました。
 不要と判断され切り捨てられる。
 それが一番、この人の最後に相応しい気がしたので…。
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