神聖ミリシアル帝国海軍物語   作:凡人作者

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原作よりもエルペシオ3が活躍してるかも知れないので、違和感だらけかも知れないと言う不安がある。
初印象って中々払拭されないんやなって……………。





第八話 ファイターズ

神聖ミリシアル帝国

対空監視レーダー

 

「敵航空機接近を確認、数200!!」

 

「200機だと?!た、確かなのか?!」

 

魔力探知レーダーのスクリーンを監視していたレーダー員のウリル・クラーク中尉は、大声で上官へ現状を報告した。彼の報告に上官は驚いてスクリーンを覗く、確かにそこには200機の光点が浮き出ていた。

 

「急いで連合艦隊に報告しろ、距離は!!」

 

「ハッ!!距離70NM(130km)です!!」

 

「空襲警報も発令させろ!!」

 

対空監視レーダー基地の報告が、海軍基地や各対空砲、そして海峡に展開する艦隊へ通報され。空襲サイレンがカルトアルパスに響き渡った、兵士達が持ち場へと駆け込み魔光砲の砲口を上空へ向ける。

 

 

 

 

 

 

 

神聖ミリシアル帝国

第7制空戦闘団

 

『第7制空戦闘団緊急発進!!繰り返す、第7制空戦闘団緊急発進!!』

 

「聞いたな貴様ら!!カルトアルパスの制空権を奴等に渡してやるなよ!!」

 

「おう!!」

 

第7制空戦闘団の各パイロットは、意気揚々と『エルペシオ3』へ乗り込んだ。コックピットの中で彼等は魔信を弄り、管制塔と各中隊へと繋ぐ。すると管制塔から早速通信が入ってきた。

 

『第7制空戦闘団、聞こえているか?』

 

「こちら戦闘団長シルベスタ中佐、何かあったか?」

 

シルベスタは何か異常事態が起こったのかと思い、管制塔へ聞き返したが、帰ってきたのは彼等へのエールであった。

 

『敵は200機だ、恐らく今までの空戦とは違い過激な物になるだろうな。君達が頼りだ、200機なんてさっさと叩き落として帰ってきてくれよ!!全員分の酒代を持つ!!』

 

「ハハッ、こりゃあいい!!息子と遊ぶ前に一杯やって帰ろうか!!」

 

酒代を持つと言う管制官の発言を聞いて、第7制空戦闘団の各パイロットから歓声が上がる。管制官は彼等が休日を返上してカルトアルパスを守る為にやって来たと聞き、慰労を込めて酒を振る舞おうとしたのだ。

出撃前に隊の士気を上げた管制官はただ者ではないなとシルベスタは思い、そして彼の好意に応じるべく戦おうと思うのだった。

 

「聞いたな野郎共、宴会を開きたきゃちゃっちゃと終わらせるぞ!!」

 

シルベスタは各員へ激励を送り、機体を滑走路へと向かわせる。彼の機体が付くと共に、滑走路の両側に設置してある魔石が光出した。ジェット機である『エルペシオ3』は滑走距離が長いので、竜母のワイバーンの様に魔石で補助してやるのである。

 

『滑走路の魔石の出力上昇、発進準備用意!!』

 

シルベスタはエンジンのスロットルを少しずつ開き、それと同時に細身の機体が前進し始めた。彼がスロットルを押し込んで行くと、機体のスピードがますます上がり、やがて機体は最高速度にまで達した。

 

「シルベスタ機、発進する!!」

 

そして彼は操縦桿を手前に引いた。すると『エルペシオ3』のフラップが下を向き、翼に揚力が発生した。

ギューンと高い音を立てて、42機の空の戦士達は敵を求めて飛んだのだった。

 

「こうして見ると、普段と代わりねぇ様に感じるんだがなぁ……………。」

 

エイブラハムがキャノピーからカルトアルパスの街並みを見下ろし、感慨深く呟くのがイヤホン越しから聞こえてきた。

シルベスタも下方へ注目する。家や店では明かりが点っており、人々が道路を渡っているのが見える。ここから数十キロの海峡では戦闘が始まろうとしているのに、何とも気ままな感じである。危機感と言うものがこの街には無いのかと、嘆かわしくもあった。

 

『管制より第7制空戦闘団へ、まもなく敵編隊と開敵。』

 

管制から報告が入り、シルベスタは指揮下の航空機に魔信で指示を飛ばした。彼は初の制空機同士の戦いを前にして緊張していた、操縦桿を握る手に自然と力が入る。

 

「全機高度18000ft(5500m)まで上昇せよ、下方の警戒を厳となせ。」

 

『ウィルコ』

 

42機の編隊は一糸乱れず上昇し、急な角度で上昇を始めた。制空戦闘団は選りすぐりのパイロットが集められる部隊であり、彼等の練度の高さが見て取れた。

 

「どうなるか?この戦い………………。」

 

神聖ミリシアル帝国が誇る『エルペシオ3』は、時速537kmの最高速度を誇る航空機である。マリン(350km)は勿論風竜ですらも追い付けない程の速度を持ち、ジェット機特有の高度性能が高い戦闘機である。武装は機首に7.7mm機銃が2丁、主翼には20mm機銃を4丁備える攻撃力が高い航空機であり、マリンやワイバーンではひとたまりも無いだろう。

練度も質も何もかもこちらが上、数では劣るが全部が制空戦闘機ではない筈だ、戦闘は五分五分に終わるかどうか…………。

 

『こちらカルトアルパス司令。』

 

彼が考えに耽っていると、カルトアルパス基地総司令が魔信を使って訓示を送った。

 

『我らの誇りは諸君らにかかっていると言っても過言ではない。諸君らに、戦神の導きあらんことを!!』

 

『敵機発見、左方30下45!!』

 

総司令が言葉を終えた直後、シルベスタの部下が声を上げた。全員が左下方へと視線を向ける、報告にあった通り200機の編隊がカルトアルパスへ進軍していた。

その身に抱えた爆弾が、魚雷が数多の人間を奪う為、今か今かと出番を待っている。250kgの殺意が何人もの人間を殺め、800kgの槍が何百人の命を海中に引き込むだろう。

それを何としてでも止めさせなければならない、世界を守のは彼等第7制空戦闘団に託されたのである。

 

「先頭集団を叩くぞ!!前期突撃、敵編隊上空から攻撃を行った後、そのまま敵後方低空へすり抜ける!!」

 

『第2飛行隊了解』

 

『第3飛行隊了解』

 

各飛行隊の隊長が返答し、全機が速度を上げて行く。マジックジェットエンジンの出力が最大にまで上がり、高音が響いた。急降下も相まって、限界にまで加速する。

 

「……………ん?」

 

今まさに攻撃隊へ攻撃を掛けようとしたとき、後方から殺気の様な物を感じた。照準器から目をそらして、シルベスタは背後を見る。そこにはまだ落ちていない太陽が有るだけでだが、彼は目を細めてみる。光量を絞ってようやくわかった、太陽に隠れて黒い点が沢山こちらに向かってきていた。シルベスタは反射的に叫んだ。

 

「て…………敵襲!!後方上空、太陽から来るぞ!!」

 

『な、なに?!』

 

シルベスタの報告を受け、友軍機が攻撃を中止して散開し始める。しかし何機かが判断が遅れて、上空からの敵機『アンタレス』の20mm機銃と7.7mm機銃の餌食となった。

 

『こちらに第2飛行隊、2機やられた!!』

 

『クソッ!!小隊長機が撃墜されたぞ!!』

 

魔信からパイロット達の悲鳴が上がった。第7制空戦闘団は初撃で5機も落とされ、階級の区別なく無慈悲に海面へ叩き落とされたのである。

 

『クソッがぁ、変な見た目しやがってよこの風車野郎!!』

 

エイブラハムが悔しそうに唸る。エルペシオの様な細身の機体の先端には高速回転するプロペラ、マリンと同じ航空機だと言うのに単翼の機体が、彼等を追い抜いて下方へと離脱して行った。

 

「クッ…………!!嘗められてると言うのか?!」

 

我に追い付く敵機なしと言わんばかりに過ぎ去って行った『アンタレス』は、充分に距離を話した後降下スピードを活かして反転上昇してきた。

ヘッドオン、お互いが正面から接近しつつ攻撃を行い、相手を落とすかこちらが落とすか、はたまた共倒れになるかの相当リスキーな戦法である。

 

「そっちがその気なら…………、良いだろう受けて立つ!!」

 

シルベスタは腹立だしく感じたが、これはチャンスでもある。ここでヘッドオンを行って少しでも撃墜できれば、こちら側が有利になる事間違い無しである。

大体ミリシアル海軍航空隊の基本ドクトリンは一撃離脱、この機を逃して無理な旋回戦に入るメリットは無いのだ。

 

「全機、奴等は先程5機落として天狗になって居るらしい。我が帝国の『エルペシオ3』は世界最高の攻撃力を持つ戦闘機だ、今こそアイツらにお灸を据えてやろうぜ!!」

 

『ウィルコ!!』

 

第7制空戦闘団は崩れていた編隊を組み直した、それはまさに一瞬と言って良い速さである。相手側の『アンタレス』飛行隊のパイロット達は一瞬驚いたが、今更になって突撃を止めると言う選択肢は無い。双方一つの塊とにってぶつかろうとして行った。

 

「よーい…………、撃て!!」

 

両陣営がが射撃を開始したのはほぼ同時であった。多数の20mmの奔流が飛び交い、エンジンや主翼やコックピットの区別なく蜂の巣にして行く。

 

「こちら隊長機!!何機やられた!!」

 

すれ違うのは一瞬であった、その刹那の間に多数のパイロットが散る。主翼を砕かれた者、エンジンに被弾し緊急脱出した者。そしてこれは想像したくないが、20mm弾を諸に食らって原型を留めなくなった者と様々である。

 

『第2飛行隊、第2小隊が全滅!!』

 

『こちら第3飛行隊の6番機、自分以外で生き残っているのは7機です!!』

 

数にして4機が、空に命を散らした。しかし博打を打った成果はあった、敵の『アンタレス』も同じように4機撃ち落とされ、共に陣形が大きく乱れたのだ。ここから両軍が入り乱れての激戦となる。

 

「エイブラハム、俺についてこい。ロッテを組むぞ!!」

 

『ウィルコ!!』

 

僚機を失ったエイブラハム機は、シルベスタ機の左後方で展開し。ロッテと呼ばれる対戦闘機攻撃と対空警戒で有効な戦術を取る、これはミリシアルが長年研究して作られた技術の結晶たる戦法なのだ。

 

「まずは前方の敵機をやる、行くぞ!!」

 

『おう!!』

 

早速シルベスタが目を付けたのは、友軍機を落とされた事により慌てて編隊を組み直す機体であった。

速度がかなり落ちており、『エルペシオ3』と『アンタレス』の速度差を感じさせない程である。その機を彼は逃さない、歴戦パイロット故の技術が炸裂した。

 

「俺は左の奴をやる、お前は右だ!!」

 

『おうよ!!任せてくれ!!』

 

役割分担を直ぐ様終わらせ、二人の機体は軸線を敵機にあわせる。ここまでてきぱきとした早さで攻撃行動を終わらせ、彼等の魔光砲は『アンタレス』を構成する全てのパーツを撃ち抜いた。

 

『よし!!一丁上がり!!』

 

『こちら第3飛行隊機、後ろに着かれた。助けてくれ!!』

 

シルベスタが辺りを見渡すと、煙を吐いているエルペシオの1機が2機の敵編隊に追いかけ回されているのを目撃した。急いで救出しないと危ない状況だ。

 

「そこの機体、俺達が助けてやる耐えろ!!」

 

『了解!!』

 

「行くぞエイブラハム!」

 

『合点だ!!』

 

友軍機は旋回行動を取り、必死に『アンタレス』から逃れようとする。それは旋回戦が得意な敵機に対しては悪手である、しかし第7制空戦闘団の各パイロットがその事を知るよしもない。ただ『エルペシオ3』が旋回戦が不得意だと言うのはミリシアルのパイロットが皆知っている、友軍機がどれだけ危険な状況なのは直ぐわかった。

 

「友軍機、取り敢えず直進し、俺が合図したら右旋回しろ。。」

 

『りょ、了解!!』

 

そこでシルベスタは一計を案じた。まず敵機を友軍機を直進させて誘き寄せ、その間にシルベスタが友軍機と並走する。そして合図を掛けたら左方に居る友軍機が右旋回、右方に居るシルベスタ機が左旋回する。機織りのようにお互いをクロスさせる様にしてS字を書き、そして絶好の射点に到達次第、追撃する敵機を撃墜するのだ。

 

「よし…………、今だ!!」

 

『了解!!』

 

準備が整い、友軍機は右旋回を開始した。『アンタレス』は罠に嵌まったのも気付かずに右旋回を開始し、そして横から突っ込んできたシルベスタ機に蜂の巣にされた。

 

「よっしゃぁ一機撃墜!!エイブラハム、見てるか!!」

 

シルベスタは一緒に飛行していたエイブラハムに確認を取った、しかし魔信からエイブラハムの声が聞こえない。

 

「おい?エイブラハムどうした?」

 

シルベスタは何度もエイブラハムに確認を取る、しかし魔信はウンともスンとも言わない。先程まで友軍機と連絡が取れてたので故障はあり得ないのだが。

シルベスタは左後方下部を見てみた、別に何の意図もない。何となくで見た先には、炎上しつつ高度を下げるエイブラハム機が居た。しかもコックピットは火に包まれている、パイロットは生きていないだろう。

 

『こちら第2飛行隊機、仲間が全員やられた、助けて…………グガッ?!』

 

『こちら第3小隊機、我劣勢、援護を…………ウワッ!!』

 

「おのれぇぇぇぇ!!」

 

シルベスタは頭の中が怒りで真っ白になった。友を落とされ、友軍機は少しずつ削られて行く。味方の報告によると敵は上昇能力、速度、旋回性能全てで『エルペシオ3』に勝っているらしい。

こんな、こんなことが有ると言うのか、文明圏外国家の戦闘機に劣勢に立たされる事が有ると言うのか?!

シルベスタはただ怒り、そのまま敵機に後ろを取られて爆散した。




制空権はグラ・バルカスがもぎ取った。味方航空機の無い中、グレード・アトラスターと第18巡洋艦戦隊との戦いが勃発する。唸る46cm砲、その砲弾は巡洋艦達を捉えた。

次回、死闘。お楽しみに!!


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