しらせ(小淵沢報瀬 高2)「あーそうそう、ちょっと聞いてほしいねん」
キマリ(玉木マリ 高2)「ん?どしたん」
しらせ「実はな、おかん行方不明やねん」
キマリ「そんな重大な話をさも今思い出したかのように!」
しらせ「もう助からん気がするねん」
キマリ「あきらめるの早いな娘!」
キマリ「せや、どこで行方不明なったん?」
しらせ「それが思い出されへんねん」
キマリ「なんや思い出せんのかいな。思い出すの手伝うたるわ。なんかヒントないんか」
しらせ「おかんが言うにはな、府中より遠い場所らしいねん」
キマリ「なんやえらい遠いな」
しらせ「あとめちゃ広くて人が住んどらん大陸らしいねん」
キマリ「そら南極や。南極条約っつーのがあってな、どこの国にも属さへんから定住者はおらんのや」
しらせ「他に聞いた話やと見渡す限り雪と氷の世界らしいねん」
キマリ「じゃあ南極ちゃうな。この世界は北に行くほど暑くなって南に行くほど寒くなるんや。南極いうたら南のはしっこや、氷なんぞ一瞬で蒸発する灼熱地獄やで」
しらせ「なるほどなあ」
キマリ「うーん、一体どこなんやろ」
しらせ「あ、せやった!おかんが言うにはペンギンがめっちゃおるらしいねん」
キマリ「そりゃもう南極やわ。南極しかあらへん」
しらせ「じゃちょっと南極行ってくる」
キマリ「そんな簡単に行けるんや」
しらせ「バイトして貯めた100万円使うで」
キマリ「うわ金持ちや」
しらせ「ほらここに……あれ?」
キマリ「なくしたん?」
しらせ「なくしたんちゃう、行方不明や」
キマリ「それをなくしたって言うんや」
しらせ「はぁー困ったなあ」
キマリ「もしかしてさっき拾った封筒……」
しらせ「えっ」
キマリ「あ、百万円はいっとる!」
しらせ「マジかよキマリ神!」
キマリ「いやー見つかってよかったな」
しらせ「キマリ、プリン好きやったよな」
キマリ「くれるん?ええの?」
しらせ「封筒拾ってくれたんやもん、せめてこのぐらいさせてや」
キマリ「それじゃ遠慮なく……うめえ!しらせの鞄の中から封筒拾ったかいがあったわー」
しらせ「何しとんじゃワレ」
キマリ「というわけでめっちゃ怒られたわ」
ひなた「そら怒るわ」
キマリ「あれ……?」
ひなた「どないしたんや」
キマリ「誰だっけこいつ」
ひなた「おいおいバイト仲間忘れんな」
キマリ「そうそう、コンビニバイトで知り合うたひなたちゃんや。思い出したで」
ひなた「ほんまこいつは……せやけどええなあ。私も南極行ってみたいわー」
しらせ「ほないこか」
ひなた「ええんか」
キマリ「しらせ百万持っとるからな。3人ぐらい楽勝やろ」
ひなた「よっしゃいこー」
しらせ「却下」
キマリ「なんでや」
しらせ「人の金で旅行しようとすな。付き合うてくれるんは嬉しいけど旅費は自分で稼げ。」
キマリ「旅費かぁ……五千円ぐらいあれば足りる?」
しらせ「ケタが一つちゃうわ……いや、五千円でできることもあるわなあ」
キマリ「しらせちゃん悪い顔してんで」
ひなた「で、なんで新宿?」
しらせ「今日ここで南極観測隊が集まるんや」
キマリ「うんうん、それで?」
しらせ「隊員に色仕掛けで篭絡してこっそり観測船に乗せてもらうっちゅー作戦やあああ!!!」
ひなた「かえろかー」
キマリ「せやなー」
しらせ「なんでや作戦完璧やろ」
キマリ「じゃあしらせ行ってきて」
しらせ「あ、私顔バレしてるから無理」
ひなた「しゃーない、ここまで来て手ぶらで帰れんからなー。キマリGO!」
キマリ「私こういうの苦手やねんなー……しゃーないから行くわ」
ひなた「ふー、どさくさに紛れてキマリに丸投げできてよかったわ」
しらせ「鬼畜や。ここに鬼畜がおる」
ひなた「お前が言うな」
しらせ「で、キマリの様子は……おお、ヘソチラええやんハァハァ……って、ええええ!」
ひなた「何やっとんやあいつー!」
しらせ「まさかいきなり脱ぎだすとは」
ギン「ちょっと何やこの子」
かなえ「警察呼ぼか?それとも救急車?911?」
ギン「落ち着けここは日本やでー」
しらせ「外国かぶれか!」
ギン「ちゃうわ!って今の誰や」
しらせ「しもた、つい口走ってもうた」
かなえ「あっこにおるん、しらせちゃんやないか」
ギン「ほんまや」
しらせ「見つかった!みんな逃げてー」
ギン「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァッ!」
しらせ「あっさり捕まったし」
かなえ「っていうか、別に逃げんでええやん。取って食うわけでなし。いや吟なら食うかもしらん。性的に」
ギン「せーへんわ!」
かなえ「とりあえず自己紹介しとこか。こっちは観測隊隊長の藤堂吟。私は副隊長の前川かなえや。」
ギン「でなんや、南極行きたいから観測船乗せろって?」
しらせ「思い出してん。志半ばで散ったおかんの夢のこと」
キマリ「南極ちゅうことすら忘れとったのにか」
かなえ「そりゃな、しらせちゃんやったら叶えられるかもしらん」
ギン「せやけど危ないねん」
しらせ「危険は承知です。それでも、命かけて付き合うてくれる仲間もおるし」
キマリ「え、命がけって?聞いてないんですけど?」
ひなた「キマリ、大丈夫や」
キマリ「ひなた……」
ひなた「南極観測隊の生還率は10%以上。行ったが最後帰れんてことはないで」
キマリ「ひええ……」
ギン「もっと多いわ!」
キマリ「じゃあ行く」
かなえ「ちょっと吟さーん?」
ギン「あ、しもた」
しらせ「ここに百万円があります。どうか資金の足しにしてください」
ギン「マジ?くれんの?よっしゃみんなフリーマントル集合やで!」
しらせ「ほんまですか!」
ギン「なわけあるかい」
かなえ「南極観測事業ってのはな、一回でン十億と動くプロジェクトなんや」
ギン「百万ぽっち持ってこられてもねえ」
キマリ「見ろ、しらせの札束がゴミのようだ」
しらせ「ゴミ……」
ひなた「かえろかー」
キマリ「せやな。コーヒーごちそうさまでした」
かなえ「……ん?おーい誰がおごる言うた!コーヒー代はらえー」
ギン「やめんか!」
しらせ「あーあ、もうちょいやったんやけどなあ」
キマリ「どこがやねん」
ひなた「でもなんかすっげーやる気でたわ。全面協力や。絶対南極行くで」
しらせ「ほんま?」
ひなた「ただし、お前はリーダー解任な」
キマリ「賛成や」
しらせ「なんでや……なんでや……」