キングオブバンパイア出久   作:ダインパンチ

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うわさと修行と雄英入試

あれから敵犯罪や、ファンガイアなどが出現すると、ブラッティローズの音色が聞こえるようになり、同時にその出現場所もわかるようになった。

キバットにこのことを聞いてみると、どうやらキバの能力の一つで、素早く敵を見つけて倒すための力だそうだ。

ちなみに、ファンガイアが出た時と、ヴィランが出た時の音色は違う。

 

その能力を使い、近所に現れたファンガイアを倒したりしていた。

こうしてみて気づいたことがある。ファンガイアは捕食対象にかなりのこだわりがあるのだ。

例えば、この前かっちゃんを襲ったホースファンガイアは、強個性の子供を狙っていた。

 

とある休日

そんなことを思い出しながら、現在家計を支えているバイオリンの修理の依頼を終わらせる。

すると、鍵の開く音が聞こえた。

「出久~」

響香の声だ。

「仕事、終わった?」

「ちょうど終わったところだよ」

「じゃあさ、一緒に特訓しよ!」

「特訓?」

「雄英、受けるんでしょ。出久、体力無いんだから付けないと」

キバに変身すれば、人間離れした力を持つファンガイアを倒せる出久だが、生身では、そこら辺のチンピラにも勝てない

「でも特訓って何するの?」

「そこは、ウチに任せてよ!」

響香は、自信満々に宣言すると

「ついてきて」

と、部屋から出て行ってしまった。

 

 

響香についていくと、漂着物で荒れ放題な海浜公園にたどり着いた。

「今日からウチとここ掃除しよ。そうすれば、筋肉も付くし、社会貢献にもなって一石二鳥!」

「お~なるほど!じゃあ、そうと決まればさっそく始めよう」

それからというもの、休日に二人で集まり掃除を続けた。

そんな日々は、中三の秋まで続いた。

 

すっかりきれいになった海浜公園。

二人はそこで、ランニングや、組手、響香の個性伸ばしなどを行っていた。

そこに、引き締まった体型の初老の男がやってきた。

「君たち、精が出るね。もしかしてここをきれいにした少年少女というのは君たちかい?」

どうやら僕たちはここらでちょっとした有名人らしい。

「いやぁ~君たちのおかげでランニングコースがふやせたよ。

そうだ、この近くになじみの喫茶店があるんだ。一緒に来てくれないか、奢るから。」

 

彼についていくと、喫茶カフェ・マル・ダムールという店に着いた。

カランコロン、と昔ながらの高い音が鳴る。

「マスター」

「あ、嶋ちゃん、」

「今日の体脂肪率は?」

「17.8%嶋ちゃんは?」

「ふっ甘いな、俺は17.2%だ」

マスターと呼ばれた人物は悔しそうに、壁に掛けてあるノートを手に取り、今日の結果を記入した。

「ところで、その子たちは?」

マスターは僕らと、僕らを連れてきた男、嶋を交互に見ている。

「彼らはそこの海浜公園を掃除していた子たちだよ」

「あら、あなたたちなのね。いつかお礼言いたいと思ってたんだ」

「い、いえ....」

「ウチら、トレーニングがてらにやってただけなんで......」

「いいのいいの、ナポリタンサービスしてあげる」

マスターに押し切られる形で、ナポリタンをごちそうになったが、これがなかなか癖になる。

せっかくなので、コーヒーも頼んでみたが、なかなかの逸品。

気づくと僕らは常連になっていた。

 

◆◆◆◆

 

いつものように、特訓後マル・ダムールに行くと、嶋さんと親しげに話す青年がいた。

青年は、僕らの方へ顔を向け

「君たち、雄英高校を受験するそうだね」

と言ってきた。おそらく嶋さんから聞いたのだろう。

「だったら、ぜひ"素晴らしき青空の会"に入ってくれ」

「"素晴らしき青空の会"とは、ファンガイアを討伐することを目的としたヒーロー公安委員会公認の組織だ。そして私がその会長だ」

向こうから嶋さんが口をはさむ

「えっ、何でウチらに....」

響香がもっともな疑問を投げかける。

どうやら"素晴らしき青空の会"は、ヒーローを仲間に引き入れたいそうだ。

「今は、ファンガイアの数も少ないし、仮面ライダーもいてファンガイア被害は最小限にとどまっているがこれからはそうもいかない」

「えっと、仮面ライダーって....」

純粋な疑問を口にすると

「出久、あんたのことだよ」

「へっ!?」

「あんたが変身した後の姿を世間はそう呼んでんの」

若干呆れ気味の響香は、スマートフォンの画面を見せてきた。そこには

 

謎のヒーロー 仮面ライダーに迫る

 

という見出しとともに、いつの間に取ったのか、変身した自分の姿の写真が載っていた

記事には、ファンガイアについてや、かっちゃんの事件、僕が倒したファンガイアがらみの事件が書いてあった。

 

「待て、仮面ライダーの正体は君だというのか。」

僕がスマホの記事を見ていると、今まで静かにしていた青年が声を上げた

「キバット!」

僕は説明するより見せた方が早いと考え、この場で変身することにした。

 

「.....とまあ、こういうことです...」

「まさかこんな近くにいるなんてな。俺は名護啓介。ぜひ"素晴らしき青空の会"に入りなさい」

「出久、どうすんの?」

「.....あの、よろしく..お願い..します」

こうして僕らは、"素晴らしき青空の会"に入会し、名護さんに稽古をつけてもらえることになった。

名護さんは、いわゆる賞金稼ぎを生業にしている人で、その技術はプロヒーローにも通用する。

 

◆◆◆◆◆

 

 

素晴らしき青空の会に入ってから、響香もファンガイア退治に同行するようになった。

僕は、危ないと反対したが、

「ウチだってヒーロー志望なんだけど」

と言われてしまい、何も言い返せない。

 

響香は、組み立て式の短刀である、ファンガイアスレイヤーと小型ボウガンの、ファンガイアバスターを使い戦っている。

ファンガイアスレイヤーは、短刀にも鞭にもなる優れもので、ファンガイアバスターは、弾倉を変えることで、銃にも鞭にもアンカーとしても使える中々使い勝手のいい武器である。

 

もちろん、勉強の方も怠ってない

今までは、出久の家で二人ですることが多かったが、最近はマル・ダムールで、マスターや、嶋さんに見てもらったりしている。

 

 

 

そんな日常(?)もあっという間に過ぎていき、気づけば入試当日。

僕らは、雄英高校の門の前に立っていた。

「ついにこの日が来たね、出久」

「.......」

「緊張してる?」

「うん、....」

「出久なら大丈夫だよ!」

そんな会話をしていると、後ろから聞きなじみのある声が聞こえた。

「おい!こんなとこで突っ立てんじゃねぇよ!くそデクが!!」

幼馴染はそれだけ言うと、試験会場に消えていった。

「何あいつ。出久、大丈夫?」

「うん、...彼いつもあんなだから。僕らも行こう!響香」

僕は、ヒーローへの第一歩を踏み出した。

その瞬間、僕の体が傾くのが分かった。

転んでいるのだ、と理解するのには、コンマ1秒もいらなかった。

衝撃に備え、手を出し、目を強く閉じる。

「出久、大丈.....って浮いてる!!」

響香の声が聞こえ、目を開けると響香の言うとおり、浮いていた。

「びっくりさせちゃってごめんね、これ私の個性。試験前に転んじゃったら縁起悪いもんね!

お互い頑張ろうね!」

僕を浮かせてくれた茶髪の少女は、それだけ言うと行ってしまった。

響香以外の女子としゃべっちゃった!!と思っていると

「いや、しゃべってないからね」

「えっ!!声に出てた?」

「顔に書いてある、さっ、行くよ」

なんだかいつもより言葉に棘がある気がする。

 

(出久のやつ、私と話すときはあんな赤くならないのに.....)

響香がそんなことを思っているのは、出久は知る由もない

 

◆◆◆◆◆◆

 

響香と別れ、試験が始まる。

筆記試験は特に問題なく終り、実技試験の説明が始まる。

大きな講堂に集められた受験生たちは、どこかそわそわしている。

「今日は俺のライヴにようこそー!!エヴィバディセイヘイ!!」

静寂を突き破ったのは、ヴォイスヒーロープレゼントマイクだ。

「スゴイ、さすが雄英。先生もプロヒーローなんだ!」

つい、ぶつぶつ言ってしまう。

「おっとぉ!!こいつぁシヴィィィィィ!!試験中のリスナー!

実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディー!?」

どうやら僕たちの返答がないことを気にしているようだ。

「イエェェェェイ!!」

ついに自分で言い出した。

 

彼の説明によると、実技試験は仮想敵を行動不能にする、というものらしい。

仮想敵は、1p、2p、3pがありポイントの総数で、戦闘力や索敵能力を見るものらしい。

すると眼鏡の男子が、

「質問よろしいでしょうか!?プリントには四種の敵が記載されています!誤載であれば日本最高峰とは言っても恥ずべき事態です!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!」

と質問(?)していた。別そこまで言わなくてもいいんじゃないか......

「それに、そこの縮れ毛の君!さっきからぶつぶつうるさいぞ!物見雄山のつもりなら即刻ここから去りたまえ!!」

別そこまで言わなくてもいいんじゃないか......

 

プレゼントマイクの返答によると、残りの一つは、0pのお邪魔虫。

倒しても意味がないらしい。

 

 

 

僕たちは指定された試験会場に集められた。

周りを見渡しても、かっちゃんや響香はいない。どうやら別会場のようだ。

知っている人がいないわけではない。今朝転んだ時に助けてくれた茶髪の少女が見えた。

今朝は緊張していて、お礼も言えなかったけど今ならいえる気がする。

僕が彼女に話しかけようとすると、さっきのメガネ男子に声をかけられた。

「君!彼女は精神統一中なんじゃないのか?一体君は何なんだ!妨害目的でここにいるのか!」

別そこまで言わなくてもいいんじゃないか......

周りの人たちは、ライバルが一人減ったみたいな顔をしている。

 

しばらくすると、目の前の巨大な扉が開いた

「はい、スタート」

その声とともに、僕は飛び出した。

「おいおい!本番じゃカウントなんかないぜ!!走れ走れ!!」

受験生を急かすアナウンスが入り、ほかの受験生たちが走り出す。

 

僕は、今回できるだけキバの力を使わずに受験するつもりだ。

響香はそんなことないと言ってくれているが、

あれは、キバの力であって僕の力ではない。

 

僕は、索敵能力をフルに使い、できるだけポイントが高く、人が少ない場所にいる仮想敵を狙って走る。

仮想敵を見つけると、ファンガイアスレイヤーで、関節部分を狙い、次々と無力化していく。

仮想敵同士が近い場合は鞭にして、足を縛って転倒させ同時に二体を破壊したりもした。

 

たまに、ほかの受験生を助けたりもしたが、敵ポイントは今ので60ポイントぐらいだろうか。

基準がよくわからないから、安心はできない。

そんなことを考えていると、ブラッティローズの音色が僕の頭の中で強くなった。

何事かと見上げると、そこには0ポイントの仮想敵が現れていた。

「でっか!!」

想像以上にでかい。

「逃げろ!!」

「走れ!走れ!!」

逃げ惑う声が聞こえ、僕も逃げようかと考えていると、

「いったぁ.....」

今朝の茶髪女子が、がれきに挟まれているのが見えた。

上には仮想敵の足が迫っている。

「まずい、...あのままじゃ...」

気づいたら僕は走り出していた。

が、僕の走力じゃ間に合いそうもない。

仕方がない、使わないと決めていたが、手が届くのに手を伸ばさなかったら絶対に後悔する。

「キバット!!」

「おう!!よっしゃあ!キバって行くぜ!!」

キバットの頭を、わしづかみにし、手を噛ませる

「ガブっ」

「変身!!」

腰に現れたベルトにキバットをセットする。

姿の変わった僕を見て、茶髪女子は目を見開いていたが、今はそんなことはどうでもいい。

そのままの勢いで、緑色のフエッスルをセットする

「バッシャーマグナム!!」

笛の音が鳴り響くと、緑色の彫像がどこからともなく飛んできた。

彫像を手に取ると、彫像は銃へと姿を変え、右腕とボディに鎖が巻き付く。

鎖がはじけ飛ぶと、僕は緑色を基調としたキバ、バッシャーフォームへと姿を変える。

がれきに向かって、引き金を引くと水の弾が発射され、女の子には当たらず、がれきだけを砕いた。

女の子の無事を確認すると、バッシャーマグナムをキバットにかませる。

「バッシャーバイト!」

辺りに夜の帳がおり、空には三日月が昇る。

足元が、水面のようにきらめき揺らめく。

バッシャーマグナムの羽が高速回転し、足元から水の竜巻が僕を包む。

銃口にエネルギーが集まり、竜巻を突き破り、エネルギーの弾が飛んでいく。

0ポイントの足をはじき飛ばし、上昇、頭に当たる。

緑の紋章が、0ポイントを包むと、0ポイントは崩れ去る。

「終ー了ー」

試験が終わったことを知らせるアナウンスが鳴り響く。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

薄暗い部屋にたくさんのモニターと、人がいた。

モニターには、先の実技試験の様子が映し出されていた。

「いや~今年は豊作ですねぇ~」

「そうね、この爆豪って子、"レスキューポイント"は0だけど、敵ポイントだけでいえば過去最高よ!」

「後半皆がへばっているのに、ずっとポイントを取りつずけている。タフネスのたまものだ。」

「それに、この耳郎って子もなかなかよ、敵ポイントもレスキューポイントもトップレベルよ!」

「実践慣れしてるようにも見えますね」

「でも、やっぱり緑谷って子がダントツね!」

「動きに無駄がないし、まるで仮想敵の位置が分かっているかのような立ち回りをしている

それに仮面ライダーときた」

「しかし、仮面ライダーってのは個性から逸脱してねぇか?」

「書類をよく見ろ、こいつは"無個性"だぞ」

「じゃあ、何で変身できんだよ」

「それは、これから聞けばいいだろ」

無精ひげを生やした、黒づくめの男がにやりと笑った

 

 

まさかあの少年が.....

金髪の骸骨のように細い中年が、小さな声でつぶやいた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

受験から、数日が過ぎた。

そろそろ通知が来てもいい時期だ。

響香は、通知を受け取るために自宅にいるので、今日は僕一人だ。

「出久~緊張してんのか~」

「そりゃするよ、筆記は自己採点で基準点を超えてたけど、倍率によっちゃやっぱりだめだし、実技試験だってほかのみんながどのくらいとっているかわからない以上、どうなるかわかんないよ。それに「ストップ、ストップ。それ響香ちゃんにもやめろって言われてるだろ」

キバットに茶化されてると鍵の開く音が聞こえた。

「出久~通知来てるよ~」

「響香!?どうしたの、通知は?」

「ウチは合格した!ほら出久のも見るよ!」

「う、うん....」

封筒を開くと、小さな機械が出てきた。

ボタンを押すと、空中にオールマイトが投影された。

 

 

結論から言うと、僕は合格だった。

どうやら、敵ポイントだけでなく、レスキューポイントというのもあったらしく、それぞれ、58pと70pで総合128p

なんと主席らしい。

「さすが、出久。そうだ、今日家に来ない?ウチの合格祝いで今日はごちそうだって、お母さん張り切ってたから一緒にお祝いしよう!」

僕は遠慮しようと思ったが、結局押し切られてしまった。

 

わが家から少し歩いたところに響香の家はあった。

響香がうちに来ることはあったけど、僕が行くのは初めてだった。

「お母さん、つれてきたよ!」

「あら、あなたが出久君ね。いらっしゃい」

余談だが、響香は母親似らしい

 

お祝いというのは、手巻き寿司であった。

食卓に、僕と響香、響香の両親が並ぶ

いくら、毎日来るといっても、さすがに響香も食事の時間には帰ってしまう

複数人で食卓を囲むのは、実に三年ぶりであった

 

「さ、出久君も遠慮せずに食べて」

「あ、ありがとうございます....」

とは言ったものの、正直言ってやり方がわからない。

「もしかして出久、手巻き寿司初めて?」

困っていたところに、響香から救いの手が差し伸べられる

「うん、一人じゃやらないからね」

「じゃあ、ウチが巻くから、何食べたい?」

僕が希望の具材を言うと、響香はそれらを入れつつ、野菜や錦糸卵を入れ、彩り豊かな手巻き寿司が完成した

「はい、出久」

「ありがとう、響香。とってもきれいだよ」

 

それから、僕は響香の見よう見まねで手巻き寿司を作ってみたがなかなか響香の様にはいかない。

それでも、耳郎一家との食事はとても幸せで、ときどき響香の父親からの視線が痛かったが、暖かかった。

 

少しだけ、いなくなった母親を思い出し、難しい顔をしてしまう。

「出久、」

「ん?どうs....もごっ....」

響香に呼ばれて横を見ると、口の中に手巻き寿司を突っ込まれてしまう。

「ほら、そんな顔しないで、今を楽しむ!いい?」

「...ふぁい」

やっぱり響香にはかなわないな。

 

 

 

響香の家から自宅に帰ると、キバットが祝ってくれた。

「合格したんだってな、おめでとう出久」

合格発表を見ているときには、寝ていたキバットは、さっき結果を知ったようだ

「ありがとう、キバット」

 

今日という一日が終わりを告げる

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