アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた   作:Archangel

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第81話 タウイタウイ12(艦娘側:北大路花火3)

 赤く染まった足柄の白いストッキングと手袋。

 どういう事か理解した途端、私は悲鳴を上げていました。

 アルカディア号さんは黒服のため、出血が目立たなかっただけなのです。

 

 「アルカディア号さんっ!」

 掛けて頂いたマントがはだけ落ちるのも構わずに私は彼に駆け寄っていました。

 

 「どうした…、うおっ?!」

 足柄を見た武蔵さんの顔色が変わりました。

 

 「さっきの対艦娘専用銃ね?! ドクター、早く、早くして頂戴!」

 あの冷静沈着な加賀さんもかなり取り乱しています。

 

 「こりゃ酷い! どうして黙っていたんだね、キャプテン。」

 ドクターさんがアルカディア号さんを咎めますが、そんなのは後です。

 今は一刻も早い手当てを!

 

 「手当は帰投後でいい。台羽、螢、出るぞ。総員戦闘出撃準備に掛かれ!」

 は?

 アルカディア号さん、今何て言ったの?

 返答次第では女の怖さを教えて差し上げる事になりますが?

 

 「あなた馬鹿じゃないの?! よくこんなので出撃できると思うわね!」

 足柄が血の付いた手と足を彼に見せつけます。

 

 「心配は要らん、アルカディア号の装甲は伊達ではない。それに花火を想う気持ちに変わりはないと証明するためにもな。」

 自分の血を見せられたにもかかわらずアルカディア号さんに一切の怯みや迷いは見られません。

 それに私のせいだと仰るのですか?!

 いえ…、その通りですね。

 彼は私を信じてくれているのに私が彼を信じなかった…。

 

 「もう分かりましたから! 私を好きでいてくれてると分かって安心しましたから! ですからこんな状態で出撃なんて止して下さい!」

 そう懇願する私に彼は優しく微笑むと再びマントを掛けてくれました。

 

 「そうはいかん。あれだけの編成だ、恐らくタウイタウイ第二泊地ごとマゾーンは消し去るつもりだろう。」

 

 「絶対にダメです! あなたに万一の事があったら私…。」

 私はもう一人では生きていけないんです!

 

 「心配するな。ベッドの上で待っているがいい。なに、こういうのが掛かれば男は強い(笑)。」

 

 「だとしたら尚更です! それにこれは指揮官としてではありません。貴方を…、貴方を愛する一人の女として絶対に行かせる訳にはいきませんっ!」

 

 「その通りよ! 私だって重巡の正室として行かせるもんですか!」

 

 「加賀、空母の側室筆頭艦として何とかできないか?」

 私と足柄さんに詰め寄られたアルカディア号さんは困り顔になって加賀さんに助けを求めました。

 

 「そう…、では私は側室筆頭艦としての役目を果たせばいいのね。」

 そう言うと加賀さんはアルカディア号さんにデコピンをかましました。

 

 「これが答えよ。私も貴方をこのまま戦場へ送り出すなんて絶対反対だわ。空母の側室筆頭艦としての役目というなら尚更ね。これは柱島第七泊地艦娘達の総意でもあると思って頂戴。」

 

 「アッ、ハイ。」

 ふーん、そうなんですか。

 私や足柄さんといった正室ではなく側室筆頭艦の加賀さんの言う事なら素直に聞くんですね…。

 いよぉーっく覚えておきます。

 

 「アルカディア号よ。貴様がここに来てから演習申込が殺到しているのは知っているだろう。おかけで私達の全員が練度上限に達している。」

 

 「そりゃあ貴方から見れば頼りないでしょうけど、普通の深海棲艦なら戦えるわ。指輪艦はそれこそ練度バグ状態だしね。」

 長門さんや足柄さんの言う通り、アルカディア号さん目当ての演習に随伴艦として出していたら柱島第七泊地の全員があっという間にLv99になってしまいました。

 

 「ここは私達を信じて欲しい。どうしてもというならキチンと入渠してからにしてくれないか?」

 

 「分かった。それまでは必ず持ちこたえてくれ。」

 長門さんに言われてようやくアルカディア号さんが諦めてくれました。

 

 「鬼姫級がいないからって気を抜かないで下さい。少しでも無理を感じたらその時点で必ず撤退する事、イイですね?」

 横須賀第一鎮守府と第二鎮守府の事が頭をよぎります。

 

 「勿論だ、ビッグセブンに二言は無い。」

 長門さんが手を前に出すとその上に足柄さんと加賀さんの手が重ねられます。

 長門さんが号令を掛けようとした時、もう一本の手が重ねられました。

 驚く三人ですが、さらに二本三本とその上に別の手が重ねられていきます。

 

 「ビッグセブンはここにもいるわ。」

 「枯れ木も山の賑わいだ。この武蔵も出よう。」

 「助けて頂いたご恩は忘れません。五航戦旗艦翔鶴、出撃します!」

 「わ、私も!」

 「信頼の名前は伊達じゃない、出るよ。」

 「なのです!」

 「潮、入ります!」

 「貴女達の背中は私が守ります! 足柄姉さん、一緒に戦って下さい!」

 何とタウイタウイ第二泊地の陸奥・武蔵・翔鶴・名取・響・電・羽黒までもが手を重ねてきたのです!

 

 「勿論よ! よーし、漲って来たわ!」

 足柄さんが俄然、やる気になってますが…。

 

 「ま、待ちなさい貴女達。私は余所の艦娘達の指揮まで執れません。もし、取り返しのつかない事が起こってしまったら私は責任が取れないのですよ?!」




※北大路提督さん、仰ることは分かりますが…。
 次回、北大路提督にカツを入れるのは誰なんでしょうか?!

※貴方を愛する一人の女として絶対に行かせる訳にはいきません→これはまた大胆な発言ですね、北大路提督さん(笑)。
 柱島第七泊地の艦娘達のワーキャーいう声が聞こえてきそうですが?
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