アルカディア号になって艦これの世界にお邪魔してみた 作:Archangel
※2021年01月23日 一部修正
※2021年01月25日 一部修正
※2021年02月06日 一部修正
「私達のタウイタウイ第二泊地が跡形もなく…。」
一瞬にして瓦礫と化してしまったタウイタウイ第二泊地。
昼過ぎまでは汚いながらも存在していた建物、それがこうも簡単に無くなってしまうなんて。
まるで私達を見ているようです。
「これでいいんですよ。私達にとってはこれ以上無い忌まわしい場所なのですから。」
「不知火さん…。」
駆逐艦は特に建造、あるいは顕現(ドロップ)しては沈むを繰り返してきました。
その最たるのが朝潮型と陽炎型だった事を思うと彼女の気持ちは察するに余りあります。
「私達これからどうなるのでしょうか…。」
私達全員の心中を代表する赤城さんの呟き。
新たに着任する提督がまた同じような人なら…。
あるいは提督を見殺しにした艦娘達だと判断されたら…。
「連合艦隊司令長官である真宮寺大将がこちらへ向かっています。指示を仰ぎましょう。」
北大路提督によると遠征艦隊の『陸奥』さん・『翔鶴』さん・『羽黒』さん・『名取』さん・『潮』さん・『電』さんを保護した時点で連絡を入れたところ、その日に二式大艇で横須賀を立ったらしく、あと一時間もしない内に到着するとの事です。
「解体かもしれないわね、私達。」
「解体? どういう事なのかしら?」
ここ(タウイタウイ第二泊地)の加賀さんに柱島第七泊地の加賀(改二)さんが理由を尋ねます。
「経緯はどうあれ解除スイッチを渡された私達10名はカルチェラ提督を見殺しにしたという事です。」
「ええ、海軍軍令部にとっては艦娘の反乱とも取れますからね。そんな危険分子を野放しにしておくとは思えません。」
加賀さんに代わって私と不知火さんが理由を説明しますが、柱島第七泊地の長門(改二)さんが真っ向から反対意見を唱えます。
「それは考え過ぎだろう。そもそもこの酷過ぎる艦隊運営を見過ごしてきたのは軍令部だ。責任はむしろ向こうにあると考えるのが普通ではないのか?」
「長門、少し口が過ぎますよ。真宮寺大将がどのようなお方か貴女も知らない訳では無いでしょう?」
「皆さんも安心して下さい。真宮寺大将に限ってそんな事はありません。万一の場合だってアルカディア号さんが守ってくれます。」
アルカディア号さんが守ってくれます、の部分を強調される北大路提督。
「私とてそれは分かっている。私が不安なのは大神元帥や真宮寺大将の意思がそのまま通るほど軍令部は一枚岩では無いという事だ。」
「心配は要らん。花火の言う通りあの二人がそのような決定を下す事はない。それに大神殿からはブラック鎮守府の撲滅依頼を受けている以上、ここの艦娘達を守りきるのも俺の仕事だ。」
「そうか。そうだったな。」
長門さんは最後に不安を煽ってすまなかったと私達に頭を下げられました。
「ええ、その通りです。ところでアルカディア号さん、あの小型対人爆弾とやらは本物だったのですか?」
「ふっ、バレていたか(笑)。」
ニヤリとするアルカディア号さんですが、それこそ一体どういうことなのでしょうか?
「カップ焼きそばにお湯を入れた後、フタの上に同じものを置いて時間を計っていらしたのを見たものですから(笑)。」
な、何ですって?!
じゃあ、あれは只の計測時計(ストップウォッチ)?
北大路提督からの驚くべき種明かしが!
「だそうですよ、皆さん。それからアルカディア号さん? 健康上、夜中にあのようなモノを口にするのは控えるのが良いかと。」
「む、善処はするが難しいな。深夜、小腹が減った時に食べると何ともいえない背徳感と満足感があってそれがまたイイのだが。」
そう言うとアルカディア号さんは北大路提督の可愛らしい頬をチョンと突っつきました(笑)。
「それに『初雪』・『望月』・『秋雲』達もよく食べにくる。『川内』なんかは常連だし、この間は晩飯を食い損ねた『赤城(改二)』と『摩耶(改二)』がやって来たぞ。何でも筆頭事務官の大淀に晩飯抜きの厳罰を言い渡されたらしい。何をしでかしたかまでは聞かなかったが(笑)。」
「そ、そんな…。」
「だが花火の頼みだ。出来るだけ控えよう、その代わり以降は花火を食べるとするか(笑)。」
それを聞いた北大路提督は両手で顔を覆って真っ赤になってしまいました。
アルカディア号さんたら何て大胆なんでしょうか。
不意に袖がくいくいと引っ張られました。
見ると雷さんが真っ青になっています。
「アルカディア号さんたら、カニバリズムなの?! 北大路提督さん、食べられちゃうの?!」
目を潤ませて声を震わせる雷さんですが、一体何と答えればいいのでしょうか?
「いえ、そういう意味ではないと思いますよ。ですから安心して下さい。」
今度は私が震え声になってしまいました。
カニバリズムを知っていて、この食べるの意味が分からないなんて雷さんワザとなのではないでしょうね…。
「え、じゃあどういう意味なの? ね、ね? パーフェクトレディの妙高さんなら知ってるわよね!」
もう止めて下さい、これ以上私にどうしろというのですか!
周りに助けを求めますが、誰も目を合わせてくれません。
「雷。意味が分からないなら後で秋雲に聞くといい。」
思わぬところ(響さん)から助け船が!
「う、うえぇっ! あ、あたし?!」
秋雲さん、ごめんなさい、後はお任せします!
「ああ、お手製の教科書やら参考書が沢山あるだろう? 先に言っておくけど君のペンネームを知らないとでも思ったら大間違いだ。」
手製の教科書やら参考書?
ペンネーム?
響さんが何を言っているのか分かりませんが、私の手を離れたならそれでいいです。
「では秋雲さん、後はお願いしますね。」
項垂れる彼女の肩にそっと手乗せて雷さんを押付けお願いしました。
※あらあら…。これは本当に北大路提督さん、食べられちゃいそうですね…。
しかし雷さんの無垢な瞳でこんな事を尋ねられたら妙高さんでなくても言葉に詰まるのは間違いないでしょう。
艦隊の頭脳さんや飢えた狼さんなら何と答えたのでしょうか?(笑)
※秋雲先生のお手製の教科書やら参考書? はて一体何なのでしょうね?
ドギツイ内容でなければいいのですが…。